2018年02月22日

The Impressions『Finally Got Myself Together』

不安を払拭した新生The Impressions!☆The Impressions『Finally Got Myself Together』
ファイナリー・ガット・マイセルフ・トゥゲザー
発表年:1974年
ez的ジャンル:シカゴ・ソウル・グループ
気分は... :今宵楽しく!

今回は70年代ソウル作品からシカゴの名グループThe ImpressionsCurtom時代の1枚、『Finally Got Myself Together』(1974年)です。

Jerry ButlerCurtis MayfieldLeroy Hutsonらを輩出したシカゴ・ソウルの名グループThe Impressionsの紹介は、

全米R&BチャートNo.1となったヒット曲「Choice Of Colors」を収録したCurtom第2弾アルバム『The Young Mods' Forgotten Story』(1969年)に続き、2回目となります。

本作『Finally Got Myself Together』(1974年)は、Curtis Mayfield脱退後にリード・ヴォーカルとしてグループに加入したLeroy Hutsonが抜け、さらにCurtis Mayfieldがプロデュースからも完全に手を引き、グループへの不安が渦巻く中でリリースされました。

結果として、そんな不安を払拭するように、シングル「Finally Got Myself Together (I'm A Changed Man)」を全米R&Bチャート第1位へ送り込んだ起死回生の1枚です。

本作におけるメンバーは、Sam GoodenFred Cashという従来メンバー2名に、Reggie TorianRalph Johnsonという新加入の2名が加わった4名。

プロデュースはEd TownsendLowrell Simon/Rich Tufo。Ed TownsendはMarvin Gaye「Let's Get It On」の共作者としてお馴染みですね。

前述のヒット・シングル「Finally Got Myself Together (I'm A Changed Man)」のみならず、全8曲ファンキー・チューンからスウィート・ソウルまでかなり充実していると思います。アルバム全体がポジティヴかつスウィートな魅力に溢れているのがいいですね。

個人的にはモダン・ソウルな魅力に溢れた「I'll Always Be Here」、スウィート&メロウな「We Go Back A Ways」Curtis Mayfield調のサウンドも聴こえてくる「If It's In You To Do Wrong」、ファンキーな魅力に溢れた「Don't Forget What I Told You」あたりがおススメです。

僕の場合、The Impressionsについて、Curtom時代のCurtis MayfieldLeroy Hutson絡みのアルバムしか興味の対象ではありませんでしたが、その認識を改めさせられたのが本作です。

変な先入観なしに聴けば、かなりいいアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「If It's In You To Do Wrong」
Lowrell Simon/Rich Tufoプロデュース。シングルにもなったオープニング。ドラム・ブレイク、ワウワウ・ギター、ストリングスが醸し出す不穏なサウンドはCurtis Mayfield調ですが、ヴォーカルが始まると本作らしいスウィート・ソウルを堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=P8K4cfPB15Y

Ganksta C「Str8-Husla」、Young Buck feat. Stat Quo「Walk With Me」、Wiz Khalifa「Gotta Get It」、Big K.R.I.T.「2000 & Beyond」等のサンプリング・ソースとなっています。
Ganksta C「Str8-Husla」
 https://www.youtube.com/watch?v=RlwhKvF7uE8
Young Buck feat. Stat Quo「Walk With Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=BvP2WAqbb60
Wiz Khalifa「Gotta Get It」
 https://www.youtube.com/watch?v=SAVMB8YfRRk
Big K.R.I.T.「2000 & Beyond」
 https://www.youtube.com/watch?v=cQxxcn7c3f4

「Finally Got Myself Together (I'm A Changed Man)」
Ed Townsendプロデュース。全米R&Bチャート第1位、全米チャート第17位となったヒット曲。The Impressions健在!を示したソウル・チューン!力強いヴォーカルとしなやかなコーラス、Crusadersメンバーらがバックを務めた都会的なソウル・サウンドがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=q9A0RpXtgiw

「I'll Always Be Here」
Lowrell Simon/Rich Tufoプロデュース。今日再評価が高いのはモダン・ソウルな魅力に溢れた本曲かもしれませんね。ポジティヴに躍動するキャッチーなソウル・チューンは何度もリピートしたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=oxStukWbibU

「Miracle Woman」
Ed Townsendプロデュース。昔ながらのソウル・チューンをエレピの音色が心地好い70年代メロウ・ソウルへアップデートさせた雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=b-c0XI_nOpw

「We Go Back A Ways」
Lowrell Simon/Rich Tufoプロデュース。ヴォーカル・グループらしいコーラス・ワークを楽しめるメロウ・ミディアム。本作らしいスウィートな魅力を堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=9lGylF94O2A

「Guess What I've Got」
Ed Townsendプロデュース。新生The Impressionsの実力を示してくれる絶品バラードです。オーセンティックなスウィート・ソウルで魅せてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=qMjrtk7zRR8

「Try Me」
Ed Townsendプロデュース。ゴスペル・フィーリングのミディアム・バラード。抑えたトーンのファンキー・メロウなサウンドが格好良いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=jDi91gunRbE

「Don't Forget What I Told You」
Lowrell Simon/Rich Tufoプロデュース。ラストはThe Temptations調のファンキー・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9XK8eb_SF8M

The Impressionsの他作品もチェックを!

『The Impressions/Never Ending Impressions』(1963/1964年) ※2in1CD
Impressions/Never Ending Impressions

『Keep on Pushing/People Get Ready』(1964/1965年) ※2in1CD
Keep on Pushing/People Get Ready

『One by One/Ridin' High』(1965/1966年) ※2in1CD
ONE BY ONE/RIDIN!

『The Fabulous Impressions/We're a Winner』(1967/1968年) ※2in1CD
The Fabulous Impressions / We're A Winner

『This Is My Country』(1968年)
This Is My Country

『The Young Mods' Forgotten Story』(1969年)
ヤング・モッズ・フォゴットン・ストーリー

『Check Out Your Mind!』(1970年)
チェック・アウト・ユア・マインド!

『Times Have Changed』(1972年)
タイムズ・ハヴ・チェンジド

『Preacher Man』(1973年)
プリーチャー・マン

『First Impressions/Loving Power』(1975/1976年) ※2in1CD
First Impressions & Loving

『It's About Time』(1976年)
It's About Time

『Come to My Party/Fan the Fire』(1979/1981年) ※2in1CD
Come to My Party/Fan the Fire
posted by ez at 03:21| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月21日

Heston『Storyteller』

その才能を知らしめた良質インディR&B☆Heston『Storyteller』
Storyteller by Heston
発表年:2008年
ez的ジャンル:カリビアン系男性R&B/Soul
気分は... :美味いソース焼きそば!

今回はコアなR&Bファンから支持の高い男性R&B/SoulシンガーHestonのデビュー・アルバム『Storyteller』(2008年)です。

ドミニカ国(ドミニカ共和国ではありません)出身の男性R&B/SoulシンガーHestonことHeston Francisの紹介は、4thアルバム『Transparency』(2016年)に続き、2回目となります。

本作『Storyteller』(2008年)は、彼のデビュー・アルバムにして、その才能を知らしめた良質のインディR&B作品です。

Heston本人に加え、当ブログではお馴染みのアトランタを拠点とするプロデューサー/ベーシストKhari SimmonsSam SimsPhil Davisがプロデュースを手掛けています。

僕が大好きな女性R&BアーティストAngela JohnsonErykah Baduのバック・ヴォーカルやThe Foreign Exchangeファミリーの一員としても知られる女性R&BシンガYahzarahがフィーチャリングされています。

インディならではの魅力が詰まった心地好いR&B作品です。

Khari Simmons好きの僕としては、彼がプロデュースした「Hello Sunday」「Sunny Days」「Radio」「Your Perfume」の4曲がまず気になってしまいます。

それ以外であれば、Marvin Gayeライクなモダン・ソウル「Distant Lover」、Yahzarahをフィーチャーしたアイランド・モードのアコースティック・ソウル「Feel Like Dancing」、ジェントルなメロウ・チューン「Brand New You」Angela Johnsonとのデュエットによる感動バラード「Dreamy Eyes」あたりがおススメです。

インディR&B好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「My Baby」
Sam Simsプロデュース。格好良いベースがグイグイ引っ張るダンサブルな楽曲でアルバムは幕を開けます。ホーン隊も加わり、華のあるオープニングです。
https://www.youtube.com/watch?v=YSsAy6C-Apw

「Distant Lover」
Hestonプロデュース。Hestonの色気のあるヴォーカルを堪能できるグッド・ヴァイヴなモダン・ソウル。タイトルも含めてMarvin Gayeライクな感じもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=3MgPmNbwYIA

「Easy」
Hestonプロデュース。コンテンポラリー感のあるアーバン・ミディアム。派手さはありませんが、オトナR&Bな雰囲気に惹かれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QLLMch07vG8

「No Way, No How」
Hestonプロデュース。しっとりと歌い上げるバラード。女性バック・ヴォーカルとの掛け合いが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=TKHJIFFgZHI

「Your Perfume」
Khari Simmonsプロデュース。ドリーミーなメロウ・サウンドとファルセットを駆使したHestonのヴォーカルがフィットしています。
https://www.youtube.com/watch?v=dvvc4NS0JbA

「Radio」
Khari Simmonsプロデュース。Khari Simmonsらしいクリアなメロウ・サウンドをバックに、Hestonがしなやかに歌い上げる素敵なミディアム・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=LlrGRySwT4I

「Sumthing In The Water」
Phil Davisプロデュース。Hestonの丁寧なヴォーカルとコンテンポラリー・サウンドが織り成すグッド・ヴァイヴが心地好いミディアム・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=kwFslQkDYLk

「Brand New You」
Hestonプロデュース。ギターの美しい調べとジェントルなHestonのヴォーカルが優しく包み込んでくれる至極のメロウ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=Pb0Uy4pSMa4

「Dreamy Eyes」
Hestonプロデュース。Angela Johnsonをフィーチャー。Khari Simmonsを中心としたクロスオーヴァーなソウル/ジャズ・ユニットJivaのメンバーPaige Lackey Martinもバック・ヴォーカルで参加しています。AngelaとHestonが情感たっぷりのヴォーカルで魅せる感動的なソウル・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=0z_1S6O2abA

「Feel Like Dancing」
Hestonプロデュース。Yahzarahをフィーチャー。HestonのカリビアンDNAを反映したアイランド・モードのメロウなアコースティック・ソウル。レゲエのラヴァーズ好きの人であれば気に入る1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=7uFLlkpeugM

「Like Sunshine」
Hestonプロデュース。しみじみと歌い上げるアコースティック・ソウルはサンセット・モードにフィットしそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=p4zMdGt-bGA

「Good Morning America」
Hestonプロデュース。アコースティックな楽曲が続きます。ここではシンプルなギター弾き語りを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=KkUV0EvUv_8

「Hello Sunday」
Khari Simmonsプロデュース。子供の笑い声と共にスタートする都会的なソウル・チューン。Khari Simmonsらしいコンテンポラリー・サウンドを楽しめるます。
https://www.youtube.com/watch?v=6X593sGe4gU

「Sunny Days」
Khari Simmonsプロデュース。Khari Simmonsの十八番であるIncognitoライクな清涼ジャズ・ファンク・サウンドを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=bbrwkQL35j8

「Songbirds」
Hestonプロデュース。この年亡くなったキング・オブ・ポップMJへの追悼バラードでアルバムを締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Flns7HfLBX4

ご興味がある方はHestonの他作品もチェックを!

『Warm Human Cold World』(2011年)
Warm Human Cold World

『Love Junkie』(2013年)
Love Junkie

『Transparency』(2016年)
トランスペアレンシー
posted by ez at 01:47| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月20日

Tania Maria『No Comment』

全編スキャットのアーバンなメロウ・ジャズ☆Tania Maria『No Comment』
No Comment
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発表年:1988年
ez的ジャンル:ブラジリアン女性ジャズ・ヴォーカル/ピアノ
気分は... :ノー・コメントで!

今回はブラジルを代表する女性ジャズ・シンガー/ピアニストTania Maria『No Comment』(1995年)です。

これまで当ブログで紹介したTania Maria作品は以下の5枚。

 『Olha Quem Chega』(1971年)
 『Via Brasil vol.1』(1975年)
 『Via Brasil vol.2』(1975年)
 『Brazil With My Soul』(1978年)
 『Forbidden Colors』(1988年)

本作『No Comment』(1995年)は、タイトルの通り、歌詞付きのヴォーカルはなく、全編スキャット・ヴォーカルが占める"ノー・コメント"な1枚に仕上がっています。

上記ジャケは輸入盤ですが、国内盤はU. F. O.(United Future Organization)が主宰していたレーベルBrownswood Recordsからの販売です。

プロデュースは Eric Kressmann

レコーディング・メンバーはTania Maria(vo、key)、Sergio Brandao(b)、Tom Kennedy(b)、Mitch Stein(g)、Ricky Sebastian(ds)、Portinho(ds)、Sammy Figueroa(per)、Don Alias(per)。

全編スキャット・ヴォーカルというスタイルで、見事にTaniaというアーティストの魅力が引き出された、コンテンポラリーなアーバン・ジャズ作品に仕上がっています。ファンキーとメロウの絶妙なバランスが僕好みです。

「Marvin My Love」「Desire」「Jack Hammer」「Bali」といったブラジル色の強い演奏やメロウな演奏が僕のおススメです。

楽曲はすべてTania Maria/Correa Reisのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Pelham Melody」
アーバン・コンテンポラリーなオープニング。Taniaの貫禄のスキャットがいい雰囲気を醸し出します。
https://www.youtube.com/watch?v=EQjdDNcQqSQ

「Liquid Groove」
さり気ないブラジリアン・フィーリングがいい感じのアーバン・ファンキー・メロウ。

「Keep In Mind」
僕好みのパーカッシヴ&メロウ・サウンドを楽しめるブラジリアン・グルーヴらしい演奏です。

「Desire」
Taniaらしい雰囲気のメロウ・チューン。素敵なスキャットでメロウ・ワールドを盛り上げてくれます。

「Marvin My Love」
個人的には一番のお気に入り。メロウなソウル・フィーリングを感じるスキャットとサウンドがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=UGXzLoBUxbg

「Who Knows」
緩急をつけたミディアム・グルーヴ。Taniaの力強いピアノ・タッチが印象的です。

「Jack Hammer」
疾走するブラジリアン・グルーヴ。やはり、こういったブラジル色の強い演奏がいいですね。

「Gotcha」
巧みなスキャットで魅せるコンテンポラリーな演奏です。

「Fanatic」
ジワジワと高揚していく、スケールの大きな楽曲。リズミカルなスキャット・ヴォーカルが映える1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=EOpH0Ju7GCQ

「Bali」
タイトルの通り、バカンス・モードのメロウ・ジャズ・グルーヴです。Taniaらしい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=amTtkBJXzPA

「Something For Now」
ラストは小粋なファンキー・メロウで楽しげに締め括ってくれます。

Tania Mariaの過去記事もご参照ください。

『Olha Quem Chega』(1971年)
Olha Quem Chega

『Via Brasil vol.1』(1975年)
ヴィア・ブラジル

『Via Brasil vol.2』(1975年)
Via Brasil Vol.2

『Brazil With My Soul』(1978年)
Brasil With My Soul

『Forbidden Colors』(1988年)
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posted by ez at 00:11| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月19日

Gene Russell『New Direction』

記念すべきBlack Jazz Records第1弾アルバム☆Gene Russell『New Direction』
New Direction (直輸入盤・帯・ライナー付き)
発表年:1971年
ez的ジャンル:Black Jazz Records系ピアノ・トリオ・ジャズ
気分は... :感動の金メダル!

冬季オリンピック、スピードスケート女性500Mの小平選手の金メダルは、昨日のフィギュア男子に続き、感動的でしたね。

それにしても500Mは競技開始からメダル決定まであっという間でしたね。カーリングのように1試合が長いと疲れますが、反対に全16組の走りが30分強で終わってしまうのも少しあっけないですね。

今回はブラック・ジャズを象徴するレーベルBlack Jazz Recordsの第1弾作品Gene Russell『New Direction』(1971年)です。

ジャズ・ピアニストGene RussellDick Schorylが1969年に設立したブラック・ジャズ専門レーベルBlack Jazz Records。その活動期間は短いものでしたが、印象深いブラック・ジャズ作品を数多く残した伝説のレーベルですね。

本作『New Direction』(1971年)は、レーベル・オーナーGene Russellによる記念すべき初アルバムとなります。

プロデュースはGene Russell本人。

レコーディング・メンバーはGene Russell(p)、Henry Franklin(b)、Larry Gates(b)、Steve Clover(ds)、Tony William(congas)※あの有名ジャズ・ドラマーTony Williamsとは別人です

Black Jazz Records作品として聴くと、レア・グルーヴ度は低く、ブルージーな演奏が多いので少々おとなしい作品に思えるかもしれません。それでもBlack Jazz Recordsの原点に触れることができる作品として興味深く聴くことができます。

個人的にはパーカッシヴな「Black Orchid」、ソウルジャズな「Listen Here」Stevie Wonderの名曲カヴァー「My Cherie Amour」が僕のおススメです。

ブラック・ジャズ好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Black Orchid」
Neal Hefti作。The Three Soundsの演奏でも有名な楽曲ですね。タイトルも含めて初のBlack Jazz Records作品のオープニングに相応しいのでは?パーカッシヴなGeneのピアノに、コンガも加わった軽くラテンの入ったリズミックな演奏が印象的なオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=4sorkhmJjts

「Hitting The Jug」
Richard Carpenter作。ピアノ・トリオによるブルージーな演奏が魅力です。

「Willow Weep For Me」
「柳よ泣いておくれ」の邦題で有名なスタンダード(Ann Ronnell作)をカヴァー。お馴染みのスタンダードをピアノ・トリオらしいブルース・フィーリングで聴かせてくれます。

本曲に関して、当ブログではDexter GordonWynton KellyRed GarlandClifford BrownWes MontgomeryJohn Lewis & Sacha DistelStanley Turrentine with The Three SoundsJohnny Lewis Quartetのヴァージョンを紹介済みです。ご興味がある方はそちらの記事もご参照を!

「Listen Here」
ジャズ・サックス奏者Eddie Harris作品をカヴァー。オリジナルは『The Electrifying Eddie Harris』(1968年)に収録されています。Brian Auger & The Trinityもカヴァーしていた曲です。Henry Franklinが格好良いベースで牽引し、Geneがソウルフルなプレイで応えるピアノBlack Jazz流ソウル・ジャズといった趣の演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=3n6PDm7f1OM

「On Green Dolphin Street」
Ned Washington作詞、Bronislau Kaper作曲のスタンダードをカヴァー。当ブログではWynton Kellyのカヴァーを紹介済みです。それ以外にもMiles DavisSonny RollinsBill EvansRed GarlandEric Dolphyなど数多くのアーティストが取り上げている名曲ですね。軽やかな中にも本作らしいブルージーなテイストが漂います。

「Silver's Serenade」
Horace Silver作品をカヴァー。オリジナルは『Silver's Serenade』(1963年)に収録されています。ブルージーかつ小気味よい演奏が印象的です。

「My Cherie Amour」
Henry Cosby/Sylvia Moy/Stevie Wonder作。Stevie Wonderのお馴染みの名曲をカヴァー。Steve Cloverのドラミングがいいアクセントになっている小粋なグッド・カヴァーです。
https://www.youtube.com/watch?v=m32dM7eScdY

「Making Bread」
Gene Harris作。ラストは少しレイジーなブルース・フィーリングの演奏で締め括ってくれます。

Gene Russellのもう1枚のBlack Jazz Records作品『Talk To My Lady』(1973年)もチェックを!
『Talk To My Lady』(1973年)
Talk To My Lady (直輸入盤・帯・ライナー付き)

他のBlack Jazz Recordsの過去記事もご参照下さい。

Kellee Patterson『Maiden Voyage』(1973年)
メイデン・ヴォヤージュ

Doug Carn『Revelation』(1973年)
Revelation (直輸入盤・帯・ライナー付き)

Henry Franklin『The Skipper at Home』(1974年)
THE SKIPPER AT HOME

Doug Carn『Adam's Apple』(1974年)
ADAMS APPLE
posted by ez at 02:04| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月18日

The Precious Lo's『Too Cool For Love』

カナダのモダン・ファンク・デュオの初フル・アルバム☆The Precious Lo's『Too Cool For Love』
トゥ・クール・フォー・ラヴ
発表年:2018年
ez的ジャンル:カナダ産モダン・ファンク・デュオ
気分は... :ようやく金メダル!

新作アルバムからカナダのモダン・ファンク・デュオThe Precious Lo'sの初フル・アルバム『Too Cool For Love』です。

The Precious Lo'sはカナダ出身のGilbert MasudaNik Timarによるモダン・ファンク・デュオ。Gilbert Masudaは日本人の両親を持つ日系カナダ人です。

2人は元々Circle ResearchというHip-Hop/ブレイクビーツ・ユニットを組んでおり、Circle Research名義で『Mulligan Stew』(2004年)、『Who?』(2008年)といったアルバムをリリースしています。特に『Who?』J Dillaへのオマージュ作品という点で興味深い1枚です。

そのサイド・プロジェクトとしてスタートさせたディスコ/ファンク・ユニットがThe Precious Lo'sです。

話題の日本人クリエイターT-GrooveがフランスのDiggy Down Recordzからリリースしたアルバム『Move Your Body』からのシングル曲「Roller Skate」でフィーチャリングされたことで彼らの存在が大きくクローズ・アップされました。

そんな中でリリースされたThe Precious Lo's名義の初フル・アルバムが本作『Too Cool For Love』です。

ディスコ/ファンク・デュオということで、思わず"カナダ版Tuxedo"と形容したくなりそうですが、中身はアッパーなディスコ・チューンよりもミディアム・ファンク中心の構成であり、Tuxedo好きの方より、Dam Funkあたりが好きの方にフィットする内容です。

個人的にはゲスト参加のTyler Smith絡みの「Without You」「Still The Same (BusCrates 16-Bit Ensemble Remix) 」「Night Ridin」「Fly Away (Tyler Smith Remix)」の4トラックに、このユニットの魅力が凝縮されていると思います。

ど派手なディスコ/ファンク作品という訳ではありませんが、モダン・ファンク好きのハートを射抜く素敵な1枚に仕上がっていると思います。

全曲紹介しときやす。

「Too Cool For Love」
メロウなミディアム・ファンクのタイトル曲でスタート!軽くウォーミングアップといった感じですね。

「More Than Frends」
カナダの女性アーティストMaylee Toddをフィーチャー。ベース・シンセの効いたミディアム・ファンク・サウンドをバックに、Mayleeがキュートなヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=xMV16-6gkEQ

「Without You」
Tyler Smithをフィーチャー。にZapp/Rogerばりの重量ファンクながらもメロディアスなのがいいですね。G-Funk好きの人も気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=DSJN52LSuIY

「Still The Same (BusCrates 16-Bit Ensemble Remix) 」
Tyler Smithをフィーチャー。ローラー・ディスコなミュージック・ヴィデオもグッドなメロウ・ファンク。モダンとレトロの絶妙なさじ加減に脱帽です。
https://www.youtube.com/watch?v=n2Ax-p5SLvE

「Falling For You」
ソフトリーなムードにグッとくるメロウ・チューン。さり気なさがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=PZBhN6_g58c

「Problems」
ベース・シンセの効いた哀愁ミディアム・ファンク。ギター・カッティングの音色が効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=jmWQMdQprmg

「Right Time For Us」
オートチューン・ヴォーカルでスペイシーな雰囲気を醸し出すスロウ・ファンク。
https://www.youtube.com/watch?v=8wHaIKEki_o

「This Is Love (Circle Research Remix) 」
フロア仕様のファンク・サウンドですが、少し単調な気も・・・

「Night Ridin」
Tyler Smithをフィーチャー。「Without You」と同じく、メロディアスな重量ファンクを楽しめるモダン・ファンクの名に相応しいキャッチーな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=acmWgYfsMRk

「Fly Away (Tyler Smith Remix)」
今度はTyler Smithがプロデュース/リミックスしたG-Funk調ディスコ・ファンク。彼らとTyler Smithの相性の良さを実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=43mvq70S8W8

「Thinking」
メロウな哀愁モードにグッときます。J Dillaの影響も感じるトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=VvdDZnNo7mo

「Small Town Girl」
ポップな味わいの1曲。甘酸っぱい雰囲気のサウンドとハイトーン・ヴォーカルがマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=gPWOrpTFrlE

「Older Now」
ノスタルジックな雰囲気を逆手にとった1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=GrOLC6EJFT0

「U Turn Me Up」
ラストはT-Groove『Move Your Body』と同じDiggy Down Recordからシングル・リリースしていたアッパーなディスコ・ファンクで締め括ってくれます。華やかさでいえば、アルバムで随一かもしれません。

ご興味がある方は、Circle Research名義の『Mulligan Stew』(2004年)、『Who?』(2008年)もチェックを!

Circle Research『Mulligan Stew』(2004年)
Cycle Reseach: Mulligan Stew

Circle Research『Who?』(2008年)
Who
posted by ez at 01:29| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする