発表年:2002年
ez的ジャンル:N.Y.×ブラジル系アヴァンギャルド・メロウ
気分は... :バチューカ及ばず・・・
今回はArto Lindsayが2002年にリリースした『Invoke』です。
N.Y.生まれながらブラジル人の心を持つミュージシャンArto Lindsayについて、当ブログでこれまで紹介した作品は以下のとおりです。
『O Corpo Sutil/The Subtle Body』(1995年)
『Noon Chill』(1997年)
『Mundo Civilizado』(1996年)
『Prize』(1999年)
Ambitious Lovers『Greed』(1988年)
Ambitious Lovers『Lust』(1991年)
本作『Invoke』は、前作『Prize』(1999年)の路線を推し進めた作品であり、メロディアスな側面と前衛的なエッセンスが上手く融合した1枚に仕上がっています。音響ポップ的センスに磨きがかかった印象を受けます。
メイン・プロデュースはArto Lindsay/Andres Levin/Melvin Gibbsというお馴染みの強力トリオ。「You Decide」、「Clemency」の2曲のみArto Lindsay/Berna Ceppas/Kassinによるプロデュースです。
「Beija-Me」、「Foguete Particular」以外はArto Lindsayのオリジナルです。
レコーディングにはMelvin Gibbs(b、g、key、prog)、Andres Levin (g、key、prog)、Ambitious Loversの盟友Peter Scherer(key)、Vinicius Cantuaria(g、vo)、Berna Ceppas(syn、prog)、Kassin(prog、b、electribe)、かつてChico Science & Nacao Zumbiとしてマンギ・ビート旋風を起こしたミクスチャー・バンドNacao Zumbi、Davi Moraes(ds、g)、USインディー・ロックバンドAnimal Collective(Avey Tare/Deakin/Geologist/Panda Bear)、Stephen Barber(g、key、org、clarinet)、Skoota Warner(ds)、Nanny Assis(per)、Bob Malach (clarinet)、Mark Batson(key)、Sandra Park(violin)等が参加しています。
僕のお気に入りは「Illuminated」、「You Decide」、「Uma」、「Clemency」、「Invoke」あたり。マンギ・ビートの雄Nacao Zumbiとの共演「Predigo」、Animal Collectiveとの共演「In The City That Reads」も刺激的です。また、Marisa Monteが曲作りに参加した「Delegada」にも注目です。
進化し続けるArto Lindsayの音世界を存分に楽しめる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Illuminated」
Andres Levin/Melvin Gibbsとの共作。メロディアスながらもArtoらしい先鋭的センスも忘れていないオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=r-viZ2HYFRU
「Predigo」
Melvin Gibbs/Nacao Zumbiとの共作。かつてのマンギ・ビートの雄Nacao Zumbiとの共演です。ブラジルらしいミクスチャー・サウンドを楽しめます。
「Ultra Privileged」
Andres Levinとの共作。クラリネットを交えたノスタルジックなブラジリアン・ムードを現代的なセンスで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=VNCGhhR7cOQ
「Over/Run」
Andres Levinとの共作。Artoの呟きヴォーカルがハマっているメロディアスで音響ポップ的な仕上がり。
「Invoke」
Melvin Gibbsとの共作。タイトル曲は陰影のあるアヴァンギャルド感がArtoらしい1曲に仕上がっています。ヴァイオリンによるアクセントも絶妙です。
「You Decide」
Arto Lindsay/Berna Ceppas/Kassinプロデュース。Berna Ceppas/Davi Moraes/Kassinとの共作。Moreno Veloso、Domenico Lancellottiとの+ 2ユニットで知られるブラジル新世代サウンドの重要ミュージシャンKassinの参加が注目です。+ 2ユニットの諸作がお好きな人であれば気に入るであろう、エクペリメンタルなのにキャッチーなブラジル新世代サウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=mT8FucUhFzM
「In The City That Reads」
USインディー・ロックバンドAnimal Collectiveとの共演・共作。サイケ&アヴァンギャルドな仕上がり。アルバムで最も前衛モードかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=8xs9mkBFR78
「Delegada」
Cesar Mendes/Marisa Monteとの共作。クラリネットの響きを巧みに使った飾り気のない音響ポップといった趣です。
「Uma」
Lucas Santanaとの共作。僕好みの先鋭的センスのポップ・チューン。Artoにしかクリエイトできない音世界かもしれませんね。
「Clemency」
Arto Lindsay/Berna Ceppas/Kassinプロデュース。Davi Moraes/Melvin Gibbsとの共作。電脳パルスで刺激される前衛ブラジリアン・ポップ。
https://www.youtube.com/watch?v=9wHZtvg-dUs
「Unseen」
Vinicius Cantuariaとの共作・共演。Artoと同じくN.Y.×ブラジルなコスモポリタン・ミュージシャンVinicius Cantuariaとの共演はフィットしますね。本作らしい音響ポップ的な音世界を楽しめます。
「Beija-Me」
Mario Rossi/Roberto Martins作。Ciro Monteiroのヒット曲をカヴァー。前曲に続きVinicius Cantuariaが参加し、古典ヒットを素敵なアコースティック・メロウで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=mOJ-nxWDs1U
ここから2曲は国内盤ボーナス・トラック。
「Foguete Particular」
Batatinhaの名曲カヴァー。この曲もVinicius Cantuariaが参加。古典サンバをモダンな感覚で聴かせてくれます。
「Etherized」
ラストは前衛的なインストで刺激的に締め括ってくれます。
Arto Lindsayの他作品もチェックを!
Ambitious Lovers『Envy』(1984年)
Ambitious Lovers『Greed』(1988年)
Peter Scherer & Arto Lindsay『Pretty Ugly』(1990年)
Ambitious Lovers『Lust』(1991年)
Arto Lindsay Trio『Aggregates 1-26』(1995年)
『O Corpo Sutil/The Subtle Body』(1995年)
『Mundo Civilizado』(1996年)
『Noon Chill』(1997年)
『Prize』(1999年)
『Ecomixes』(2000年)
『Salt』(2004年)
『Cuidado Madame』(2017年)