2017年11月13日

Cassandra Wilson『Jumpworld』

M-Baseの面々が大挙参加!☆Cassandra Wilson『Jumpworld』
ジャンプワ−ルド(JUMPWORLD) (MEG-CD)
発表年:1990年
ez的ジャンル:M-Base系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :M-Baseの精神・・・

ジャズを超越した最高の女性シンガーCassandra Wilsonの初期作品『Jumpworld』(1990年)です。

これまで当ブログで紹介したCassandra Wilsonは以下の7枚(発売年順)。

 『Point Of View』(1986年)
 『Days Aweigh』(1987年)
 『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
 『New Moon Daughter』(1995年)
 『Traveling Miles』(1999年)
 『Belly Of The Sun』(2002年)
 『Glamoured』(2003年)

本作『Jumpworld』(1990年)は、『Point Of View』(1986年)、『Days Aweigh』(1987年)、『Blue Skies』(1988年)に続くJMT第4弾アルバムとなります。

本作で注目すべきは、当時Cassandraも所属していた先鋭ジャズ・コレクティヴM-Baseの面々が大挙して参加している点です。

Rod Williams(p、key)、Kevin Bruce Harris(b)、Mark Johnson(ds)という当時のレギュラー・メンバーに加え、Steve Coleman(sax)、Greg Osby(sax)、Gary Thomas(sax)、Graham Haynes(tp)、Robin Eubanks(tb)、David Gilmore(g)、Lonnie Plaxico(b)といったM-Baseメンバーがレコーディングに参加しています。

今日ではM-Baseと言ってもピンと来ない人も多いのでしょうが・・・

プロデュースはCassandra Wilson自身。

前作『Blue Skies』(1988年)がスタンダード集であった反動からか、本作は全11曲中10曲がCassandraのオリジナルです(共作含む)。

レコーディング・メンバーから想像できるように、1990年当時の"最新ジャズ"を楽しめます。最も顕著なのはラップを取り入れたタイトル曲「Jump World」。先鋭ジャズ集団からのHip-Hopアプローチは、Hip-Hopとジャズの融合の代名詞であるJazzmatazzあたりと比較すると興味深く聴けるはずです。

それ以外にもCassandraのダーク&ミステリアスなヴォーカルとSteve ColemanをはじめとするM-Baseメンバーによる独自のクールなジャズ・ワールドを楽しめます。

決してCassandraの代表作の類ではありませんが、M-BaseメンバーとしてのCassandra Wilsonを満喫できる点で見逃せない1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Woman on the Edge」
Cassandra Wilson作。ミステリアスな雰囲気の中でCassandraが強く生きる女性にエールを送るオープニング。Graham Haynes、Gary Thomasがソロで盛り上げてくれます。

「Domination Switch」
Steve Coleman/Cassandra Wilson作。ファンク・テイストのM-Baseらしいサウンドをバックに、Colemanのサックス、Cassandraのヴォーカル、David Gilmoreのギターが輝きを放ちます。
https://www.youtube.com/watch?v=OhaTWZ21sMI

「Phase Jump」
Steve Coleman/Cassandra Wilson作。インタールード的な小曲ですが、なかなかエキサイティングです。

「Lies」
Cassandra Wilson作。哀愁ミディアム・バラードですが、少しカリビアン風なテイストがいいですね。

「Grand System Masters」
参加メンバーGraham Haynesの作品。作者Graham Haynesのミュート・トランペットがナビゲートされ、Cassandraのスキャットが浮遊します。

「Jump World」
Kirth Atkins/Steve Coleman/James Moore/Cassandra Wilson作。タイトル曲はKurtis Blow作品でお馴染みのプロデューサー/シンガーソングライターJ.B. Moore(James Moore)のラップをフィーチャーしています。この当時のジャズ作品で違和感なくHip-Hopを取り入れているあたりがM-Baseのセンスですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ukzOCNOe5oM ※一部のみ

「Love Phases Dimensions」
Kevin Bruce Harris/Rod Williams/Cassandra Wilson作。プリンセス・オブ・ダークネスらしいヴォーカルで壮大なスケールの愛を歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=HsBvVd-Mpkw

「Whirlwind Soldier」
Cassandra Wilson作。オーセンティックなアコースティック・バラードをしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=1DB5FcKEUgI

「Warm Spot」
Kevin Bruce Harris/Mark Johnson/Rod Williams/Cassandra Wilson作。Cassandraのヴォーカルとバッキングが一体化して躍動する感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=IGlc-BOFAk4

「Dancing in Dream Time」
David Gilmore/Cassandra Wilson作。夢の中を浮遊するかのようなミステリアスな雰囲気があります。作者David Gilmoreのギターの音色がミステリアス・ムードを醸し出しています。

「Rock This Calling」
Steve Coleman/Cassandra Wilson作。ラストはColemanのサックス・ソロが印象的なミステリアス・チューンで締め括ってくれます。

Cassandra Wilson作品の過去記事もご参照下さい。

『Point Of View』(1986年)
ポイント・オブ・ヴュー

『Days Aweigh』(1987年)
デイズ・アウェイ

『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
Blue Light 'Til Dawn

『New Moon Daughter』(1995年)
New Moon Daughter

『Traveling Miles』(1999年)
トラヴェリング・マイルス

『Belly Of The Sun』(2002年)
Belly of the Sun

『Glamoured』(2003年)
Glamoured by Wilson, Cassandra 【並行輸入品】
posted by ez at 04:17| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする