2018年03月31日

Cannonball Adderley Quintet『Inside Straight』

ジャズ・ファンクが魅力!でもそれだけではない1枚☆Cannonball Adderley Quintet『Inside Straight』
Inside Straight
発表年:1973年
ez的ジャンル:ジャズ巨人系ジャズ・ファンク
気分は... :内角ストレート攻め!

今回はジャズ・サックスの巨人Cannonball Adderley『Inside Straight』(1973年)です。

大物ジャズ・アルトサックス奏者Julian "Cannonball" Adderley(1928-1975年)の紹介は、『Mercy, Mercy, Mercy!』(1966年)、『Cannonball's Bossa Nova』(1962年)、『Love, Sex, And The Zodiac』(1974年)に続き4回目となります。

Fantasyからリリースされた本作『Inside Straight』は、Fantasy Studiosで行われたライブ録音です。

プロデュースはCannonball AdderleyDavid Axelrod

レコーディング・メンバーはCannonball Adderley(as)、Nat Adderley(cornet)、Hal Galper(p)、Walter Booker(b)、Roy McCurdy(ds)というクインテット・メンバーに加え、King Errison(per)がゲスト参加しています。

タイトル曲「Inside Straight」「Snakin' The Grass」といったジャズ・ファンクが本作のハイライトだと思います。

そんなジャズ・ファンクが目玉のアルバムですが、個人的には「Inner Journey」「Saudade」といったラテン/ブラジルな演奏や、「Five Of A Kind」のようなクラブジャズ好きへの訴求力もある演奏にも惹かれます。

その意味では、Cannonball Adderleyの懐の深さを感じる1枚です。

ちなみに不敵な笑みを浮かべるジャケはCD仕様のものです。
LPのオリジナル・ジャケは正直かなりダサいので、このCDジャケこそがCannonballらしい気がします。

全曲紹介しときやす。

「Introduction」
ライブのイントロダクション。

「Inside Straight」
Cannonball Adderley/Nat Adderley作。タイトル曲は本作を象徴するスモーキーなジャズ・ファンク。ゴリゴリとしたファンク・グルーヴをバックに、Adderley兄弟の二管が快調に響きます。
https://www.youtube.com/watch?v=hTTQ-qwV9Pk

Hard 2 Obtain「Local Hero」、Sens Unik「Le Repas」、House of Pain「On Point」、Prime Minister Pete Nice & Daddy Rich「Kick The Bobo」のサンプリング・ソースとなっています。 また、The Dirty Dozen Brass Bandがカヴァーしています。
Hard 2 Obtain「Local Hero」
 https://www.youtube.com/watch?v=C871RQEB-04
Sens Unik「Le Repas」
 https://www.youtube.com/watch?v=cYN7KKBoSfM
House of Pain「On Point」
 https://www.youtube.com/watch?v=Y6LZeoSjvxs
Prime Minister Pete Nice & Daddy Rich「Kick The Bobo」
 https://www.youtube.com/watch?v=kASCG3t-8_k

「Saudade」
Walter Booker作。前曲から一転してメロウなボッサ・ジャズ。『Cannonball's Bossa Nova』がお気に入りの僕は大歓迎な演奏です。

「Inner Journey」
Hal Galper作。Hal Galperのメロウ・エレピとラテン・リズムが印象的な僕好みの演奏です。少しミステリアスな雰囲気もグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=U151vEi6M8Y

Joe Dukie & DJ Fitchie「Seconds」のサンプリング・ソースとなっています。
Joe Dukie & DJ Fitchie「Seconds」
 https://www.youtube.com/watch?v=mrPsDwki7MQ

「Snakin' The Grass」
Hal Galper作。「Inside Straight」と並ぶ格好良いジャズ・ファンク。覚醒的グルーヴはエレクトリック・マイルスに通じる魅力もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=sUJCj6UNPwg

Tha Alkaholiks「Soda Pop」、House of Pain「All That」等のサンプリング・ソースとなっています。
Tha Alkaholiks「Soda Pop」
 https://www.youtube.com/watch?v=DnPSHAEANlo
House of Pain「All That」
 https://www.youtube.com/watch?v=eyd76UIQlpY

「Five Of A Kind」
Nat Adderley作。クラブジャズ好きの人が聴いても気に入りそうな疾走感が格好良い演奏です。Adderley兄弟のプレイもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=UDr20SvIrkQ

「Second Son」
Hal Galper作。開放感と緊張感の入り混じった独特のムードが面白いですね。ラテン風味の隠し味がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=pDeIBa3d2x0

「The End」
Cannonball Adderley/Nat Adderley作。感謝の言葉と共に演奏されるエンディングです。

Cannonball Adderleyの過去記事もご参照ください。

『Cannonball's Bossa Nova』(1962年)
キャノンボールズ・ボサノバ

『Mercy, Mercy, Mercy!』(1966年)
マーシー・マーシー・マーシー

『Love, Sex, And The Zodiac』(1974年)
ラヴ・セックス・アンド・ザ・ゾディアック

また、Cannonball Adderleyの70年代の諸作もチェックを!

『The Price You Got to Pay to Be Free』(1970年)
ザ・プライス・ユー・・トゥ・ペイ・トゥ・ビー・フリー

『The Happy People』(1970年)
ハッピー・ピープル

『The Black Messiah』(1971年)
Black Messiah

Cannonball Adderley, Rick Holmes, The Nat Adderley Sextet『Soul Zodiac』(1972年)
ソウル・ゾディアック

Cannonball Adderley Presents The Nat Adderley Sextet Plus Rick Holmes『Soul Of The Bible』(1972年)
Soul of the Bible

『Pyramid』(1974年)
Pyramid

『Phenix』(1975年)
Phenix
posted by ez at 03:19| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月30日

Maxx Traxx『Maxx Traxx』

レア盤として再評価が高まったアーバン・ファンク作品☆Maxx Traxx『Maxx Traxx』
Maxx Traxx
発表年:1982年
ez的ジャンル:レア系アーバン・ファンク
気分は... :ファンク度マックス!

今回は80年代アーバン・ファンク作品からMaxx Traxx『Maxx Traxx』(1982年)です。

Maxx Traxxは、Stevie Robinson(vo、g)、Terry Marshall(key、syn、vo)、Laurence Dawson(key、vo)、Lee Gatlin(b、vo)、Richie Davis(g)、Malcolm Banks(ds、vo)、Marvin Sparks(per、cymbal)の7人組ファンク・バンド。

Maxx Traxx唯一のアルバムが『Maxx Traxx』(1982年)です。アナログはレア盤として高値が付いていた作品ですが、2007年にCD化が実現し、身近な1枚となりました。

プロデュースはMaxx Traxx自身と元100% Pure PoisonDanny Leake

アルバム全体としては、キャッチーなアーバン・ファンク作品に仕上がっています。

オープニングのアーバン・ディスコ「Don't Touch It !」に本作の魅力が凝縮されていると思います。爽快アーバン・ファンクの「To Be With You」」や「Let's Have A Party」Stevie Wonder風のアーバン・メロウ「You & I」あたりが僕のおススメです。

とりあえず「Don't Touch It !」を聴けば、レア盤として再評価が高まった理由が分かると思います。

全曲紹介しときやす。

「Don't Touch It !」
本作の魅力を象徴するアーバン・ディスコ・ブギーがオープニング。 爽快さとブラックネスを見事にバランスさせたダンス・サウンドがグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=ghfnI1_OUGA

「You & I」
70年代Stevie Wonderをアーバン・メロウにしたようなミディアム・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=M1ehUpAU75c

「Tell Me」
ベースのブリブリ感がたまらないダンス・チューン。キャッチーなファンクネスがこのバンドらしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=qQeHlHurqjw

「Time Has Come」
甘く切ないスロウ・チューン。中盤でのロッキン・ギターが僕にはビミョーですが。
https://www.youtube.com/watch?v=N4FE8jYKIA8

「Let's Have A Party」
タイトルの通り、パーティー・モードの爽快アーバン・ファンクです。オトナのパーティー・モードといった雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=J9T4eIGRORQ

「Living Without You」
素敵なメロウ・バラード。気の利いた鍵盤をバックに、しっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=amx5JVRV6Bc

「To Be With You」
開放的なアーバン・ファンク。肉感のあるファンク・グルーヴとアーバンなシンセの響きのバランスがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=-JGnfNrNAPc

「Let Me Love You」
ラストはシンセ・ポップ調のファンク・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=nJOq9dEVb00

前身バンドThird Railのアルバム『Reachin' For It』(1982年)もCD化して欲しいですね。
posted by ez at 00:47| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月28日

Barbara Acklin『Seven Days Of Night』

永遠の名曲「Am I The Same Girl」収録☆Barbara Acklin『Seven Days Of Night』
セヴン・デイズ・オブ・ナイト
発表年:1969年
ez的ジャンル:Brunswick系レディ・ソウル
気分は... :色褪せない名曲!

今回はシカゴ・ソウルの名門レーベルBrunswickを代表する女性ソウル・シンガーBarbara Acklinの代表作『Seven Days Of Night』(1969年)です。

Barbara Acklin(1943-1998年)はカリフォルニア州オークランド生まれ、シカゴ育ちの女性ソウル・シンガー。

プロデューサーCarl Davisに見出され、シカゴ・ソウルの名門レーベルBrunswickから『Love Makes a Woman』(1968年)、『Seven Days Of Night』(1969年)、『Someone Else's Arms』(1970年)、『I Did It』(1971年)、『I Call It Trouble』(1973年)という5枚のアルバムをリリースしています。その後Capitolからアルバム『A Place in the Sun』(1975年)をリリースしています。

また、作詞家として、Jackie Wilson「Whispers (Gettin' Louder)」、大ヒット曲The Chi-Lites「Have You Seen Her」等を手掛けたことでも知られます。

今回紹介する2ndアルバム『Seven Days Of Night』(1969年)は、彼女の代表曲「Am I The Same Girl」が収録されていることで知られる1枚です。「Am I The Same Girl」は、Swing Out Sisterのカヴァーで知られる名曲と紹介した方がピンと来る方が多いかもしれませんね、

「Am I The Same Girl」は、1968年に全米チャート第3位、同R&Bチャート第3位の大ヒットとなったYoung Holt Unlimited「Soulful Strut」と同トラックのヴォーカル入りヴァージョンとして知られる曲です。

しかし、実際には先にレコーディングされたのは「Am I The Same Girl」であり、そのトラックをベースにピアノを加えたインスト・ヴァージョンとして整え、(Isaac "Redd" HoltやEldee Youngが演奏していないも関わらず)Young Holt Unlimited名義でリリースしたのが「Soulful Strut」でした。

Young Holt Unlimitedの大ヒットを受けて、慌てて「Am I The Same Girl」もシングル・リリースされましたが、結果としてYoung Holt Unlimitedのようなヒットには至りませんでした。(名義だけ使われた)Young Holt UnlimitedとBarbara Acklinの双方にとってスッキリしない話でしが、それでも「Am I The Same Girl」がいつ聴いても色褪せない永遠の名曲であることには変わりません。

さて、話を本作『Seven Days Of Night』(1969年)に戻すと、Carl DavisThe Chi-Litesのリード・シンガーEugene Recordがプロデュースを手掛け、ソングライティングでも貢献しています。

彼らやBarbaraによるオリジナル曲が中心ですが、Dionne Warwickヴァージョンで知られるHal David/Burt Bacharach作品を3曲カヴァーしている点も印象的です。

ハイライトは勿論「Am I The Same Girl」ですが、それ以外であれな、ノーザン・ソウル/R&Bな魅力に溢れた「A Raggedy Ride」「Seven Days Of Night」「Just Ain't No Love」が僕のおススメ。

3曲のBacharachカヴァーを含むポップ・ソウル路線の中では「This Girl's In Love With You」「Until You Return」「Here Is A Heart」「Mr. Sunshine (Where Is My Shadow)」あたりが僕好みです。

Swing Out Sisterの「Am I The Same Girl」しか聴いたことがない方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「A Raggedy Ride」
Barbara Acklin/Carl Davis/Eugene Record作。ファンキーなR&BグルーヴをバックにBarbaraのヴォーカルが弾けるオープニング。とぼけた音色のハモンドも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=2wh8iw6SlyE

「Go With Love」
Hal David/Burt Bacharach作の名曲をカヴァー。オリジナルはDionne Warwick。ポップ・ソウルな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=U9MP-RM9OZg

「Seven Days Of Night」
Carl Davis/Eugene Record作。タイトル曲は僕好みのはつらつとしたキュートさが魅力のノーザン・ソウル調の仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=JBxc9lFAJUc

「Just Ain't No Love」
Carl Davis/Eugene Record作。この曲もノーザン・ソウル調の仕上がり。シングルにもなったキャッチーさがあり、キュートな格好良さにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=I5WcUkVOgFA

「Where Would I Go」
Hal David/Burt Bacharach作の名曲をカヴァー。オリジナルはDionne Warwick。あらゆる意味でDionne Warwickっぽいですね(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=nTp5tl567NQ

「Am I The Same Girl」
Sonny Sanders/Eugene Record作。前述のようにYoung Holt Unlimited「Soulful Strut」のヴォーカル入りヴァージョンです。このイントロを聴いただけで心トキメクものがありますね。そこにBarbaraのヴォーカルが加わると、さらにチャーミングな音世界が広がっていくのがいいですね。時代を超えた普遍的魅力を持った永遠の名曲です!
https://www.youtube.com/watch?v=nZzIl25d6_0

本曲の場合、前述のようにBarbaraやYoung Holt Unlimitedのヴァージョン以上にSwing Out Sisterヴァージョンの知名度が高いでしょうね。僕もSwing Out Sisterで本曲を知った一人です。

それ以外にもDusty Springfield、Salena Jones等がカヴァーしています。インストの「Soulful Strut」のカヴァーまで含めると、さらに多くのアーティストがカヴァーしていますね。また、サンプリング・ソースの場合、元が同じなので「Soulful Strut」ネタと呼ぶべきか、「Am I The Same Girl」ネタと呼ぶべきか、よく分かりません。一般的には先にリリースされた「Soulful Strut」がオリジナル扱いなので、「Soulful Strut」ネタになっているケースが多いと思います。当ブログで以前に紹介したFor Real「Good Morning Sunshine」の場合、「Soulful Strut」ネタとコメントしていました。
Young Holt Unlimited「Soulful Strut」
 https://www.youtube.com/watch?v=yX1XSOzDPik
Swing Out Sister「Am I The Same Girl」
 https://www.youtube.com/watch?v=C3dkLr1yFps
Dusty Springfield「Am I The Same Girl」
 https://www.youtube.com/watch?v=59M_oJaLulE
Salena Jones「Am I The Same Girl」
 https://www.youtube.com/watch?v=QPZSkz1Ua00
For Real「Good Morning Sunshine」
 https://www.youtube.com/watch?v=VD6xOwa6nNc

「Until You Return」
Barbara Acklin/Carl Davis/Eugene Record作。ポップ・ソウル路線のバラードですが、キュートな切なさにグッとくる僕好みの1曲です。

「This Girl's In Love With You」
Hal David/Burt Bacharach作の名曲をカヴァー。オリジナルはHerb Alpert、有名なのはDionne Warwickヴァージョンですね。少しわざとらしい位の艶めかしい歌い回しのポップ・バラードですが、逆にそれが良かったりします(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=bzFmbB1x_Vo

「Here Is A Heart」
Barbara Acklin/Carl Davis/Eugene Record作。本作の中であまり語られることのない1曲ですが、僕はかなり好きです。適度にビートが効いていて、ポップでキュートな魅力に溢れていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Hvez33G1LWc

「Mr. Sunshine (Where Is My Shadow)」
Carl Davis/Eugene Record作。キュートなBarbaraを聴きたいならば、アレンジが冴えているこの曲もおススメ。

「Love Had Come To Stay」
Barbara Acklin/Carl Davis/Eugene Record作。ラストはしっとりとしたバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=8obMplUyBWQ

Barbara AcklinBrunswick時代の他作品もチェックを!

『Someone Else's Arms』(1970年)
サムワン・エルスズ・アームズ

『I Did It』(1971年)
アイ・ディド・イット(期間限定価格盤)

『I Call It Trouble』(1973年)
アイ・コール・イット・トラブル+1
posted by ez at 05:03| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月27日

Johnny Alf『Nos』

後輩アーティストとの交流で生まれた意欲作☆Johnny Alf『Nos』
Nos: Odeon 100 Anos
発表年:1974年
ez的ジャンル:大御所MPB
気分は... :ブレない信念!

今回はブラジルの大物男性シンガー・ソングライターJohnny Alf『Nos』(1974年)です。

ボサノヴァに多大な影響を与えた、リオ・デ・ジャネイロ生まれの男性シンガー/コンポーザー/ピアニストJohnny Alf(本名Alfredo Jose da Silva)(1929-2010年)の紹介は、『Ele E Johnny Alf』(1971年)に続き2回目となります。

本作『Nos』(1974年)は、『Ele E Johnny Alf』(1971年)と並ぶキャリア中期の代表作です。

Egberto GismontiIvan LinsGilberto GilMilton Nascimentoといった後輩アーティストの楽曲を取り上げ、彼らと共演した意欲作ですね。

プロデュースはMilton Miranda。さらに音楽ディレクターとしてMaestro Gayaがクレジットされています。

Arthur VerocaiPaulo MouraWagner TisoEgberto Gismonti等がアレンジを手掛けています。

後輩アーティストや優秀なアレンジャー陣から刺激を受けて、アップデートされたJohnny Alfワールドを楽しませてくれます。秀逸なアレンジが目立つアルバムですが、そんな中でもAlfの味のあるヴォーカルは存在感を示しています。

Milton Nascimento作の「Outros Povos」Ivan Lins作の「Um Gosto De Fim」、Egberto Gismonti作の「Saudacoes」Gilberto Gil作の「Musico Simples」、自作の「Nos」あたりがおススメです。

大御所Johnny Alfの存在感と後輩アーティスト達のアレンジ・センスが見事に融合した名盤だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Saudacoes」
Egberto Gismonti/Paulo Cesar Pinheiro作。軽快なリズムとオーケストレーションをバックに、Alfが味のあるヴォーカルを聴かせてくれます。本作の素晴らしさを象徴するオープニングです。
https://www.youtube.com/watch?v=j0T0IBKJ7GU

「O Que E Amar」
Johnny Alf作。美しいオーケストレーション&ピアノをバックに、Alfがしっとりと歌い上げます。当ブログではRosalia De Souzaのカヴァーも紹介済みです。

「Um Gosto De Fim」
Ivan Lins/Ronaldo Monteiro de Souza作。Ivan LinsらしいメロディとAlfの成熟のヴォーカルがよくマッチした完成度の高い仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=xO1W7pdb-24

「Acorda, Ulysses」
Johnny Alf作。エレガントなアレンジが冴える1曲。そんな素晴らしいサウンドに負けないAlfのヴォーカルの存在感もグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=cKpaIoaJBiQ

「Musico Simples」
Gilberto Gil作。ギターとPaulo MouraのフルートというシンプルなバックがAlfの歌を引き立てます。

「Nos」
Johnny Alf作。オーケストレーションとPaulo Mouraのサックスが織り成す美しいサウンドをバックに、Alfがベテランらしい貫禄のあるヴォーカルで魅せます。
https://www.youtube.com/watch?v=uHM9iRkccvg

「Outros Povos」
Marcio Borges/Milton Nascimento作。素敵なオーケストレーションとミナスらしいエッセンスをうまく融合させたサウンドが絶品です。また、こうしたサウンドにアジャストするAlfのヴォーカルも新境地に挑んでいる感じでグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=Ge_7-1ku2f8

「Plenilunio」
Johnny Alf作。前衛ジャズ的な雰囲気もある演奏に驚かされます。アルバムの中でもユニークかつ刺激的な1曲に仕上がっています。

「E Um Cravo E Tem Espinho」
Gonzaga Junior作。開放感のあるサウンドをバックに、Alfのヴォーカルもリラックスしています。

「Um Tema P'ro Simon」
Johnny Alf作。ラストは軽快かつヴィヴィドなサウンドで締め括ってくれます。Alfは軽くスキャット程度でサウンドを楽しむ1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=29TPf3XeKsk

Johnny Alfの他作品もチェックを!

『Rapaz De Bem』(1961年)
Rapaz De Bem-Colecao 50 Anos De Bossa Nova

『Diagonal』(1964年)
Diagonal-Colecao 50 Anos De Bossa Nova

『Johnny Alf』(1965年)
JOHNNY ALF (IMPORT)

『Ele E Johnny Alf』(1971年)
エリ・エ

『Desbunde Total』(1978年)
Desbunde Total: Arquivo Warner

『Olhos Negros』(1990年)
Olhos Negros: Colecao 50 Anos
posted by ez at 03:39| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月26日

Ralph MacDonald『Just The Two Of Us』

キャリア集大成的なセルフ・カヴァーが魅力!☆Ralph MacDonald『Just The Two Of Us』
ジャスト・ザ・トゥ・オブ・アス
発表年:1996年
ez的ジャンル:アイランド・フュージョン
気分は... :天国に一番近い島...

今回はアイランド/トロピカルなフュージョン・サウンドが魅力の1枚、Ralph MacDonald『Just The Two Of Us』(1996年)です。

今回は偉大なパーカッション奏者/プロデューサーRalph MacDonald(1944-2011年)の紹介は、『Sound Of A Drum』(1976年)、『Port Pleasure』(1998年)に続き3回目になります。

本作『Just The Two Of Us』(1996年)は、10年ぶりの新作『Reunion』(1995年)で復活したRalph MacDonaldの『Reunion』に続くアルバムです。

本作の目玉は、Grover Washington Jr.「Just The Two Of Us」(1981年)、
Roberta Flack & Donny Hathaway「Where Is The Love」(1972年)、Grover Washington Jr.「Mr. Magic」(1974年)といったRalph MacDonald作の名曲のセルフ・カヴァー/セルフ・リメイクです。加えて、彼がプロデュースした渡辺貞夫「Fill Up The Night」(1983年)のカヴァーも収録されています。

その意味では、1枚でRalph MacDonaldのキャリアを振り返ることができるアルバムに仕上がっています。そうした傾向と連動し、ヴォーカル曲が5曲も収録されている点も特徴的です。

プロデュースはRalph MacDonaldWilliam SalterWilliam Eatonの3名。

レコーディングにはRalph MacDonald(congas、bongos、per)以下、Steve Gadd(ds)、Chris Parker(ds)、Anthony Jackson(b)、Abraham Laboriel(b)、Rob Mounsey(key)、Jeff Mirnov(g)、Robert Greenidge(steel drum)、Dennis Collins(vo)、Nadirah Shakoor(vo)、Tom Scott(sax、Yamaha WX7)、Grover Washington Jr.(sax)、Michael Brecker(sax)、Urias "Uncle Bougs" Fritz(per、claves)等のミュージシャンが参加しています。

前述の4曲が目立つアルバムですが、それ以外の演奏も充実しています。ヴォーカル曲であれば、Bill Withersもソングライティングに関与している「With You In My Life」が素晴らしいですね。インスト曲であれば、Grover Washington Jr.をフィーチャーした「Angel」、Robert Greenidgeによるスティールドラムが魅力的な「Charade」「Take A Holiday」がおススメです。

さまざまなRalph MacDonaldワールドを楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Angel」
Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton作。Grover Washington Jr.の素敵なサックスをフィーチャーしたオープニング。彼の朝陽のようなGroverのサックスと、Ralphのコンガの相性は抜群!至極のメロウ・ワールドを展開します。
https://www.youtube.com/watch?v=dfZ1MIrzDnE

「Just The Two Of Us」
Ralph MacDonald/William Salter作。Bill WithersをフィーチャーしたGrover Washington Jr.のクリスタルな大ヒット曲のセルフ・カヴァー。オリジナルは『Winelight』(1980年)収録。ここではDennis Collinsのヴォーカルをフィーチャーし、Tom Scottがサックス・ソロを披露してくれています。オリジナルのようなクリスタルな魅力はありませんが、安らいだ心地好さが魅力のセルフ・カヴァーに仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=32-eVrL4zK0

Grover Washington Jr. feat. Bill Withers「Just The Two Of Us」
 https://www.youtube.com/watch?v=jEy6MGu3bIA

「Charade」
Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton作。Ralphらしい温かみのあるアイランド・サウンドを楽しめるトロピカル・グルーヴ。Robert Greenidgeによるスティールドラム・ソロもサイコー!
https://www.youtube.com/watch?v=Yce6YaUTYmk

「You Do Me So」
Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton/Steve Gadd作。Nadirah Shakoorのヴォーカルをフィーチャー。Jeff Mirnovの味わい深いギター・ソロと共に始まるレゲエ調のミディアム・バラード。のどかなヴァイヴがグッド!

