
発表年:1972年
ez的ジャンル:イエイエ系女性シンガー・ソングライター
気分は... :今宵は鉄板フレンチで!
サッカーW杯はフランスが地力の強さを見せつけて、今大会のダークホースであったクロアチアに4対2で勝利し、2度目の世界一に輝きました。決勝は面白くない試合がここ何大会かは続いていましたが、今回の決勝は見応えがありましたね。
素晴らしかったのはクロアチアのサッカーでしたが、それを跳ね返したフランスには本当の強さがありましたね。1得点目のきっかけとなったグリーズマンのファウル、2得点目のVARによるPK判定という運にも恵まれましたが、満身創痍のクロアチアに対して、フランスには余力が残っていた感じでしたね。また、あの流れで守備の要のカンテを交代させたデシャン監督の手腕にも脱帽です。
これで4年に1度の祭典が終わってしまいました。
たまたまですが、今夜は鉄板フレンチの店を予約しているので、鉄板フレンチを食し、フランス産ワインを飲みながらW杯の余韻に浸りたいと思います。
そんな流れで、フランス人アーティストの作品を取り上げたいと思います。
1960年代後半から70年代前半にかけて流行したフレンチ・ポップ"イエイエ(Ye-Ye)"を代表する女性アーティストの1人であるFrancoise Hardyの『Et Si Je M'en Vais Avant Toi』(1972年)です。
日本では『La Vie Privee(私生活)』のタイトルでリリースされており、それ以外に『Francoise Hardy』
女性シンガー・ソングライターであると同時に、モデル、映画女優としても活躍したFrancoise Hardyの紹介は、『Gin Tonic』(1980年)に続き2回目となります。
デビュー・シングル『Tous Les Garcons Et Les Filles(男の子女の子)』(1962年)が大ヒットし、一躍人気アイドルとなり、その後も「Ma Jeunesse Fout Le Camp(もう森へなんか行かない)」(1967年)、「Comment Te Dire Adieu(さよならを教えて)」(1968年)などのヒット曲をリリースし、人気を不動のものとしたFrancoise Hardy。
多くの曲をロンドンでレコーディングした本作は、彼女がアイドルから本格的な女性アーティストへの転換を窺える作品であり、ブルース/ロック/カントリー色が印象的な1枚に仕上がっています。
プロデュースはFrancoise Hardy自身。
レコーディングにはJerry Donahue(g)、Phil Pickett(g、p、harmonica)、Tony Cox(p)、Dave Peacock(b、g)、Barry de Souza(ds、per)といったミュージシャンが参加しています。
また、Tony Cox、Micky Jones(後にForeignerを結成するMick Jones)、Tommy Brownがオーケストレーションを手掛けています。
ロッキンな格好良さのある「La Berlue」、カントリー・ブルース×フレンチ・ポップな「L’Eclairage」、アンニュイな脱力系カントリーの「Le Soir」や「Ma Vie Interieure」、哀愁のメロディがたまらない「Bruit De Fond」、ブルース・ロック調の「Ou Est-Il」、フレンチ・ポップらしいアンニュイ感を満喫できる「Et Si Je M'En Vais Avant Toi」あたりが僕のおススメです。
他の作品では聴けないFrancoise Hardyの魅力に出会える1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「L’Eclairage」
Francoise Hardy作。邦題「 部屋の明かりを変えましょう」。本作らしいカントリー・ブルース的なフィーリングとフレンチ・ポップのアンニュイ感が調和したオープニング。この気だるい感じがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=Na-nqvc6Vv4
「Pardon」
Francoise Hardy作。邦題「ごめんなさい」。カントリー調の演奏ですが、Hardyのアンニュイなヴォーカルがカントリーのイモ臭さを打ち消して、オシャレな雰囲気で聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=sbMLTeycBMQ
「La Berlue」
Francoise Hardy作。邦題「 一人勝手はキライ」。本作ならではのロッキンなHardyを楽しめます。スウィンギン・ロンドン好きの人が聴いても楽しめる1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=t36-C8SJIac
「Bruit De Fond」
Francoise Hardy作。邦題「男と女の会話」。女性SSWとしてのHardyの魅力を満喫できる1曲。哀愁のメロディが彼女の切々としたヴォーカルとマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=rjXhdkQmSQI
「Le Soir」
Francoise Hardy作。邦題「アンニュイな夜」。カントリー調サウンドとフランス語の脱力系ヴォーカルが織り成すアンニュイ・ワールドがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=oE1phbggtPA
「Cafard」
Jacques Dutronc作。邦題「おやすみなさいは言わない」。哀愁メロディを憂いのあるヴォーカルで歌い上げるフレンチ・ポップらしい切ない仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=gxNOlPWvTEg
「Ou Est-Il」
Francoise Hardy作。邦題「忘れもの」。ブルース・ロック調サウンドとHardyのヴォーカルが融合し、独特のアンニュイ感を醸し出します。
「Prisons」
Francoise Hardy作。邦題「自滅的住居」。前曲に続き、ロック調の仕上がり。哀愁ロック・サウンドが、Hardyのクールなアンニュイ・ヴォーカルを引き立てます。
「Quand Mon Amour Va Prendre L'Air」
Francoise Hardy作。邦題「フランス風同棲」。カントリー×フレンチ・ポップな仕上がり。脱力系のユルさがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Hn-0afCC5pw ※音質悪いです
「Ma Vie Interieure」
Francoise Hardy作。邦題「幻想的疲労」。前曲と同じようなテイストの脱力系カントリー。よりフレンチ・ポップ感があってグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=239BoLsHakc ※音質悪いです
「Bowm, Bowm, Bowm」
Tommy Brown/Micky Jones作。邦題「波と風と私の歌」。オリジナルはTommy BrownがThomas F. Browne名義でリリースしたアルバム『Wednesday's Child』(1971年)に収録されています。ここから2曲はパリ録音であり、Tommy Brown/Micky Jonesがオーケストレーションを手掛けています。本曲は美しいオーケストレーションとフォーキー・サウンドが織り成す音世界が、Hardyの憂いを帯びたヴォーカルとフィットしています。少しアシッドな雰囲気があるのもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=yIpr2wfP0bY
「Et Si Je M'En Vais Avant Toi」
Francoise Hardy作。邦題「私が死んだら」。ラストは透明感のあるアコースティック・サウンドをバックに、フレンチ・ポップらしいアンニュイ・モードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=FEcvBGvExDw
他のFrancoise Hardy作品もチェックを!
『Francoise Hardy』(1962年)

『Le premier bonheur du jour』(1963年)

『L'amitie』(1965年)

『La Maison Ou J'ai Grand』(1966年)

『Ma Jeunesse Fout Le Camp』(1967年)

『Comment Te Dire Adieu』(1968年)

『En Anglais』(1969年)

『Soleil』(1970年)

『La question』(1971年)

『Message personnel』(1973年)

『Entr'acte』(1974年)

『Musique saoule』(1978年)

『Gin Tonic』(1980年)
