2017年11月13日

Cassandra Wilson『Jumpworld』

M-Baseの面々が大挙参加!☆Cassandra Wilson『Jumpworld』
ジャンプワ−ルド(JUMPWORLD) (MEG-CD)
発表年:1990年
ez的ジャンル:M-Base系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :M-Baseの精神・・・

ジャズを超越した最高の女性シンガーCassandra Wilsonの初期作品『Jumpworld』(1990年)です。

これまで当ブログで紹介したCassandra Wilsonは以下の7枚(発売年順)。

 『Point Of View』(1986年)
 『Days Aweigh』(1987年)
 『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
 『New Moon Daughter』(1995年)
 『Traveling Miles』(1999年)
 『Belly Of The Sun』(2002年)
 『Glamoured』(2003年)

本作『Jumpworld』(1990年)は、『Point Of View』(1986年)、『Days Aweigh』(1987年)、『Blue Skies』(1988年)に続くJMT第4弾アルバムとなります。

本作で注目すべきは、当時Cassandraも所属していた先鋭ジャズ・コレクティヴM-Baseの面々が大挙して参加している点です。

Rod Williams(p、key)、Kevin Bruce Harris(b)、Mark Johnson(ds)という当時のレギュラー・メンバーに加え、Steve Coleman(sax)、Greg Osby(sax)、Gary Thomas(sax)、Graham Haynes(tp)、Robin Eubanks(tb)、David Gilmore(g)、Lonnie Plaxico(b)といったM-Baseメンバーがレコーディングに参加しています。

今日ではM-Baseと言ってもピンと来ない人も多いのでしょうが・・・

プロデュースはCassandra Wilson自身。

前作『Blue Skies』(1988年)がスタンダード集であった反動からか、本作は全11曲中10曲がCassandraのオリジナルです(共作含む)。

レコーディング・メンバーから想像できるように、1990年当時の"最新ジャズ"を楽しめます。最も顕著なのはラップを取り入れたタイトル曲「Jump World」。先鋭ジャズ集団からのHip-Hopアプローチは、Hip-Hopとジャズの融合の代名詞であるJazzmatazzあたりと比較すると興味深く聴けるはずです。

それ以外にもCassandraのダーク&ミステリアスなヴォーカルとSteve ColemanをはじめとするM-Baseメンバーによる独自のクールなジャズ・ワールドを楽しめます。

決してCassandraの代表作の類ではありませんが、M-BaseメンバーとしてのCassandra Wilsonを満喫できる点で見逃せない1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Woman on the Edge」
Cassandra Wilson作。ミステリアスな雰囲気の中でCassandraが強く生きる女性にエールを送るオープニング。Graham Haynes、Gary Thomasがソロで盛り上げてくれます。

「Domination Switch」
Steve Coleman/Cassandra Wilson作。ファンク・テイストのM-Baseらしいサウンドをバックに、Colemanのサックス、Cassandraのヴォーカル、David Gilmoreのギターが輝きを放ちます。
https://www.youtube.com/watch?v=OhaTWZ21sMI

「Phase Jump」
Steve Coleman/Cassandra Wilson作。インタールード的な小曲ですが、なかなかエキサイティングです。

「Lies」
Cassandra Wilson作。哀愁ミディアム・バラードですが、少しカリビアン風なテイストがいいですね。

「Grand System Masters」
参加メンバーGraham Haynesの作品。作者Graham Haynesのミュート・トランペットがナビゲートされ、Cassandraのスキャットが浮遊します。

「Jump World」
Kirth Atkins/Steve Coleman/James Moore/Cassandra Wilson作。タイトル曲はKurtis Blow作品でお馴染みのプロデューサー/シンガーソングライターJ.B. Moore(James Moore)のラップをフィーチャーしています。この当時のジャズ作品で違和感なくHip-Hopを取り入れているあたりがM-Baseのセンスですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ukzOCNOe5oM ※一部のみ

「Love Phases Dimensions」
Kevin Bruce Harris/Rod Williams/Cassandra Wilson作。プリンセス・オブ・ダークネスらしいヴォーカルで壮大なスケールの愛を歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=HsBvVd-Mpkw

「Whirlwind Soldier」
Cassandra Wilson作。オーセンティックなアコースティック・バラードをしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=1DB5FcKEUgI

「Warm Spot」
Kevin Bruce Harris/Mark Johnson/Rod Williams/Cassandra Wilson作。Cassandraのヴォーカルとバッキングが一体化して躍動する感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=IGlc-BOFAk4

「Dancing in Dream Time」
David Gilmore/Cassandra Wilson作。夢の中を浮遊するかのようなミステリアスな雰囲気があります。作者David Gilmoreのギターの音色がミステリアス・ムードを醸し出しています。

「Rock This Calling」
Steve Coleman/Cassandra Wilson作。ラストはColemanのサックス・ソロが印象的なミステリアス・チューンで締め括ってくれます。

Cassandra Wilson作品の過去記事もご参照下さい。

『Point Of View』(1986年)
ポイント・オブ・ヴュー

『Days Aweigh』(1987年)
デイズ・アウェイ

『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
Blue Light 'Til Dawn

『New Moon Daughter』(1995年)
New Moon Daughter

『Traveling Miles』(1999年)
トラヴェリング・マイルス

『Belly Of The Sun』(2002年)
Belly of the Sun

『Glamoured』(2003年)
Glamoured by Wilson, Cassandra 【並行輸入品】
posted by ez at 04:17| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月12日

Dego & Kaidi『A So We Gwarn』

ロンドン・シーンを牽引する強力タッグの最新作☆Dego & Kaidi『A So We Gwarn』
ソー・ウィー・グワン (SO WE GWARN)
発表年:2017年
ez的ジャンル:ロンドン最新ブラック・ミュージック
気分は... :あゝ、荒野・・・

新作アルバムはロンドンの音楽シーンを牽引する強力タッグの最新作Dego & Kaidi『A So We Gwarn』です。

4HeroDegoBugz In The AtticKaidi Tathamのタッグに関して、当ブログでは2000Black名義の『A Next Set A Rockers』(2008年)、Silhouette Brown名義の『Silhouette Brown』(2004年)という2枚のアルバムを紹介済みです。

Dego & Kaidi名義でリリースする本作『A So We Gwarn』は、デトロイトのレジェンドDJ、Theo ParrishのレーベルSound Signatureからのリリースです。

KaidiKaidi以外に、United VibrationsのメンバーWayne Francis(sax)をはじめ、 Yelfris Valdes(tp)、Ray Carless(horns)、Mr Mensah(g)、Miles Brett(violin)、Nadine Charles(vo)、Sarina Leah(vo)といったミュージシャンが参加しています。

Dego & Kaidiによる最新ブラック・ミュージックを存分に楽しめる内容です。アフロ/カリブなエッセンスを取り入れたブロークンビーツ経由のクロスオーヴァー・サウンドが印象的ですね。

個人的には「Decide What You Choose」「It's All For Us」タイプのヴォーカル曲がもう少しあるとさらに満足度が高いのですが・・・

西ロンドン好きの人であれば、間違いのない1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「See & Blind, Hear & Deaf」
Dego & Kaidiによるロンドン流ブギー・サウンドといった趣のオープニング。クールにキメてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=FmD47qQGSyM

「Treasure Beach」
70代ジャズ・ファンクを2017年ロンドン仕様にアップデートしたような仕上がり。Wayne Francis、Yelfris Valdesのホーン隊が盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=p2ToWMKmbfI

「Too Much Ginger」
フューチャリスティックなブロークンビーツ。Miles Brettのヴァイオリンがいいアクセントになっています。

「Sista's Love」
アブストラクトな質感のメロウ・チューン。J Dilla好きの人なんかも気に入るのでは?

「Nyabinghi Warriors」
ラテン・フレイヴァーの効いたクラブジャズな小曲。もっと長尺で聴きたい気分・・・
https://www.youtube.com/watch?v=mVyTuvyqKSY

「Decide What You Choose」
Nadine Charles、Sarina LeahというDego作品ではお馴染みの女性シンガー2人をフィーチャーしたフューチャー・ソウル。アルバムで最もキャッチーな仕上がり。Mr Mensahのギターも効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=7TiQF6dNwko

「Maroon Strategies」
ラテン・フレイヴァーのダンサブル・チューン。Dego & Kaidiらしい音世界を楽しめます。シャープな疾走感が実に心地好いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=x1ecU35ffog

「The Sorrell Sweet」
フューチャリスティックなフュージョン・サウンドで近未来な爽快感を満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=AjI9LJdVuzM

「A So We Gwarn」
タイトル曲はフューチャリスティックなアーバン・サウンドの小曲。

「18.1096 N 77.2975 W」
ライナーノーツにも書いてありますがAzymuthの影響を感じるロンドン調フュージョン・サウンドです。
https://www.youtube.com/watch?v=2PQJW51GAbI

「Shy Makku」
シンセ・ベースによる腹に響くヘヴィ・グルーヴが印象的です。聴き重ねるごとにハマりそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=iY3wPPAax_g

「The Rockers Rebel Step」
UKジャマイカンのDNAを持つDego & Kaidiらしいタイトルですね。フューチャリスティックなフュージョン・サウンドで駆け抜けます。爽快な格好良さがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=vJzKCEwoWIg

「It's All For Us」
Nadine Charlesのヴォーカルをフィーチャー。Yelfris Valdes、Ray Carlessのホーン隊も加わったフューチャリスティックなブギー・チューン。Dego & Kaidi好きの人であれば、気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=FqaYzKQKHfk

「Don't Put Your Hat Where Your Hand Can't Reach」
Wayne Francisのサックスをフィーチャーしたフューチャー・ジャズで締め括ってくれます。

DegoおよびKaidi Tatham関連の過去記事もご参照ください。

Silhouette Brown『Silhouette Brown』(2004年)
シルエット・ブラウン

2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
ア・ネクスト・セット・ア・ロッカーズ

Dego『A Wha' Him Deh Pon?』(2011年)
A Wha Him Deh Pon ?

Dego『The More Things Stay The Same』(2015年)
The More Things Stay The Same (ザ・モア・シングズ・ステイ・ザ・セイム)

4Hero『Parallel Universe』(1994年)
Parallel Universe

4Hero『Creating Patterns』(2001年)
Creating Patterns

4Hero『Play with the Changes』(2007年)
Play With the Changes (Dig)

Tek 9『Simply』(1999年)
Simply (+ Bonus Tracks)

Bugz In The Attic『Back In The Doghouse』>(2006年)
Back in the Doghouse
posted by ez at 01:56| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月11日

The Incredible Bongo Band『The Return Of The Incredible Bongo Band』

更に進化したボンゴ・ワールド☆The Incredible Bongo Band『The Return Of The Incredible Bongo Band』
THE RETURN OF THE INCREDIBLE BONGO BAND+1(日本独自企画盤、最新リマスター、解説付き)
発表年:1974年
ez的ジャンル:最強ブレイク・ビーツ系プロジェクト
気分は... :応用問題・・・

最強ブレイク・ビーツ「Apache」でお馴染み、The Incredible Bongo Bandの2ndアルバム『The Return Of The Incredible Bongo Band』(1974年)です。

音楽界のみならず映画、TVとエンターテイメント業界で幅広く活躍するプロデューサーMichael Vinerが同じくプロデューサーのPerry Botkin Jr.と共に結成したプロジェクトThe Incredible Bongo Bandの紹介は、1stアルバム『Bongo Rock』(1973年)に続き2回目となります。

2ndとなる本作『The Return Of The Incredible Bongo Band』(1974年)は、「Apache」収録の『Bongo Rock』(1973年)ほどの派手さはありませんが、本作でも随所で格好良いブレイクを楽しめます。

ボンゴ叩きまくりのファンキー・グルーヴのオンパレードであった1stに比べて、一歩引いたサウンドも織り交ぜながら少しメリハリをつけた内容に仕上がっています。このあたりの変化は、1stと2ndのジャケの違いにも反映されているのかも・・・

レコーディングにはHal Blane(ds)、Harvey Mason(ds)、Jim Gordon(ds)、Ringo Starr(ds)、King Errisson (per)、Mike Melvoin(clavinet)等が参加しています。

1stの「Apache」のようなキラー・チューンはありませんが、このユニットでしか生み出せないパーカッシヴなファンキー・ワールドを満喫できるはずです。

更に進化したボンゴ・ワールドをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Kiburi」
妖しげな雰囲気のサイケ・ファンキー・チューンがオープニング。1stでは聴けなかった、この2ndならではのサイケ・サウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=I51z0V2zDFU

「When the Bed Breaks Down, I'll Meet You in the Spring」
ボンゴとドラムのせめぎ合いが生み出す、スリリングで張り詰めた空気感がいいですね。余計なものを削ぎ落としたら、ビートのみが残ったといった感じでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=OfIIthpuYmU

「Sing, Sing, Sing」
Louis Primaが1936年に作曲したスウィング・ジャズ名曲をカヴァー。人気コンピ『Ultimate Breaks & Beats』にも収録されていた楽曲です。ドラム&パーカッションのブレイクが格好良いのは当然ですが、楽曲全体もホーン・サウンドやギターの効いたファンキー・グルーヴとして楽しめます。一歩引いた美学のようなものを感じるファンキー・グルーヴにグッときます。Grandmaster Flash「Turntable Mix (Get Off Your Horse & Jam!)」等のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=0RO2dQQrkB8

「Pipeline」
1962年にヒットしたThe Chantaysのサーフロック人気曲をカヴァー。サーフロック人気曲を抑えたトーンの哀愁メロウで聴かせてくれます。イントロのエレピの音色が印象的ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2sG1Hu0sKj8

当ブログでも紹介したGroup Home「Suspended in Time」をはじめ、Lootpack「On Point」、Koushik「Homage」 、The Cool Kids「Good Afternoon」、OB O'Brien「Steve Nash」等のサンプリング・ソースとなっています。
Group Home「Suspended in Time」
 https://www.youtube.com/watch?v=ycQoolpbxqk
Lootpack「On Point」
 https://www.youtube.com/watch?v=KjDf8DrRkg4
Koushik「Homage」
 https://www.youtube.com/watch?v=wXDA6Ou6DuE
The Cool Kids「Good Afternoon」
 https://www.youtube.com/watch?v=6PsO0uFtJf4
OB O'Brien「Steve Nash」
 https://www.youtube.com/watch?v=6ZORHNmJDjE

「Wipe Out」
The Surfaris、1963年のヒット曲のカヴァー。ギターが牽引するファンキー・グルーヴ。このユニットらしいボンゴのブレイクを存分に楽しめます。「Apache」好きの人は気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=S1aPNMdYZx4

「Hang Down Your Head Tom Dooley, Your Tie's Caught In Your Zipper」
ボンゴとドラムのバトルで最後まで突き進む、このユニットらしいセッションを満喫しましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=t3tdcJdkAWg

格好良いブレイクはFatboy Slim feat. Macy Gray「Love Life」、Meat Beat Manifesto「Hankerchief Head」のサンプリング・ソースとなっています。
Meat Beat Manifesto「Hankerchief Head」
 https://www.youtube.com/watch?v=2wsjtUhTIvI

「Topsy Part I. II. III」
グルーヴィーなオルガン、サイケなギターが格好良い三部構成の哀愁チューン。刑事もののアクション映画のサントラにフィットしそうな感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=-onxCGObMeQ

The Bins feat. Bobby Blunt「What in the World」のサンプリング・ソースとなっています。
The Bins feat. Bobby Blunt「What in the World」
 https://www.youtube.com/watch?v=N3pAvT5FbO4

「Sharp Nine」
クラヴィネットの音色が印象的なファンキー・グルーヴ。タメの効いたファンキー・サウンド、お約束のブレイク・タイムとこのユニットの魅力をコンパクトに楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=A2yC7GqS_WI

「(I Can't Get No) Satisfaction」
The Rolling Stonesの大ヒット曲をカヴァー。少しテンポを落としたファンキー・サウンドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=xTT6g6y6ex4

「Got The Sun in the Morning and the Daughter At Night」
三度、ボンゴとドラムのバトルです。多くの人はこのバトルを期待して本作を購入していると思うので・・・

「Ohkey Dokey」
本編のラストはブラックスプロイテーションのサントラ風のスリリングなファンキー・サウンドで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Zb9zxbNwCTA

Dan the Automator「Talking Bout Nothin」、Bentley Rhythm Ace「Bentley's Gonna Sort You Out」のサンプリング・ソースとなっています。
Dan the Automator「Talking Bout Nothin」
 https://www.youtube.com/watch?v=E8w7S02-zuo

CDボーナス・トラックとして「Ohkey Dokey Part II」が追加収録されています。

未聴の方は、1stThe Incredible Bongo Band『Bongo Rock』(1973年)もチェックを!

The Incredible Bongo Band『Bongo Rock』(1973年)
Bongo Rock

ご興味がある方は、奇才プロデューサーShawn LeeThe Incredible Bongo Band『Bongo Rock』(1973年)をタブラで丸ごとカヴァーしたアルバムShawn Lee's Incredible Tabla Band『Tabla Rock』(2011年)あたりもチェックすると楽しいと思います。

Shawn Lee's Incredible Tabla Band『Tabla Rock』(2011年)
TABLA ROCK
posted by ez at 14:58| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月09日

Baby Brother『Baby Brother』

フェイム・スタジオ録音のローカル・ファンク/ディスコ作品☆Baby Brother『Baby Brother』
ベイビー・ブラザー
発表年:1981年
ez的ジャンル:フェイム・スタジオ系80年代ローカル・ファンク/ディスコ
気分は... :侮れません!

今回は80年代ファンク・アルバムからBaby Brother『Baby Brother』(1981年)です。

Baby BrotherArthur Williams(vo)、Ricky Ward(g、vo)、Gary Strothers(g)、Karl Cousin(key、vo)、James McNeal(b、vo)、David Paige(ds、vo)、Ronald Hardy(per、vo)という7人組ファンク・バンド。

オハイオ州を拠点にしていたローカル・ファンク・バンドのようですが、詳細は不明です。

そのBaby Brother唯一のアルバムが本作Baby Brother『Baby Brother』(1981年)です。

レコーディングはアラバマ州マッスルショールズの名門Fame Recording Studiosで行われました。

プロデュースはRick Hall。レコーディングにはメンバー以外に、The Muscle Shoals Horns(horns)、Robert Byrne(g)、Kenny Mims(g)、Owen Hale(ds)、Chalmers Davis(key)、Steve Nathan(key)、Ralph Ezell(per)といったミュージシャンが参加しています。

アルバムはファンク名産地オハイオのバンドらしいファンク魂溢れる1枚に仕上がっています。正直、事前の期待を大きく上回るキャッチーかつ聴き応えのある内容でした。

EW&FKool & The GangFunkadelic/Parliament、>、ChicHeatwaveあたりのエッセンスをうまく取り入れていると思います。

全10曲捨て曲ナシ!ご機嫌なファンク/ディスコのオンパレードで楽しませてくれます。

実に大満足の1枚でした。

全曲紹介しときやす。

「You Make My Warm Spot Hot」
Eddie Struzick作。ライト&ヘヴィのバランスが絶妙なファンキー・グルーヴがオープニング。ゴリゴリしながらもライト&メロウなエッセンスもあるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=WwxzYeaNewU

「Movin' Music」
メンバーによるオリジナル。キャッチーなディスコ・ファンクで盛り上げてくれます。The Muscle Shoals Hornの開放的なホーン・アンサンブルもグッド!80年代らしいエレクトロ感もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=zOLGh5XLE7k

「How Do You Like Your Love」
Robert Byrne/Tom Brasfield作。Byrne & Barnesで知られるRobert Byrneの作品。マッスルなファンクネスとEW&F的なヴォーカル・ワークの組み合わせがこのバンドらしいかもしれません。

「Saturday Night (And I'm Boogie Bound)」
Rita Grimm/Yvonne Norman作。タイトルからしてご機嫌なディスコ・ブギーですね。Heatwave好きの人ならば気に入るはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=3xnN9f9neBU

「Funky Situation」
Wilson Pickettのカヴァー(Curtis Wilkens作)。オリジナルは『A Funky Situation』(1978年)に収録されています。タメの効いたご機嫌なファンキー・グルーヴ。The Muscle Shoals Hornsが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=bV4bwSk0dAY

「(Hang On) I'm Coming For You」
メンバーによるオリジナル。僕の一番のお気に入り。EW&FKool & The GangFunkadelic/Parliament、>、Chicあたりの音のいいとこ取りといった感じのファンク・グルーヴ。この節操の無さがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=CQ_cN2Wk8xM

「Bad Thing」
Robert Byrne/Tom Brasfield作。ベイエリア・ファンクあたりと一緒に聴きたくなるミディアム・ファンク。ここでもThe Muscle Shoals Hornが大活躍です。
https://www.youtube.com/watch?v=zOLGh5XLE7k

「All Night's Alright」
Chaka Khanのカヴァー(Weldon Dean Parks作)。オリジナルは『Naughty』(1980年)に収録されています。ギター・カッティングが心地好いファンキー・メロウは僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=VDhQEenuxrM

「You've Got Me Wanting You」
メンバーによるオリジナル。軽快なギター・カッティングが格好良いライト・ファンク。ChicEW&Fな感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=UHqZUeCLyrg

「You Asked For It (You Got It)」
Joe Shamwell/Tommy Tate作。ラストも夜遊びモードのファンク・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=kD_rGdEwug8

やはりオハイオ州はファンクの名産地ですね。
posted by ez at 02:17| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月08日

Jiva『Sun & Moon』

清涼感のあるクロスオーヴァー・サウンドが魅力!☆Jiva『Sun & Moon』
サン・アンド・ムーン
発表年:2005年
ez的ジャンル:アトランタ産クロスオーヴァー
気分は... :ポジティブ・スピル・オーバー!

今回はアトランタを拠点に活動するベーシスト/プロデューサーKhari Simmonsを中心としたクロスオーヴァーなソウル/ジャズ・ユニットJivaの1stアルバム『Sun & Moon』(2005年)です。

1996年に結成されたJivaの紹介は、2ndアルバム『Day Into NIght』(2007年)に続き2回目となります。

パーマネントなバンドというよりもKhari Simmonsを中心としたプロジェクトの色彩が強い作品ですが、2ndアルバム『Day Into NIght』(2007年)にも参加していたRhonda Thomas(vo)やAlex Lattimore(vo)、Paige Lackey Martin(vo)、Amanda Williams(vo)等多彩なヴォーカリストやミュージシャンが参加しています。N.Y.ブルックリンのジャズ・ファンク・バンドBrooklyn Funk EssentialsのメンバーBassy Bob Brockmann(flh、tp)、Paul Shapiro(fl)も参加しています。

他のKhari Simmons関連作品と同じく、R&B/ソウル、ジャズ/ジャズ・ファンク、クラブミュージック、ブラジル音楽のエッセンスが融合したクロスオーヴァー・サウンドを楽しめます。

また、クラブミュージック志向が強いKhari Simmonsだけあって、ハウス界のレジェンドLouie Vega、フレンチ・ボッサ・デュオTom & Joyce等も起用したリミックス曲も充実しています。

上記のジャケは国内盤ですが、US盤はジャケや構成(リミックス曲)が異なるのでご注意を!

『Sun & Moon』(2005年) ※US盤
SUN & MOON

本編9曲の中では「Love Chooses Lovers」「I Realized」「Free Falling」「Daydreamer」の4曲がオススメ。また、Louie Vegaによる「Stars (Louie Vega E.O.L. Mix)」Tom & Joyceによる「Stars (Tom & Joyce Mix)」といったリミックス2曲もクラブミュージック好きは楽しめるはず!

目新しさはありませんが、こういった心地好いダンサブル・サウンドは僕の中で外せません。

全曲紹介しときやす。

「Mantra 1」
ジャジー&メロウなアルバムのプロローグ。

「Sun & Moon」
Simmonsのベース・プレイが栄える疾走する爽快ジャズ・ファンク。爽やかに突き抜ける感じがグッド!Incognito好きの人は気に入るのでは?

「Stars」
Simmonsのブラジリアン志向を反映したボッサ・グルーヴ。ブラジリアン・グルーヴ好きの僕は大歓迎です。
https://www.youtube.com/watch?v=g0UksH_H-CU

「I Realized」
ジャズ・ファンク+ハウスなアーバン・チューン。Rhonda Thomasの伸びやかなヴォーカルが栄えます。
https://www.youtube.com/watch?v=64iu1t3ucWc

「Free Falling」
Amanda Williamsのヴォーカルをフィーチャーしたメロウ・ボッサ・グルーヴ。クラブジャズ/ブラジリアン・グルーヴ好きの人は気に入るはず。
https://www.youtube.com/watch?v=88Ln5LDiMyY

「Swept Away」
ブラジリアン・フレイヴァのアーバン・ソウル。Simmonsらしいサウンド・センスを感じる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=9orULKbLp00

「Daydreamer」
Paige Lackey Martinのヴォーカルをフィーチャー。Incognito好き向けの清涼系ジャズ・ファンク。Paige Lackey Martinのヴォーカルが実にキュートです。
https://www.youtube.com/watch?v=PwakdtclMEw

「Confessions Of A Man」
Brooklyn Funk EssentialsのメンバーBassy Bob Brockmann(flh、tp)、Paul Shapiro(fl)参加曲。このユニットなジャズな側面を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=QJczwjyu8h8

「Love Chooses Lovers」
僕の一番のお気に入り。Simmonsのセンス全開のジャジー&メロウ・グルーヴ。Rhonda Thomas、Paige Lackey Martin、Alex Lattimoreによるヴォーカルもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=6p8VFHV-GsI

「Ever After (Jiva Remix)」
Jivaと同じアトランタのユニットSeek「Ever After」のJivaによるリミックス。オリジナルは人気コンピ・アルバム『Soul Sessions』にも収録されていた曲。同アルバムにはJivaの「Love Chooses Lovers」も収録されていました。ここではボッサ・グルーヴな仕上がりで楽しませてくれます。

「Stars (Louie Vega E.O.L. Mix)」
ハウス界のレジェンドLouie Vegaによる「Stars」のリミックス。Vega作品ではお馴染みLuisito Quintero(per)も参加したレジェンドらしいN.Y.ハウス・サウンドを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=WV36vRSn43s

「Stars (Tom & Joyce Mix)」
フレンチ・ボッサ・デュオTom & Joyceによる「Stars」のリミックス。というかTom & Joyceによるリメイクといった方がいいかもしれません。美しくも儚いJoyce Hozeのヴォーカルが揺らめくTom & Joyceらしい透明感のあるダンス・サウンドを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Ol1nBdXiP-E

「Love Chooses Lovers (Heart Chakra Mix)」
「Love Chooses Lovers」のAlex Loweによるリミックス。ダンサブルな仕上がりですが、他のリミックスと比較するとインパクトが弱いかも?

未聴の方は2ndアルバム『Day Into NIght』(2007年)やKhari SimmonsRhonda Thomasの過去記事もチェックを!

『Day Into NIght』(2007年)
デイ・イントゥ・ナイト

Julie Dexter & Khari Simmons『Moon Bossa』(2006年)
Moon Bossa (Dig)

Khari Simmons『Sun Flower』(2013年)
SUNFLOWER

Rhonda Thomas『Breathe New Life』(2006年)
Breathe New Life
posted by ez at 01:18| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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