発表年:2018年
ez的ジャンル:マエストロ系アフロ/ブラック・ジャズ
気分は... :広大なスピリチュアル・ワールドへ・・・
今回は新世代ヨーロピアン・ジャズのマエストロNicola Conteの最新作『Let Your Light Shine On』です。
純粋なオリジナル・アルバムとしては『Love & Revolution』(2011年)以来、約7年ぶりの新作となります。また、この新作リリースに合わせて、今月来日公演も予定されています。
イタリアを代表するジャズ・プロデューサー/アーティストNicola Conteに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の5枚。
『Other Directions』(2004年)
『Rituals』(2008年)
『Love & Revolution』(2011年)
『Free Souls』(2014年)
Nicola Conte Presents Stefania Dipierro『Natural』(2016年)
Nicola Conte & Spiritual Galaxy名義でリリースされた『Let Your Light Shine On』。その名義の通り、スピリチュアル・ジャズやアフロ/ブラック・ジャズへのアプローチを深めたアルバムに仕上がっています。
地元のイタリア、バーリでのレコーディング以外に、南アフリカ、ヨハネスブルクでのセッションも含まれ、このあたりにも本作の色合いが反映されています。
レコーディング・メンバーは、LTCやSchema Sextetの活動で知られるイタリア人ピアニストPietro Lussu(p、el-p)、同じくSchema SextetのメンバーであるGianluca Petrella (tb、mini moog)、活動休止中のフィンランドの人気バンドThe Five Corners QuintetのメンバーTeppo Makynen(Teddy Rok)(ds、per)、スウェーデンのイケメン・サックス奏者Magnum Lindgren(ts、fl)、ライブのレギュラー・メンバーも務めたイタリア人ベーシストLuca Alemanno(b)、アメリカ人サックス奏者Logan Richardson(ds)といったNicola Conte作品でお馴染みのメンバーが多数参加しています。
新顔として、南ロンドン・ジャズ・シーンの最重要ミュージシャンShabaka Hutchingsと共に『Wisdom Of Elders』(2016年)をレコーディングしたShabaka And The AncestorsのメンバーTumi Mogorosi (ds)およびNduduzo Makhathini(el-p)という南アフリカのミュージシャン、『Afro Physicist』(2014年)、『Escape Velocity』(2016年)といったアルバムで注目を集めるフロリダ出身のUSトランぺッターTheo Croker(tp)やN.Y.ニュースクール大学で学び、『Cosm'ethic』(2013年)、『Aforemention』(2016年)といったアルバムの評価も高いイタリア人ドラマーTommaso Cappellato(ds)といった"今ジャズ"期待のミュージシャンの参加も要チェックです。
さらにAbdissa Assefa(congas、per)、Tlale Makhene(congas、per)、Seby Burgio(org)、Mike Rubini(bs)等ミュージシャンが参加しています。
また、ヴォーカル陣はNicola Conte作品ではお馴染み、ガーナ系のUK女性シンガーBridgette Amofahをはじめ、新進イタリア人女性シンガーCarolina Bubbico、当ブログでも最新作『Arise』を紹介したUKジャマイカンの女性シンガーZara McFarlane、さらにZoe Modicaという4名が起用されています。
このように参加メンバーのピープル・ツリーだけでもワクワク感で一杯ですね。
マエストロのジャズ・ワールドの成熟と同時に、南ロンドンの次世代ジャズや今ジャズとの接点も見える点に思わずニンマリしています。
JTNCあたりでは完全に無視されているNicola Conteですが、そんな壁を作ることが無意味だと分からせてくれる1枚だと思います。
『Let Your Light Shine On』Trailer(「Me Do Wo/Cosmic Peace」)
https://www.youtube.com/watch?v=7u473vfMYX8
マエストロの底力とセンスの良さを再認識しましょう!
全曲紹介しときやす。
「Uhuru Na Umoja」
Bridgette Amofah/Carolina Bubbico/Nicola Conte作。本作を象徴するアフロ・ジャズがオープニング。土着的なアフリカン・リズムをバックに、Bridgette AmofahとCarolina Bubbicoが艶やかなヴォーカルを聴かせてくれます。
「Ogun」
アフリカ民謡のカヴァー。Zara McFarlaneが素晴らしいヴォーカルを披露する深淵な美しさに溢れたスピリチュアル・ジャズに仕上がっています。
「Cosmic Peace」
Bridgette Amofah/Nicola Conte/Gianluca Petrella作。マエストロらしいフロア仕様のコズミックなアフロ・ジャズ・ダンサー。Bridgette Amofahのヴォーカルが躍動します。クラブジャズ好きの人はぜひチェックを!
「Universal Rhythm」
Bridgette Amofah/Nicola Conte/Gianluca Petrella作。この曲ではエチオピアン・ジャズにアプローチしています。エチオピアン・ジャズならではのグルーヴ感を満喫できます。これに難なく対応するBridgette Amofahのヴォーカルもグッド!
「Mystic Revelation of the Gods」
Nicola Conte/Magnum Lindgren作。本作らしいアプローチのアフロ・ジャズ・ファンク。土着的ジャズ・ファンクを楽しめます。作者Magnum Lindgrenの妖しげなフルートが効果的です。
「Let Your Light Shine On」
Nicola Conte/Gianluca Petrella作。タイトル曲はZoe Modicaがリード・ヴォーカルを務める、ビートを効かせたミディアム・グルーヴ。ポジティヴなヴァイヴに溢れたアフロ・テイストのソウル・チューンといった趣です。
「Space Dimensions」
Carolina Bubbico/Nicola Conte作。Carolina Bubbicoがリード・ヴォーカルをとるスピリチュアル・フィーリングの深淵なコズミック・ジャズ。
「Tribes From the Unknown」
Nicola Conte作。タイトルの通り、土着的リズムが強調されたアフロ・ジャズ。こういった演奏でもスタイリッシュな隠し味を忘れないのがマエストロらしいのでは?
「Me Do Wo」
Bridgette Amofah/Nicola Conte作。「Cosmic Peace」と同タイプのアフロ・ジャズ・ダンサー。リード・ヴォーカルはBridgette Amofah。アフロビート感覚の覚醒的オルガンもグッド!
「Essence of the Sun」
Carolina Bubbico/Nicola Conte作。70年代のPharoah Sandersを彷彿させる演奏をバックに、Zoe Modicaが感動的なヴォーカルを聴かせてくれるスプリチュアル・ジャズ。
「Love Power」
Bridgette Amofah/Carolina Bubbico/Nicola Conte作。「Universal Rhythm」と同じくエチオピアン・ジャズ風のアプローチですが、Bridgette Amofahのソウルフル・ヴォーカルと見事に調和させています。
「Afro Black」
Carolina Bubbico/Nicola Conte作。本編ラストは70年代Black Jazz Recordsを意識したようなモーダルなブラック・ジャズ。マエストロの思いが伝わってくる演奏です。
「Mystic Revelation of the Gods (Swahili Version)」
CDボーナス・トラック。「Mystic Revelation of the Gods」の別テイクです。
Nicola Conteの他作品もチェックを!
『Jet Sounds』(2000年)
『Bossa Per Due』(2001年)
『Jet Sounds Revisited』(2001年)
『Other Directions』(2004年)
『Rituals』(2008年)
『Love & Revolution』(2011年)
『Free Souls』(2014年)
Nicola Conte Presents Stefania Dipierro『Natural』(2016年)