2018年08月07日

The Mighty Diamonds『Right Time』

ジャマイカを代表するレゲエ・ヴォーカル・グループのデビュー作☆The Mighty Diamonds『Right Time』
Right Time
発表年:1976年
ez的ジャンル:Channel One系レゲエ・ヴォーカル・グループ
気分は... :マジカルなレゲエ・ワールド!

今回はレゲエ名作からThe Mighty Diamonds『Right Time』(1976年)です。

The Mighty Diamondsは1969年にジャマイカ、キングストンで結成された男性ヴォーカル・トリオ。

メンバーはDonald "Tabby" ShawFitzroy SimpsonLloyd Fergusonの3名。

デビュー・アルバムとなる本作『Right Time』(1976年)以降、ジャマイカを代表するレゲエ・ヴォーカル・グループとして長きに渡り活動しています。

個人的には80年代からThe Mighty Diamondsの名はよく聞き、ラジオ等で音を聴くこともありましたが、正直オリジナル・アルバムに触れる機会はあまりありませんでした。彼らに限らずレゲエ・アーティストの場合、作品が多くてどこから手を付けるべきかが分からないというのが悩みのタネなのですが・・・

本作『Right Time』は、The Mighty Diamondsの美しいヴォーカル・ワークと、最強リズム・セクションSly & Robbie(Sly Dunbar/Robbie Shakespeare)をはじめとするChannel Oneのハウス・バンドThe Revolutionariesの面々が奏でるサウンドが結びついた新感覚レゲエとして、当時も今も高い評価を得ている名作です。UK盤等はVirginからリリースされました。

Channel One/Well Chargeからリリースされた本国ジャマイカ盤は収録曲は同じですが、ジャケ、タイトルが異なる『When The Right Time Come (I Need A Roof) 』としてリリースされています。
『When The Right Time Come (I Need A Roof) 』(1976年)
I Need a Roof

プロデューサーはJoseph Hoo Kim
楽曲はすべてメンバーおよびJoseph Hoo Kimによるオリジナルです。

レコーディングにはSly Dunbar(ds)、Robbie Shakespeare(b)、Bertram "Ranchie" McLean(b)、Radcliffe "Rad" Bryan(g)、Ansel Collins(key)、Uziah "Sticky" Thompson(per)といったThe Revolutionariesの面々等が参加しています。

曲タイトルからも分かるようのに、メッセージ性の強いルーツ・レゲエであり、The Revolutionariesによるバッキングも当時の先鋭サウンドであるにも関わらず、Tabbyのリード・ヴォーカルをはじめとする彼らのヴォーカルが加わると、ラヴァーズと錯覚するようなスウィートなレゲエ・ワールドが展開されるのが不思議ですね。

「Right Time」「Shame and Pride」「I Need a Roof」「Have Mercy」「Africa」等の名曲がズラリと並びます。

マジカルなレゲエ・ワールドを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Right Time」
Tabbyの甘く伸びやかなリード・ヴォーカルが映えるタイトル曲はレゲエ・クラシック。メッセージは強烈なのにヴォーカルはスウィート!というのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qxMDdCj1514

「Why Me Black Brother Why」
このグループらしい素敵なヴォーカル・ワークとアグレッシヴなサウンドの組み合わせがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=9xQpxfNnJRs

「Shame and Pride」
開放的なホーン・サウンドとスウィートなヴォーカル・ワークが印象的です。ラヴァーズ作品と勘違いしそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=8WUafMX-L2o

「Gnashing of Teeth」
彼らのヴォーカルとThe Revolutionariesのバッキングが織り成す、独特の開放感のあるルーツ・レゲエ・ワールドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=4j3c5Jq0y08

「Them Never Love Poor Marcus」
サウンドだけ聴いていると、アグレッシヴなルーツ・レゲエなのに、彼らのヴォーカルが入るとマイルドな味わいになるのが不思議ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=DKW6lwYcvPI

「I Need a Roof」
ジャマイカ本国盤を踏まえると本曲がタイトル曲になるのかもしれませんね。メロウ・ヴォーカルと格好良いバッキングが織り成す至極のレゲエ・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=l7sn9Fd_EAc

「Go Seek Your Rights」
ファルセット・ヴォーカルで哀愁のメロディを歌い上げます。静かなる闘志を感じるサウンドもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=uAMDZFARFEI

「Have Mercy」
コレも名曲ですね。Tabbyのリード・ヴォーカルやコーラス・ワークが映える1曲。独特のタイム感覚で時間が流れていく感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=3N1GAGPB1t8

「Natural Natty」
軽やかなバッキングに乗って、レゲエ・ヴォーカル・グループならではのコーラス・ワークを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=9DgJ-W9oy6k

「Africa」
ラストもラヴァーズと勘違いしそうなスウィートなヴォーカル・ワークで聴く者を魅了します。
https://www.youtube.com/watch?v=fNYHcziApMc

The Mighty Diamondsの他の初期〜中期作品もチェックを!

『Ice on Fire』(1977年)
Ice on fire

『Planet Earth』(1978年)
PLANET EARTH/PLANET MARS DUB

『Stand Up to Your Judgment』(1978年)
Stand Up to Your Judgement/

『Deeper Roots (Back to the Channel)』(1979年)
Deeper Roots & Dub (Reis)

『Reggae Street』(1981年)
Reggae Street

『Pass the Kouchie』(1982年)
Pass the Kouchie

『The Roots Is There』(1982年)
Roots Is There

『Leaders of Black Country』(1983年)
Leaders of Black Countries

『Struggling』(1985年)
Struggling

『The Real Enemy』(1987年)
The Real Enemy

『Get Ready』(1988年)
Get Ready
posted by ez at 13:06| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月06日

Odyssey『I Got The Melody』

N.Y.ディスコ・ユニットの4th。AOR方面からも人気の1枚☆Odyssey『I Got The Melody』
アイ・ガット・ザ・メロディ(期間生産限定盤)
発表年:1981年
ez的ジャンル:摩天楼系ディスコ/アーバン・ソウル
気分は... :大都会のサマー・ナイト・・・

ニューヨークを拠点に活動していたソウル/ディスコ・グループOdysseyの4thアルバム『I Got The Melody』(1981年)です。今年嬉しい初CD化が実現しました。

Lopez姉妹を中心とした男女混成グループOdysseyの紹介は1stアルバム『Odyssey』(1977年)に続き2回目となります。

前回紹介した『Odyssey』(1977年)はディスコ/フリーソウル好きから再評価の高い1枚であったのに対し、4thアルバムとなる本作『I Got The Melody』(1981年)はAORファンからも支持の高い1枚ですね。

本作におけるメンバーはLillian LopezLouise LopezのLopez姉妹と2ndアルバム『Hollywood Party Tonight』(1978年)から加入したBill McEachernの3名。
※前回『Odyssey』の記事でメンバー変遷について私の事実誤認がありましたので、今回のエントリーと共に修正しておきました。

プロデュースはSteve Tyrell

Kenny Loggins「I Got The Melody」Airplay「It Will Be Alright」Seawind「Hold On To Love」といったAORファンにお馴染みの楽曲のカヴァーがハイライトかもしれませんね。

それ以外にも、シングルとしてUKチャート第4位となったダンス・クラシック「Going Back To My Roots」、個人的にはアルバムで一番のお気に入り「Baby That's All I Want」Leon Ware作の哀愁メロウ・グルーヴ「I Can't Keep Holding Back My Love」Carole King/Gerry Goffin作品のレゲエ調カヴァー「Oh No Not My Baby」と全7曲充実の構成です。

N.Y.の都会的サウンドによるディスコ/アーバン・ソウルを満喫できる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「I Got The Melody」
Kenny Logginsのカヴァー(Patti Austin作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『Celebrate Me Home』(1977年)に収録されています。都会的な爽快感が心地好いアーバン・メロウに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=9uDT-dDAKVU

「Roots Suite: Ajomora/Going Back To My Roots/Bawa Awa」
Al Gorgoni作の「Ajomora」、「Bawa Awa」とLamont Dozier作の「Going Back To My Roots」のメドレー。「Going Back To My Roots」はアルバムからの1stシングルとしてUKシングル・チャート第4位のヒットとなっています。「Going Back To My Roots」のオリジナルはLamont Dozier『Peddlin' Music On The Side』(1977年)に収録されています。アフリカン・メロウな「Ajomora」に続き、摩天楼ディスコな「Going Back To My Roots」で躍動し、ダンサブルなインスト「Bawa Awa」で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=g-uVoFopm9o

「I Can't Keep Holding Back My Love」
Shadowのカヴァー(Leon Ware/Linda Clay作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『Shadow』(1980年)に収録されています。哀愁メロウ・グルーヴにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=OlQtwPR7Soc

「Baby That's All I Want」
Franne Golde/Tom Snow作。AOR/シティ・ポップ的な格好良さもある都会的なモダン・ソウル。実はアルバムで一番のお気に入りはコレ。

「It Will Be Alright」
Airplayのカヴァー(Allee Willis/David Foster/Jay Graydon作)。オリジナルはアルバム『Airplay』(1980年)に収録されています。オリジナルの雰囲気を受け継いだ素敵なバラードに仕上がっています。アルバムからの2ndシングルにもなりました。Airplayヴァージョンも含めてこの曲を聴いていると、角松 敏生「Still I'm In Love With You」を聴きたくなるのは僕だけでしょうか・・・
https://www.youtube.com/watch?v=kdILgh9sp4g

「Oh No Not My Baby」
Carole King/Gerry Goffin作によるMaxine Brown、1964年のR&Bヒットをカヴァー。レゲエ調の仕上がりが印象的です。アルバムのいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=9GS8DOwt97Y

「Hold On To Love」
Seawindのカヴァー(Bob Wilson作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『Light the Light』(1979年)に収録されています。個人的にはオリジナル自体が大好きなので、オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、アーバンな仕上がりの本ヴァージョンも大好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=X9SDgfyJA0Y

国内盤再発CDにはボーナス・トラックとして、「Going Back to My Roots (Single Version)」「Baba Awa (Single Version)」「It Will Be Alright (Single Version)」「Going Back to My Roots (12" Version)」の4曲が追加収録されています。

Odysseyの他作品もチェックを!

『Odyssey』(1977年)
Odyssey / Native New Yorker

『Hollywood Party Tonight』(1978年)
odyssey hollywood party tonight.jpg

『Hang Together』(1980年)
HANG TOGETHER ~ EXPANDED EDITION

『Happy Together』(1982年)
odyssey happy together.jpg

『Joy』(1985年)
Joy

『Legacy』(2011年)
Legacy
posted by ez at 02:59| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

Jazzanova『The Pool』

待ちに待った10年ぶりのスタジオ・アルバム☆Jazzanova『The Pool』
The Pool
発表年:2018年
ez的ジャンル:ベルリン産クロスオーヴァー/モダン・ソウル
気分は... :果報は寝て待て!

新作からベルリンのプロデューサー/DJユニットJazzanova、待望の3rdスタジオ・アルバム『The Pool』です。

ベルリンを拠点に世界のクラブジャズ/クロスオーヴァーを牽引してきたプロデューサー/DJユニットJazzanovaの紹介は、1stアルバム『In Between』(2002年)、2ndアルバム『Of All The Things』(2008年)に続き3回目となります。

コンピ等のせいで数多くアルバムを出している印象もあるJazzanovaですが、純然たるオリジナル・スタジオ・アルバムはこれまで『In Between』(2002年)、『Of All The Things』(2008年)の2枚のみであり、本作『The Pool』は10年ぶりのスタジオ新作となります。待たせすぎです(笑)

本作におけるメンバーはAxel ReinemerStefan LeiseringAlex BarckClaas BrielerJurgen von Knoblauchの5名。

全曲ヴォーカル入りです。

Jazzanova作品ではお馴染み、USデトロイト出身の男性R&BシンガーPaul Randolph、クロスオーヴァー/クラブミュージック好きにはお馴染みのUKブリストル出身の男性シンガーBen Westbeech、NZ出身、ベルリンを拠点にする新世代R&BシンガーNoah Slee、N.Y.ブルックリンを拠点とするラッパーOddisee、スコットランド出身の女性フォーク・シンガーRachel Sermanni、UKブリストル出身で2015年にはSonar Kollektivからアルバム『Colour』をリリースしているPete Josef、チリ、サンティアゴを極点とするDJ/プロデューサーRafael Silvaによるダンス・ミュージック・プロジェクトKPTN、ボリビア出身、ベルリンを拠点にする男性シンガー・ソングライターDavid Lemaitre、UKエセックス出身の人気男性ジャズ・シンガー/マルチ・プレイヤーJamie Cullum、UKの女性シンガーCharlotte OC、ワシントンD.C.出身、UK育ち、ベルリンを拠点に活動する男性R&BシンガーOlivier St. Louis、オーストリア、メルボルン出身の男性シンガーEdward Vanzetといった多彩なアーティストがフィーチャリングされています。

アルバム全体としては、前作『Of All The Things』の流れを汲む、クラブジャズ/クロスオーヴァー経由のモダン・ソウル作品に仕上がっています。それ以外に美しいサウンド&メロディが光る楽曲、Hip-Hop調の楽曲など飽きさせることなくアルバム1枚を楽しむことができます。

どの楽曲にもJazzanovaならではのサウンド・センスや味わい深さを満喫できるのがサイコーです。

勿論、自らのレーベルSonar Kollektivからのリリースです。

10年待たされましたが、充実の内容に大満足の1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Now (L.O.V.E. And You & I - Part 2)」
Oddiseeをフィーチャー。タイトルからも分かるように、1stアルバム『In Between』のオープニングを飾った「L.O.V.E. And You & I」のパート2でアルバムは幕を開けます。「L.O.V.E. And You & I」の雰囲気を受け継ぎつつ、Jazzanovaらしいサウンド・カラーのHip-Hopを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=k4aoN_D0GYY

「Rain Makes The River」
Rachel Sermanniをフィーチャー。先行シングルにもなったJazzanovaワールド全開の哀愁チューン。童心に戻っていく気分になる味わい深さがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=rwx63pCRVDw

「Follow Your Feet」
Pete Josefをフィーチャー。Jazzanova流モダン・ソウルを楽しめる軽快なダンサブル・チューン。『Of All The Things』が好きだった人であれば気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=LAXS-oZIBgk

「No. 9」
KPTNをフィーチャー。ベルリン産クラブジャズ経由のHip-Hopチューンといった雰囲気がいいですね。聴き重ねるほどに気に入ってきました。
https://www.youtube.com/watch?v=ZhSv7Z7OgKg

「Sincere」
Noah Sleeをフィーチャー。個人的に注目している新世代R&BシンガーNoah SleeとJazzanovaの共演というだけでワクワクします。両者の相性の良さを感じる良質のモダン・ソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Fi-OM0aQ89M

「Slow Rise」
David Lemaitreをフィーチャー。哀愁モードのグルーヴが心地好いダンサブル・チューン。David LemaitreのヴォーカルはJazzanovaサウンドにフィットしますね。
https://www.youtube.com/watch?v=IUhrqyTRmno

「Let's Live Well」
UKの貴公子Jamie Cullumをフィーチャー。Jamie Cullumのヴォーカルは映える感動バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Lr9_QJJgaFY

「Everything I Wanted」
Charlotte OCをフィーチャー。エレクトリックな疾走感が格好良いクロスオーヴァーなダンサブル・チューン
https://www.youtube.com/watch?v=fEA31LaNEBQ

「Heatwave」
Olivier St. Louisをフィーチャー。硬質なビート、ソウルフルなOlivier St. Louisのヴォーカルが印象的なJazzanovaらしいモダン・ソウル。
https://www.youtube.com/watch?v=5CZFg4q0cSo

「It's Beautiful」
Paul Randolphをフィーチャー。『Of All The Things』収録の名曲「Let Me Show Ya」でお馴染みのPaul Randolphですが、ここではアブストラクトなダンサブル・サウンドに乗って哀愁モードのヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=vZr2zhOuYgA

「I'm Still Here」
Edward Vanzetをフィーチャー。ビューティフルなミディアム・チューン。美しいメロディ&サウンドは一度聴いたらやみつきになります。
https://www.youtube.com/watch?v=5M4SKoJsORE

「Summer Keeps On Passing Me By」
Ben Westbeechをフィーチャー。ラストは僕の大好きなBen Westbeechとの共演。このブルージーなモダン・ソウルは僕の期待通り!最近はあまり活動が伝わってこないBen Westbeechですが、この調子で自身の新作も届けて欲しいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=BUc973XGbYU

Jazzanova関連の過去記事もご参照ください。

『In Between』(2002年)
イン・ビトゥイーン・デラックス・エディション

『Of All The Things』(2008年)
Of All the Things

Thief『Sunchild』(2006年)
Sunchild

Alex Barck『Reunion』(2013年)
リユニオン
posted by ez at 02:25| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月04日

Vapour Trails『Vapour Trails』

青春の1ページ!「サーフサイド・フリーウェイ」収録☆Vapour Trails『Vapour Trails』
ヴェイパー・トレイルズ
発表年:1979年
ez的ジャンル:サーフサイド系AOR
気分は... :ベストヒットUSA!

今回はAOR好き、ド定番の1枚Vapour Trails『Vapour Trails』(1979年)です。

僕を含むオッサン世代には小林克也さんでお馴染みの人気洋楽番組『ベストヒットUSA』のテーマ曲「Don't Worry Baby(サーフサイド・フリーウェイ)」収録のアルバムとして愛着のあるアルバムですね。あのイントロを聴いただけで次々と名作ジャケが登場する『ベストヒットUSA』のオープニング映像と青春の思い出がリンクしてグッとくる中高年オッサンは多いのでは?僕もその典型です。

ちなみに当時の日本ではThe VT's名義でアルバム・タイトル『Autumn Breeze』(1980年)としてリリースされました。

The VT's『Autumn Breeze』(1980年)
kthe vt's  autumn breeze.jpg

Vapour TrailsJohn McBurnie(vo、g、key)、Andy Dalby(g)、Phil Curtis(b)というUKの敏腕ミュージシャン3名が組んだバンド。

彼らのデモ・テープに目を付けたのはWarner Brosの敏腕プロデューサー・コンビTed TemplemanLenny Waronker

こうして制作されたのがVapour Trails唯一のアルバム『Vapour Trails』(1979年)です。

レコーディングはロンドンとL.Aで行われ、ロンドン録音はVapour Trails自身、L.A録音はLarry Carltonがプロデュースし、彼のホームグラウンドRoom 335

レコーディングにはメンバー以外に、John Ferraro(ds)、Steve Holly(ds)、Paulinho da Costa(per)、Michael Omartian(key)、Dave Benoit(key)、Brian Mann (key)、William D. Smith(key)、Brian Chatton(key)、Betsy Cook(org)、Tom Scott(sax)、Mel Collins(sax)、Bill Champlin(back vo)、Vivienne McAuliffe(back vo)、Betsy Cook(back vo)が参加しています。

ハイライトは勿論「Don't Worry Baby(サーフサイド・フリーウェイ)」ですが、それ以外にも英国人ミュージシャンのUSウエストコースト・サウンドへの憧れを随所で楽しめる1枚に仕上がっています。

ウエストコーストAOR好きの人にはエヴァーグリーンな1枚ですね。

全曲紹介しときやす。

「Do The Bossa Nova」
John McBurnie作。国内盤『Autumn Breeze』では「Don't Worry Baby」がオープニングでしたが、本来のオープニングはコレ。本国UKで唯一シングル・カットされたのがこの曲。全然ボサノヴァ・モードではありませんが、リラックスしたバカンス・サウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=A0mUApg-mEs

「Don't Worry Baby」
John McBurnie作。説明不要のAORクラシックですね。イントロを聴いた瞬間、気分は思春期のあの夏へ・・・。UKミュージシャンのUSウエストコーストへの憧れが見事に反映されたエヴァーグリーンな名曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Ho56P99Tmbg

「Night People」
Vivienne McAuliffe/John McBurnie作。ロンドン録音の1曲目。ロンドン録音とは信じられないUS西海岸の爽快ブリージンな仕上がりです。Larsen-Feiten Bandあたりが好きな人であればグッとくるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=FXoK091P_1Q

「True Love」
John McBurnie作。ロンドン録音の2曲目。ロンドンの曇り空ならぬ、カリフォルニアの青い空といった趣の爽快ミディアム・バラード。僕好みのメロウ・フィーリングです。

「It's All Right」
John McBurnie作。日本人好みのAORロック・チューン。初期Totoがお好きな人は気に入るのでは?

「Slow Dancing」
John McBurnie作。前半はアコースティック・ギターとメロウ・エレピの組み合わせの癒しが心地好い仕上がり。中盤以降はカッティング・ギターが印象的なメロウ・ソウルな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=gmBRoSSblQ0

「Modern Love」
Steve Holly/John McBurnie作。ロンドン録音の3曲目。ポップ・ロック調AORに仕上がっています。この時代らしいサウンドですね。

「Non Merci」
John McBurnie作。ロッキンな仕上がりですが、悪くはありませんが産業ロックっぽさがあるので少しビミョー・・・

「Hold On To Something Good」
John McBurnie作。素敵なメロウ・ミディアムはAOR好きの人であればウェルカムな仕上がりだと思います。

「Strange Conversations」
Andy Dalby/Robby Jack作。ブルー・アイド・ソウル的な都会的サウンドがいいですね。彼らのセンスの良さを感じます。

「Throw Down The Dice」
John McBurnie作。ロンドン録音の4曲目。AOR好きの心をくすぐるメロウ・ミディアム。中盤はモロにThe Doobie Brothers「What A Fool Believes」状態ですが、この確信犯的サウンドが良かったりします(笑)

「Falling」
John McBurnie作。ラストはレイドバックAORとでも呼びたくなる1曲で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ynHate__t3k

個人的にはSpyro Gyra『Morning Dance』(1978年)とセットで聴きたくなる1枚です。
Spyro Gyra『Morning Dance』(1978年)
モーニング・ダンス
「Morning Dance」
 https://www.youtube.com/watch?v=bVDZ5UY_oDw
posted by ez at 06:04| Comment(1) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月02日

The Life Force Trio『Ima (Living Room Special Japanese Edition) 』

Carlos Nino、Dexter Storyによるスピリチュアル・ジャズ☆The Life Force Trio『Ima (Living Room Special Japanese Edition) 』
IMA (LIVING ROOM SPECIAL JAPANESE EDITION)
発表年:2006年
ez的ジャンル:L.A.スピリチュアル・ジャズ
気分は... :居間で聴くスピリチュアル・ジャズ・・・

今回はBuild An Ark等の活動でも知られるL.A.スピリチュアル・ジャズの首領Carlos Ninoがプロデューサー/コンポーザー/マルチ奏者Dexter Storyと組んだユニットThe Life Force Trio『Ima (Living Room Special Japanese Edition) 』 です。

本作はオリジナル・アルバム『Living Room』(2006年)のオリジナル11曲に12"EP「The Life Force Trio」 (2006年)収録の6曲を追加した日本独自編集盤です。

アルバム・タイトルは『Living Room』の日本語訳『居間(Ima)』です。

ちなみにオリジナル『Living Room』のジャケは下記のとおりです。
The Life Force Trio『Living Room』(2006年)
Living Room

アルバム『Living Room』(2006年)は、Dwight TribleをフィーチャーしたDwight Trible & The Life Force Trio名義の『Love Is the Answer』(2005年)に続くアルバムとなります。

アルバムにはCarlos NinoDexter Story以外に、Andres Renteria(ds、per、congas、key、syn、prog、vo)、Gaby Hernandez(key、kalimba、vo)、Fabian Ammon(key、prog)、Miguel Atwood-Ferguson(key、moog、el-p、syn、melodica、viola)、Jesse Sharps(accordion)、Derf Reklaw(fl)、Azul Nino(vo)、Yusef Story(vo)、Carolina Chaves(vo)、(vo)等のミュージシャンが参加しています。

また、L.A,のHip-HopプロデューサーNobodyElvin Estela)がミックス、John Tejadaがマスタリングを手掛けています。

アルバム全体としては、ローファイ感覚なエレクトリック・サウンドを中心としたスピリチュアル・ジャズ作品に仕上がっています。Build An Arkあたりのサウンドをイメージするとギャップがありますが、コチラの方がCarlos Ninoらしいジャズ・ワールドを楽しめると思います。

最初はピンと来ないかもしれませんが、何度が聴き流すうちにローファイ感覚のアヴァンギャルド感がクセになります。

全曲紹介しときやす。

「Coliseum」
Carlos Nino/Dexter Story作。電子パルスのようなムーグを中心に神秘的な音世界を奏でるオープニング。

「Space Flowers」
Andres Renteria/Carlos Nino作。ローファイなエレクトロニカ感覚が印象的な演奏です。ヴォーカルは Gaby Hernandez。

「Carousel」
Andres Renteria/Carlos Nino/Dexter Story作。Dwight Tribleがヴォーカルのローファイ感覚スピリチュアル・ジャズ。

「Starship」
Carlos Nino/Fabian Ammon作。作者2人のみのローズ、ムーグ、キーボードによる宇宙との交信のような演奏。

「Blue Line, Watts Bound」
Carlos Nino/Dexter Story作。アヴァンギャルドなミニマル感が不気味なムードを醸し出します。

「The Shadows Took Shape」
Gaby Hernandez/Andres Renteria/Carlos Nino作。美しい音響と閉じた小宇宙感がマッチしたCarlos Ninoらしい音世界を楽しめます。

「Soul Mates, Like Thunder And Lightning」
Dexter Story作。前半はMiguel Atwood-Fergusonのヴィオラを中心とした穏やかな演奏、後半はDwight Tribleらのスキャットが加わり、スピリチュアルな味わいが増します。

「Tone Poem」
Dexter Story/Fabian Ammon/Miguel Atwood-Ferguson作。作者3名による幻想的な演奏が印象的です。虚ろな夢世界といった趣です。

「Luminous」
Miguel Atwood-Ferguson作。ヴィオラを中心にL.A.ジャズのキーマンの一人Miguel Atwood-Fergusonらしい美しい音世界を満喫できる演奏です。

「Alice!」
Carlos Nino/Gaby HernandezのコンセプトをMiguel Atwood-Fergusonがサウンドで具現化した1曲。Miguel Atwood-Ferguson好きにはグッとくる美しい演奏です。Derf Reklawのフルートも効果的です。

「Orbit (Spaceways Radio Theme, Forever)」
Andres Renteria/Gaby Hernandez作。オリジナル・アルバムのラストはカリンバの音色が印象的な演奏で締め括ってくれます。

ここからの6曲は国内盤に追加された6曲。

「Space Flowers (Daedelus Remix)」
Daedelus Remixによる「Space Flowers」のリミックス。こちらの方がジャズっぽいかも?

「I Love You So」
Gaby Hernandez/Carlos Nino作。♪I Love You So♪を繰り返すだけの演奏ですが、何とも言えない味わいがあります。

「Meditation On Sly」
Dexter Story作。ローファイな瞑想感が印象的です。

「Take Me There」
Carlos Nino/Dexter Story作。

「Starship (Ammoncontact Remix featuring Mikah 9)」
「Starship」のリミックス。Mikah 9のラップが加わり、Hip-Hop調のダンサブルな仕上がりです。

「Starship (Ammoncontact Remix Instrumental)」
上記リミックスのインスト・ヴァージョン。

The Life Force Trioの他作品やCarlos NinoDexter Story関連の他作品もチェックを!

Dwight Trible & The Life Force Trio『Love Is the Answer』(2005年)
Love Is the Answer [2CD] (ZENCD108)

Carlos Nino & Miguel Atwood-Ferguson『Fill The Heart Shaped Cup』(2007年)
フィル・ザ・ハート・シェイプド・カップ

Carlos Nino & Friends『High With A Little Help From』(2009年)
High With a Little Help from

Carlos Nino & Friends『Aquariusssssss』(2012年)
アクエリアス

Carlos Nino & Friends『Aurorasmushroomtenderness』(2014年)
AURORASMUSHROOMTENDERNESS(オーロラスマシュルームテンダネス)

Carlos Nino & Friends『Flutes, Echoes, It's All Happening!』(2016年)
Flutes, Echoes, It's All Happening! [日本限定流通輸入盤CD / ボーナストラック4曲収録] (LR081)_251

Dexter Story『Seasons』(2013年)
Seasons

Dexter Story『Wondem』(2015年)
Wondem

Build An Ark『Peace With Every Step』(2004年)
ピース・ウィズ・エヴリー・ステップ

Build An Ark『Dawn』(2007年)
ドーン

Build An Ark『Love Part 1』(2009年)
ラヴ

Build An Ark『Love Part 2』(2010年)
ラヴ・パート2 [限定盤]

Build An Ark『The Stars Are Singing Too』(2011年)
THE STARS ARE SINGING TOO ~10 YEARS ANNIVERSARY SPECIAL 2001-2011~

AmmonContact『Sounds Like Everything』(2003年)
Sounds Like Everything

AmmonContact『One in an Infinity of Ways』(2004年)
One in an Infinity of Ways

AmmonContact『New Birth』(2005年)
New Birth

AmmonContact『With Voices』(2006年)
With Voices

Turn on the Sunlight『Turn on the Sunlight』(2010年)
TURN ON THE SUNLIGHT

Turn on the Sunlight『New Day』(2013年)
NEW DAY
posted by ez at 01:06| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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