発表年:1968年
ez的ジャンル:異才エスノ・ジャズ
気分は... :辺境にて・・・
今回は60年代ジャズからEmil Richards & The Microtonal Blues Band『Journey To Bliss』(1968年)です。
Emil Richardsは1932年USコネチカット州生まれのヴィヴラフォン/パーカッション奏者。
さまざまなセッションに参加した経験を持つヴィヴラフォン/パーカッション奏者であると同時に、インド思想を反映した独創的な作品で再評価が高まっている異才ミュージシャンでもあります。
Emil Richards & The Microtonal Blues Band名義で、Impulseからリリースされた本作『Journey To Bliss』(1968年)は、そんなRichardsの独創性を満喫できる1枚です。
レコーディングにはDave Mackay(key)、Joe Porcaro(ds)、Ray Neapolitan(b)、Dennis Budimir(g)、Tom Tedesco(g)、Mark Stevens(per)、Mike Craden(per)といったミュージシャンが参加しています。プロデュースはBob Thiele。
ちなみにドラムで参加のJoe PorcaroはTotoのPorcaro兄弟の父であり、Richardsの古くからの音楽仲間です。
アルバムの後半を占める組曲の「Journey To Bliss」では人気TVシリーズ『Star Trek』にも出演していた俳優Hagan Beggsのナレーションがフィーチャーされています。
ジャケや収録曲のタイトルを見れば、インド思想を反映した作品であることがイメージできると思います。ただし、インド音楽の影響をダイレクトに感じるのは組曲「Journey To Bliss」位であり、他の曲はエスノ・ジャズや辺境ジャズといった形容の方が相応しい気がします。
また、アヴァンギャルドでありながらも、きちんとジャズしているので難解な印象はまったく受けません。
パーカッシヴな音が好きな僕にとっては、かなり興味深く聴けた1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Maharimba」
タイトルの通り、インド思想+マリンバなエスノ・ジャズがオープニング。アヴァンギャルドですが、ジャズ・フィーリングも忘れておらず、意外に聴きやすいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=JCYPrZy84oo
「Bliss」
エスノ+電脳といった雰囲気のモンド・ジャズといった感じでしょうか。独特な音世界ですが、軽やかなのですんなり聴けてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=8h8JvQ11yUc
「Mantra」
グルーヴィー・マリンバ・ジャズとでも形容したくなる仕上がり。キワモノだけで終わらない格好良さがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=jE5mA7YIFnY
「Enjoy, Enjoy」
無国籍なエスノ感覚が魅力的な演奏です。ワールド・ジャズ好きの人であれば楽しめるはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=cG29ONQzsFs
「Journey To Bliss - Part I」
「Journey To Bliss - Part II」
「Journey To Bliss - Part III」
「Journey To Bliss - Part IV」
「Journey To Bliss - Parts V & VI」
タイトル曲はPart I〜 VIから成る18分超の組曲です。前述のように、俳優Hagan Beggsのナレーションをフィーチャー。未開の地の辺境エスノ/スピリチュアル・ジャズといった趣です。インド思想が反映された音が好きな人であれば、この音世界を気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=B2Ciz_oePjw
Emil Richardsの他作品もチェックを!
『Yazz Per Favore』(1961年)
『New Sound Element: Stones/Journey to Bliss』(1966/68年) ※2in1CD
『New Time Element』(1967年)
『Ritmico Mundo』(1994年)
『Luntana』(1996年)
『Calamari: Live at Rocco's』(2000年)
『Emil Richards with the Jazz Knight』(2003年)
『Maui Jazz Quartet』(2006年)