2018年04月24日

Yolanda Johnson『Breathing』

間口の広い女性R&B/ネオソウル作品☆Yolanda Johnson『Breathing』
Breathing
発表年:2009年
ez的ジャンル:女性R&B/ネオソウル
気分は... :しなやかに生きる!

Yolanda JohnsonはN.Y.ブルックリン生まれの女性R&Bシンガー。

彼女の父親はキーボード奏者で1977年はアルバム『My Music』をリリースしているSamuel Jonathan Johnson
さらにCharlie WilsonをはじめとするThe Gap BandのWilson兄弟を叔父に持つという音楽家系に生まれました。

L.A.に移住後にプロ・シンガーとしてのキャリアをスタートし、2003年にEP「Sweet Yesterday」でデビュー。2006年には1stアルバム『Violet Flower』をリリース。今回紹介する本作『Breathing』(2009年)は2ndアルバムとなります。

アルバムはR&B/ソウル、Hip-Hop、ファンク、ジャズ・ファンク、ジャズ、フュージョン・ソウル、さらにはトライバル&エキゾチックなエッセンスまで取り入れた幅広いサウンドを楽しめる構成になっています。

個人的にはファンク・サウンドを楽しめる「Can't Fight The Feeling」「Music And Faith」、フュージョン・ソウルな「Living」、Hip-Hop調トラックの「When I See You」The O'Jays「Family Reunion」をサンプリングした「Over You」あたりがお気に入りです。

楽曲はすべてYolanda Johnsonのオリジナルです(共作含む)。

意外に間口の広い女性R&B/ネオソウル作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Inhalelude」
懐かしい80'sヒットKajagoogoo「Too Shy」をサンプリングし、甘く危険な香りが漂うオープニング。

「Music And Faith」
スペイシーなシンセ・サウンドが印象的なミディアム・ファンク。Erykah Badu好きの人は気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=cMlQOzKbZRo

「In Need You」
ドリーミー・サウンドをバックに艶めかしく歌い上げるバラード。夢の中のネオソウルといった趣でしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=JWgp5PhW4bk

「Living」
スラップベースの響きが印象的なフュージョン・ソウル。Yolandaのヴォーカル、演奏共に躍動感があっていいですね。

「When I See You」
レトロ・ソウルのエッセンスを取り入れたHip-Hop調トラックがキャッチーなミディアム・グルーヴ。

「Walk Away」
トライバル・リズムを取り入れたエキゾチック・モードのミディアム。不思議なムードが漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=I7Q_sez1Qpw

「Strut」
パワフルなファンク・チューン。ホーン隊を含むファンキー・サウンドをバックに、Yolandaが貫禄のあるヴォーカルで存在感を示します。

「Intervention」
T3のラップをフィーチャー。ノスタルジックなジャズ・サウンドがいいアクセントになっています。

「Exhalude」
夢の中のミステリアス・ワールドといった趣の2分弱の小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=AOvx8G6hRRM

「Over You」
The O'Jays「Family Reunion」をサンプリングしたミディアム・バラード。Yolandaのシンガーとしての魅力を満喫できる1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Nj65qGnA1EU

「Can't Fight The Feeling」
妖しげなファンクネスが支配する中でYolandaが艶やかなヴォーカルを披露します。かなり僕好みの1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=3D_45SRPnLY

「Love Is A Game」
レトロ・ジャジー・サウンドをバックに歌うノスタルジックな仕上がり。

「Lose Control」
ダイナミックなファンキー・サウンドとミステリアス・モードの緩急のコントラストが鮮やかな1曲。なかなか巧みな作りです。

「On The Inside」
ジャズ・ファンク的なアプローチで爽快に疾走します。UKジャズ・ファンクがお好きな人は気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=NJ-o_OP3GxA

「Can't Get You Out Of My Head」
コケティッシュなヴォーカルで歌い上げるバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=QKH3Qd8qwlc

「Breathing」
ラストは妖艶なミディアムのタイトル曲で締め括ってくれます。

『Violet Flower』(2006年)
Violet Flower
posted by ez at 03:29| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月23日

Emilio Santiago『O Canto Crescente De Emilio Santiago』

再評価の高いブラジリアン・メロウ☆Emilio Santiago『O Canto Crescente De Emilio Santiago』
O Canto Crescente de Emilio Santiago
発表年:1979年
ez的ジャンル:オトナ・ブラジリアン・メロウ
気分は... :春の陽気とエレピ・・・

今回はブラジリアン・メロウ作品Emilio Santiago『O Canto Crescente De Emilio Santiago』(1979年)です。

Emilio Santiago(1946-2013年)はリオデジャネイロ生まれの男性シンガー。

70年代前半にレコード・デビュー。その後はコンスタントにアルバムをリリースし、1988年から1995年まで7枚のアルバムに渡った『Aquarela Brasileira』シリーズで成功を収めました。

本作『O Canto Crescente De Emilio Santiago』(1979年)は、Antonio Adolfoらがアレンジを手掛けたブラジリアン・メロウとして再評価の高い1枚です。

プロデュースはSergio De CarvalhoPaulo Lima

アレンジャーはAntonio AdolfoMeirelles

楽曲はサンバ中心のセレクトですが、全体としてはエレピの音色が心地好いブラジリアン・メロウに仕上がっています。アレンジャー2人の貢献が大きいかもしれませんね。アーバンなブラジリアン・ソウル的な味わいもあります。

軽やかなオープニング「Bufete E Cascudo」、穏やかなメロウ・ボッサ「Trocando Em Miudos」、サンバ作品のグッド・カヴァー「Caridade」「Logo Agora」、アーバンなブラジリアン・メロウ「Recado」あたりが僕のおススメです。

エレピの音色が心地好いブラジリアン・メロウをご堪能ください。

全曲紹介しときやす。

「Bufete E Cascudo」
Wagner Dias作。本作らしいメロウ・エレピが心地好いオープニング。軽やかなリズムに乗ったEmilioの楽しげなヴォーカルがアルバムの雰囲気を象徴しています。

「Trocando Em Miudos」
Chico Buarque/Francis Hime作。 オリジナルは『Chico Buarque』(1978年)に収録されています。穏やかなメロウ・ボッサはオトナ・ブラジリアンな感じがいいですね。

「Caridade」
Nelson Cavaquinho/Erminio do Vale作。サンバ重鎮の作品をメロウネスたっぷりに歌い上げます。AOR好きの人も気に入りそうな1曲なのでは?

「Outra Vez」
Isolda作。エレガントなオーケストレーションをバックに優しく歌い上げるメロウ・バラード。

「Logo Agora」
Jorge Aragao作。素敵なサンバ作品をメロウなアレンジで聴かせてくれます。歌良し、曲良し、アレンジ良しで三拍子揃った仕上がりです。

「Recado」
Gonzaguinha作。AOR的な雰囲気のあるアーバンなブラジリアン・メロウに仕上がっています。イントロのメロウ・エレピがたまりません。

「Quase Sempre」
Cacaso/Edu Lobo作。哀愁バラードを憂いのあるヴォーカルで歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=J7mqOu-ave0

「Homenagem Ao Malandro」
Chico Buarque作。オリジナルは映画『Opera Do Malandro』のために書かれた曲であり、『Chico Buarque』(1978年)に収録されています。ここでは軽やかな爽快メロウで聴かせてくれます。アコーディオンの音色がいいアクセントになっています。

「As Rosas Nao Falam」
Cartolaの名曲「沈黙のバラ」をカヴァー。名曲を情感たっぷりに歌います。

「Rola Bola」
Thomas Roth作。ブラジル音楽ならではの洒脱な軽やかさが印象的な仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=G8o6BvXLSAM

「Dores De Amores」
Luiz Melodia作。落ち着いたブラジリアン・メロウですが、味わい深さも忘れていないのがいいですね。

「Amigo E Pra Essas Coisas」
Aldir Blanc/Silvio da Silva Jr. 作。Joao Nogueiraをフィーチャー。ラストは哀愁メロウにJoao Nogueiraの枯れた味わいが加わり、実にいい味わいを醸し出します。

Emilio Santiagoの他作品もチェックを!

『Emilio Santiago』(1975年)
Emilio Santiago

『Comigo E Assim』(1977年)
コミーゴ・エ・アッシン

『Feito Para Ouvir』(1977年)
Feito Para Ouvir by Emilio Santiago (2005-06-30)

『Aquarela Brasileira』(1988年)
Aquarela Brasileira

『Aquarela Brasileira 2』(1989年)
Aquarela Brasileira 2

『Aquarela Brasileira 3』(1990年)
Aquarela Brasileira 3

『Aquarela Brasileira 4』(1991年)
Aquarela Brasileira 4

『Aquarela Brasileira 6』(1993年)
Aquarela Brasileira 6

『Aquarela Brasileira 7』(1995年)
Aquarela Brasileira 7

『Preciso Dizer Que Te Amo』(1998年)
Preciso Dizer Que Te Amo

『Bossa Nova』(2000年)
Bossa Nova

『Dom De Iludir』(2002年)
Dom De Iludir

『De Um Jeito Diferente』(2007年)
De Um Jeito Diferente

『So Danco Samba』(2010年)
SO DANCO SAMBA
posted by ez at 00:33| Comment(2) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月22日

Blue Lab Beats『Xover』

新世代ミュージシャンが多数参加。UKビートメイキング・デュオのデビュー作☆Blue Lab Beats『Xover』
クロスオーヴァー
発表年:2018年
ez的ジャンル:新世代ジャズ系UKビートメイキング・デュオ
気分は... :これぞ新世代サウンド!

新作アルバムから期待のUKビートメイキング・デュオBlue Lab Beatsの1stアルバム国内独自編集盤『Xover』です。

Blue Lab Beatsは、ビートメイカーNK OKことNamali Kwatenと、マルチ・インストゥルメンタル・プレイヤーMr DMことDavid Mrakporという若き才能2人がロンドンで結成したユニット。

Namali Kwatenの父はUKアシッド・ジャズの人気グループD-InfluenceのメンバーであったKwame Kwatenです。現在のKwame Kwatenは注目のUK女性シンガーLaura Mvulaのマネジャーとなっています。

これまで「Blue Skies EP」(2016年)、「Freedom EP」(2017年)という2枚のEPをリリースしてきた彼らが昨年末にデジタル・リリースした1stアルバムが『Xover』です。

今回紹介する国内独自編集盤『Xover』は、オリジナル『Xover』の13曲に「Freedom EP」、「Blue Skies EP」の楽曲を加えた全18曲構成となっています。

本作が注目されるもう1つの要因は、南ロンドンを拠点とするUKジャズ新世代ミュージシャンが大挙して参加している点です。

主なところを挙げると、UKジャズ・バンドEzra CollectiveのメンバーDylan JonesFemi KoleosoMoses Boyd Exodusを率いるロンドンの気鋭ジャズ・ドラマーMoses Boyd、女性サックス奏者Nubya Garcia、ロンドンのアフロビート・バンドKokorokoを率いる女性トランぺッターSheila M.Maurice-Greyと同じくメンバーである女性トロンボーン奏者Richie Seivwright、UKクロスオーヴァー・ジャズ・ユニットTriforceのキーボード奏者Dominic Canning

これらのミュージシャンはGilles Petersonが期待のUKジャズ新世代を集めたコンピ・アルバム『We Out Here』で紹介されています。
『We Out Here』(2018年)
We Out Here

ちなみに先週に最新作『Your Queen Is A Reptile』を紹介したSons Of KemetのリーダーであるUKブラック・ジャズの最高峰Shabaka Hutchingsも『We Out Here』で紹介されています。そういえば、『Your Queen Is A Reptile』には上記ミュージシャンのうち、Moses Boyd、Nubya Garciaが参加していました。

話を本作『Xover』の参加ミュージシャンの話に戻すと、それ以外にNubya Garcia、Sheila M.Maurice-Greyも参加する女性ジャズ・バンドNerija、Triforceとも共演するサックス奏者Kaidi Akinnibi、南ロンドン出身のピアニストAshley HenryやベーシストDaniel Casimir等の新世代ミュージシャンが参加しています。

さらにはRuby FrancisNiCeOthaSoulLala &ceKojey RadicalTiana Major9James VickeryBoitumelo MpyeLouis VIといったシンガー/ラッパーが参加しています。

このように参加ミュージシャンをチェックするだけでも楽しいアルバムですが、中身も南ロンドンの今を感じることができる充実作です。

J Dillaの影響を感じるHip-Hopサウンドやネオソウル調R&Bサウンドとロンドン新世代ジャズ・サウンドをビートメイカーらしいセンスで巧みに融合しています。クラブジャズ、フットワーク、ブロークンビーツ、カリビアン等のエッセンスを取り入れた楽曲があるあたりがロンドンらしいですね。

評論家の中には今ジャズとクラブジャズの間に一線を画し、今ジャズの面白さを主張する人もいますが、個人的には両者を区別すること自体馬鹿らしいと感じていたので、Hip-Hop/R&B、今ジャズ、クラブジャズ全てを飲み込んでしまうBlue Lab Beatsのようなアーティストは大歓迎です。

今のロンドンは興味深い音に溢れていますね。

全曲紹介しときやす。

「Intro」
幻想的なイントロ。

「Tea」
カリビアン系の男性シンガー・ソングライターMelo-Zedのギターをフィーチャー。ジャジーHip-Hop調のメロウなインスト・チューンです。

「Say Yes」
Ruby Francis & Ashley Henryをフィーチャー。キュートなRuby Francisの女性ヴォーカルを生かしたネオソウル調の仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=ViU5xI2E_oQ

「Watch It x Blue Katana」
NiCe & Femi Koleosoをフィーチャー。J Dillaの影響を感じるNK OKのビートメイカーとしてのセンスを楽しめるトラックです。

「Dome」
ロンドンのHip-HopユニットOthaSoulのラップとDaniel Taylorのトークボックスをフィーチャー。J Dilla調ビート+トークボックス入りシンセ・ファンクな仕上がりは、UK版"Robert Glasper Experiment"といった趣です。
https://www.youtube.com/watch?v=LH4awKOWBlc

「Xover」
タイトル曲はMoses Boydをフィーチャー。スリリングなMoses Boydのドラミングを満喫できる短いインスト。

「Pineapple」
Moses Boyd & Nerijaをフィーチャー。カリビアン・テイストのレイドバック感が心地好いトロピカル・ジャズで和ませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=2ScpnUpCsM4

「Pina Colada」
Nubya Garciaのサックス、Richie Seivwrightのトロンボーンをフィーチャー。この曲もカリビアン・テイストですが、フューチャリスティックな雰囲気が加わったロンドンらしいサウンドを楽しめます。

「8O8」
Sheldon Agwu、Terry Smiles、Lala &ceをフィーチャー。Lala &ceの妖艶なヴォーカルが映える先鋭的なジャズ・サウンドはクラブジャズ好きの人も気に入るはず!

「Run Away」
Kaidi Akinnibiのサックスをフィーチャー。フットワーク調のトライバルなアッパー・サウンドで駆け抜けるロンドン新世代らしい仕上がり。

「Timeless」
Daniel Taylor、Dominic Canning、Dylan Jones、Ashley Henryをフィーチャー。トークボックス入りのAOR調メロウ・サウンドはThundercat『Drunk』あたりに通じるアプローチです。

「Sam Cooke & Marvin Gaye」
「Freedom EP」収録曲。Kojey Radical、Tiana Major9をフィーチャー。偉大なソウルマン2人を冠したタイトルですが、ネオソウル調のドリーミー・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=wEds2YR6QOA

「Blue Skies」
「Blue Skies EP」収録曲。Ashley Henry、Piers Haynes、Daniel Casimir、William Francis、Sheila M.Maurice-Greyをフィーチャー。Hip-Hop世代のジャズ・サウンドという点では"ロンドン新世代からUS今ジャズへの返答"とでも呼びたくなるインストです。
https://www.youtube.com/watch?v=xsTp_29XkW8

「My Dream」
James Vickeryをフィーチャー。このユニットの新世代らしいサウンド・センスを楽しめるR&Bチューン。ドリーミーな浮遊感が僕好みです。
https://www.youtube.com/watch?v=_k4TxTJsgt8

「Oooo Lala」
Kaidi Akinnibiをフィーチャー。メロウな中にも新世代ジャズらしさを感じるインスト。Roy Ayers調のヴァイヴの音色が心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=zgRqpvGan0k

「Outro」
Daniel Taylorをフィーチャー。本編の余韻を楽しめるアウトロ。

ここからの2曲はボーナス・トラック扱い。

「Sweet Thing」
「Blue Skies EP」収録曲。Boitumelo Mpyeのキュートな女性ヴォーカルが映えるスウィートなネオソウル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=f1CoLPDhYmM

「Freedom」
「Freedom EP」収録曲。Feat.Louis VIをフィーチャー。ジャズ・フィーリングのHip-Hopチューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QWl8YR6dlHI

ご興味がある方は本作に参加しているEzra Collectiveあたりの作品もチェックしてみては?

Ezra Collective『Chapter 7 + Juan Pablo: The Philosopher』(2017年)
Chapter 7 + Juan Pablo: The Philosopher [日本限定独自企画盤]
posted by ez at 01:47| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月20日

The Ritchie Family『I'll Do My Best』

Jacques Fred Petrusプロデュースのアーバン・ファンク☆The Ritchie Family『I'll Do My Best』
ドゥ・マイ・ベスト(期間生産限定盤)
発表年:1982年
ez的ジャンル:N.Y.アーバン・ファンク
気分は... :焼き筍とみぞれ酒!

昨晩は焼き筍を肴にみぞれ酒で一杯、〆は稲庭うどんをふきのとう入りのつけ汁で食し、春の味を満喫しました。いやぁ、大満足!

今回は80年代アーバン・ファンクからThe Ritchie Family『I'll Do My Best』(1982年)です。

The Ritchie Familyは1975年にフィラデルフィアで結成された黒人女性ヴォーカル・グループ。

結成時のメンバーはGwendolyn OliverCassandra Ann WootenCheryl Mason Jacksの3名。
グループ名は結成の仕掛人であるプロデューサーRichie Romeの名に因んだものです。

グループはフランス人ディスコ・プロデューサーJacques Moraliの下で、
「Brazil」(ブラジル名曲「Aquarela do Brasil」のカヴァー)、「The Best Disco in Town」といったヒットで人気を博しましたその後もメンバー・チェンジを経つつ、ディスコ/ダンス・ヒットを放っています。

アルバムとしては『Brazil』(1975年)、『Arabian Nights』(1976年)、『Life Is Music』(1977年)、『African Queens』(1977年)、『American Generation』(1978年)、『Bad Reputation』(1979年)、『Give Me a Break』(1980年)、『I'll Do My Best』(1982年)、『All Night All Right』(1983年)という合計9枚のアルバムをリリースしています。

Jacques Moraliによるディスコ・グループという印象的が強いThe Ritchie Familyですが、本作『I'll Do My Best』(1982年)ではJacques Moraliと袂を分かち、新たにN.Y.ディスコ/ファンク・ユニットChangeを手掛けたことで知られるイタリア人プロデューサーJacques Fred Petrusにプロデュースを委ねています。

本作におけるメンバーはJacqui Smith-LeeTheodosia 'Dodie' DraherVera Brownという3名。

アレンジはGiuliano Salerniが手掛け、Fonzi Thorntonが共同プロデューサーとしてクレジットされています。

本作の最大の魅力はタイトル曲「I'll Do My Best (For You Baby)」をはじめ、「One And Only」「This Love's On Me」「Alright On The Night」「You've Got Me Dancin'」といったN.Y.サウンドを満喫できるアーバンなディスコ/ファンクです。

加えて、「Walk With Me」「You Can Always Count On Me」といったメロウ系もかなり秀逸です。

他のThe Ritchie Family作品とは区別して、Jacques Fred PetrusプロデュースのN.Y.アーバン・ディスコ/ファンクとして捉えた方が楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「I'll Do My Best (For You Baby)」
Alfonso Thornton/Giuliano Salerni/Mauro Malavasi作。シングル・カットされ全米R&Bチャート第27位となったタイトル曲。本作らしいN.Y.アーバン・ブギーに仕上がっています。思わずChangeとセットで聴きたくなる魅惑のN.Y.サウンドです!
https://www.youtube.com/watch?v=GljY6zNoefw

「This Love's On Me」
Jerry Marcellino作。Nile Rodgers調のカッティング・ギターとシンセの音色の組み合わせがグッドな爽快アーバン・ディスコ。暑苦しくなく実にスマートなのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=jJ4eVbXXbKg

「One And Only」
Zenobia Conkerite作。N.Y.らしいサウンド・センスを感じるモダン・ファンク。ディスコ/ファンク系で一番好きかも?
https://www.youtube.com/watch?v=MGLwk3vJsBY

The Mighty Zaf & Phil Asher「1981」のサンプリング・ソースとなっています。
The Mighty Zaf & Phil Asher「1981」
 https://www.youtube.com/watch?v=0-5dHWa8gKk

「You Can Always Count On Me」
Herb Smith/Winston Gay作。素敵なメロウ・ミディアム。サンセット・モードでロマンティック・ムードを盛り上げてくれるはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=avd_2ggLiXk

Saint Pepsi 「Friends」のサンプリング・ソースとなっています。
Saint Pepsi「Friends」
 https://www.youtube.com/watch?v=fFegwIdcul0

「Walk With Me」
Greg Mathieson/Trevor Veitch作。AOR好きも気に入るであろうメロウ・バラード。浜辺のAORサウンドといった趣はBobby Caldwellあたりとセットで聴いてもフィットするのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=mP1adkQdxPs

「Alright On The Night」
David Rose作。Change好きの人は「A Lover's Holiday」の姉妹曲とでも呼びたくなる思わずニンマリの1曲ですね。勿論、「A Lover's Holiday」大好きな僕はWelcomeです。
https://www.youtube.com/watch?v=TJ2qoU2sf58

「Tonight I Need To Have Your Love」
Herb Smith作。ベースの重低音が響くアーバン・ファンク。80年代前半らしいメロディ、サウンドが初めて聴くのに懐かしい感覚になってしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=E4CYvGqKeLk

「You've Got Me Dancin'」
Herb Smith作。ラストはアーバンなディスコ・ファンクで締め括ってくれます。個人的にはThe S.O.S. Band「Just Be Good To Me」Chic調にアップテンポにした!なんて妄想も・・・(リリーズ時期的にコチラが先ですが)。
https://www.youtube.com/watch?v=2nouhClakr0

The Ritchie Familyの初期作品について興味がある方は、とりあえずベスト盤でチェックしてみては?

『The Best of The Ritchie Family: Best Disco in Town』(1994年)※ベスト盤
Best Disco in Town: Best of

『Bad Reputation』(1979年)
Bad Reputataion

『All Night All Right』(1983年)
All Night All Right
posted by ez at 00:21| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月19日

New Jersey Kings『Party To The Bus Stop』

JTQの変名バンドの1stアルバム☆New Jersey Kings『Party To The Bus Stop』
new jersey kings party to the bus stop.jpg
発表年:1992年
ez的ジャンル:UKアシッド・ジャズ系変名バンド
気分は... :コレはジャケ買いでしょ!

今回はUKアシッド・ジャズ作品からNew Jersey Kings『Party To The Bus Stop』(1992年)です。

New Jersey KingsはUKアシッド・ジャズの人気グループThe James Taylor Quartetの変名バンド。

ニュージャージーのEarphone Recordsに埋もれていたファンキー・オルガン・グルーヴのレア音源を発掘!という設定です。

New Jersey Kings名義で『Party To The Bus Stop』(1992年)、『Stratosphere Breakdown』(1995年)、『Uzi Lover』(2001年)という3枚のアルバムをリリースしています。

特に1stアルバムとなる本作『Party To The Bus Stop』(1992年)は、Miles Davis『On The Corner』(1972年)からインスパイアされたジャケで思わずジャケ買いしたくなる1枚ですね。ちなみにジャケ・デザインを手掛けたのはMother EarthMatt Deightonです。

Miles Davis『On The Corner』(1972年)
オン・ザ・コーナー

アルバム全体としては、初期The James Taylor Quartetのサウンドを70年代ジャズ・ファンク寄りにしたような全曲インストの内容です。

改めて聴くと、わざわざ変名バンド名義ではなくJTQ名義でも良かったのでは?とも思いますが、
初期のモッド・ジャズなアプローチから90年代初めにはヴォーカルやプログラミングも取り入れてクラブミュージック的なアプローチを試みるなどJTQが試行錯誤を続ける中で、純粋に自分たちの好きな音を演奏できる変名バンドの受け皿が必要だったのかもしれませんね。

Melvin Sparksのカヴァー「All Wrapped Up」以外はオリジナルです。

とりあえずジャケにピンと来た方はサウンドもチェックを!

全曲紹介しときやす。

「The Monkey Drop」
New Jersey Kingsの幻の7"シングルという設定のオープニング。リラックスしたジャズ・ファンク。現行ジャズ・ファンクに通じる魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=7ea9Z2UcCrY

「Get Organized」
軽やかな躍動感が心地好い演奏です。涼しげなフルートの音色がいいアクセントになっていますし、格好良いドラム・ブレイクにもグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=64NGkxx7E70

「Solid」
タメの効いたジャズ・ファンク・サウンドが醸し出す余裕がいいですね。JTQメンバーが変名バンドでの演奏を楽しんでいる様子が伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=Ufh_rcdKvWs

「Sweet Cakes」
オルガン・ジャズ・ファンクとしての格好良さを存分に堪能できる演奏です。現行ジャズ・ファンク好きの人も気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=avjOCHvy0d0

「Sweet Shirley」
格好良いブレイクと共にスピーディーに疾走します。JTQのモッドな格好良さをジャズ・ファンク風に表現してみました!って感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=HimxEyBjyFM

「The Latin One」
タイトルの通り、ラテン・フレイヴァーの小粋な仕上がりです。この変名バンドの設定とは少し外れている気もしますが、ラテン好きの僕にはフィットするサウンドです。
https://www.youtube.com/watch?v=INkNipiAWuQ

「All Wrapped Up」
Melvin Sparksのカヴァー。オリジナルは『Akilah!』(1972年)に収録されています。グルーヴィー・オルガン・ジャズですが、Melvin SparksカヴァーということでDavid Taylorのギターも目立っています。
https://www.youtube.com/watch?v=oC_x6YY86fE

「Charlies Groove」
本作らしい余裕たっぷりのオルガン・ジャズ・ファンクを聴かせてくれます。改めて、JTQのインスト・バンドとしての魅力を実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=HvA_HJNF5wQ

「Solid (Alternative Take)」
「Solid」の別テイク。

New Jersey Kingsの他作品もチェックを!

『Stratosphere Breakdown』(1995年)
STRATOSPHERE BREAKDOWN

『Uzi Lover』(2001年)
new jersey kings uzi lover.jpg

JTQの過去記事もご参照ください

『Mission Impossible』(1987年)
Mission Impossible

『Supernatural Feeling』(1993年)
Supernatural Feeling

『In The Hand Of The Inevitable』(1995年)
In the Hand of the Inevitable
posted by ez at 01:44| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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