2018年06月09日

Dino Valente『Dino』

Quicksilver Messenger Service創設メンバー、唯一のソロ・アルバム☆Dino Valente『Dino』
ディノ・ヴァレンテ
発表年:1968年
ez的ジャンル:アシッド・フォーク
気分は... :間に合わなかった男…

Quicksilver Messenger Serviceの創設メンバー、Youngbloodsの大ヒットで知られる「Get Together」の作者として知られている男性シンガー・ソングライターDino Valente唯一のソロ・アルバムが本作『Dino』(1968年)です。

Dino Valente(本名:Chester William Powers, Jr.)(1937-1994年)は、コネチカット州ダンベリー生まれの男性シンガー・ソングライター。

1950年代後半からN.Y.グリニッジ・ヴィレッジのモダン・フォーク・シーンで活躍し、1960年代半ばには拠点を西海岸のサンフランシスコへ移します。そして、Grateful DeadJefferson Airplaneと並ぶ、サンフランシスコのサイケデリック・ロック・グループQuicksilver Messenger Serviceを結成します。

しかしながら、デビュー直前にValenteはドラッグの不法所持で逮捕され、18カ月の刑務所暮らしとなります。その間、Quicksilver Messenger ServiceはDino抜きでデビューを果たします。

出所後、紆余曲折を経てValenteがQuicksilver Messenger Serviceに再合流するのは1970年になりますが、その間にレコーディングされたValente唯一のソロ・アルバムが本作『Dino』(1968年)です。

"アンダーグラウンドのDylan"とも称された才能の持ち主ですが、そんな言葉がフィットするアシッド・フォーク作品に仕上がっています。

プロデュースはDino Valente本人。2曲のみBob Johnstonがプロデュースしています。

12弦ギターの弾き語りによるシンプルな演奏が中心ですが、この時代ならではのアシッドなフォーキー・ワールドを存分に楽しむことができます。

「Me And My Uncle」以外はValenteのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Time」
♪時が過ぎ去り、新しい夢が毎日のように生まれる♪というフラワームーヴメントな歌詞やギターの幻想的な響きがこの時代らしいアシッド・フォーク。
https://www.youtube.com/watch?v=O2TqparRck4

「Something New」
Valenteのソングライターとしての才能を感じる1曲。哀愁メロディとアシッドなフォーキー・ワールドがよくフィットしています。
https://www.youtube.com/watch?v=zLyHAXhx-YU

「My Friend」
Bob Johnstonプロデュース。ホーン&ストリングス・アレンジが施された幻想的な仕上がり。サイケ好きの人にフィットするのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=0NqDedFXmew

「Listen To Me」
シンプルなフォーキー・チューンですが、独特の味わい深さがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=fYkUZ6DbTb4

「Me And My Uncle」
The Mamas & The PapasのJohn Phillips/Michelle Phillips作。Judy Collinsヴァージョンでも知られる楽曲です。The Mamas & The Papasヴァージョンはアルバム『People Like Us』(1971年)のExpanded CDのボーナス・トラックとして聴くことができます。"アンダーグラウンドの"の風格を実感できる1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=zR29AkGxcJo

「Tomorrow」
Bob Johnstonプロデュース。ストリングスが雰囲気を盛り上げてくれるラブ&ピースな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=0hB__hDpDDY

「Children Of The Sun」
Dino Valenteというアーティストの矜持を感じる1曲。この時代ならではの空気感が伝わってくる歌詞やその力強い語り口がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=UxkqpNiwIu0

「New Wind Blowing」
タイトルからして、"アンダーグラウンドのDylan"ですね。シンプルながらもValenteらしさが出ていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=wWG1MrKbPyQ

「Everything Is Gonna Be OK」
エコーの掛かったヴォーカルが虚しく響くアシッド・フォーク。
https://www.youtube.com/watch?v=Z0ElkOdXm7I

「Test」
タイトルの通り、テスト(デモ)のようなアヴァンギャルドな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=cpp6jXJEs9w

彼の名を有名にした「Get Together」について、大ヒットしたYoungbloodsヴァージョンはアルバム『The Youngbloods』(1967年)に収録されています。また、当ブログではYoungbloods『RIde The Wind』のライブ・ヴァージョン、The Dave Pell SingersWe FiveBobbi Boyleのカヴァーも紹介済みです。

ちなみにThe Jimi Hendrix Experienceでお馴染みの楽曲「Hey Joe」についてもDino Valente作品である、という記述を見かけますが、正しくは同曲の作者はBilly Robertsです。確かにLeaves、Loveの「Hey Joe」の作者はValenteになっているのは事実ですが、最終的に作者はBilly Robertsとなりました。
posted by ez at 01:50| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする