発売直後に購入したのですが、気分がW杯モードで未読のまま家の本棚に放置していました。W杯が終盤に入り、ようやく『Jazz The New Chapter 5』にちゃんと目を通すことができました。
『Jazz The New Chapter 5』
『Jazz The New Chapter』(上段左)
『Jazz The New Chapter 2』(上段右)
『Jazz The New Chapter 3』(下段左)
『Jazz The New Chapter 4』(下段右)
当ブログでは、これまで3回、『Jazz The New Chapter』絡みの記事をエントリーしています。
2014年9月30日
『Jazz The New Chapter(JTNC)強化月間のおわりに』
2015年9月16日
特別企画:『Jazz The New Chapter 3』が発売になりました・・・
2017年3月30日
特別企画:『Jazz The New Chapter 4』掲載ディスクのご紹介
特に、2014年9月に"Jazz The New Chapter(JTNC)強化月間"と称して、『Jazz The New Chapter』および『Jazz The New Chapter 2』の掲載ディスクを集中的に紹介し、そのまとめ的な記事『Jazz The New Chapter(JTNC)強化月間のおわりに』は、大きな反響をいただきました。
そんな流れで、『Jazz The New Chapter 5』についても触れておきたいと思います。
以前にも書きましたが、僕自身はJazz The New Chapter(JTNC)の熱狂的な信奉者というわけではなく、手放しでこのムック本の内容を支持しているわけではありません。特に『Jazz The New Chapter 3』あたりから、音楽シーンの新しい動きを無理矢理"JTNC"という枠に押し込めようとする窮屈さを感じ、批判的な視点も含めてスクエアなスタンスでJTNCを眺めるようにしています。
その意味で今回の『Jazz The New Chapter 5』は、"JTNC"という枠組みの押し付けは目立たず、注目の"今ジャズ"ミュージシャンのインタビュー中心の構成が好感持てました。評論家が不用意な主張をするよりも、重要ミュージシャンの生の声を届けてくれる方が、読者が時代の流れを的確に感じることができると思います。
個人的には、Shabaka HutchingsをはじめとするUKジャズが大きく取り上げられることを期待していたのですが、その部分は完全に肩透かしでした(UKジャズに関する記事も僅かながらありましたが)。
まぁ、僕のようなニーズの人間は『Jazz The New Chapter 5』ではなく、『別冊ele-king カマシ・ワシントン/UKジャズの逆襲』を購入すればいいのでしょうが(笑)
『別冊ele-king カマシ・ワシントン/UKジャズの逆襲』
◆『Jazz The New Chapter 5』掲載ディスクの紹介
『Jazz The New Chapter 5』でセレクトされた120作品から、当ブログでもエントリー済みの作品を紹介したいと思います。
Thundercat『Drunk』(2017年)
「Friend Zone」
https://www.youtube.com/watch?v=FqE_H1A-8B4
Moonchild『Voyager』(2017年)
「Cure」
https://www.youtube.com/watch?v=Ic1rvQ44gFc
Terrace Martin Presents The Pollyseeds『Sounds Of Crenshaw Vol. 1』(2017年)
「Funny How Time Flies」
https://www.youtube.com/watch?v=C0pVmsrg814
Christian Scott aTunde Adjuah『The Emancipation Procrastination』(2017年)
「Videotape」
https://www.youtube.com/watch?v=7-9-E0SOfMI
Chris Dave And The Drumhedz『Chris Dave And The Drumhedz』(2018年)
「Destiny N Stereo」
https://www.youtube.com/watch?v=PSyB5rtMgSs
Sons Of Kemet『Your Queen Is A Reptile』(2018年)
「My Queen is Harriet Tubman」
https://www.youtube.com/watch?v=twjaSC5Ym9s
Mabuta『Welcome To This World』(2018年)
「Welcome To This World」
https://www.youtube.com/watch?v=Zd8vWwi8Q1g ※スタジオ・セッション
R+R=Now『Collagically Speaking』(2018年)
「Change Of Tone」
https://www.youtube.com/watch?v=GUDTso9yZ64
Kamasi Washington『Heaven And Earth』(2018年)
「Street Fighter Mas」
https://www.youtube.com/watch?v=LdyabrdFMC8
◆独断でセレクト!裏『Jazz The New Chapter 5』作品
『Jazz The New Chapter 5』から離れますが、今回本当に書きたかった部分はココから(笑)。
当ブログで紹介した作品で『Jazz The New Chapter 5』のセレクトから漏れたものの、個人的に"コレこそJTNCじゃねぇ"と思うディスクを独断で裏『Jazz The New Chapter 5』としてセレクトしました。
※『Jazz The New Chapter 4』発売以降のエントリーに限定しています。
Richard Spaven『The Self』(2017年)
「The Self」(feat. Jordan Rakei)
https://www.youtube.com/watch?v=YattHO96UzI
『ezが選ぶ2017年の10枚』にもセレクトした現行ジャズとクラブジャズを行き来するUKの敏腕ドラマーの意欲作。これまでJTNCでも注目してきたミュージシャンであるにも関わらず、『Jazz The New Chapter 5』では完全にスルーされていましたね。何故だろう?
Dwight Trible With Matthew Halsall『Inspirations』(2017年)
「Tryin' Times」
https://www.youtube.com/watch?v=KSbSTH3Ly3U
Build An ArkやThe Life Force TrioといったL.A.ジャズ作品でお馴染みのUS黒人男性ジャズ・シンガーDwight TribleがUKジャズ・トランぺッターMatthew Halsallと共演したアルバム。Matthew HalsallはGoGo Penguinの1st、2ndアルバムをリリースしたインディペンデント・レーベルGondwana Recordsの主宰者でもあります。この2人の顔合わせというだけでも十分にJTNCですよね。
30/70『Elevate』(2017年)
「Nu Spring」
https://www.youtube.com/watch?v=R0TZN_YQAZ0
Hiatus Kaiyote、Jordan RakeiがJTNCならば、このオージー・ソウル・コレクティヴも十分JTNCだと思います。音を聴けば、前述の2アーティスト以上に"今ジャズ"らしさがあるのが分かると思います。
The Breathing Effect『The Fisherman Abides』(2017年)
「Water Static (Blinding Phoenix)」
https://www.youtube.com/watch?v=WP0W01Rlgc4
前作『Mars Is a Very Bad Place for Love』(2015年)は『Jazz The New Chapter 4』でセレクトされていましたが、最新作である本作は選外に・・・。こういうのこそ進化形ジャズだと思いますが!!!
Aron Ottignon『Team Aquatic』(2017年)
「Waves」
https://www.youtube.com/watch?v=ulX0sA6fxRM
実力派ジャズ・ピアニストAndrew Hillの手ほどきを受けたこともあるニュージーランド出身ジャズ・ピアニストのデビュー作。スティール・パン、プログラミング&エレクトロニクスを駆使した独自の今ジャズを満喫できます。
Zara McFarlane『Arise』(2017年)
「Pride」
https://www.youtube.com/watch?v=qGSe9eF1WtQ
UKジャマイカンの女性ジャズ・シンガーの最新作。Moses Boydプロデュース、Shabaka Hutchings参加という点も含めて、UKジャズの今を知るうえで欠かせない1枚だと思いますが・・・
Mike Lebrun『Shades』(2017年)
「Click 'n' Slap」
https://www.youtube.com/watch?v=L_daPLOmwN8
L.A.を拠点とするマルチリード奏者の初の単独アルバム。Moonchildの紅一点ヴォーカリストAmber Navranもフィーチャリングされています。
Blue Lab Beats『Xover』(2018年)
「Blue Skies」
https://www.youtube.com/watch?v=xsTp_29XkW8
南ロンドンを拠点とするUKジャズ新世代ミュージシャンが大挙して参加した期待のUKビートメイキング・デュオのデビュー作。"ロンドン新世代からUS今ジャズへの返答"とでも呼びたくなる1枚です。
Joe Armon-Jones『Starting Today』(2018年)
「Starting Today」
https://www.youtube.com/watch?v=mdz9jHg-mWM
南ロンドンの注目アフロ・ジャズ・ファンク・バンドEzra Collectiveのキーボード奏者の初ソロ・アルバム。南ロンドン新世代ジャズの魅力を余すことなく伝えてくれる1枚だと思います。
結局、UKジャズをはじめとするUSジャズ以外の作品が殆どです。今が旬のUKジャズをどのように捉えるのか?ですかね。
個人的にはShabaka And The AncestorsのメンバーやUSトランぺッターTheo Crokerも参加したNicola Conte & Spiritual Galaxy『Let Your Light Shine On』(2018年)あたりももJTNC的だと思います。ただし、JTNCでは一貫して無視されているNicola Conteに対しては先入観で拒否反応する人がいるかもしれないので、ひとまず裏『Jazz The New Chapter 5』作品のリストからは外しておきました。しかしながら、先入観なしにぜひチェックして欲しいですね。
まぁ、あれこれ書きましたが、『Jazz The New Chapter 5』は進化形ジャズやブラック・ミュージックに興味がある方ならば、一読の価値がある面白いムック本だと思います。