「Where Is The Love」
Ralph MacDonald/William Salter作。Roberta Flack & Donny Hathawayの大ヒット曲であり、Ralph自身も『Sound Of A Drum』(1976年)で取り上げていた楽曲のセルフ・リメイク。オリジナルは『Roberta Flack & Donny Hathaway』(1972年)に収録されています。ここではNadirah Shakoor & Dennis Collinsのデュエットでオリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、メロウネスたっぷりの都会的サウンドで楽しませてくれます。

Roberta Flack & Donny Hathaway「Where Is The Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=MBT1neIA0tc

「Atiba」
Atiba MacDonald/Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton作。Ralphの当時6歳であった息子の名を冠した1曲。その息子Atibaがエレクトリック・ドラムで遊んでいたリズムがベースとなって出来上がった1曲のようです。

「With You In My Life」
Bill Withers/Ralph MacDonald/William Salter/Joseph Brown作。Dennis Collinsのヴォーカルをフィーチャー。彼のヴォーカルが映えるトロピカル・フィーリングの温かみのあるミディアム・バラードです。サンセット・モードにフィットします。Robert Greenidgeのスティールドラムがいいアクセントになっていますね。元Atlantic StarrのSharon Bryantがバック・コーラスで参加しています。

「J'Ouvert Jam」
Robert Greenidge/Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton作。Grover Washington Jr.のサックス、Robert Greenidgeのスティールドラムをフィーチャーしたインスト。本作らしいトロピカルなフュージョン・サウンドを楽しめます。

「Fill Up The Night」
William Eaton作。Ralphがプロデュースし、Grady Tateのヴォーカルをフィーチャーした渡辺貞夫ヴァージョンでお馴染みの人気曲をカヴァー。ここではNadirah Shakoorの艶やかなヴォーカルが絶品のオトナのメロウ・ミディアム・グルーヴに仕上がっています。個人的には本作のハイライト。
https://www.youtube.com/watch?v=hEesVPu4ZWE

渡辺貞夫 feat. Grady Tate「Fill Up The Night」
 https://www.youtube.com/watch?v=wO48PMm6SyE

「Take A Holiday」
Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton/Jimmy Buffett作。タイトルの通り、ホリディ・モードのアイランド・フュージョン。気分は天国に一番近い島といった感じですね!本作への貢献が大きいRobert Greenidgeのスティールドラムですが、彼のスティールドラムを満喫するのであれば、この演奏が一番だと思います。

「Mr. Magic」
Ralph MacDonald/William Salter作。Grover Washington Jr.Roberta Flackが取り上げ、Ralph自身も『Sound Of A Drum』(1976年)で取り上げていた楽曲のセルフ・リメイク。『Mr. Magic』(1975年)に収録されたGrover Washington Jr.ヴァージョンが最も有名ですね。ここではTom Scottのサックスをフィーチャーした硬派なフュージョン・サウンドが印象的なインスト・カヴァーに仕上げています。

Grover Washington Jr.「Mr. Magic」
 https://www.youtube.com/watch?v=2Jvdy6khEmA
Roberta Flack「Mr. Magic」
 https://www.youtube.com/watch?v=loSmp-cUGzQ

Ralph MacDonaldの他作品もチェックを!

『Sound Of A Drum』(1976年)
サウンド・オブ・ア・ドラム[国内プレス盤 / 最新リマスター / 日本語解説付き](CDSOL-5615)

『The Path』(1978年)
ザ・パス[国内プレス盤 / 最新リマスター / 日本語解説付き](CDSOL-5616)

『Counterpoint』(1979年)
カウンターポイント[国内プレス盤 / 最新リマスター / 日本語解説付き](CDSOL-5617)

『Universal Rhythm』(1984年)
Universal Rhythm

『Port Pleasure』(1998年)
ポート・プレジャー

『Trippin'』(2000年)
トリッピン
posted by ez at 00:17| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする