発表年:1971年
ez的ジャンル:流麗ストリングス系男性シンガー
気分は... :幻想的な一年間・・・
今回は元Zombiesのリード・ヴォーカリストColin Blunstoneの1stアルバム『One Year』(1971年)です。
「She's Not There」、「Tell Her No」、「Time of the Season」といったヒット曲で知られるUKのロック・バンドZombies。
しかしながら、評価の高かった2ndアルバム『Odessey And Oracle』(1968年)のリリース後にバンドは空中分解し、結局グループは解散します。皮肉なことに、解散後の1969年に『Odessey And Oracle』からのシングル「Time of the Season」が全米チャート第3位、100万枚を超える大ヒットとなりました。
グループ解散後、一時は音楽業界から離れていたColinでしたが、「Time of the Season」の大ヒットが追い風となり、Neil MacArthur名義でカムバックし、数枚のシングルをリリースします。
そして、Colin Blunstone名義で制作した初ソロ・アルバムが本作『One Year』(1971年)です。今日では名盤として評価の高い1枚です。
アルバムのタイトルの通り、ソロ・アルバムをリリースするまでの自身の一年間を振り返った内容の作品に仕上がっています。
プロデュースはRod ArgentとChris Whiteという元Zombiesメンバーの2名が務めています。
レコーディングではRod Argent(key)以下、Russ Ballard(g)、Jim Rodford(b)、Robert Henrit(ds)という、Rod ArgentがZombies解散後に結成したバンドArgentのメンバーがバックを務めています。
また、ストリングスが大々的に取り入れた楽曲が多いのも本作の特徴です。
Rod ArgentとChris WhiteがColin脱退後にZombies名義でレコーディングしていた「She Loves the Way They Love Her」、「Smokey Day」という2曲を、Colinのヴォーカル入りで再録しているのが興味深いですね。Mike d'Abo(元Manfred Mann)のカヴァー「Mary Won't You Warm My Bed」ではArgentメンバーの好バッキングを得てColinのヴォーカルが躍動します。
さらに、フリーソウル人気曲「Caroline Goodbye」、Jess Rodenヴァージョンでも知られるTim Hardinの名曲カヴァー「Misty Roses」、シングル・ヒットしたストリングス・ポップ「Say You Don't Mind」(Denny Laineのカヴァー)にも注目です。
流麗なストリングスを伴うビューティフルな1枚です。
全曲紹介しときやす。
「She Loves the Way They Love Her」
Rod Argent/Chris White作。Colin脱退後にZombies名義(ヴォーカルはRod Argent)でレコーディングしたこともある楽曲がオープニング。軽快な中にもメロディアスな魅力があるオープニング。Zombies好きの人は歓喜する1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=8lo-r0bw1Hw
「Misty Roses」
Tim Hardin作品のカヴァー。当ブログでも紹介したUKホワイト・ソウル・シンガーJess Rodenのヴァージョンでも知られる楽曲です。Alan Crosthwaiteのギターをバックに、Colinがソフトリーなヴォーカルを聴かせる前半のアコースティック・メロウはボッサ好きの人は気に入るはず!中盤以降のストリングスを交えたパートは個人的には余計かな・・・
https://www.youtube.com/watch?v=6Z1_omga1NQ
「Smokey Day」
Rod Argent/Chris White作。「She Loves the Way They Love Her」同様、Colin脱退後にZombies名義でレコーディングしたことがある楽曲です。『Odessey And Oracle』の雰囲気を受け継いだミステリアス&ドリーミーな仕上がりです。やはり、Rod Argent/Chris WhiteはColinのヴォーカルでレコーディングしていなかったことが心残りだったのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=IrAuEQ-5lmQ
「Caroline Goodbye」
Colin Blunstone作。フリーソウルのコンピにも収録された人気曲。切ない雰囲気にグッとくるSSWな1曲に仕上がっています。ここでのストリングスは効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=G7Pq9bcJgvw
「Though You Are Far Away」
Colin Blunstone作。美しくも切ないバラードを切々と歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=eeh-AlUzCiU
「Mary Won't You Warm My Bed」
元Manfred MannのメンバーMike d'Aboの作品をカヴァー。オリジナル(「Mary, Warm My Bed」)は『D'Abo』(1970年)に収録されています。ColinのヴォーカルとArgentのバッキングが噛み合ったポップなビューティフル・ソングに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=NBVGIGtJbxw
「Her Song」
Rod Argent/Chris White作。ストリングをバックに、しっとりと歌い上げます。切ないColinのヴォーカルにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=mfvLPFTOvHc
「I Can't Live Without You」
Colin Blunstone作。ストリングスとColinのヴォーカルを巧みに組み合わせた1曲。僕はこのタイプの曲は得意ではありませんが、本曲はいい感じです。
「Let Me Come Closer to You」
Colin Blunstone作。SSWな肌ざわりが心地好い1曲。実に静かですが、ジワジワと心に沁みてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=2fbe8xA1-_4
「Say You Don't Mind」
ラストは元Paul McCartney & Wingsのメンバーとしてもお馴染みDenny Laineの作品をカヴァー。オリジナルは1967年にElectric String Bandと共にレコーディングしたシングル曲です。ここではストリングスを巧みに使ったビューティフル・ソングに仕上がっています。シングルとしてUKチャート第15位となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=rP8nVoRfUIw
Colin Blunstoneの他作品もチェックを!
『Ennismore』(1972年)
『Journey』(1974年)
『Planes/Never Even Thought』(1976/1978年)