2018年03月26日

Ralph MacDonald『Just The Two Of Us』

キャリア集大成的なセルフ・カヴァーが魅力!☆Ralph MacDonald『Just The Two Of Us』
ジャスト・ザ・トゥ・オブ・アス
発表年:1996年
ez的ジャンル:アイランド・フュージョン
気分は... :天国に一番近い島...

今回はアイランド/トロピカルなフュージョン・サウンドが魅力の1枚、Ralph MacDonald『Just The Two Of Us』(1996年)です。

今回は偉大なパーカッション奏者/プロデューサーRalph MacDonald(1944-2011年)の紹介は、『Sound Of A Drum』(1976年)、『Port Pleasure』(1998年)に続き3回目になります。

本作『Just The Two Of Us』(1996年)は、10年ぶりの新作『Reunion』(1995年)で復活したRalph MacDonaldの『Reunion』に続くアルバムです。

本作の目玉は、Grover Washington Jr.「Just The Two Of Us」(1981年)、
Roberta Flack & Donny Hathaway「Where Is The Love」(1972年)、Grover Washington Jr.「Mr. Magic」(1974年)といったRalph MacDonald作の名曲のセルフ・カヴァー/セルフ・リメイクです。加えて、彼がプロデュースした渡辺貞夫「Fill Up The Night」(1983年)のカヴァーも収録されています。

その意味では、1枚でRalph MacDonaldのキャリアを振り返ることができるアルバムに仕上がっています。そうした傾向と連動し、ヴォーカル曲が5曲も収録されている点も特徴的です。

プロデュースはRalph MacDonaldWilliam SalterWilliam Eatonの3名。

レコーディングにはRalph MacDonald(congas、bongos、per)以下、Steve Gadd(ds)、Chris Parker(ds)、Anthony Jackson(b)、Abraham Laboriel(b)、Rob Mounsey(key)、Jeff Mirnov(g)、Robert Greenidge(steel drum)、Dennis Collins(vo)、Nadirah Shakoor(vo)、Tom Scott(sax、Yamaha WX7)、Grover Washington Jr.(sax)、Michael Brecker(sax)、Urias "Uncle Bougs" Fritz(per、claves)等のミュージシャンが参加しています。

前述の4曲が目立つアルバムですが、それ以外の演奏も充実しています。ヴォーカル曲であれば、Bill Withersもソングライティングに関与している「With You In My Life」が素晴らしいですね。インスト曲であれば、Grover Washington Jr.をフィーチャーした「Angel」、Robert Greenidgeによるスティールドラムが魅力的な「Charade」「Take A Holiday」がおススメです。

さまざまなRalph MacDonaldワールドを楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Angel」
Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton作。Grover Washington Jr.の素敵なサックスをフィーチャーしたオープニング。彼の朝陽のようなGroverのサックスと、Ralphのコンガの相性は抜群!至極のメロウ・ワールドを展開します。
https://www.youtube.com/watch?v=dfZ1MIrzDnE

「Just The Two Of Us」
Ralph MacDonald/William Salter作。Bill WithersをフィーチャーしたGrover Washington Jr.のクリスタルな大ヒット曲のセルフ・カヴァー。オリジナルは『Winelight』(1980年)収録。ここではDennis Collinsのヴォーカルをフィーチャーし、Tom Scottがサックス・ソロを披露してくれています。オリジナルのようなクリスタルな魅力はありませんが、安らいだ心地好さが魅力のセルフ・カヴァーに仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=32-eVrL4zK0

Grover Washington Jr. feat. Bill Withers「Just The Two Of Us」
 https://www.youtube.com/watch?v=jEy6MGu3bIA

「Charade」
Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton作。Ralphらしい温かみのあるアイランド・サウンドを楽しめるトロピカル・グルーヴ。Robert Greenidgeによるスティールドラム・ソロもサイコー!
https://www.youtube.com/watch?v=Yce6YaUTYmk

「You Do Me So」
Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton/Steve Gadd作。Nadirah Shakoorのヴォーカルをフィーチャー。Jeff Mirnovの味わい深いギター・ソロと共に始まるレゲエ調のミディアム・バラード。のどかなヴァイヴがグッド!

