2018年04月06日

The Swingle Singers/The Modern Jazz Quartet『Place Vendome』

US人気ジャズ・ユニットと仏ジャズ・コーラス・グループの共演作<☆The Swingle Singers/The Modern Jazz Quartet『Place Vendome』
Place Vendome
録音年:1966年
ez的ジャンル:室内楽ジャズ
気分は... :違いが分かる男のゴールドブレンド!

今回はUS人気ジャズ・ユニットModern Jazz Quartet(MJQ)とフランスの男女ジャズ・コーラス・グループThe Swingle Singersの共演アルバムThe Swingle Singers/The Modern Jazz Quartet『Place Vendome』(1966年)です。
※USでは『Encounter』のタイトルでリリース

クラシックのエッセンスを取り入れたジャズ・ユニット同士の共演ということで相性はバッチリの好盤であり、グラミー賞にもノミネートされました。

晴天のパリ、ヴァンドーム広場でメンバー達が笑顔で会したジャケがいいですね。

The Swingle Singersのメンバーは、Ward SwingleClaude GermainJean CussacJose Germainという男性ヴォーカル陣とChristiane LegrandJeanette BaucomontAlice HeraldClaudine Meunierという女性ヴォーカル陣による8名。映画音楽の巨匠Michel Legrandの姉Christiane Legrandに注目です。

Modern Jazz Quartetのメンバーは、John Lewis(p)、Milt Jackson(vibe)、Percy Heath(b)、Connie Kay(ds)というお馴染みの4名。

John Lewis作品とクラシック名曲カヴァーという構成ですが、すべてがクラシック・カヴァー集のように感じてしまうあたりがJohn Lewisの作曲家としての非凡さかもしれませんね。

クラシック好きでもない僕が何故本作に惹かれるのだろう・・・なんて考えつつ、インスタント・コーヒー(ネスカフェ・ゴールドブレンド)を飲みながら記事を書いていたら、急にその理由が分かりました。

答えは、昔のネスカフェ・ゴールドブレンドのCMです。「違いが分かる男のゴールドブレンド」の決めセリフと共にバックで流れていた♪ダバダ〜♪ダバダ〜♪という天使のようなスキャットのあの曲、と書けば思い出す人も多いのでは?

このCM曲の正式名は伊集加代「目覚め」
伊集加代「目覚め」
 https://www.youtube.com/watch?v=kU8FfM4HmMg

そうです。お馴染みのCM曲と本作の室内楽的ジャズ・コーラスの音世界が僕の中で見事にリンクし、本作に引き寄せられていたのでした。

とりあえずオープニングの「Sascha (Little David's Fugue)」を聴いてもらえば、本作の魅力を実感できるはずです。

全曲紹介しときやす。

「Sascha (Little David's Fugue)」
John Lewis作。バロックのエッセンスを取り入れた見事なコーラスワークと上品なMJQの演奏が調和したオープニング。本作の魅力を象徴しています。Milt Jacksonの小粋なヴァイヴの音色にもグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=wxdAHh8ir3g

「Air on the G String」
J. S. Bachの名曲「G線上のアリア」をカヴァー。お馴染みのクラシック名曲をコーラス、演奏ともに抑えたトーンで聴かせるのが心憎いですね。John LewisのピアノよりもMilt Jacksonのヴァイヴを強調したMJQならではのセンスで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=1c_fEG05Vt4

「Vendome」
John Lewis作。MJQの1stアルバム『The Modern Jazz Quartet』(1953年)に収録されていた名曲をSwingle Singersと共に再演。こうして聴くと、最初からSwingle Singersのバロック調スキャットを前提に作曲したのでは?と思ってしまうほどフィットしています。

「Ricercare A 6」
J. S. Bach「6声のリチェルカーレ」をカヴァー。Swingle Singersのバロック調スキャットが映えるこの演奏を聴いていたら、急に前述のCM曲、伊集加代「目覚め」を思い出しました。室内楽的ダバダ・スキャットを存分に堪能しましょう。

「When I am Laid in Earth (Dido's Lament)」
17世紀イギリスの作曲家Henry Purcellが歌劇『Dido and Aeneas』のために書いた楽曲をカヴァー。クラシカルな雰囲気の中でジャズ・フィーリングを醸し出すMilt Jacksonのヴァイヴがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=N_Pt02koQec

「Alexander's Fugue」
John Lewis作。軽やかなジャズ・フィーリングが印象的です。Swingle Singersのメリハリを効かせたコーラスワークもグッド!

「Three Windows」
John Lewis作。ラストは室内楽ジャズならではの小粋なセンスを満喫できます。パリ録音ならではの空気感のある演奏に仕上がっているのでは?

参加メンバーの関連作品の過去記事もチェックを!

Modern Jazz Quartet『Django』(1953-55年)
Django

John Lewis & Sacha Distel『Afternoon In Paris』(1956年)
AFTERNOON IN PARIS

Milt Jackson & Wes Montgomery『Bags Meets Wes』(1961年)
Bags Meets Wes

Milt Jackson『Jazz 'N' Samba』(1964年)
ジャズ・ン・サンバ

Milt Jackson With The Ray Brown Big Band『Memphis Jackson』(1969年)
メンフィス・ジャクソン

Milt Jackson Quintet Featuring Ray Brown『That's The Way It Is』(1969年)
ザッツ・ザ・ウェイ・イット・イズ

Milt Jackson『Sunflower』(1972年)
Sunflower

Christiane Legrand『Of Smiles And Tears』(1972年)
オブ・スマイルズ・アンド・ティアーズ
posted by ez at 00:06| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする