2017年10月26日

Modest Fok『Love Or The Single Life』

リード・シンガーDebra Killingsの魅力が光るR&Bグループ☆Modest Fok『Love Or The Single Life』
modest fok  love or the single life.jpg
発表年:1992年
ez的ジャンル:紅一点ヴォーカル系R&Bグループ
気分は... :ヤラかした...

今回は90年代R&B作品からModest Fok『Love Or The Single Life』(1992年)です。

Modest Fokはアトランタで結成されたR&Bグループ。メンバーはDebra KillingsJames KillingsMyra KillingsKenny WrightMartin Blocksonという5名。

紅一点のメンバーDebra Killingsのキュートなヴォーカルの魅力を前面に打ち出したグループです。

グループは唯一のアルバムとなる『Love Or The Single Life』(1992年)と「Love Or The Single Life」「Promise Me」という2枚のシングルをリリースしています。

この時期のR&Bグループといえば、女性グループもしくは男性グループが中心であり、紅一点の女性ヴォーカルを中心とした男女グループは貴重な存在かもしれませんね。

Debra Killingsのキュートなヴォーカルの魅力を前面に打ち出した内容は、80年代ブラコンの佇まいも感じられます。そのあたりも僕が本作を気に入っている理由かもしれません。

メンバー自身によるプロデュースが中心ですが、それ以外にDwayne WigginsTony! Toni! Tone!)とJoyce IrbyKlymaxx)もプロデュースに関与しています。

「Love Or The Single Life」「Promise Me」というシングル2曲が目立ちますが、「Lay Me Down」「Come To Me」といったバラード系もオススメです。

マイナーな作品ですが、なかなかの佳作だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Love Or The Single Life」
タイトル曲はDebraのキュートなリード・ヴォーカルが栄える爽快ダンサブル・チューン。シングルとして全米R&Bチャート第37位となっています。本作のハイライトと呼べるでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=L0nvq-ZnfN0

「Hard To Be Righteous」
Debraの魅力を前面に打ち出したアップ・チューン。良くも悪くも90年代初めの打ち込みサウンドなので好き/嫌いが分かれるかも?

「Promise Me」
「Love Or The Single Life」に続くシングル曲。90年代前半らしいアーバンなミディアム・ダンサー。少し抑えたトーンがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=EFqO6mi33Eg

「After All Said And Done」
哀愁ミディアムなダンサブル・チューン。特に中盤以降のDebraのヴォーカルがキュートでいいですね。

「Getting It On」
Dwayne Wigginsプロデュース。トニーズらしいテイストの1曲に仕上がっています。ポップ&ソウルな感じがいいですね。

「Lay Me Down」
個人的にはアルバムで一番お気に入りのミディアム・バラード。Debraのキュート・ヴォーカルとアーバン・サウンドがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=c5gm5CnI_cM

「I'll Be Lovin' You」
オトナのラブ・バラードをDebraが艶やかに歌い上げます。聴き重ねるほどにグッときます。

「Come To Me」
「Lay Me Down」と並ぶお気に入り。Debraの切々としたヴォーカルに胸に迫るラブ・バラード。彼女のヴォーカルの魅力を存分に堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=LXH9odxCreM

「Forever」
Joyce Irbyプロデュース。オーセンティックなバラードをしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=Nf2S59WIuZ8

「I Don't Know」
Joyce Irbyプロデュース。ラストも素敵なスロウで締め括ってくれます。

ご興味がある方は紅一点Debra Killingsのソロ・アルバムもチェックを!

Debra Killings『Surrender』(2003年)
Surrender
posted by ez at 02:58| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月24日

Roberta Flack & Donny Hathaway『Roberta Flack & Donny Hathaway』

人気ソウル・シンガーのデュエットによる静かなるニューソウル!☆Roberta Flack & Donny Hathaway『Roberta Flack & Donny Hathaway』
ロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイ
発表年:1972年
ez的ジャンル:ニューソウル男女デュエット
気分は... :静かなるブラック・パワー...

今回はRoberta FlackDonny Hathawayという70年代ニューソウルを代表する男女アーティストによる大ヒット・デュエット作品Roberta Flack & Donny Hathaway『Roberta Flack & Donny Hathaway』(1972年)です。

「Killing Me Softly with His Song」「Feel Like Makin' Love」等の大ヒットで知られる人気女性シンガーRoberta Flackに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の2枚。
 『Feel Like Makin' Love』(1975年)
 『I'm The One』(1982年)

ニューソウルを代表する魂のソウル・シンガーDonny Hathaway(1945-1979年)に関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の2枚。
 『Everything Is Everything』(1970年)
 『Live』(1972年)

2人共に当ブログで紹介するのは約10年ぶりです。本作について、当ブログで紹介するにはメジャーすぎる作品かなぁ(全米アルバム・チャート第3位、同R&Bアルバム・チャート第2位)・・・と思い、長年敬遠していた面がありましたが、今の季節にフィットしそうなアルバムなので取り上げてみました。

ハワード大学の同胞であるRoberta FlackDonny Hathawayの顔合わせは、各人のソロでは聴けないケミストリーを生んでいますね。特に、DonnyがRobertのソウル・シンガーとしての魅力を引き出している点に惹かれます。

レコーディングにはRoberta Flack(vo、p、org)、Donny Hathaway(vo、p、el-p)以下、Eric Gale(g)、Chuck Rainey(b)、Bernard Purdie(ds)、Ralph MacDonald(per)、David Spinozza(g)、Billy Cobham(ds)、Hubert Laws(fl)、Joe Gentle(fl)、Joe Farrell(sax)、Jack Jennings(vibe)等のミュージシャンが参加しています。

プロデュースはJoel DornArif Mardin

商業的には成功したアルバムですが、その割には地味な印象受けるアルバムかもしれません。

ハイライトは大ヒットした「Where Is the Love」と、同じくシングル・ヒットしたCarole Kingの名曲カヴァー「You've Got a Friend」ですが、それ以外の曲をどう評価するかで好き/嫌いが二分するアルバムかもしれません。

でも改めて聴き直すと、静かなるブラック・パワーを感じるニューソウル作品に仕上がっていると思います。「Where Is the Love」、「You've Got a Friend」以外であれば、「Be Real Black for Me」「When Love Has Grown」「You've Lost That Lovin' Feelin'」あたりが僕のオススメです。

ブラック・ライヴズ・マターが叫ばれる今だからこそ聴くべき1枚かもしれません。

全曲紹介しときやす。

「I (Who Have Nothing)」
Ben E. King、1963年のシングル曲をカヴァー(Jerry Leiber/Mike Stoller/Carlo Donida作)。オープニングはDonny Hathaway調のソウル・バラードで幕を開けます。
https://www.youtube.com/watch?v=JcHOc_-U7Vo

R.A. The Rugged Man feat. Sadat X「50,000 Heads」、The Jacka & Berner feat. Fed-X「Watch Me」等のサンプリング・ソースとなっています。
R.A. The Rugged Man feat. Sadat X「50,000 Heads」
 https://www.youtube.com/watch?v=P7QZrW6bwyM

「You've Got a Friend」
Carole Kingの名曲をカヴァー。Donnyの『Live』(1972年)での熱唱もお馴染みですね。アルバムに先駆けて1971年にシングル・リリースし、全米チャート第29位、同R&Bチャート第8位となっています。本ヴァージョンは『Live』ヴァージョンのスタジオ版といった位置づけかもしれませんね。『Live』と同じ感動が胸に込み上げてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZRDYYFyAYVg

Ram Squad feat. Q Ball「Control」、Pete Philly & Perquisite「Lazy」等のサンプリング・ソースとなっています。
Ram Squad feat. Q Ball「Control」
 https://www.youtube.com/watch?v=Q_7gd9DYACk

「Baby I Love You」
Aretha Franklin、1967年のヒット曲をカヴァー(Jimmy Holiday/Ronnie Shannon作)。Arethaのオリジナルはアルバム『Aretha Arrives』に収録されています。このカントリー・ソウル調のブラック・フィーリングはデュエット作品の相乗効果かもしれませんね。

「Be Real Black for Me」
Charles Mann/Donny Hathaway/Roberta Flack作。今回聴き直して一番胸に響いたのがゴスペル調の本曲。ブラック・ライヴズ・マター運動が注目を集める今日だからこそ胸に沁みるものがあるニュー・ソウルだと思います。2人が歌声は世代を超えて今でもリアル・ソウルとして伝わると思います。噛めば噛むほど味の出てくる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=_ctAIoVv7Uk

M.O.P.「World Famous」、Scarface「My Block」、Charles Hamilton「There's Nothing Like It」、Coin Banks feat. ATOM & Danny Martin「Be Real」等のサンプリング・ソースとなっています。
M.O.P.「World Famous」
 https://www.youtube.com/watch?v=l0GXWBCmH5Q
Scarface「My Block」
 https://www.youtube.com/watch?v=DHyqs0PoBgE
Coin Banks feat. ATOM & Danny Martin「Be Real」
 https://www.youtube.com/watch?v=FRPiSrIKKXA

「You've Lost That Lovin' Feelin'」
The Righteous Brothers、1964年の大ヒット曲をカヴァー(Barry Mann/Phil Spector/Cynthia Weil作)。アルバムに先駆けて1971年にシングル・リリースされました。大ヒット曲を見事に都会的ソウルへ変貌させています。「Be Real Black for Me」と並び今回惚れ直した1曲。Chuck Rainey、Bernard Purdieをはじめとするバッキングによる激シブな都会派ファンキー・サウンドの素晴らしさも際立ちます。
https://www.youtube.com/watch?v=c0m812CC4kg

「For All We Know」
J. Fred Coots/Sam M. Lewis作のポピュラー・スタンダードをカヴァー。Donny Hathawaの素晴らしいヴォーカルを堪能できる1曲。彼の静かなる闘志のようなものを感じる素晴らしいソウル・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=r9v8CyIe7qM

「Where Is the Love」
Ralph MacDonald/William Salter作。本作のハイライトといえばこの大ヒット曲ですね。全米チャート第5位、同R&Bチャート第1位となっています。大きな愛に包まれたメロウ・ソウルにはエヴァーグリーンな魅力がありますね。各人ソロでは聴けないデュエット作品だからこそ生まれた名曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=ZcHPNUN-U8E

作者Ralph MacDonaldヴァージョンは当ブログで紹介した『Sound Of A Drum』(1976年)に収録されています。様々なアーティストがカヴァーしていますが、本ヴァージョンと同じ男女デュエットでいえば、Mica Paris & Will Downing、John Legend & Corinne Bailey Raeヴァージョンあたりもチェックしてみては?また、Nate Dogg feat. Snoop Dogg「Never Leave Me Alone」、RBL Posse「Gone Away」等のサンプリング・ソースとなっています。

Mica Paris & Will Downing「Where Is the Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=ES9Q5g9EsdA
John Legend & Corinne Bailey Rae
 https://www.youtube.com/watch?v=j6N2qgd9b0Q
Nate Dogg feat. Snoop Dogg「Never Leave Me Alone」
 https://www.youtube.com/watch?v=uzveEPBVQtA
RBL Posse「Gone Away」
 https://www.youtube.com/watch?v=tpydZvNtRHs

「When Love Has Grown」
Ralph MacDonald/William Salter作。「Where Is the Love」と同じコンビが書いた本曲は派手さはありませんが、「Where Is the Love」に通じるメロウな魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=J-NR8BTyWHY

「Come Ye Disconsolate」
トラディショナル・カヴァー。この2人のデュエットに相応しいゴスペル調バラード。ホーリーな雰囲気がよく似合います。Donnyのリードにより、Robertaのソウルな魅力がうまく引き出されている気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=2r8crQujfBE

「Mood」
Roberta Flack作。ラストはRobertaのピアノ、Donnyのエレピによる約7分のインスト。ラストにインストを持ってくるあたりに、2人の単なるシンガーに止まらないトータルなミュージシャンとしての矜持のようなものを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=helRy003dhc

RobertaとDonnyは1979年に再びデュエット・アルバムの制作に取り組みましたが、2曲のレコーディングを終えた後にDonnyがホテルから転落死してしまいます。それでもRobertaはアルバムを完成させ、『Roberta Flack Featuring Donny Hathaway(邦題:ダニーに捧ぐ)』(1980年)としてリリースしています。

『Roberta Flack Featuring Donny Hathaway』(1980年)
ダニーに捧ぐ(紙ジャケット&SHM-CD)

Roberta FlackDonny Hathawayの過去記事もご参照ください。

Roberta Flack『Feel Like Makin' Love』(1975年)
Feel Like Makin' Love

Roberta Flack『I'm The One』(1982年)
アイム・ザ・ワン(紙ジャケット&SHM-CD)

Donny Hathaway『Everything Is Everything』(1970年)
新しきソウルの光と道 +1

Donny Hathaway『Live』(1972年)
ライヴ
posted by ez at 06:59| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月23日

『今の気分は...2017年10月23日編』

過去記事から10曲セレクトするシリーズです。

今回は1990年代カテゴリーからHip-Hopを10曲セレクトしました。

全て過去記事で紹介済なので、気に入った曲があれば過去記事もご参照下さい。

The Pharcyde「Soul Flower (Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=4Oo2XO_ub18
From 『Bizarre Ride II』(1992年)
Bizarre Ride II the Pharcyde

A Tribe Called Quest「Bonita Applebum (Hootie Mix)」
https://www.youtube.com/watch?v=ppbbSWuf6wM
From 『Revised Quest for the Seasoned Traveller』(1992年)
リヴァイズド・クエスト・フォー・ザ・シーズンド・トラヴェラー

Pete Rock & C.L. Smooth「Take You There」
https://www.youtube.com/watch?v=Ot3kGjs94YI
From 『The Main Ingredient』(1994年)
Main Ingredient

Naughty By Nature「Would've Done the Same for Me」
https://www.youtube.com/watch?v=zLDTzBA3Mgs
From 『Nineteen Naughty Nine: Nature's Fury』(1999年)
19 Naughty Nine: Nature's Fury

Camp Lo「Luchini AKA This Is It」
https://www.youtube.com/watch?v=lQOwnFdg9Us
From 『Uptown Saturday Night』(1997年)
Uptown Saturday Night

Common Feat. Erykah Badu「All Night Long」
https://www.youtube.com/watch?v=V7ZbVV77zAI
From 『One Day It'll All Make Sense』(1997年)
ワン・デイ・イトゥル・オール・メイク・センス

Guru「No Time To Play」
https://www.youtube.com/watch?v=09WzUhMZmFo
From 『Jazzmatazz』(1993年)
Jazzmatazz, Vol. 1

Jungle Brothers「Brain」
https://www.youtube.com/watch?v=mOAUldvABIg
From 『Raw Deluxe』(1997年)
Raw Deluxe

De La Soul「Stakes Is High」
https://www.youtube.com/watch?v=JMoHezlA0a0
From 『Stakes Is High』(1996年)
Stakes Is High

Digable Planets「Rebirth of Slick (Cool Like Dat)」
https://www.youtube.com/watch?v=e68SUJS1UcI
From 『Reachin'』(1993年)
Reachin' (A New Refutation of Time and Space)
posted by ez at 01:09| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月22日

Aaron Abernathy『Dialogue』

ブラック・パワーに溢れたリアル・ソウル☆Aaron Abernathy『Dialogue』
Dialogue
発表年:2017年
ez的ジャンル:リアル・ソウル系男性R&Bアーティスト
気分は... :差別なき世界へ!

今回は新作R&Bから期待の男性R&Bアーティストの2ndアルバムAaron Abernathy『Dialogue』です。

Aaron Abernathyはオハイオ州クリーブランド出身の男性R&Bシンガー/ソングライター/キーボード奏者/プロデューサー。現在はワシントンD.C.を拠点にしているようです。

名門ハワード大学で音楽を学び、2005年にAb & The Souljourners名義でアルバム『Lyrically Inclined 1.3:The Odyssey』をリリースしています。

さらにSlum Villageのワールド・ツアーのミュージック・ディレクターに起用されたり、Eric Roberson『Music Fan First』(2009年)収録の「Howard Girls」でフィーチャリングされるなど実績を重ねていきます。

昨年にはAaron Abernathy名義の1stアルバム『Monologue』をリリースしました。PhonteZo!Black MilkDeborah Bond等をゲストに迎えた同作は、ディープなR&Bファンから高い支持を得ました。

そして、リリースされた最新作『Dialogue』。前作のような目立ったゲストはなく、自身と少数のミュージシャンのみでレコーディングしています。プロデュース&アレンジ&ソングライティングはAaron Abernathy本人。前作にも参加していたBlack Milkがミキシングを手掛けています。

一方、公民権運動、黒人解放運動に尽力した政治家、牧師、作家、アーティストのスピーチ、インタビュー等を数多く取り入れたメッセージ色の強い1枚に仕上がっています。背景には近年アメリカで大きな社会現象となっているブラック・ライヴズ・マター運動があると思います。

サウンド的にもMarvin GayeCurtis MayfieldSly & The Family Stoneといった70年代ニュー・ソウルの影響が感じられます。

ただし、単なる70年代ニュー・ソウルのオマージュではなく、21世紀ならではのブラック・パワーに満ちたブラック・ミュージックを聴くことができます。

決して派手なアルバムではありませんが、聴いた者の心に響くリアル・ソウルがココにはあります。

21世紀版ニュー・ソウルをぜひチェックしてみて下さい!

全曲紹介しときやす。

「Daily Prayer」
Sly & The Family Stoneの諸作に通じるブラック・パワーを感じるヘヴィ・グルーヴ。ワシントンD.C.が拠点ということでGo-Go Funkの影響を感じます。

「Children of the City」
黒人解放運動の象徴的存在である女性作家Angela Davisの言葉と共に始まり、さらに黒人女性シンガーNina Simoneの言葉の引用と共に始まるブラック・ライヴズ・マターなヘヴィ・ファンク・グルーヴ。ダークなブラック・グルーヴが癖になります。

「Restrictions」
モダンな生音ソウル・グルーヴでMarvin Gayeを甦らせたような仕上がりです。どこまでセクシーで、どこまでもブラックなグルーヴがたまりません。

「Generation」
黒人女性初の米連邦下院議員Shirley Chisholm、黒人女性作家Lorraine Hansberry、さらにはNina Simoneのスピーチ/インタビューを引用したブラック・パワー炸裂のリアル・ソウル!60〜70年代ブラック・ミュージックの空気感を21世紀モードにアップデートしたような仕上がりです。

「Am I Good Enough To Love?」
愛に満ちたソウル・グルーヴ。ヴィンテージ感がありながらも単なるレトロで終わらないヴィヴィドな魅力があります。

「Human Actions Matter (Leviticus)」
Marvin Gayeモードの小曲。次曲「Now A Days」への助走のような位置づけかな。

「Now A Days」
アルバムに先駆けて昨年3月に発表した楽曲。公民権運動家の黒人牧師Ralph Abernathyのインタビュー音声をサンプリングした"21世紀ニュー・ソウル"。公民権運動の時代から今日まで黒人に対する差別が解決されていないことを訴える社会派ソウル。メッセージのみならずサウンド面でもMarvin Gayeライクの魅力的なソウル・グルーヴに仕上がっています。

「Forecast」
過去ではなく未来に目を向けようとする願いが込められたリアル・ソウル。美しくも切ないヴォーカル&サウンドが胸に響きます。

「The Villain In Me」
ラストは呪術的なダーク・グルーヴで締め括ってくれます。このエンディングが示唆するものは・・・

ご興味がある方は1stアルバム『Monologue』(2016年)もチェックを!

『Monologue』(2016年)
Monologue
posted by ez at 00:58| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月21日

Pharoah Sanders & Norman Connors『Beyond A Dream』

Norman Connorsの原点を楽しめるライブ作品☆Pharoah Sanders & Norman Connors『Beyond A Dream』
ビヨンド・ア・ドリーム(期間生産限定盤)
発表年:1981年
ez的ジャンル:スピリチュアル・ジャズ・ライブ
気分は... :原点回帰!

今回はジャズ・ライブ作品からPharoah Sanders & Norman Connors『Beyond A Dream』(1981年)です。
※1978年録音ですが発売時期に合わせ80年代カテゴリーにしています。

アーバンなメロウ・グルーヴ作品で人気のドラマー/プロデューサーNorman Connorsについて、当ブログで紹介したのは以下の4枚。

 『Romantic Journey』(1977年)
 『This Is Your Life』(1978年)
 『Take It To The Limit』
 『MR.C』(1981年)

スピリチュアル・ジャズの大物サックス奏者Pharoah Sandersについて、当ブログで紹介したのは以下の9枚。

 『Izipho Zam』(1969年)
 『Karma』(1969年)
 『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)』(1970年)
 『Thembi』(1970年)
 『Black Unity』(1971年)
 『Elevation』(1973年)
 『Love In Us All』(1975年)
 『Journey To The One』(1980年)
 『Rejoice』(1981年)

本作はNorman Connorsが、かつてのボスであるPharoah Sandersと共演を果たした、1978年7月22日、モントルー・ジャズ・フェスティバルのライブ録音です。ここでのConnorsは、アーバン・メロウなソウル作品のイメージを封印し、ジャズ・ミュージシャンの原点に戻っています。

メンバーはNorman Connors(ds、per)、Pharoah Sanders(ts)、Bobby Lyle(p)、Buzzy Jones(ts、ss、fl)、Duke Jones(tp)、Jacques Burvick(key)、Greg Hill(g)、Alex Blake(b)、Billy McCoy(p、key)、Lawrence Killian(congas、per)、Petro Bass (per、congas)という編成です。

Pharoah Sandersが参加しているのは「Montreux Overture」「Casino Latino」の2曲のみですが、ハイライトはクラブジャズ人気曲「You've Got To Have Freedom」のプロトタイプ的な演奏の「Casino Latino」です。

Pharoah不参加の演奏でも「Babylon」「Beyond A Dream」あたりはラテン/ブラジルなエッセンスが効いていて楽しめるはずです。残る「The End Of The Beginning」はBobby Lyleのピアノによるスピリチュアル・ジャズです。

Pharoah Sanders好き、スピリチュアル・ジャズ好き、ラテン/ブラジリアン・ジャズ好きの人は楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Babylon」
Bill McCoy作。ラテン・フィーリングのスピリチュアル・ジャズといった趣の演奏です。パーカッシヴ・リズムのアクセントが僕好みです。
https://www.youtube.com/watch?v=W9rgzUdB7xs

「Beyond A Dream」
Kenny Cox/Maria Kathleen Martin作。Buzzy Jones、Duke Jonesの二菅が牽引するブラジリアン・ジャズ的なパーカッシヴな演奏を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=U3wcSvnwvQE

「Montreux Overture」
Pharoah Sanders作。Pharoah Sandersらしいスピリチュアル・ジャズ&フリー・ジャズな演奏をコンパクトに楽しめます。

「The End Of The Beginning」
Bobby Lyle作。Bobby Lyleのピアノを堪能するスピリチュアル・ジャズな演奏です。次の「Casino Latino」へのいい繋ぎといった感じです。

「Casino Latino」
Pharoah Sanders作。本作のハイライトはコレかもしれませんね。聴けばわかる通り、『Journey To The One』(1980年)収録のクラブジャズ人気曲「You've Got To Have Freedom」のプロトタイプ的な演奏を楽しむことができます。このプロトタイプではラテン・フィーリングが強調されているのが興味深いですね。クラブジャズ好きの人にはたまらないエモーショナル&エキサイティングな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=ZHeQv8A95-I

Norman ConnorsPharoah Sandersの過去記事もチェックを!

Norman Connors『Romantic Journey』(1977年)
Romantic Journey

Norman Connors『This Is Your Life』(1978年)
ディス・イズ・ユア・ライフ

Norman Connors『Take It To The Limit』(1980年)
テイク・イット・トゥ・ザ・リミット

Norman Connors『MR.C』(1981年)
MR.C

Pharoah Sanders『Izipho Zam』(1969年)
Izipho Zam

Pharoah Sanders『Karma』(1969年)
カーマ

Pharoah Sanders『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)』(1970年)
SUMMUM BUKMUM UMYUM(紙ジャケット仕様)

Pharoah Sanders『Thembi』(1970年)
Thembi

Pharoah Sanders『Black Unity』(1971年)
Black Unity

Pharoah Sanders『Elevation』(1973年)
Elevation (Reis)

Pharoah Sanders『Love In Us All』(1975年)
ラヴ・イン・アス・オール(紙ジャケット仕様)

Pharoah Sanders『Journey To The One』(1980年)
ジャーニー・トゥ・ザ・ワン

Pharoah Sanders『Rejoice』(1981年)
リジョイス
posted by ez at 02:29| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする