2018年04月12日

Jesse Boykins III & MeLo-X『Zulu Guru』

R&B/Hip-Hopの新たな方向性を示した1枚☆Jesse Boykins III & MeLo-X『Zulu Guru』
Zulu Guru [帯・解説付き・国内盤仕様 / 輸入盤] (BRZN191)
発表年:2012年
ez的ジャンル:新世代R&B/Hip-Hop
気分は... :真理はどこに・・・

今回はカリスマ的存在感を放つ男性R&BアーティストJesse Boykins IIIがN.Y.出身のDJ/プロデューサー/ラッパーMelo-Xと共同名義でリリースしたアルバムJesse Boykins III & MeLo-X『Zulu Guru』(2012年)です。

1985年シカゴ生まれの男性R&BアーティストJesse Boykins IIIの紹介は、Machinedrumがプロデュースした『Love Apparatus』(2014年)に続き2回目となります。

Ninja Tuneからリリースされた本作『Zulu Guru』(2012年)はリリース当時からR&B/Hip-Hopの新たな方向性を示したアルバムとして評価が高かった1枚ですね。

Jesse Boykins III自身は自らの音楽を"ワールド・ソウル"と称しているようであり、本作もアルバム・タイトルにはアフリカ、神秘的なジャケットにはアジアを感じます。実際のサウンドにもアフリカ、アジアのエッセンスを感じる楽曲があります。

Jesse Boykins IIIMelo-X以外にAfta-1Gora SouA.CHALTrackademicsBig MonoJ.MostAngoがサウンドを手掛けています。

『Jazz The New Chapter』方面からも注目度が高い男性R&BシンガーChris Turnerをはじめ、Trae HarrisMorufJoe KennethMara HrubryAngoKesedStreet Etiquetteといったアーティストがフィーチャリングされています。

Chris Turner、Moruf、Street EtiquetteはJesse Boykins IIIが主宰するアート・コレクティヴThe Romantic Movementのメンバーでもあります。ちなみに本作のソングライティングは全てThe Romantic Movement名義です。

フューチャリスティック&コズミックなエレクトリック・サウンドとジャケ・イメージそのままの神秘的な雰囲気を融合させたサウンドで独自の音世界を切り拓いているのが魅力的です。

D'AngeloSteve Spacekを引き合いに出されることも多かった本作ですが、確かにD'Angeloのカリスマ性とSteve Spacekのフューチャリスティックな斬新さを持ち合わせた1枚かもしれません。

アートや美学を感じる新世代R&B/Hip-Hop作品です。

全曲紹介しときやす。

「Zulu Guru (Part I)」
Trae Harrisをフィーチャー。ズールーについて語るアルバムのイントロ。

「I'm New Here」
MeLo-Xがトラックを手掛けた哀愁モードのエレクトリック・ソウル。フューチャリスティックで神秘的な音世界に引き込まれます。

「Black Orpheus」
Afta-1がサウンドを手掛けたアルバムからのリード・シングル。アフロ・パーカッシヴ&コズミックなトラックの中でJesseのヴォーカルが浮遊し、MeLo-Xのラップがパーカッシヴ・リズムとシンクロします。
https://www.youtube.com/watch?v=JpxsRwnRwCQ

「Change Of Heart」
Chris TurnerとニュージャジーのラッパーMoRufをフィーチャー。ギターが織り成すビューティフル・サウンドとChris Turnerのファルセット・ヴォーカルが夢心地の気分にさせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=jBebA-KGzCc

「Broken Wings」
元々MeLo-X『More Merch』(2010年)に収録されていた楽曲。 MeLo-Xによる幻想的でフューチャリスティックなトラックが冴えます。MeLo-Xのキレのあるラップもグッド!

「Schwaza」
Joe Kennethによるスポークン・ワードをフィーチャー。タイトルはJesseらによる造語であり、正しく理解すること、感謝することを意味するらしいです。

「The Perfect Blues」
Jesse Boykins IIIがGora Souと制作した楽曲。来日中に鎌倉の大仏、寺、神社で撮影されたPVも印象的です。幻想的なミディアムR&Bですが、東洋哲学の影響もあるのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=qzIPPKPtAJ8

「Searching Her Ways」
A.CHALがサウンドを手掛けています。ダイナミズムのある近未来的エレクトリック・ソウルは僕好みのダンサブルな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=4amhAERSHvs

「Primal Chance」
Mara Hrubryの女性ヴォーカルをフィーチャー。Trackademicsがサウンドを手掛け、リズミックなエレクトリック・サウンドとヴォーカルワークが絶妙にマッチした完成度の高い1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=c86j3P1Ita4

「Strange Recreation」
Big Monoがサウンドを手掛けています。タイトルの通り、不思議な音世界に引き込まれるコズミック&ダビーなミディアム・チューン。

「Tribe Of Stafa」
J.Mostがサウンドを手掛けています。ストリングスによるイントロを切り裂くようにトライバル・リズムとMeLo-Xのラップが駆け抜けていきます。

「Better For You (Remix)」
カナダ出身のシンガー/プロデューサーAngoをフィーチャー。リズミックなエレクトリック・サウンドが神秘的な音世界を構築します。

「Outta My Mind」
再びChris Turnerをフィーチャー。東洋哲学の影響も感じる内省的な1曲に仕上がっています。

「Zulu Guru (Part II)」
Kesedをフィーチャー。ズールーについて語るパート2。

「Schwaza Culture」
Street Etiquetteをフィーチャー。再びSchwazaがタイトルに登場します。MeLo-Xが手掛ける壮大かつダンサブルなエレクトリック・サウンドが格好良いです!

Jesse Boykins IIIの他作品もチェックを!

『The Beauty Created』(2008年)
The Beauty Created

『Love Apparatus』(2014年)
LOVE APPARATUS [国内盤/解説付/ボーナス・トラック3曲収録]
posted by ez at 02:53| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月11日

Ren Woods『Out of the Woods』

Al McKayプロデュースの女性ディスコ作品☆Ren Woods『Out of the Woods』
フローム・アウト・オブ・ザ・ウッズ(期間限定価格盤)
発表年:1979年
ez的ジャンル:ミュージカル女優系メロウ・ディスコ
気分は... :お疲れモードを吹き飛ばす!

ここ数日根詰めて仕事をした反動から少しお疲れモード。
こんなときにはキュートな女性ヴォーカルで気分を盛り上げたい・・・

セレクトしたのは70年代後半の女性ディスコ作品、Ren Woods『Out of the Woods』(1979年)です。

Ren Woodsは1958年生まれの女優/シンガー。

10代前半にティーン・ヴォーカル・グループSunday's Childのメンバーとして活動し、アルバム『Sunday's Child』(1970年)もリリースしています。

その後はミュージカルを中心に女優として活動し、映画『Car Wash』(1976年)、TVドラマ『Roots』(1977年)、ミュージカル映画『Hair』(1979年)、Olivia Newton-John主演の映画『Xanadu』(1980年)、コメディ映画『Nine to Five』(1980年)等の話題作に出演しています。

シンガーとしても『Out of the Woods』(1979年)、『Azz Izz』(1982年)という2枚のアルバムをリリースしています。

1stアルバムとなる本作『Out of the Woods』(1979年)は、Earth, Wind & FireAl McKayがプロデュースしたアルバムとしても再評価されている1枚です。

Al McKayに加えて、Jon Lindが共同プロデューサーとしてクレジットされています。

レコーディングにはAl McKay(g)、James Jamerson Jr.(b)、Leon Sylvers(b、back vo)、Ed Greene(ds)、James Gadson(ds)、Jeff Porcaro(ds)、David Williams(g)、Marlo Henderson(g)、Clydene Jackson(key、back vo)、Gene Dozier(key)、Joey Gallo(key)、Tennyson Stevens(key)、Bruce Malament(syn)、Joe Clayton(per)、Paulinho Da Costa(per)、Victor Feldman(per)、Harvey Mason(per)、Jon Lind(back vo)、Julia Tillman Waters(back vo)、Maxine Willard Waters(back vo)、Kevin Spencer(back vo)、Stephanie Spruill(back vo)、The Jones Girls(back vo)等のミュージシャンが参加しています。

シングルになった「Everybody Get Up」「Sticks And Stones」をはじめ、「I Love The Way You Do It」「Hooked On A Love Groove」「Straight To Love」といったキャッチーなディスコ・チューンが魅力のアルバムです。しかもタイプの異なるディスコ・サウンドでバリエーションをつけているのがいいですね。

快晴の浜辺にRenが裸足で佇むジャケもいいですね。

ディスコ・サウンドをバックにキュートに弾けるRenのヴォーカルを聴けば、お疲れモードが吹っ飛ぶかな・・・

全曲紹介しときやす。

「Hooked On A Love Groove」
Al McKay/Glenn Barbee作。The Emotionsに通じる魅力を持ったオープニング。キャッチーなダンス・サウンドをバックにRenのヴォーカルが躍動します。
https://www.youtube.com/watch?v=UobCoHvBT7g

「I Love The Way You Do It」
Al McKay/Harold Payne作。Chic調のディスコ・チューン。軽快なギター・カッティングと共にRenのヴォーカルが疾走します。僕の一番のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=dvd4V-v5f7c

「I Need Someone To Touch Me」
Allee Willis/Jon Lind作。オーセンティックなバラードをミュージカル女優らしく堂々と歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=VSncdkBG2hE

「Sticks And Stones」
Al McKay/Allee Willis/Jon Lind作。軽快なディスコ・チューン。シングルにもなりました。小気味いいアゲアゲ感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=mp6gjHJiM50

「Everybody Get Up」
Al McKay/Harold Payne作。シングルにもなったディスコ・ソウル。哀愁ディスコ・サウンドとEW&Fテイストの融合がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=SJNhzw3C9v8

「Sweeter As The Day Goes By」
Al McKay/Joey Gallo作。エレガントなストリングス・アレンジが印象的なダンス・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=suRwaoVMkwc

「I'm In Love With You」
Larry John McNally作。シングルにもなったメロウ・バラード。キュートなヴォーカルが映える1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=TvuhbQRqYAU

「Straight To Love」
Dan Greer/Jeff Wilson作。ラストはミラーボールが似合いそうな70年代らしいエレガントなディスコ・サウンドで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=RYsDl59n2zE

CDにはボーナス・トラックとして、「Everybody Get Up (12" Mix)」「Everybody Get Up (Instrumental)」「Straight To Love (7" Mix)」の3曲が追加収録されています。

2ndアルバム『Azz Izz』(1982年)もチェックを!

『Azz Izz』(1982年)
アズ・イズ
posted by ez at 01:58| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月09日

Jackson Sloan『Old Angel Midnight』

Snowboyプロデュースの男性ジャズ・ヴォーカル作品☆Jackson Sloan『Old Angel Midnight』
オールド・エンジェル・ミッドナイト
発表年:1989年
ez的ジャンル:UKアシッド・ジャズ前夜
気分は... :Million Secrets of Jazz!

本当は遂にCD化が実現したブラジリアン・フォーキーEdu Passeto & Gui Tavares『Noite Que Brincou De Lua』(1981年)を紹介したかったのですが、Amazonでの扱いがないため泣く泣く断念!

急遽変更して、UKアシッド・ジャズ前夜にリリースされた男性ジャズ・ヴォーカル作品Jackson Sloan『Old Angel Midnight』(1989年)を紹介します。

Jackson Sloanは、アシッド・ジャズ以前のUKで"踊れる"ジャズ・バンドRent Partyを率いていた男性ジャズ・ヴォーカリスト。

そんなJackson Sloan唯一のソロ・アルバムが本作『Old Angel Midnight』(1989年)です。アシッド・ジャズを牽引することになるパーカッション奏者Snowboyがプロデューサーを手掛けています。

Snowboyプロデュースということでアシッド・ジャズ的な音をイメージするかもしれませんが、実際の音はアシッド・ジャズ前夜のUKダンシング・ジャズであり、モッド・ジャズな魅力もあります。主役Jackson Sloanのヴォーカルは決して上手いとは言えませんが、雰囲気で聴かせるセンスに好感が持てます。Georgie Fameあたりに通じるものがあります。

レコーディング・メンバーはJackson Sloan(vo)以下、Mark Fitzgibbon(p、el-p、org)、Martin Klute(b)、Graeme Culham(ds)、Snowboy(congas)、Dick Pearce(tp、flh)、Dick Morrissey (ts)、Pete King(as)、Anthony Kerr(vibe)、Kim Burton(accordion)、John Mayer(violin)、Mari Wilson(vo)。

ハイライトとなる人気ダンシング・ジャズ「Devil May Care」、モッド・ジャズな「Jack Kerouac Said」、小粋なスウィンギン・ジャズ「Bernie's Tune」、グルーヴィー・オルガン・ジャズ「Walk On The Wild Side」Snowboyらしいラテン/ボッサ・フィーリングの「Spiderman」「So Many Times」、ブルース調の「One And All Blues」あたりが僕のおススメです。

アシッド・ジャズとは異なる80年代後半のUKならではの"踊れる"ジャズを楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Devil May Care」
おススメその1。本作のハイライトはBob Dorough作品のカヴァー。Bob Doroughのオリジナルは『Devil May Care』(1956年)に収録されています。ここではスウィンギーなダンシング・ジャズに仕上がっています。オリジナル・ラヴ「Million Secrets of Jazz」の元ネタとしてお馴染みJohnny Lytle「Selim」Miles Davis「Milestones」を合体させたイントロのヴァイヴがたまりませんね。終盤にはMiles Davis「So What」ネタも聞こえてきます。。
https://www.youtube.com/watch?v=0D1b6YKlCak

「So Many Times」
おススメその2。Ruth Rogerswright作。Snowboyプロデュースらしいラテン/ボッサ・ジャズのエッセンスを取り入れた小粋な仕上がり。

「Old Angel Midnight」
Jackson Sloan作。ブルージーなスロウ。印象的なエレピをはじめバッキングのセンスがグッド!

「One And All Blues」
おススメその3。Jackson Sloan作。モッド・ジャズな雰囲気が格好良いブルース。アシッド・ジャズ前夜のUKジャズ感があっていいですね。

「We'll Be Together Again」
Carl Fischer/Frankie Laine作のスタンダードをカヴァー。最近Aura Urziceanuのカヴァーを紹介したばかりですね。スタンダード感のあるピアノ・バラードに仕上がっています。

「Jack Kerouac Said」
おススメその4。Jackson Sloan作。モッドな格好良さを感じるスウィンギン・ジャズ。Sloanにはこういう曲が似合います。

「Spiderman」
おススメその5。Freddie McCoyのカヴァー。オリジナルは『Spider Man』(1966年)に収録されています。ヴァイヴとSloanのヴォーカルが一体となって疾走するダンシング・ラテン・ジャズ。このあたりはモロにSnowboyワールドですね。
https://www.youtube.com/watch?v=NnnhBHMPYj4

「Caravan」
Duke Ellington楽団でお馴染みのアフロ・キューバン・ジャズ名曲をカヴァー(Duke Ellington/Juan Tizol作)。当ブログではNicola ConteGabor Szaboのカヴァーも紹介しています。ここでは80年代UK好きにはお馴染みの女性シンガーMari Wilsonが参加しています。Martin Dennyに通じるエキゾチックな雰囲気が印象的です。

「Bernie's Tune」
おススメその6。Bernie Miller作。本作らしい美学が貫かれた小粋なスウィンギン・ジャズ。Jackson Sloanの魅力がコンパクトに凝縮されています。
https://www.youtube.com/watch?v=k4Uj7Y3g7Xg

「Walk On The Wild Side」
おススメその7。Elmer Bernstein/Mack David作。Lou Reedのロック名曲とは同名異曲。1962年の映画『Walk On The Wild Side』の主題歌カヴァーです。ラストはワルツ調のグルーヴィー・オルガン・ジャズで締め括ってくれます。

本作以降はLTJ X-Perience作品でのフィーチャリング、Oo-Bop-Sh'Bam名義の作品以外に目立ったリリースはありませんでしたが、近年はJackson Sloan & The Rhythmtones名義で作品をリリースしています。

『The Shack Sessions』(2013年)
The Shack Sessions

『Saturday Clothes』(2015年)
Saturday Clothes

『Postcard From Paris』(2016年)
Postcard From Paris

ブラジリアン・フォーキーEdu Passeto & Gui Tavares『Noite Que Brincou De Lua』(1981年)は、Amazonで扱い次第紹介したいと思います。
posted by ez at 03:28| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月08日

The APX『Electrik Funk』

完成度の高い夫婦モダン・ファンク☆The APX『Electrik Funk』
Electrik Funk
発表年:2017年
ez的ジャンル:USモダン・ファンク
気分は... :80年代愛!

今回は新作アルバムからUSモダン・ファンク/ブギー作品、The APX『Electrik Funk』です。

The APXは、アトランタを拠点に活動するDee RhodesErika Rhodesの夫婦ユニット。

元々はパーティーやイベントでディスコ・カヴァーを演奏するプロジェクトとして活動していましたが、オリジナル作品をリリースするようになり、The APX名義での活動をスタートさせました。グループ名はThe After Party Experienceの略です。

そんなThe APXのデビュー・アルバムが本作『Electrik Funk』です。昨年スペインの新興レーベルThe Sleepers Recordzからリリースされ、国内盤が今年リリースされました。

輸入盤を聴いて気に入っていたのですが、ジャケがデザイン・材質共にショボかったので購入を保留していました。今回、国内盤がリリースされ、ようやく踏ん切りがつきゲットしました。

アルバム全編を通して、80年代愛に溢れたキャッチーなモダン・ファンク作品に仕上がっています。

Evelyn "Champagne" Kingのカヴァー「I'm in Love」以外はオリジナルですが、80年代ダンス・クラシックのカヴァーと錯覚しそうな曲・サウンド作りの巧みさに感心してしまいます。。

モダン・ファンク作品の中には、サウンドはいいけどヴォーカルが惜しい!といった作品も少なくありませんが、本作はErikaの艶やかな女性ヴォーカルの素晴らしさも光っています。

また、ファンク/ブギーに加え、第2次ブリティッシュ・インベンションあたりのUKダンス・サウンドやN.Y.ソウルフル・ハウスのエッセンスを取り入れた楽曲でアルバムにメリハリをつけているのもグッド!

とりあえず「Right On Time」「Sweet Surrender」「Lose Yourself to the Groove」あたりを聴けば、本作の魅力を実感できるはずです。

全曲紹介しときやす。

「Sweet Surrender」
シンセのヴィヴィドな響きが印象的なエレクトリック・ブギーがオープニング。80年代サウンドを現代モードにアップデートした感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=vmO_TaaWkM4

「Lose Yourself to the Groove」
80年代カヴァーと錯覚しそうなミディアム・ファンク。Erikaのダイナマイト・ヴォーカルが映えます。Deeがプレイするサックスもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=6-S__1E9fuU

「Digital Lover」
80年代サウンドのエッセンスを今時のモダン・ファンクのセンスでまとめたソリッドなディスコ・ファンク。匿名ディスコ・プロジェクト的な魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=-s2JtTq0dpg

「Spontaneous」
アンダーグラウンド感のあるエレクトリックなダンサブル感がグッド!第2次ブリティッシュ・インベンションあたりのUKダンス・サウンドの影響も感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=ybNwtEGxgAE

「I'm in Love」
Evelyn "Champagne" King、1981年全米R&BチャートNo.1のダンス・クラシックをカヴァー(Kashif作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『I'm In Love』に収録されています。ここではオリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、ヴォコーダーやサックスでアクセントをつけるなどモダン・ファンクらしいテイストでキャッチーさをマシマシにしています。
https://www.youtube.com/watch?v=E2UX4AMp9ZE

「Say You Will」
モダン・ファンクと90年代ソウルフル・ハウスを融合させた1曲。ヴォーカル・ハウス好きにはグッとくる仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=EV_VmEUz-Vk

「Truth or Dare」
この曲も「Say You Will」の流れを継続したハウス調の仕上がり。アンダーグラウンド・モードの妖しげなダンス・サウンドが印象的です。

「Right On Time」
シングル・カットもされたディスコ・ファンク。初めて聴いたのに懐かしさを感じるダンス・クラシックに通じるキャッチーさがあります。Erikaのヴォーカルにはこのタイプのサウンドがよくフィットします。
https://www.youtube.com/watch?v=LJF9-AlcvY8

「Crushing On You」
ここではDeeがリード・ヴォーカルをとります。ミッドナイト・モードの疾走感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=0lea2f_1W6Y

「Sugar Honey Iced Tea」
Prince殿下へのリスペクトを感じるミネアポリス・テイストのポップ・ダンスに仕上がっています。

「Good Life」
ヴォコーダーを強調したアーバン・ファンク。軽くトライバルなテイストを効かせているのが僕好み。

「Electrik Funk Deluxe」
ラストはヴォコーダーを駆使したモダン・ファンクらしいミディアム・ファンクで締め括ってくれます。

スペインの新興レーベルがこういったアーティストを発掘するというのが興味深いですね。
posted by ez at 01:32| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月07日

Funk Factory『Funk Factory』

Michal Urbaniakを中心とした近未来ジャズ・ファンク☆Funk Factory『Funk Factory』
ファンク・ファクトリー
発表年:1975年
ez的ジャンル:近未来ジャズ・ファンク
気分は... :穴場のスポット!

今回は近未来ジャズ・ファンク作品Funk Factory『Funk Factory』(1975年)です。

Funk Factoryは、ポーランド出身のヴァイオリン/サックス奏者Michal Urbaniakを中心としたジャズ・ファンク・ユニット。

Michal Urbaniakは1943年ポーランド、ワルシャワ生まれのヴァイオリン/サックス奏者。60年代後半から後に妻となるUrszula Dudziakと共に自らのグループを結成し、1973年には夫婦でアメリカに拠点を移し、以降コンスタントに作品をリリースしています。

ジャズ・ファンであれば、Miles Davis『Tutu』への参加で注目していた人もいるかもしれませんね。

Funk Factoryは、当時Columbiaの専属アーティストであったMichal UrbaniakがAtlanticからソロ名義で作品をリリースできない事情から結成されたユニットです。

レコーディング・メンバーはMichal Urbaniak(violin、ts、as)、Urszula Dudziak(vo、per、syn)、Steve Gadd(ds)、Gerald Brown(ds)、Anthony Jackson(b)、Tony Levin(b)、John Abercrombie(g)、Barry Finnerty(g)、Wlodek Gulgowsk(key、syn)、Bernard Kawka(per、vo)、Linda "Tequila" Logan(vo)、B.K. Singers(vo)等。

アメリカの有名ミュージシャン以外にWlodek Gulgowsk、元Novi SingersBernard Kawka等のポーランド人ミュージシャンも参加しています。

アルバム全体としては、主役Michal UrbaniakのヴァイオリンとUrszulaとBernard Kawka等のコーラスワークによるアクセントが効いたシンセ中心の近未来ジャズ・ファンクに仕上がっています。

人気サンプリング・ソースの「Rien Ne Va Plus」をはじめ、魅惑の近未来ジャズ・ファンクがズラリと並びます。

ヴァイオリンとジャズ・ファンクの見事な融合を満喫しましょう!
加えて、スキャット系ジャズ・ファンクとしての魅力もたまりません!

全曲紹介しときやす。

「Watusi Dance」
Wlodek Gulgowski作。UrszulaとBernard Kawkaのスキャットとアナログ・シンセの音色が印象的なHerbie Hancock調のジャズ・ファンク・サウンドが印象的なオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=bHjpJ1OLEM0

Sektion Kuchikaschtli feat. Taz and M.A.R.C「Gaschtreferat」のサンプリング・ソースとなっています。
Sektion Kuchikaschtli feat. Taz and M.A.R.C「Gaschtreferat」
 https://www.youtube.com/watch?v=AeMPOQLmO9Y

「Horsing Around」
Josef Topola/Norman Simon作。Michalらしいヴァイオリン・ジャズを楽しめるファンク・チューン。近未来的ムーグ・サウンドやUrszulaとKawkaを中心としたコーラス・グループB.K. Singersのコーラスワークもグッド!

「Rien Ne Va Plus」
Bernard Kawka作。Gadd & Anthony Jacksonのリズム隊、ムーグ・シンセ、コーラス隊が一体となってグイグイ迫ってくる壮大なグルーヴのジャズ・ファンク。
https://www.youtube.com/watch?v=QnVD43kaBKY

Beastie Boys「Car Thief、Esham「The Boogieman」、Triple 6「Pimps and Hoe's」、Operation Ratification「Rotten Apple」、Assassin「L'entrechoque Des Antidotes」、Mellowbag「Keep Rappin'」等のサンプリング・ソースとなっています。
Beastie Boys「Car Thief」
 https://www.youtube.com/watch?v=K3WBWy1Rf94
Esham「The Boogieman」
 https://www.youtube.com/watch?v=3aGN2o6N_Vg
Triple 6「Pimps and Hoe's」
 https://www.youtube.com/watch?v=ufUU_61pjuk
Operation Ratification「Rotten Apple」
 https://www.youtube.com/watch?v=dRTfh067S3w
Project Pat & DJ Paul feat. Lil Glock, Lord Infamous and S.O.G.「Puttin Hoez on Da House」
 https://www.youtube.com/watch?v=k4nk8ASYcsw
Tha Alkaholiks feat. N'Dea Davenport「Get Your Drinks On」
 https://www.youtube.com/watch?v=xqdUbkfOBoQ

「After All The World Goes Home」
Michal Urbaniak/Norman Simon作。クラヴィネットの響きが印象的なアーバン・ジャズ・ファンク。Michalのヴァイオリン・ソロも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=yY-O2482Xqw

「Next Please」
Bernard Kawka作。UrszulaとKawkaのスキャット・コーラスが映えるエキサイティングなシンセ・ジャズ・ファンク。近未来スペイシー・サウンドが飛び交います。
https://www.youtube.com/watch?v=YQuN662meu4

「The Music In Me」
Bernard Kafka/Linda "Tequila" Logan作。Linda "Tequila" LoganとB.K. Singersのヴォーカルをフィーチャーしたメロウ・ミディアム。まるでシンセのようなMichal Urbaniakのヴァイオリン・ソロが映えます。

「Funk It」
Michal Urbaniak作。フュージョン・テイストのジャズ・ファンク。ここではTony Levinがベースを弾いています。
https://www.youtube.com/watch?v=eLQVx2JiKRQ

「Lilliput」
Wlodek Gulgowski作。少しアヴァンギャルドなテイストのジャズ・ファンク。ミステリアスな雰囲気を醸し出します。ここでのMichalはサックス・ソロで魅せてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=8GBHWXoUGNk

「Sinkin' Low」
Bernard Kawka作。ラストはMichal、John Abercrombie、Wlodek Gulgowski、Anthony Jacksonのソロを堪能できるフュージョン・ジャズ・ファンクで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=xI12YEAxwq4

ご興味がある方はMichal Urbaniakのアメリカ移住後の作品もチェックを!とりあえず70年代の作品をピックアップしておきました。

『Fusion』(1974年)
Fusion

『Atma』(1974年)
Atma

『Fusion III』(1975年)
Fusion III

『Body English』(1976年)
Body English

『Smiles Ahead』(1977年)
Smiles Ahead

『Urbaniak』(1977年)
URBANIAK

『Ecstasy』(1978年)
エクスタシー[国内プレス盤 / 最新リマスター / 日本語解説付き](CDSOL-5647)
posted by ez at 05:24| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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