「Where Is The Love」
Ralph MacDonald/William Salter作。Roberta Flack & Donny Hathawayの大ヒット曲であり、Ralph自身も『Sound Of A Drum』(1976年)で取り上げていた楽曲のセルフ・リメイク。オリジナルは『Roberta Flack & Donny Hathaway』(1972年)に収録されています。ここではNadirah Shakoor & Dennis Collinsのデュエットでオリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、メロウネスたっぷりの都会的サウンドで楽しませてくれます。

Roberta Flack & Donny Hathaway「Where Is The Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=MBT1neIA0tc

「Atiba」
Atiba MacDonald/Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton作。Ralphの当時6歳であった息子の名を冠した1曲。その息子Atibaがエレクトリック・ドラムで遊んでいたリズムがベースとなって出来上がった1曲のようです。

「With You In My Life」
Bill Withers/Ralph MacDonald/William Salter/Joseph Brown作。Dennis Collinsのヴォーカルをフィーチャー。彼のヴォーカルが映えるトロピカル・フィーリングの温かみのあるミディアム・バラードです。サンセット・モードにフィットします。Robert Greenidgeのスティールドラムがいいアクセントになっていますね。元Atlantic StarrのSharon Bryantがバック・コーラスで参加しています。

「J'Ouvert Jam」
Robert Greenidge/Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton作。Grover Washington Jr.のサックス、Robert Greenidgeのスティールドラムをフィーチャーしたインスト。本作らしいトロピカルなフュージョン・サウンドを楽しめます。

「Fill Up The Night」
William Eaton作。Ralphがプロデュースし、Grady Tateのヴォーカルをフィーチャーした渡辺貞夫ヴァージョンでお馴染みの人気曲をカヴァー。ここではNadirah Shakoorの艶やかなヴォーカルが絶品のオトナのメロウ・ミディアム・グルーヴに仕上がっています。個人的には本作のハイライト。
https://www.youtube.com/watch?v=hEesVPu4ZWE

渡辺貞夫 feat. Grady Tate「Fill Up The Night」
 https://www.youtube.com/watch?v=wO48PMm6SyE

「Take A Holiday」
Ralph MacDonald/William Salter/William Eaton/Jimmy Buffett作。タイトルの通り、ホリディ・モードのアイランド・フュージョン。気分は天国に一番近い島といった感じですね!本作への貢献が大きいRobert Greenidgeのスティールドラムですが、彼のスティールドラムを満喫するのであれば、この演奏が一番だと思います。

「Mr. Magic」
Ralph MacDonald/William Salter作。Grover Washington Jr.Roberta Flackが取り上げ、Ralph自身も『Sound Of A Drum』(1976年)で取り上げていた楽曲のセルフ・リメイク。『Mr. Magic』(1975年)に収録されたGrover Washington Jr.ヴァージョンが最も有名ですね。ここではTom Scottのサックスをフィーチャーした硬派なフュージョン・サウンドが印象的なインスト・カヴァーに仕上げています。

Grover Washington Jr.「Mr. Magic」
 https://www.youtube.com/watch?v=2Jvdy6khEmA
Roberta Flack「Mr. Magic」
 https://www.youtube.com/watch?v=loSmp-cUGzQ

Ralph MacDonaldの他作品もチェックを!

『Sound Of A Drum』(1976年)
サウンド・オブ・ア・ドラム[国内プレス盤 / 最新リマスター / 日本語解説付き](CDSOL-5615)

『The Path』(1978年)
ザ・パス[国内プレス盤 / 最新リマスター / 日本語解説付き](CDSOL-5616)

『Counterpoint』(1979年)
カウンターポイント[国内プレス盤 / 最新リマスター / 日本語解説付き](CDSOL-5617)

『Universal Rhythm』(1984年)
Universal Rhythm

『Port Pleasure』(1998年)
ポート・プレジャー

『Trippin'』(2000年)
トリッピン
posted by ez at 00:17| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする