2017年12月13日

Arto Lindsay『Invoke』

アヴァンギャルド・メロウなArtoワールド☆Arto Lindsay『Invoke』
インヴォーク
発表年:2002年
ez的ジャンル:N.Y.×ブラジル系アヴァンギャルド・メロウ
気分は... :バチューカ及ばず・・・

今回はArto Lindsayが2002年にリリースした『Invoke』です。

N.Y.生まれながらブラジル人の心を持つミュージシャンArto Lindsayについて、当ブログでこれまで紹介した作品は以下のとおりです。

 『O Corpo Sutil/The Subtle Body』(1995年)
 『Noon Chill』(1997年)
 『Mundo Civilizado』(1996年)
 『Prize』(1999年)

 Ambitious Lovers『Greed』(1988年)
 Ambitious Lovers『Lust』(1991年)

本作『Invoke』は、前作『Prize』(1999年)の路線を推し進めた作品であり、メロディアスな側面と前衛的なエッセンスが上手く融合した1枚に仕上がっています。音響ポップ的センスに磨きがかかった印象を受けます。

メイン・プロデュースはArto Lindsay/Andres Levin/Melvin Gibbsというお馴染みの強力トリオ。「You Decide」「Clemency」の2曲のみArto Lindsay/Berna Ceppas/Kassinによるプロデュースです。

「Beija-Me」「Foguete Particular」以外はArto Lindsayのオリジナルです。

レコーディングにはMelvin Gibbs(b、g、key、prog)、Andres Levin (g、key、prog)、Ambitious Loversの盟友Peter Scherer(key)、Vinicius Cantuaria(g、vo)、Berna Ceppas(syn、prog)、Kassin(prog、b、electribe)、かつてChico Science & Nacao Zumbiとしてマンギ・ビート旋風を起こしたミクスチャー・バンドNacao ZumbiDavi Moraes(ds、g)、USインディー・ロックバンドAnimal Collective(Avey Tare/Deakin/Geologist/Panda Bear)Stephen Barber(g、key、org、clarinet)、Skoota Warner(ds)、Nanny Assis(per)、Bob Malach (clarinet)、Mark Batson(key)、Sandra Park(violin)等が参加しています。

僕のお気に入りは「Illuminated」「You Decide」「Uma」「Clemency」「Invoke」あたり。マンギ・ビートの雄Nacao Zumbiとの共演「Predigo」、Animal Collectiveとの共演「In The City That Reads」も刺激的です。また、Marisa Monteが曲作りに参加した「Delegada」にも注目です。

進化し続けるArto Lindsayの音世界を存分に楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Illuminated」
Andres Levin/Melvin Gibbsとの共作。メロディアスながらもArtoらしい先鋭的センスも忘れていないオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=r-viZ2HYFRU

「Predigo」
Melvin Gibbs/Nacao Zumbiとの共作。かつてのマンギ・ビートの雄Nacao Zumbiとの共演です。ブラジルらしいミクスチャー・サウンドを楽しめます。

「Ultra Privileged」
Andres Levinとの共作。クラリネットを交えたノスタルジックなブラジリアン・ムードを現代的なセンスで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=VNCGhhR7cOQ

「Over/Run」
Andres Levinとの共作。Artoの呟きヴォーカルがハマっているメロディアスで音響ポップ的な仕上がり。

「Invoke」
Melvin Gibbsとの共作。タイトル曲は陰影のあるアヴァンギャルド感がArtoらしい1曲に仕上がっています。ヴァイオリンによるアクセントも絶妙です。

「You Decide」
Arto Lindsay/Berna Ceppas/Kassinプロデュース。Berna Ceppas/Davi Moraes/Kassinとの共作。Moreno VelosoDomenico Lancellottiとの+ 2ユニットで知られるブラジル新世代サウンドの重要ミュージシャンKassinの参加が注目です。+ 2ユニットの諸作がお好きな人であれば気に入るであろう、エクペリメンタルなのにキャッチーなブラジル新世代サウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=mT8FucUhFzM

「In The City That Reads」
USインディー・ロックバンドAnimal Collectiveとの共演・共作。サイケ&アヴァンギャルドな仕上がり。アルバムで最も前衛モードかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=8xs9mkBFR78

「Delegada」
Cesar Mendes/Marisa Monteとの共作。クラリネットの響きを巧みに使った飾り気のない音響ポップといった趣です。

「Uma」
Lucas Santanaとの共作。僕好みの先鋭的センスのポップ・チューン。Artoにしかクリエイトできない音世界かもしれませんね。

「Clemency」
Arto Lindsay/Berna Ceppas/Kassinプロデュース。Davi Moraes/Melvin Gibbsとの共作。電脳パルスで刺激される前衛ブラジリアン・ポップ。
https://www.youtube.com/watch?v=9wHZtvg-dUs

「Unseen」
Vinicius Cantuariaとの共作・共演。Artoと同じくN.Y.×ブラジルなコスモポリタン・ミュージシャンVinicius Cantuariaとの共演はフィットしますね。本作らしい音響ポップ的な音世界を楽しめます。

「Beija-Me」
Mario Rossi/Roberto Martins作。Ciro Monteiroのヒット曲をカヴァー。前曲に続きVinicius Cantuariaが参加し、古典ヒットを素敵なアコースティック・メロウで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=mOJ-nxWDs1U

ここから2曲は国内盤ボーナス・トラック。

「Foguete Particular」
Batatinhaの名曲カヴァー。この曲もVinicius Cantuariaが参加。古典サンバをモダンな感覚で聴かせてくれます。

「Etherized」
ラストは前衛的なインストで刺激的に締め括ってくれます。

Arto Lindsayの他作品もチェックを!

Ambitious Lovers『Envy』(1984年)
Envy

Ambitious Lovers『Greed』(1988年)
Greed

Peter Scherer & Arto Lindsay『Pretty Ugly』(1990年)
Pretty Ugly

Ambitious Lovers『Lust』(1991年)
Lust

Arto Lindsay Trio『Aggregates 1-26』(1995年)
Aggregates 1-26

『O Corpo Sutil/The Subtle Body』(1995年)
O Corpo Sutil

『Mundo Civilizado』(1996年)
Mundo Civilizado

『Noon Chill』(1997年)
Noon Chill

『Prize』(1999年)
プライズ

『Ecomixes』(2000年)
エコミクシーズ

『Salt』(2004年)
ソルト・プラス2

『Cuidado Madame』(2017年)
Cuidado Madame
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2017年12月11日

Chairmen Of The Board『The Chairmen Of The Board』

インヴィクタスを代表する男性ソウル・グループの1st☆Chairmen Of The Board『The Chairmen Of The Board』
ギヴ・ミー・ジャスト・ア・リトル・モア・タイム
発表年:1970年
ez的ジャンル:インヴィクタス系男性ソウル・グループ
気分は... :溌剌と!

Holland-Dozier-Hollandのインヴィクタスを代表する男性ソウル・グループの1stアルバムChairmen Of The Board『The Chairmen Of The Board』(1970年)です。

Chairmen Of The Boardはデトロイトで結成された男性ソウル・グループ。メンバーはGeneral JohnsonDanny WoodsEddie CustisHarrison Kennedyの4名。

Holland-Dozier-Holland(Brian Holland/Lamont Dozier/Eddie Holland)が設立したInvictusと契約したグループは『The Chairmen Of The Board』(1970年)、『In Session』(1970年)、『Bittersweet』(1972年)、『Skin I'm In』(1974年)という4枚のアルバムをリリースしています。

その後グループは一時休止状態でしたが、General Johnsonを中心にメンバーを再編し、General Johnson & The Chairmen 名義で活動を再始動させました。

1stアルバムとなる『The Chairmen Of The Board』(1970年)の目玉は、全米シングル・チャート第8位、同R&Bシングル・チャート第3位となったヒット曲「Give Me Just a Little More Time」です。グループやインヴィクタスを代表するヒット曲と呼べるでしょう。

プロデュースはHBH Productions, Inc.

アルバム全体はH-D-Hらしいノーザン・ソウルを満喫できる1枚です。

オリジナル6曲、カヴァー4曲という構成ですが、「Give Me Just a Little More Time」「(You've Got Me) Dangling on a String」といったH-D-HらしいサウンドとGeneral Johnsonのエモーショナル・ヴォーカルが噛み合ったオリジナル曲がオススメです。Danny Woodsがリード・ヴォーカルをとる「Since the Days of Pigtails & Fairytales」もグッド!カヴァー曲であれば、Trafficのカヴァー「Feelin' Alright」がいいですね。

また、Clarence CarterによるカヴァーがグラミーのベストR&Bソングを受賞した名曲「Patches」も要チェックです。

H-D-H好き、Invictus/Hot Wax好き、ノーザン・ソウル好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Give Me Just a Little More Time」
Edith Wayne/Ron Dunbar作。前述のように全米シングル・チャート第8位、同R&Bシングル・チャート第3位となったグループの代表曲。フリーソウル・クラシックとしても人気のノーザン・ソウルです。H-D-Hの手腕とGeneral Johnsonのエモーショナル・ヴォーカルが噛み合った名曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=gzIAiyxS-nk

The Tribe、Angela Clemmons、Kylie Minogueがカヴァーしています。また、Kool Keith「You Love That」、Spark Master Tape「Been Layden」等のサンプリング・ソースとなっています。
Angela Clemmons「Give Me Just a Little More Time」
 https://www.youtube.com/watch?v=zCsC3y0n3-s

「Come Together」
The Beatlesの名曲カヴァー(John Lennon/Paul McCartney作)。ロック名曲をソウル・モードで熱唱します。
https://www.youtube.com/watch?v=odX_AXXOKS4

「Bless You」
General Johnson/Ron Dunbar作。軽やかノーザン・ソウルですが、General Johnsonの圧倒的なヴォーカルが入ると良くも悪くも一人で持って行きますね(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=bhSOvXx8-U4

「Patches」
General Johnson/Ron Dunbar作。Clarence CarterによるカヴァーがグラミーのベストR&Bソングを受賞したことでも知られる名曲です。派手さはありませんが、ジワジワと込み上げてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=zP2-TNdk1go

Clarence Carterヴァージョンも一緒にチェックを!
Clarence Carter「Patches」
https://www.youtube.com/watch?v=IvfsfS6NVUc

「Since the Days of Pigtails & Fairytales」
Edith Wayne/Ron Dunbar作。Danny Woodsがリード・ヴォーカルをとる軽快なノーザン・ソウル。General Johnsonのリード・ヴォーカル曲ほどパンチはありませんが、逆にヴォーカルとグルーヴィー・サウンドのバランスはいいかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=1qRSzsNQB74

「I'll Come Crawling」
Edith Wayne/Ron Dunbar作。この曲もリード・ヴォーカルはDanny Woods。インヴィクタスらしいビートの効いた仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=vKcR4NFwi7Q

「(You've Got Me) Dangling on a String」
Edith Wayne/Ron Dunbar作。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。クセのあるGeneral Johnsonのヴォーカルと軽快なサウンドのバランスが絶妙な爽快ノーザン・ソウル。
https://www.youtube.com/watch?v=rGED_6WIsps

「Bravo, Hooray」
General Johnson作。R&Bフィーリングのホーン・アンサンブルにグッとくるファンキー・ソウル。General Johnsonのヴォーカルの粘りがいい感じ!

「Didn't We」
Jimmy Webb作。Richard Harris、1968年のシングル曲をカヴァー。オーセンティックなバラードで聴かせてくれますが、僕の好みではありません。

「Feelin' Alright」
Trafficのカヴァー(Dave Mason作)。オリジナルはTraffic『Traffic』(1968年)に収録されています。ハーモニカも入ったファンキー・ソウルなカヴァーです。
https://www.youtube.com/watch?v=nQxhl6H381s

「My Way」
Claude Francois/Jacques Revaux/Paul Anka作。Frank Sinatraで有名な名曲のカヴァーですが、正直これは選曲ミスかもしれませんね。

「Tricked & Trapped」
Edith Wayne/Ron Dunbar作。ラストはインヴィクタスらしいビートの効いた曲で締め括ってくれます。

Chairmen Of The BoardInvictus時代の他作品もチェックを!

『In Session』(1970年)
イン・セッション

『Bittersweet/Skin I'm In』(1972,74年) ※2in1CD
Bittersweet / Skin I'm in
posted by ez at 02:10| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月10日

Space Captain『All Flowers in Time』

Moonchildに続け!N.Y.出身の新世代ネオソウル・バンド☆Space Captain『All Flowers in Time』
All Flowers in Time
発表年:2017年
ez的ジャンル:新世代ネオソウル・バンド
気分は... :ドリーミー&チル!

新作アルバムから新世代ネオソウル・バンドSpace Captainのデビュー・アルバムSpace Captain『All Flowers in Time』です。

Space Captainは2013年にN.Y.ニュースクール大学の仲間らで結成されたネオソウル・バンド。

メンバーはMaralisa Simmons-Cook(vo)、Gray Hall(g)、Mike Haldeman(g)、Alex Pyle(b)、Joy Morales(key)、Joey Ziegler(ds)、Lessie Vonner(tp)という6名。

これまでUKの人気レーベルTru Thoughtsから「In Memory」(2015年)、「Two」(2015年)という2枚のEPをリリースしています。

Tru Thoughts所属のネオソウル・バンドということで、同じTru Thoughts所属のL.A.ネオソウル・バンドMoonchildが引き合いに出されますが、確かにMoonchild好きの人であれば気に入る"陽だまりのネオソウル"的なサウンドだと思います。

あるいはHiatus KaiyoteThe Internetあたりが好きな人の嗜好にも合致するはずです。

紅一点のヴォーカルMaralisa Simmons-Cookのコケティッシュなヴォーカルとドリーミー&チルなサウンドが織り成す音世界は、"新世代ネオソウル"という括りに惑わされずに聴いた方が楽しめると思います。きっと、音響ポップ好きの人はフィットするはずです。

何も考えず、マッタリしながら聴いていたい1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Side Eye」
透明感のあるフォーキー・チューンがオープニング。ドラムが加わり、リズミック&ドラマチックになる中盤以降の展開もグッド!

「Blue」
少し気怠いメロウネスが印象的です。Maralisaのコケティッシュなヴォーカルが栄えます。
https://www.youtube.com/watch?v=DcuvC-_-zF0 ※スタジオ・ライブ音源

「Daybreak」
タイトル通り、夜明けモードの柔らかなメロウ・サウンドにグッとくる小曲。1分で終わってしまうのが残念です。もっと長尺で聴きたいですね。

「Sycamore」
アルバムからの先行シングル。ドリーミー&チルな雰囲気にグッときます。Maralisaのヴォーカルが非日常的な夢の世界へ誘ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=RQyJmqJ20Jw

「Loveline/The Drive Home」
ボッサ・フィーリングの仕上がり。Maralisaのコケティッシュ・ヴォーカルがボッサ・サウンドによくマッチします。

「Cells」
Moonchildに通じる陽だまりフィーリングが魅力の1曲。マッタリ・モードにぴったりです。

「Hollow」
空虚なドリーミー・ワールドに惹き込まれます。この音響ポップな雰囲気も新世代ネオソウル・バンドらしいかもしれませんね。。

「Hours」
アコースティック・ギターの響きとMaralisaのヴォーカルがシンクロした1曲。この曲も音響ポップな魅力があります。

「Flood」
ラストは新世代ネオソウル・バンドらしいオルタナな魅力に溢れた1曲で締め括ってくれます。

未聴の方は同じTru Thoughts所属のL.A.ネオソウル・バンドMoonchildもチェックを!

Moonchild『Please Rewind』(2014年)
Please Rewind

Moonchild『Voyager』(2017年)
Voyager [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC549)
posted by ez at 04:59| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月09日

Syreeta『Set My Love in Motion』

ファンク/ブギー路線を打ち出した1枚☆Syreeta『Set My Love in Motion』
SET MY LOVE IN MOTION (EXPANDED EDITION)
発表年:1981年
ez的ジャンル:ファンク/ブギー系女性ソウル
気分は... :華やかに・・・

今回はStevie Wonderの元夫人としても知られるSyreeta(Syreeta Wright)が1981年にリリースした『Set My Love in Motion』です。

Syreeta(Syreeta Wright)(1946-2004年)の紹介は『One To One』(1977年)、『Syreeta』(1972年)に続き3回目になります。

本作『Set My Love in Motion』はファンク/ブギー路線を大きく打ち出した作品です。

プロデュースはOllie BrownHal DavisAngelo Bond/William Weatherspoon

レコーディングにはOllie Brown(ds、per)、James Gadson(ds)、(ds)、Eddie "Klunis" Summers(ds)、Keith Elliott(ds)、Nathan Watts(b)、Romeo Williams(b)、Paul Jackson Jr.(g、syn)、David T. Walker(g)、Marlo Henderson(g、e-sitar)、Carlos Rios(g)、Barry Finnerty(g)、Robert Palmer(g)、Clarence McDonald(key)、John Barnes(key)、Sylvester Rivers(key)、Todd Cochran(key、syn)、Michael Boddicker(syn)、 Wayne Stalling (syn、p、clavinet、moog-b)、William Bryant Jr.(syn、p、clavinet、moog-b)、Melvin Webb(per)、Paulinho Da Costa (per)、Gary Coleman (vibe)、Gary Herbig(sax)、Gerald Albright(sax)、Andrea Robinson(back vo)、Jeanette Hawes(back vo)、Jim Gilstrap(back vo)、Lynn Davis(back vo)、Marti McCall(back vo)、Pattie Brooks(back vo)、Suzanne Coston(back vo)といったミュージシャンが参加しています。

さらにJerry Heyがホーン・アレンジ、Gene Pageがストリングス・アレンジを手掛けています。

当時の最新ダンス・サウンドとSyreetaのキュートなヴォーカルが上手く嚙み合った華やかなファンク/ソウル作品に仕上がっています。

ムーグ・シンセ全開の「Quick Slick」「Move It, Do It」、Larry Levanもお気に入りのガラージ「Can't Shake Your Love」、ミネアポリス・ファンクの影響を感じる「Out The Box」あたりのダンス・チューンが聴き所だと思います。

また、「You Set My Love In Motion」「I Must Be In Love」「There's Nothing Like A Woman In Love」「Wish Upon A Star」といったメロウ・バラードもとSyreetaのヴォーカルは栄える仕上がりとなっています。

もっと再評価されてもいい1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Quick Slick」
Hal Davisプロデュース。Hal Davis/Mitchell E. Bottler/Norma Helms作。本作らしい80年代らしいエレクトリック・ブギーがオープニング。シングルにもなりました。キュートなSyreetaのヴォーカルが栄える華やかなダンサブル・チューンです。アーバンなサックスもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=dsA6BwMYho4

「Move It, Do It」
Angelo Bond/William Weatherspoonプロデュース。Angelo Bond/Todd Cochran/William Weatherspoon作。ムーグ・シンセ全開の煌びやかなファンク・サウンドをバックに、Syreetaが妖艶なヴォーカルを聴かせてくれます。80年代好きにはたまらないですね。
https://www.youtube.com/watch?v=EW_9AFZOkJc

「You Set My Love In Motion」
Hal Davisプロデュース。David Cohen/Maureen Bailey作。Syreetaのキュートな魅力を満喫できるメロウ・ミディアム。
https://www.youtube.com/watch?v=5lVmI5z4SKU

「There's Nothing Like A Woman In Love」
Ollie Brownプロデュース。Brian Short/Gloria Sklerov作。エレクトリック・シタールと共に始まるソフトリーなメロウ・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=hboP3M-ive8

「Can't Shake Your Love」
Hal Davisプロデュース。Hal Davis/Mitchell E. Bottler/Norma Helms作。アカペラで始まるダンス・チューン。Larry Levanが目を付けたのも頷けるガラージ的な仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=V0oS0ZfQW94

「I Must Be In Love」
Ollie Brownプロデュース。Kenneth Hirsch/Mark Mueller作。Syreetaのヴォーカルが栄えるラブリーなメロウ・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=y7siocaXB2w

「Wish Upon A Star」
Ollie Brownプロデュース。Syreeta Wright作。オーセンティックなビューティフル・バラード。心がホッコリします。
https://www.youtube.com/watch?v=uy3RYG3aEjU

「Out The Box」
Ollie Brownプロデュース。Ollie E. Brown/Paul M. Jackson Jr./Syreeta Wright作。、Prince/The Timeあたりのミネアポリス・ファンクの影響を感じるファンク・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=wN6WTKW_Yro

「I Know The Way To Your Heart」
Ollie Brownプロデュース。Joe Blocker/L. Marlo Henderson作。セクシーなミディアム・ファンク。妖しげなムードがいいですね。

「I Love You」
Ollie Brownプロデュース。James Stewart/Paul Hines/Syreeta Wright作。ラストはストリングスを配したラブ・バラードでしっとりと締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=De2kAsX0sSo

再発CDには「Can't Shake Your Love (Larry Levan 12" Mix)」「Move It, Do It (Promotional 12" Instrumental)」「Can't Shake Your Love (Previously Unreleased Larry Levan Mix)」という3曲のボーナス・トラックが追加収録されています。特にLarry Levan絡みの2曲は嬉しいですね。

Syreetaの他作品もチェックを!

『Syreeta』(1972年)
シリータ

『Stevie Wonder Presents Syreeta』(1974年)
スティーヴィー・ワンダー・プレゼンツ・シリータ

『One To One』(1977年)
ワン・トゥ・ワン

Syreeta & G.C. Cameron『Rich Love, Poor Love』(1977年)
リッチ・ラヴ プアー・ラヴ

『Syreeta』(1980年)
SYREETA (1980)

Billy Preston & Syreeta『Billy Preston & Syreeta』(1981年)
BILLY PRESTON & SYREETA: EXPANDED EDITION
posted by ez at 03:24| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月08日

Deodato『Whirlwinds』

MCA移籍第1弾も絶好調!☆Deodato『Whirlwinds』
旋風
発表年:1974年
ez的ジャンル:天才アレンジャー系クロスオーヴァー
気分は... :旋風!

今回はEumir Deodatoが1974年にリリースした『Whirlwinds』です。

ブラジルが誇る天才アレンジャー/プロデューサー/コンポーザー/キーボード奏者Eumir Deodatoの紹介は『Love Island』(1978年)、『Os Catedraticos 73』(1973年)に続き3回目となります。

『Prelude』(1973年)、『Deodato 2』(1973年)といった作品をCTIからリリースし、注目を集めたDeodatoMCAに移籍し、リリースした第1弾アルバムが本作『Whirlwinds』(1974年)です。その後、MCAからは『Artistry』(1974年)、『First Cuckoo』(1975年)といったアルバムをリリースしています。

本作におけるレコーディング・メンバーはEumir Deodato(key、per)、John Tropea(g)、John Giulino(b)、Tony Levin(b)、Billy Cobham(ds)、Nick Remo(ds)、Rubens Bassini(congas、bongos)、Gilmore Digap(per)、Sam Burtis(tb)等。

プロデュース&アレンジはDeodato自身。

この時期のDeodato作品がお好きな人であれば、間違いのない1枚だと思います。

アルバムはカヴァーとオリジナルが半々の6曲構成。

「Moonlight Serenade」(Glenn Miller)、「Do It Again」Steely Dan)といったカヴァーも悪くありませんが、個人的には「West 42nd Street」「Havana Strut」「Whirlwinds」というオリジナル3曲が強力だと思います。

ホーン&ストリングスを巧みに配した天才アレンジャーならではのクロスオーヴァー・サウンドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Moonlight Serenade」
Glenn Millerの名曲カヴァー。お馴染みのメロディをDeodatoらしいアレンジ・センスで聴かせてくれます。メロウなクロスオーヴァー・サウンドの「Moonlight Serenade」も悪くありません。Tony Levinのベースにも注目です。
https://www.youtube.com/watch?v=EBZY6urezxQ

「Ave Maria」
Franz Schubert作。シューベルトの「アヴェ・マリア」をカヴァー。正直、僕には少し退屈かな・・・
https://www.youtube.com/watch?v=sAmeRYqjeOQ

「Do It Again」
Steely Danのヒット曲をカヴァー(Donald Fagen/Walter Becker作)。お馴染みのヒット曲をDeodatoの鍵盤&ホーン・アンサンブルが印象的な好カヴァーで聴かせてくれます。John Tropeaのギター・ソロもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=me8_n-5rKto

「West 42nd Street」
Eumir Deodato作。パーカッシヴなファンキー・チューンにストリングスが加わり、Deodatoらしいクロスオーヴァー・ワールドを展開します。
https://www.youtube.com/watch?v=7YCebyM4v3s

「Havana Strut」
Eumir Deodato作。ラテン・リズムが心地好いメロウ・フュージョン。Sam Burtisがトロンボーン・ソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=1rr1mPRdBRg

「Whirlwinds」
Eumir Deodato/John Tropea作。タイトル曲はファンキーなクロスオーヴァー・チューンで締め括ってくれます。Azymuthあたりと一緒に聴きたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=pqnoPiCg4dE

Eumir Deodatoの過去記事やCTIMCA時代の作品もチェックを!

『Os Catedraticos 73』(1973年)
オス・カテドラーチコス 73(紙ジャケット仕様)

『Love Island』(1978年)
Love Island

『Prelude』(1973年)
ツァラトゥストラはかく語りき

『Deodato 2』(1973年)
ラプソディー・イン・ブルー

Deodato/Airto『In Concert』(1973年)
In Concert

『Artistry』(1974年)
アーティストゥリー

『First Cuckoo』(1975年)
ファースト・クックー(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 03:32| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする