2018年07月19日

Martyn『Ghost People』

Brainfeederからリリースされたハイブリッドなダンス・ミュージック☆Martyn『Ghost People』
Ghost People [解説付・ボーナストラック1曲収録・国内盤] (BRC303)
発表年:2011年
ez的ジャンル:ハイブリッド・ダンス・ミュージック
気分は... :W杯ロス?

サッカーW杯が終わってしまい、喪失感が大きい数日間です・・・

こんな時には何も考えず音に身を任せるような音が聴きたい気分です。

今回はハイヴリッドなダンス・ミュージック作品Martyn『Ghost People』(2011年)です。

MartynことMartijn Deijkersは1975年オランダ、アイントホーフェン生まれのDJ/プロデューサー。現在はUS、ワシントンD.C.を拠点に活動しているようです。

ドラムンベースのDJを経て自身の作品をリリースするようになり、ダブステップ/ベースミュージック/テクノ/ハウスを融合させたハイヴリッドなダンス・ミュージックで人気を博しています。

これまで自身のレーベル3024から『Great Lengths』(2009年)、Flying LotusBrainfeederから『Ghost People』(2011年)、ロンドンの人気レーベルNinja Tuneから『The Air Between Your Words』(2014年)、そして、ベルリンのレーベルOstgut Tonから最新作『Voids』(2018年)をリリースしたばかりです。

僕の得意分野ではないジャンルの作品ですが、Brainfeederからのリリースという点にも興味を持ち、本作『Ghost People』(2011年)を購入した次第です。

こういう得意分野ではないジャンルの作品の方が、余計な予備知識なしに自分の感性のみで聴くことできるので頭をリフレッシュにはいいかもしれませんね。

シングルにもなった「Masks」、中毒性のあるディープ&ハイパーな「Popgun」、ダイナミック&パーカッシヴなタイトル曲「Ghost People」、深夜モードの「Twice As」、8分半を超える大作「We Are You In The Future」あたりが僕のおススメです。

妖しく煌めくディープ&ダークなダンス・ワールドを堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Love And Machines」
The SpaceapeのMCをフィーチャーしたアルバムのプロローグ。
https://www.youtube.com/watch?v=u2i3iB2JJYc

「Viper」
フューチャリスティックなハイパー・サウンドでダークに駆け抜けます。
https://www.youtube.com/watch?v=e1O9WJrKljE

「Masks」
シングルにもなった曲。少しザラついた感覚のデトロイト・フィーリングのトラックが脳内を侵食していきます。
https://www.youtube.com/watch?v=iPMD_bj4hGc

「Distortions」
ダークなテック・ハウス調トラックで妖しく煌めきます。
https://www.youtube.com/watch?v=B9O-6pBsq1s

「Popgun」
中毒性のあるディープ&ハイパーなダンス・トラック。脳内を空っぽにして音の流れに身を任せたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=RRy8wT3kgsk

「I Saw You At Tule Lake」
インタールード的な小曲。

「Ghost People」
タイトル曲はダイナミックなダンス・サウンドでハウシーに駆け抜けていきます。パーカッシヴな感じが僕好み。

「Twice As」
跳ねるビートで深夜のアンダーグラウンドへ誘ってくれます。ディープな雰囲気がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=ApQO528wB-I

「Bauplan」
アナログ・シンセが不気味に響くビートレス・トラック。
https://www.youtube.com/watch?v=qGrs2VkDzp4

「Horror Vacui」
スケールの大きなディープ・サウンドで
https://www.youtube.com/watch?v=Qr5Yp5uA4hs

「We Are You In The Future」
ラストは8分半を超える大作。本作の魅力が凝縮されているドラマチックなダンス・ワールド。さまざまなエッセンスで聴く者を高揚させてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=6LtN5qBN87Y

国内盤にはボーナス・トラックとして「Kohei's Park」が追加収録されています。

Martynの他作品もチェックを!

『Great Lengths』(2009年)
Great Lengths

『The Air Between Your Words』(2014年)
The Air Between Words [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC424)

Doms & Deykers『Evidence From a Good Source』(2016年)
EVIDENCE FROM A GOOD S [CD]

『Voids』(2018年)
martyn voids.jpg
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2018年07月17日

Francoise Hardy『Et Si Je M'en Vais Avant Toi』

フランスを代表する女性SSWのロンドン録音作☆Francoise Hardy『Et Si Je M'en Vais Avant Toi』
Et Si Je M'En Vais Avant Toi
発表年:1972年
ez的ジャンル:イエイエ系女性シンガー・ソングライター
気分は... :今宵は鉄板フレンチで!

サッカーW杯はフランスが地力の強さを見せつけて、今大会のダークホースであったクロアチアに4対2で勝利し、2度目の世界一に輝きました。決勝は面白くない試合がここ何大会かは続いていましたが、今回の決勝は見応えがありましたね。

素晴らしかったのはクロアチアのサッカーでしたが、それを跳ね返したフランスには本当の強さがありましたね。1得点目のきっかけとなったグリーズマンのファウル、2得点目のVARによるPK判定という運にも恵まれましたが、満身創痍のクロアチアに対して、フランスには余力が残っていた感じでしたね。また、あの流れで守備の要のカンテを交代させたデシャン監督の手腕にも脱帽です。

これで4年に1度の祭典が終わってしまいました。
たまたまですが、今夜は鉄板フレンチの店を予約しているので、鉄板フレンチを食し、フランス産ワインを飲みながらW杯の余韻に浸りたいと思います。

そんな流れで、フランス人アーティストの作品を取り上げたいと思います。

1960年代後半から70年代前半にかけて流行したフレンチ・ポップ"イエイエ(Ye-Ye)"を代表する女性アーティストの1人であるFrancoise Hardy『Et Si Je M'en Vais Avant Toi』(1972年)です。

日本では『La Vie Privee(私生活)』のタイトルでリリースされており、それ以外に『Francoise Hardy』

女性シンガー・ソングライターであると同時に、モデル、映画女優としても活躍したFrancoise Hardyの紹介は、『Gin Tonic』(1980年)に続き2回目となります。

デビュー・シングル『Tous Les Garcons Et Les Filles(男の子女の子)』(1962年)が大ヒットし、一躍人気アイドルとなり、その後も「Ma Jeunesse Fout Le Camp(もう森へなんか行かない)」(1967年)、「Comment Te Dire Adieu(さよならを教えて)」(1968年)などのヒット曲をリリースし、人気を不動のものとしたFrancoise Hardy

多くの曲をロンドンでレコーディングした本作は、彼女がアイドルから本格的な女性アーティストへの転換を窺える作品であり、ブルース/ロック/カントリー色が印象的な1枚に仕上がっています。

プロデュースはFrancoise Hardy自身。

レコーディングにはJerry Donahue(g)、Phil Pickett(g、p、harmonica)、Tony Cox(p)、Dave Peacock(b、g)、Barry de Souza(ds、per)といったミュージシャンが参加しています。

また、Tony CoxMicky Jones(後にForeignerを結成するMick Jones)、Tommy Brownがオーケストレーションを手掛けています。

ロッキンな格好良さのある「La Berlue」、カントリー・ブルース×フレンチ・ポップな「L’Eclairage」、アンニュイな脱力系カントリーの「Le Soir」「Ma Vie Interieure」、哀愁のメロディがたまらない「Bruit De Fond」、ブルース・ロック調の「Ou Est-Il」、フレンチ・ポップらしいアンニュイ感を満喫できる「Et Si Je M'En Vais Avant Toi」あたりが僕のおススメです。

他の作品では聴けないFrancoise Hardyの魅力に出会える1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「L’Eclairage」
Francoise Hardy作。邦題「 部屋の明かりを変えましょう」。本作らしいカントリー・ブルース的なフィーリングとフレンチ・ポップのアンニュイ感が調和したオープニング。この気だるい感じがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=Na-nqvc6Vv4

「Pardon」
Francoise Hardy作。邦題「ごめんなさい」。カントリー調の演奏ですが、Hardyのアンニュイなヴォーカルがカントリーのイモ臭さを打ち消して、オシャレな雰囲気で聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=sbMLTeycBMQ

「La Berlue」
Francoise Hardy作。邦題「 一人勝手はキライ」。本作ならではのロッキンなHardyを楽しめます。スウィンギン・ロンドン好きの人が聴いても楽しめる1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=t36-C8SJIac

「Bruit De Fond」
Francoise Hardy作。邦題「男と女の会話」。女性SSWとしてのHardyの魅力を満喫できる1曲。哀愁のメロディが彼女の切々としたヴォーカルとマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=rjXhdkQmSQI

「Le Soir」
Francoise Hardy作。邦題「アンニュイな夜」。カントリー調サウンドとフランス語の脱力系ヴォーカルが織り成すアンニュイ・ワールドがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=oE1phbggtPA

「Cafard」
Jacques Dutronc作。邦題「おやすみなさいは言わない」。哀愁メロディを憂いのあるヴォーカルで歌い上げるフレンチ・ポップらしい切ない仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=gxNOlPWvTEg

「Ou Est-Il」
Francoise Hardy作。邦題「忘れもの」。ブルース・ロック調サウンドとHardyのヴォーカルが融合し、独特のアンニュイ感を醸し出します。

「Prisons」
Francoise Hardy作。邦題「自滅的住居」。前曲に続き、ロック調の仕上がり。哀愁ロック・サウンドが、Hardyのクールなアンニュイ・ヴォーカルを引き立てます。

「Quand Mon Amour Va Prendre L'Air」
Francoise Hardy作。邦題「フランス風同棲」。カントリー×フレンチ・ポップな仕上がり。脱力系のユルさがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Hn-0afCC5pw ※音質悪いです

「Ma Vie Interieure」
Francoise Hardy作。邦題「幻想的疲労」。前曲と同じようなテイストの脱力系カントリー。よりフレンチ・ポップ感があってグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=239BoLsHakc ※音質悪いです

「Bowm, Bowm, Bowm」
Tommy Brown/Micky Jones作。邦題「波と風と私の歌」。オリジナルはTommy BrownがThomas F. Browne名義でリリースしたアルバム『Wednesday's Child』(1971年)に収録されています。ここから2曲はパリ録音であり、Tommy Brown/Micky Jonesがオーケストレーションを手掛けています。本曲は美しいオーケストレーションとフォーキー・サウンドが織り成す音世界が、Hardyの憂いを帯びたヴォーカルとフィットしています。少しアシッドな雰囲気があるのもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=yIpr2wfP0bY

「Et Si Je M'En Vais Avant Toi」
Francoise Hardy作。邦題「私が死んだら」。ラストは透明感のあるアコースティック・サウンドをバックに、フレンチ・ポップらしいアンニュイ・モードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=FEcvBGvExDw

他のFrancoise Hardy作品もチェックを!

『Francoise Hardy』(1962年)
フランソワーズ・アルディ

『Le premier bonheur du jour』(1963年)
Le Premier Bonheur Du Jou

『L'amitie』(1965年)
L'amitie

『La Maison Ou J'ai Grand』(1966年)
La Maison Ou J'ai Grandi

『Ma Jeunesse Fout Le Camp』(1967年)
もう森へなんか行かない

『Comment Te Dire Adieu』(1968年)
さよならを教えて

『En Anglais』(1969年)
En Anglais

『Soleil』(1970年)
アルディのおとぎ話

『La question』(1971年)
La Question (Fra)

『Message personnel』(1973年)
私小説

『Entr'acte』(1974年)
夜のフランソワーズ

『Musique saoule』(1978年)
J'Ecoute De Musique Saoule

『Gin Tonic』(1980年)
Gin Tonic
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2018年07月16日

Allure『Chapter III』

3人組での第3章の始まり☆Allure『Chapter III』
Chapter III
発表年:2004年
ez的ジャンル:アップ・ダウン系女性R&Bグループ
気分は... :とりあえずW杯決勝!

W杯決勝がキックオフ!
とりあえず音楽よりサッカーに集中します(笑)

今回は90年代R&B好きにはお馴染みの女性R&BグループAllureの3rdアルバム『Chapter III』(2004年)です。

Mariah Careyが設立したレーベルCraveの第一弾アーティストとして、デビュー・アルバム『Allure』(1997年)を華々しくリリースしたAllureの紹介は、デビュー作『Allure』(1997年)、2ndアルバム『Sunny Days』(2001年)に続き3回目となります。

突然Craveが消滅という苦難を乗り越えてリリースした2ndアルバム『Sunny Days』(2001年)は、内容的には充実していましたが、商業的な成功を収めることはできませんでした。

そんな影響もあってか、3rdアルバムとなる本作『Chapter III』(2004年)では、Linnie Belcherが脱退し、Alia DavisLalisha McCleanAkissa Mendezという3人組になっています。

本作ではC. "Tricky" StewartPresidential CampaignBig HouseMarcus AllenKirk GowdyQ-Bangerといったプロデューサーが起用されています。

アルバムは当時の最新R&Bトレンドを意識したような楽曲と、彼女たちらしいヴォーカルワークや爽快なメロディを重視した楽曲から構成されていますが、個人的には後者のタイプの楽曲に惹かれます。

その意味では「Let Em Go」「Long Lost Love」「Sitting At Home」「Bitter Sweet」「Frustration」あたりのバラード系が僕のおススメです。

それ以外に、キャッチー&キュートな「Hate 2 Love U」、Joe Buddenをフィーチャーした「I Think I'm In Love (Remix)」、セクシーなダンサブル・チューン「Relax And Unwind」あたりも好みです。

まずは1st、2ndを聴くべきグループだと思いますが、女性R&Bグループ好きの人であれば、この3rdも楽しめると思います。

全曲紹介しときやす。

「Intro」
Q-Bangerプロデュース。アルバムのイントロ。

「Hate 2 Love U」
Presidential Campaignプロデュース。彼女たちの魅力が伝わってくるキャッチー&キュートなR&Bグルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=stw6zotl9sA

「Relax And Unwind」
C. "Tricky" Stewartプロデュース。この時代らしいプロダクションによるセクシーなダンサブル・サウンドを楽しめます。

「Let Em Go」
Big Houseプロデュース。The Manhattans「Am I Losing You」をサンプリングしたメロウ・トラックをバックに、女性R&Bグループらしいヴォーカルワークで魅了する素敵なバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=LRqjmn4pDUk

「Long Lost Love」
Marcus Allenプロデュース。Braskaをフィーチャー。Tony Toni Tone「Lay Your Head on My Pillow」をサンプリングした素敵なメロウ・ミディアム。「Lay Your Head on My Pillow」大好きな僕にとってはたまらない1曲です。ジワジワと込み上げてくる感じがいいですね。Braskaのラップもいいアクセントになっています。

「I Think I'm In Love」
Kirk Gowdyプロデュース。この時期の女性R&Bグループらしい哀愁ダンサブル・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=lTyIMd_OvkQ

「Sitting At Home」
Kirk Gowdyプロデュース。切々としたヴォーカル&コーラスがジワジワくるメロウ・ミディアム。さり気ないですが、いい感じです。

「Bitter Sweet」
Elementプロデュース。タイトルの通り、ビター・スウィートなフィーリングの切ないバラード。美しくも切ないヴォーカルにグッときます。

「Can't Stay Here With You」
Marcus Allenプロデュース。改めて聴き直すと、グループの新しい魅力を引き出そうとしている面白いプロダクションですね。Etta James「Walking the Back Streets」をサンプリング。

「Uh Oh (Leaving With Me)」
Presidential Campaignプロデュース。 Elephant Manをフィーチャー。シングルにもなったダンスホール・レゲエ調のダンサブル・チューン。必ずしも僕好みではありませんが、アルバムの構成上、こういったアゲアゲな1曲が必要であったことは理解できます。

「I Watch Ya」
C. "Tricky" Stewartプロデュース。この時代らしい妖しげな雰囲気の漂うセクシー・モードのダンサブル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=KtrqixDKmpY

「Frustration」
C. "Tricky" Stewartプロデュース。このグループのオーセンティックな魅力が伝わってくる僕好みのミディアム・バラード。

「Gospel Interlude」
タイトルの通り、ゴスペル・フィーリングのア・カペラを聴けるインタールード。

「Stay」
Big Houseプロデュース。しっとりとした感動バラードで魅せてくれます。

「I Think I'm In Love (Remix)」
Joe Buddenをフィーチャーした「I Think I'm In Love」のリミックス。Joe Buddenのラップがある分、コチラの方がメリハリあるかも。
https://www.youtube.com/watch?v=ikZ-lIo937Q

「I Feel So」
Q-Bangerプロデュース。Ron Artest(NBAプレーヤーのMetta World Peace)をフィーチャー。ある意味、話題作りの1曲かもしれませんが、ダンサブルな仕上がりで楽しめます。

Allureの他作品もチェックを!

『Allure』(1997年)
アルーア

『Sunny Days』(2001年)
Sunny Days

『Time's Up』(2010年)
Time's Up
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2018年07月15日

Kaidi Tatham『It's A World Before You』

西ロンドンの黒いグルーヴ・マスターの最新作☆Kaidi Tatham『It's A World Before You』
イッツ・ア・ワールド・ビフォア・ユー
発表年:2018年
ez的ジャンル:ロンドン最新ブラック・ミュージック
気分は... :南ロンドンだけじゃなく西ロンドンも面白い!

サッカーW杯の3位決定戦「ベルギー対イングランド」はベルギーが勝利し、史上最高の3位という結果を残しました。

イングランドはさすがに中2日できつそうでしたね。
体力&気力の面で敗戦も仕方ない感じですね。

ベルギーは第3位ですが、決勝出場の2チームを差し置いて、今大会のベスト・チームという印象を受けますね。ルカク、アザール、デブルイネの攻撃ユニットは観ていて思わずファンになってしまいました。

そして、そのベストチームをどん底に追い詰めた日本代表も素晴らしかった・・・

さて、新作アルバムからロンドンのクロスオーヴァー・シーンの牽引者Kaidi Tathamの最新ソロ・アルバム『It's A World Before You』 です。

20年以上に渡り、ロンドンのクロスオーヴァー・シーンで活躍するマルチ・ミュージシャン/プロデューサーKaidi Tathamについて、ソロ作品の紹介は初めてですが、これまで以下の関連作品を紹介済みです。

 Neon Phusion『The Future Ain't the Same as It Used 2 B』(1999年)
 Silhouette Brown『Silhouette Brown』(2004年)
 Bugz In The Attic『Back In The Doghouse』(2006年)
 2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
 Dego & Kaidi『A So We Gwarn』(2017年)

Bugz In The Attic関連の活動に加え、Silhouette Brown2000BlackDego & Kaidiといった4HeroDegoとのタッグが印象的ですね。

ソロ・アルバムとしては、これまでAgent K名義の『Feed The Cat』(2002年)と『In Search Of Hope』(2008年)という2枚をリリースしています。

本作はFirst Word Recordsからのリリースですが、その伏線としてKaidiは2017年にFirst Word Recordsから「Hard Times」「Changing Times」という2枚の12"アナログ盤をリリースしています。
「Hard Times」(左)
「Changing Times」(右)
Hard Times [12 inch Analog]Changing Times [12 inch Analog]

さて、本作『It's A World Before You』 ですが、ロンドンの最新クロスオーヴァー・サウンドを満喫できる1枚に仕上がっています。

販売元はLonnie Liston Smith『Expansions』(1975年)やDonald Byrd『Stepping Into Tomorrow』(1974年)の世界観とMoodyman、Theo Parrishのセンスを融合したブラック・ミュージックといった謳い文句を用いていますが、そんなややこしく考えずとも黒いグルーヴ・マスターのエッジーなクロスオーヴァー・サウンドに直感的に刺激されるはずです。

アルバムには盟友Degoをはじめ、First Word所属のロンドンの新進Hip-Hop/ソウル・ユニットChildren Of Zeus、Hip-HopレジェンドDJ Jazzy Jeffの息子であるラッパーUhmeer(Amir Townes)がフィーチャリングされています。

また、全曲のミックスを中国系イギリス人プロデューサーEric Lauが手掛けています。

先日の「特別企画:『Jazz The New Chapter 5』が発売になりました・・・」で紹介したような今ジャズも最新ジャズですが、本作のようなクロスオーヴァー作品もロンドンの最新ジャズだと思います。

実際、KaidiはShabaka HutchingsJoe Armon-Jones等の南ロンドンの新進ジャズ・ミュージシャンとの交流もあり、彼らに影響を与えています。

南ロンドンも面白いが、西ロンドンもまだまだ面白い!
刺激に満ちたロンドンの最新ジャズ/ブラック・ミュージックをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Joyous」
ブレイクビーツ×Azymuth調ブラジリアン・フュージョンなオープニング。西ロンドンらしいクロスオーヴァー・サウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=DbNJV0HSn6Q

「Your Dreams Don't Mean A Thing」
ドリーミー&メロウなフュージョン・サウンドとKaidiらしいブロークンビーツ的な複合的リズムが織り成すクロスオーヴァー・ワールドが心地好い1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=BqDuGu_79uQ

「Sweet Kinch」
オルガン&エレピによるコズミックな小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=1k6uDOf0ORY

「Cold」
Azymuth調のキーボード・サウンドとシャープなリズムによる幻想的なクロスオーヴァー・サウンドが夢の世界へ誘ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9pkMq6ZNr4Q

「Out Here On My Own」
Children Of Zeusをフィーチャー。ここではネオソウル的なメロウ・トラックで楽しませてくれます。USネオソウル好きの人も気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=kk_fYnR_3KU

「Bien」
ビートメイカー的センスのメロウ・ワールドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=ExT2A7MEkaI

「2Tone」
ラテン・フュージョン・ブギーといった雰囲気のヴィヴィッドなダンサブル・サウンドを楽しめる1曲。かなり僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=FKWQANZJfYE

「It's About Who You Know」
アナログ・シンセの質感を楽しめる1曲。70年代風サウンドと現在形ビートの融合がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=gbABvQ_xppU

「Outta Audah」
トライバル感覚のブロークンビーツでスリリングに疾走します。2分半に満たない曲ですが、もっと長尺で聴きたい!
https://www.youtube.com/watch?v=0EINq_7N4Qw

「Soon Come」
インタールド的な小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=ZfgAFH7OWWg

「It's A World Before You」
盟友Degoをフィーチャー。70年代ジャズ・ファンクにカリビアンなエッセンスを加え、2018年仕様にアップデートしたようなサウンドはアルバムで最もキャッチーな仕上がり。確かにコレを聴くとDonald Byrd『Stepping Into Tomorrow』を引き合いに出したくなるのが分かりますね。
https://www.youtube.com/watch?v=jX2wtAo5KMs

「Cupid」
Uhmeerをフィーチャー。この曲はUhmeerとEric Lauがソングライティングを手掛けています。ATCQ調のジャジーHip-Hopワールドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4h0a6KK1lyg

「Unique」
雨音と共にアルバムはエンディングを迎えます。
https://www.youtube.com/watch?v=TsBs80I7PKM

Kaidi Tathamの他のソロ作や関連作品の過去記事もチェックを!

Neon Phusion『The Future Ain't the Same as It Used 2 B』(1999年)
The Future Ain't the Same as It Used 2 B

Agent K『Feed The Cat』(2002年)
Feed the Cat

Silhouette Brown『Silhouette Brown』(2004年)
シルエット・ブラウン

Bugz In The Attic『Back In The Doghouse』>(2006年)
Back in the Doghouse

Kaidi Tatham『In Search Of Hope』(2008年)
In Search Of Hope

2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
ア・ネクスト・セット・ア・ロッカーズ

Dego & Kaidi『A So We Gwarn』(2017年)
ソー・ウィー・グワン (SO WE GWARN)
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2018年07月14日

Rockie Robbins『Rockie Robbins』

アーバン・メロウな魅力に満ちた1stアルバム☆Rockie Robbins『Rockie Robbins』
ロッキー・ロビンズ
発表年:1979年
ez的ジャンル:アーバン・ソウル/AOR
気分は... :Donnyの遺志を受け継ぐ・・・

今回は再評価の高い男性ソウル・シンガーRockie Robbinsの1stアルバム『Rockie Robbins』(1979年)です。

ミネアポリス出身の男性シンガーRockie Robbinsの紹介は、2ndアルバム『You And Me』(1980年)、3rdアルバム『I Believe In Love』(1981年)に続き2回目となります。

この1stアルバムの裏ジャケには"I dedicate this album to the memory of Donny Hathaway"と記載されています。

本作がリリースされた1979年にこの世を去った天才ソウル・シンガーDonny Hathawayへのリスペクトと同時に、Donnyの遺志を受け継ごうとするRockieの志の高さが窺えます。

ただし、アルバム全体の印象はDonny Hathaway的というより、AORファンも気に入るであろうアーバン・メロウなソウル作品に仕上がっています。

プロデュースはJohnny PateRichard Evans

レコーディングにはDanny Leake(元100% Pure Poison)(g)、Greg Crockett(g)、Ross Traut(g)、Larry Ball(b)、James Gadson(ds)、Morris Jennings (ds、per)、Paul Humphrey(ds)、Denzil Miller(key)、Linda Williams(key)、Paul Libman(key)、Ricky Peterson(key)、Terry Fryer(key)、Derf Reklaw(per)、Paulinho Da Costa(per)、Bobby Bryant(tp)等が参加しています。

軽快なソウル・グルーヴstrong>「I Can Hardly Wait」、Rockieの真骨頂ともいえるメロウ・バラード「If I Ever Lose You」、軽快メロウなダンサブル「I Love You Only」、シングルにもなったEW&Fのカヴァー「Be Ever Wonderful」、アーバンなファンキー・メロウ「Sho' Is Bad」、華やかなディスコ「Miss Dynamite」が僕のおススメです。

AORファンも気に入るであろうアーバン・メロウは、サマー・モードにもフィットするのでは?

全曲紹介しときやす。

「I Can Hardly Wait」
Skip Scarborough/Wanda Hutchinson(The Emotions)作。Rockieの伸びやかなヴォーカルが映える軽快なソウル・グルーヴがオープニング。エレガントなストリングスやソウルフルな女性コーラス隊が盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=cHO4u66w4Vc

「If I Ever Lose You」
Rockie Robbins作。素敵な女性コーラスと共に始まるメロウ・バラード。Rockie Robbins好きにはたまらない1曲に仕上がっています。AOR好きの人も気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=d1ifdJhcpio

「Funk Street」
Rockie Robbins作。タイトルの通り、ゴリゴリのファンク・チューンですが、Rockieのヴォーカルとストリングス・アレンジで実にスマートに聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9NyphpbMyRE

「When I Think Of You」
Rockie Robbins作。オーセンティックなラブ・バラードですが、こういう曲を歌わせても聴く者を魅了するのがRockie Robbinsというシンガーの素晴らしさですね。
https://www.youtube.com/watch?v=AedIMvue0os

「I Love You Only」
Rockie Robbins作。軽快メロウなダンサブル・チューン。緩急つけながらRockieの伸びやかなヴォーカルの魅力を存分に満喫できます。

「Don't Deny Me」
Rockie Robbins作。小粋なファンキー・グルーヴ。派手さはありませんが、実力派シンガーらしいセンスを感じる1曲に仕上がっています。

「Be Ever Wonderful」
EW&Fのカヴァー(Larry Dunn/Maurice White作)。オリジナルはアルバム『All 'n All』(1977年)に収録されています。Rockieのシンガーとしてのスケールの大きさを感じる好カヴァーに仕上がっています。シングルにもなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=rwL6O6Jke5w

「Sho' Is Bad」
Richard Evans/Rockie Robbins作。アーバンなファンキー・メロウはかなり僕好み。都会的なソウル・フィーリングがたまりません。AORとの相性もいいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=gL0vo3dxros

「Miss Dynamite」
Greg Crockett/Ray Gardner作。ラストは軽快なギター・カッティングと共に疾走するディスコ・チューンで華やかに締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=6ABvIJGwKkI

Rockie Robbinsの過去記事もチェックを!

『You And Me』(1980年)
You and Me

『I Believe In Love』(1981年)
I Believe in Love
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