発表年:1971年
ez的ジャンル:Flying Dutchm系アルゼンチン・ジャズ
気分は... :アルゼンチンは不死鳥か?
サッカーW杯はいよいよ決勝トーナメント。
いきなり「フランス対アルゼンチン」、「ウルグアイ対ポルトガル」という好カードが2試合。特に「フランス対アルゼンチン」は決勝でもおかしくない顔合わせですね。
それに因んでフランスもしくはアルゼンチンのアーティストを紹介しようと思いましたが、僕の予想はフランス勝利なので、メッシのW杯最後の試合になる可能性もあるアルゼンチンのアーティストを取り上げます。
ということで、アルゼンチンを代表するジャズ・ミュージシャンGato Barbieriの『Fenix』(1971年)です。
アルゼンチン、サンタフェ州ロサリオ出身のテナー・サックス奏者/コンポーザーGato Barbieri(1932-2016年)の紹介は、『Chapter One: Latin America』(1973年)に続き2回目となります。
前回『Chapter One: Latin America』を紹介したのは2014年でしたが、その後2016年に惜しくも逝去(享年83歳)。
本作『Fenix』(1971年)は、前作『The Third World 』(1969年)に続くFlying Dutchmanからの第2弾アルバムとなります。
プロデュースは他のFlying Dutchman作品と同じくBob Thiele。
レコーディング・メンバーはGato Barbieri(ts)以下、Lonnie Liston Smith(p、el-p)、Joe Beck(g)、Ron Carter(b)、Lenny White(ds)、Gene Golden(congas、bongos)、Nana Vasconcelos(berimbau、bongos)。
Flying DutchmanのレーベルメイトでBarbieri作品にはお馴染みのLonnie Liston Smithやブラジル音楽ファンにはお馴染みのブラジル人ミュージシャンNana Vasconcelosの参加が目を引きます。
汎ラテン・アメリカ的なスピリチュアル感とパーカッシヴなグルーヴ感の絶妙のバランスでの調和が魅力の1枚です。主役Gatoの男の色気を感じるサックスも絶好調です。
神秘的なオープニング「Tupac Amaru」、クラブジャズ方面でも人気の「Carnavalito」、メロウ・ボッサ「Falsa Bahiana」、スピリチュアルな「El Dia Que Me Quieras」、偉大なフォルクローレ・ギタリストAtahualpa Yupanquiの名曲カヴァー「El Arriero」、Nanaのビリンバウと共に始まる「Bahia」という、かなり僕好みの6曲です。
レア・グルーヴ好きの人も気に入る1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Tupac Amaru」
Gato Barbieri作。最後のインカ皇帝の名を冠したオリジナル。神秘的なムードが漂う中、パーカッシヴなリズムにのってGatoがエモーショナルなプレイを披露してくれます。この曲のみ参加のJoe Beckのギターも効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=wxph34HJLfc
「Carnavalito」
トラディショナル。ビリンバウ、コンガ等が織り成すアフロ・ブラジリアンなアッパー・グルーヴをバックに、Gatoが格好良いブロウでキメてくれます。Lonnie Liston Smithのピアノが演奏全体を引き締めてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=NMJUv5yYrmU
「Falsa Bahiana」
Geraldo Pereira作。Lonnie Liston Smithのエレピが映えるメロウ・ボッサ・サウンドが、Gatoの豪快なブロウを引き立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=GYFYP8kyoFQ
「El Dia Que Me Quieras」
Carlos Gardel/Alfredo Le Pera作。Lonnie Liston SmithのFlying Dutchmanでの諸作にも通じるスピリチュアルな演奏です。不死鳥(フェニックス)のようなGatoのプレイがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ONySvCTGZkM
「El Arriero」
Atahualpa Yupanqui/Pablo Del Cerro作。母国の偉大なフォルクローレ・ギタリストAtahualpa Yupanquiの名曲をカヴァー。Gatoらしい汎ラテン・アメリカ的なスピリッツが伝わってくる大作です。
https://www.youtube.com/watch?v=C7opLhbYPnI
The Pharcyde「She Said (Jay Dee Remix)」のサンプリング・ソースにもなっています。
The Pharcyde「She Said (Jay Dee Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=3mf0xIrCXGY
「Bahia」
トラディショナル。Nanaのビリンバウと共にスタート。ブラジリアン・モードの疾走感とGatoのエモーショナルな演奏がフィットしています。
https://www.youtube.com/watch?v=mO8aq8uMcbc
Gato Barbieriの他作品もチェックを!
『In Search of the Mystery』(1967年)
『The Third World』(1969年)
『El Pampero』(1971年)
『Last Tango in Paris』(1972年)
『Chapter One: Latin America』(1973年)
『Bolivia』(1973年)
『Under Fire』(1973年)
『Chapter Two: Hasta Siempre』(1973年)
『Chapter Three: Viva Emiliano Zapata 』(1974年)
『Yesterdays』(1974年)
『Chapter Four: Alive in New York』(1975年)
『El Gato』(1975年)
Gato Barbieri & Dollar Brand『Confluence』(1975年)
『Caliente!』(1976年)
『Ruby Ruby』(1977年)
『Tropico』(1978年)
『Bahia』(1982年)
『Apasionado』(1983年)
『Para Los Amigos』(1984年)
『Passion And Fire』(1988年)