発表年:1998年
ez的ジャンル:DJ/プロデューサー系ブラック・ミュージック
気分は... :あの頃は・・・
今回は人気DJ/プロデューサーKing BrittがSylk 130名義でリリースしたKing Britt Presents Sylk 130『When The Funk Hits The Fan』(1998年)です。
King Brittは1968年フィラデルフィア生まれのDJ/プロデューサー。
Hip-HopグループDigable Planetsの客演DJとして、グラミー賞をゲットしたデビューアルバム『Reachin'』(1993年)に大きく貢献したことで注目される存在となります。
その後は様々な名義、プロジェクトで活動する人気DJ/プロデューサーKing Brittですが、Sylk 130名義ではソウル/ファンク/ジャズといったブラック・ミュージックへのオマージュ色の強い作品をリリースしています。
その第1弾となる『When The Funk Hits The Fan』(1998年)のコンセプトは「1977年頃のフィリーを舞台にした映画のようなストーリー仕立てのサウンドトラック」。
アルバムにはディスコ/ファンク、メロウ・ソウル、ジャズHip-Hop、ジャズ・ファンク、クラブジャズといったブラックミュージックのエッセンスが詰まっており、Ursula Rucker、Alison Crockett、Tanja Dixon & Alma Horton、Antoine Green等のヴォーカル/ポエトリーリーディングがフィーチャーされています。
また、レコーディングにはJamaaladeen Tacuma(b)、Darryl Burgee(ds)、James Poyser(key)、Monnette Sudler(g)等のミュージシャンも参加しています。
アルバム全体の流れも良いし、個々の楽曲も充実しています。
特に、Boz Scaggs「Lowdown」ネタのメロウ・グルーヴ「The Reason」、UFOがコンパイルしたコンピ『Brownswood Workshop - Multidirection 2』収録の人気曲「Season's Change」、Indeepのダンス・クラシック・カヴァー「Last Night A DJ Saved My Life」、Chic調のディスコ・ファンク「When The Funk Hits The Fan」、Marvin Gaye「I Want You」を引用したHip-Hopフィーリングのメロウ・ソウル「Gettin Into It」あたりがオススメです。
King Brittのブラックミュージック愛に溢れた充実の1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Narration」
アルバムの舞台となる1977年のフィラデルフィアを回想するオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=IAw8sNk8-Dc
「Jimmy Leans Back」
心地好いワウワウ・ギターと軽やかなホーン・サウンドが織り成すファンク・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=148b15SgY8Y
「City (5-6 Theme)」
Tom Scott & The L.A. Express「Refried」をサンプリングしたクール&メロウなトラックをバックに、Antoine Greenのポエトリー・リーディングをフィーチャーしています。艶やかな女性コーラスもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=a8-Dtn0BUaI
「The Reason」
オススメその1。本作のハイライトの1つ。Ursula Ruckerの女性ヴォーカルをフィーチャーし、Boz Scaggs「Lowdown」をサンプリングしたメロウ・グルーヴ。Ursula Ruckerの透明感のあるヴォーカルが実にいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=BqSUcAFnjbI
「E.R.A.」
前曲のリード・ヴォーカルを務めたUrsula Ruckerの作品。ジャジー&トライバルな雰囲気のインタールード的ポエトリー・リーディングです。
「Gettin Into It」
オススメその2。Alison Crockettの女性ヴォーカルをフィーチャー。Marvin Gaye「I Want You」を引用したメロウ・ソウル。Bar-Kays「Fightin' Fire With Fire」やJames Brown「Get Up, Get Into It, Get Involved」の声ネタをサンプリングしたHip-Hopフィーリングもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=dyuMJEzyuok
「When The Funk Swings」
疑似ライブによるアーバンなジャジー・メロウ。中盤以降のハードボイルドなジャズ・フィーリングはクラブジャズ好きも魅了するのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=LSsDmvcO5t4
「Season's Change」
オススメその3。Alison Crockettの女性ヴォーカルをフィーチャー。United Future Organization がコンパイルした『Brownswood Workshop - Multidirection 2』にも収録されてい話題曲です。前曲に続く疑似ライブ仕立てです。The Lloyd McNeill Quartet「2504 Cliffbourne Pl.」をサンプリングした哀愁メロウ・グルーヴとAlison Crockettの艶やかなヴォーカルが良くマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=LSsDmvcO5t4
「13」
インタールード。
「Red Handed」
ジャズ・フィーリングに溢れたインタールード的な小曲。
「Taggin & Braggin」
Booker T. & The MG's「Hang 'Em High」のオルガン・リフを引用したジャズ・テイストのHip-Hopチューン。初期Jazzmatazzに通じるヴァイヴがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=phoT6lCu_EE
「Incident On The Couch」
フルートが妖しく響く、ジャジー&ダークな小曲。
「Gorgeous」
Alison Crockettの女性ヴォーカルをフィーチャー。CTIあたりの70年代クロスオーヴァーの香りが漂う、ミステリアス&メロウな仕上がり。
「A Day In The Life」
Herbie Hancock「Bubbles」をサンプリングしたトラックに、Ursula Ruckerのポエトリーリーディングが乗ります。淡々とした中にもメロウな雰囲気が漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=AAAYOPlr1fE
「New Love」
クラブジャズ調のヴォーカル・チューン。本作らしいジャズ・テイストを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=6MEUODplPao
「Uptown」
女性ヴォーカルを配したアーバン・テイストのジャズ・ファンク。
https://www.youtube.com/watch?v=0Jvy_VwuWUo
「Last Night A DJ Saved My Life」
オススメその4。Indeep、1982年のダンス・クラシックをカヴァー。本曲をアルバムのハイライトに挙げる人も多いかもしれませんね。Tanja Dixon & Alma Hortonの女性ヴォーカルをフィーチャーし、。Nile Rodgers調のカッティング・ギターがさく裂するアーバン・ディスコは、昨今のディスコ/ブギー・ブームの流れにもフィットする1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=JyWesewyAHk
「When The Funk Hits The Fan」
オススメその5。タイトル曲は、前曲の流れそのままにTanja Dixon & Alma Hortonの女性ヴォーカルをフィーチャーしたChic調のディスコ・ファンクはパーティー・モードにピッタリ!
https://www.youtube.com/watch?v=ZQ-bjsNONtw
「Next」
ネクスト・ステップを予感させるアナウンスと共に本編は幕を閉じます。
国内盤にはボーナス・トラックとして「City (Southwest Philly Main) Mix」が追加収録されています。
Sylk 130名義の他作品もチェックを!
『When The Funk Hits The Fan (The Remixes) 』(1999年)
『Re-Members Only』(2001年)