2018年06月24日

R+R=Now『Collagically Speaking』

今ジャズのスーパー・ユニット誕生!☆R+R=Now『Collagically Speaking』
コラージカリー・スピーキング
発表年:2018年
ez的ジャンル:今ジャズ系スーパー・ユニット
気分は... :ベルギー強し!

今晩のW杯はベルギーの圧倒的な強さが目立ちましたね。
ベルギーは順調に決勝トーナメントを勝ち進めば、準々決勝でブラジルと対決する可能性があり楽しみです(その前に日本が幸運にも決勝トーナメントに進出できればベルギーと対戦する可能性が大なのですが)。

新作アルバムから話題の今ジャズ・スーパー・ユニットR+R=Now『Collagically Speaking』です。Blue Note Recordsからのリリースとなります。

R+R=Nowは、Robert Glasper(key)、Terrace Martin(syn、sax)、Christian Scott aTunde Adjuah(tp)、Derrick Hodge(b)、Taylor McFerrin(syn、beats)、Justin Tyson(ds)という今ジャズを代表するミュージシャンが終結したスーパー・ユニット。Robert Glasperの人選で他メンバーに声がけし、実現したユニットのようです。

『Black Radio』(2012年)でジャズ界に革命をもたらした先鋭ジャズ・ピアニストRobert GlasperKendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』(2015年)のプロデュースで一躍有名となったプロデューサー/サックス/キーボード奏者Terrace Martin、昨年ジャズ生誕100年を記念した三部作"The Centennial Trilogy"をリリースした現在ジャズを牽引する天才トランぺッターChristian Scott aTunde AdjuahRobert Glasper Experiment(RGE)で長年Glasperを支える実力派ベーシストDerrick Hodge、黒人ジャズ・シンガーBobby McFerrinの子息であり、Flying Lotusが主宰するレーベルBrainfeederに所属するシンガー/ビートボクサー/DJ/プロデューサー/キーボード奏者/マルチプレイヤーTaylor McFerrinEsperanza Spalding『Emily's D+Evolution』(2016年)等に参加し、新たにRobert Glasper Experiment(RGE)のドラマーとなった新進ジャズ・ドラマーJustin Tysonと個々人のプロフィールだけもワクワクするミュージシャンばかりです。

R+R=Nowというユニット名は、「Reflect+Respond=NOW」を意味しており、「時代を反映させることはアーティストの責務である(an artist's job is to reflect the times)」というNina Simoneの有名な言葉にインスパイアされたものです。

全体としては、Casey Benjaminの代わりにTerrace Martinが加わったRobert Glasper Experimentに、Christian Scott aTunde Adjuahが客演したような雰囲気です。Taylor McFerrinは脇役に徹している感じです。

特段インパクトのある作品ではありませんが、各ミュージシャンの個性を融合させた今ジャズ作品として十分に楽しめます。

ゲスト・ヴォーカルとして、今年50 Centをフィーチャーしたシングル「50+0=500」をリリースし、その50 Centが製作総指揮を執るドラマ『Power』で主役を演じる俳優Omari Hardwick、元NFL選手の俳優Terry Crews、ラッパーのStalley、Amanda Diva名義で音楽活動も行う女優Amanda Seales、注目のL.A.ネオソウル・バンドMoonchildの紅一点ヴォーカリストAmber Navranがフィーチャリングされています。正直、Amber Navran、Stalley以外はフィーチャリングの必要性をあまり感じませんが。

『Collagically Speaking』 (Album Trailer)
https://www.youtube.com/watch?v=_mLBpvTeVXU

とりあえず今ジャズに興味がある人は聴いておくべき1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Change Of Tone」
アルバムからの先行シングル。4パートから成る組曲風の構成です。このスーパー・ユニットのメンバー紹介的な1曲に仕上がっています。このオープニングから、Glasperと並びTerrace Martinが本ユニットの推進役であることが窺えます。
https://www.youtube.com/watch?v=GUDTso9yZ64

「Awake To You」
Terrace Martinのヴォコーダーを交えた演奏はRobert Glasper Experimentに近い雰囲気です。

「By Design」
おそらくTerrace Martinがリードした楽曲。ヴォイスのサウンド・コラージュを織り交ぜたサウンドはジャズ×エレクトロニカな仕上がりです。

「Resting Warrior」
このメンツならではの今ジャズ・アンサンブルを満喫できる演奏です。Derrick HodgeとJustin TysonのRGEの新リズム・セクションの生み出すグルーヴがいいですね。Glasperの鍵盤も存分に楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=FvfK5E9kk0s

「Needed You Still」
Omari Hardwickをフィーチャー。Terrace Martinのヴォコーダーやラップ調のOmari Hardwickのヴォーカルを交えたHip-Hopのエッセンスは、Terrace Martinの諸作に近い雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=J6otZuP_G28

「Colors In The Dark」
Terrace Martinのヴォコーダーが目立つメロウ・チューン。Terrace Martinがゲスト参加したRGEといった趣です。終盤のJustin Tysonのエキサイティングなドラミングがいいですね。

「The Night In Question」
Terry Crewsをフィーチャー。Christian Scott aTunde Adjuahがリードした演奏であり、Christian Scott aTunde Adjuahの次のアルバムにも収録予定の楽曲のようです。Christianの静かに燃え上がるようなトランペットをメンバーが支えます。Christianの諸作がお好きな人であれば気に入る演奏だと思いますが、ゲスト・ヴォーカルのTerry Crewsは本当にオマケみたいで、正直ヴォーカルなしで良かった!

「Reflect Reprise」
Stalleyをフィーチャー。Hip-Hop調の演奏ですが、RGE的センスとHip-HopプロデューサーでもあるTerrace Martinのセンスが融合したような仕上がりです。

「Her=Now」
Amanda Sealesをフィーチャー。Derrick HodgeのベースとTerrace Martinのシンセのみの幻想的サウンドが印象的です。

「Respond」
Derrick Hodge、Justin Tyson、Taylor McFerrinChristian Scott aTunde Adjuahという4名のみの演奏です。Justin Tysonによる人力ビートメイカー的なドラミング、Christian Scott aTunde Adjuahらしい憂いを帯びたトランペット、Taylor McFerrinのシンセの絶妙な隠し味がいい感じです。

「Been On My Mind」
L.A.ネオソウル・バンドMoonchildの紅一点Amber Navranをフィーチャー。ジャズ・サックス奏者Oliver Lakeの息子でRGE作品の常連Jahi SundanceがDJとして参加している幻想的サウンドで締め括ってくれます。

僕が保有するのは輸入盤ですが国内盤にはボーナス・トラックとして「Reflect Reprise(MC Rob G Version)」が追加収録されています。個人的には輸入盤で十分だと思いますが。

参加メンバーの作品の過去記事もご参照ください。

Robert Glasper『In My Element』(2007年)
イン・マイ・エレメント

Robert Glasper『Double Booked』(2009年)
Double Booked

Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)
ブラック・レディオ

Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年)
Black Radio Recovered: the Remix Ep

Robert Glasper Experiment『Black Radio 2』(2013年)
ブラック・レディオ2

Robert Glasper『Covered』(2015年)
カヴァード

Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』(2016年)
エヴリシングス・ビューティフル

Robert Glasper Experiment『ArtScience』(2016年)
アートサイエンス

Terrace Martin『Velvet Portraits』(2016年)
Velvet Portraits [日本語解説・帯付]

Terrace Martin Presents The Pollyseeds『Sounds Of Crenshaw Vol. 1』(2017年)
Sounds of Crenshaw, Vol.1 [日本語解説つき]

Christian Scott aTunde Adjuah『Stretch Music』(2015年)
Stretch Music [日本語解説付き]

Christian Scott aTunde Adjuah『Ruler Rebel』(2017年)
Ruler Rebel [日本語解説つき]

Christian Scott aTunde Adjuah『The Emancipation Procrastination』(2017年)
The Emancipation Procrastination

Derrick Hodge『Live Today』(2013年)
Live Today

Taylor McFerrin『Early Riser』(2014年)
Early Risr [帯解説・ボーナストラック収録 / デジパック仕様 / 国内盤] (BRC418)
posted by ez at 02:06| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする