2018年06月23日

Youssou N'Dour『Eyes Open』

世界進出第3弾は映画監督Spike Leeのレーベルから☆Youssou N'Dour『Eyes Open』
Eyes Open
発表年:1992年
サッカー杯は、いよいよ明日に運命の「日本対セネガル」が行われます。

そこで今回はセネガルを代表する世界的ミュージシャンYoussou N'Dourのアルバム『Eyes Open』(1992年)です。

80年代後半のワールド・ミュージック・ブームの中で世界進出を果たし、今日までアフリカで最も成功したミュージシャンとして活躍するYoussou N'Dourに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の3枚。

 『Immigres』(1984年)
 『The Lion』(1989年)
 『Set』(1990年)

セネガルという国名を聞いて真っ先に連想するのは、サッカー以上にYoussou N'Dourかもしれません。

僕の場合、Youssou N'Dourというミュージシャンの存在を知ったのはアルバム『Nelson Mandela』(1986年)あたりだったと思います。

実際にリアルタイムでアルバムを購入したのは、Virginからリリースされた本格的な世界進出アルバム第1弾『The Lion』(1989年)が最初です。
ez的ジャンル:セネガル発ワールド・ミュージック
気分は... :明日は対セネガル戦!


本作『Eyes Open』(1992年)は、『The Lion』『Set』(1990年)に続く世界進出第3弾アルバムとなります。

黒人映画監督Spike Leeが主宰するレーベル40 Acres And A Mule MusicWorksからのリリースです。

それまでの世界進出アルバムと大きく異なる点は、Youssou本人がセルフ・プロデュースしている点です。ワールド・ミュージック・ブームが過ぎ、前2作のようなインパクトには欠けますが、Youssou自身のイニシアティブで制作された作品として興味深く聴くことができます。

共同プロデューサーとして、Youssouのバック・バンドLe Super Etoile De Dakarの中心メンバーHabib Fayeと、Youssouや Salif Keitaなどアフリカ人ミュージシャンとの共演も多いフランス人キーボード奏者Jean-Philippe Rykiel(ファッション・デザイナーSonia Rykielの息子)の2人がクレジットされています。

Youssou N'Dour入門編として聴くと、とても入りやすい1枚だと思います。現代セネガルのサウンドをコンテンポラリー感覚で聴かせてくれるので、アフリカ音楽をあまり聴かない人も馴染みやすいと思います。

また、セネガルのみならずアフリカを代表するミュージシャンとして、アフリカの現在、過去、未来に言及した曲もあり、そのメッセージにも注目です。

多分、20年ぶり位に聴きましたが、改めてYoussou N'Dourというミュージシャンの存在感の大きさを実感できました。

全曲紹介しときやす。

「New Africa」
軽やかなリズムに乗って新しいアフリカの到来を告げるオープニング。当時は南アフリカのアパルトヘイト政策が撤廃され、新たな時代の到来への期待が膨らんでいた時期です(Nelson Mandelaが南アフリカ大統領に就任するのは1994年)。アフリカを代表するミュージシャンとしてのYoussouの意識の高さを窺えると同時に、人種差別問題に立ち向かうSpike Leeのレーベルに移籍した理由が分かります。
https://www.youtube.com/watch?v=kscoTL8Qk20

「Live Television」
世界進出後のYoussouらしくセネガルのダンス・ミュージック"ンバラ"をコンテンポラリーな感覚で聴かせてくれます。

「No More」
Le Super Etoile De DakarのメンバーLamine Fayeの美しいアコースティック・ギターをバックに、Youssouの強い意志を力強く歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=e6ze9oNXH8o

「Country Boy」
ポリリズムを用いたダイナミックなサウンドをバックに、Youssouらしい節回しのヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=BWyqCu8lgMU

「Hope」
感動的なビューティフル・ソング。こういった曲もYoussou作品の魅力の1つですね。Billly Congoma And The Sandial Assiko Bandのアフリカン・ドラムAshikoも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=8sLRGRM3yTs

「Africa Remembers」
9分半近くの大作。オープニングのアフリカの新たな未来に思いを馳せると同時に、過去のアフリカの歴史も決して忘れないという点で「New Africa」と対のような曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=zd0wUkVUXZM

「Couple's Choice」
開放的な雰囲気の中でYoussou節を聴かせてくれます。過度にコンテンポラリーになりすぎずセネガル国内仕様に近いサウンドなのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=NzZub3ACMms

「Yo Le Le (Fulani Groove)」
トーキング・ドラムが印象的なダンサブル・チューン。フランス産のアフリカ音楽の雰囲気がありますね。このあたりはJean-Philippe Rykielの影響かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=nqBWNwF9D8g

「Survie」
Youssou流フォーキーといった趣でスタートしますが、気づけばYoussouらしいピースフルな音世界に浸ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=R5qxd8zpfoo

「Am Am」
リズミックな仕上がりが僕好み。アフロ・ジャズなホーン・アンサンブルもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=xdkptfEsALo

「Marie-Madeleine La Saint-Louisienne」
Youssouらしい少し憂いを帯びた節回しと共にパーカッシヴに疾走します。少しレゲエっぽいパートもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=fQg-vuL_08M

「Useless Weapons」
湾岸戦争をテーマに平和への願いを込めたメッセージ・ソング。Youssouの平和への切なる思いが聴く者の胸を打ちます。
https://www.youtube.com/watch?v=Auy9EFMMI70

「The Same」
ロック、レゲエ、ジャズ、ンバラも同じ音楽!あらゆる音楽は国境を越え、人々を1つにすると音楽の持つパワーを説く素敵な1曲。ラップ調のパートも登場します。

「Things Unspoken」
ラストは軽快に締め括ってくれます。リズミックな中にも美しい透明感のあるスケールの大きなサウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=11IR2VPCVhU

Youssou N'Dourの過去記事もご参照下さい。

『Immigres』(1984年)
Immigres

『The Lion』(1989年)
Lion

『Set』(1990年)
Set
posted by ez at 03:10| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする