発表年:1993年
ez的ジャンル:男性R&Bシンガー
気分は... :シンギュラリティは近い・・・
90年代R&B作品からTashan『For The Sake Of Love』(1993年)です。
Tashan(本名:Thomas Jerome Pearse)は1962年N.Y.生まれの男性R&Bシンガー。
Whodini、Fat Boys、Kurtis BlowといったHip-Hopアーティストへの作品参加を経て、Def Jamから1stアルバム『Chasin' a Dream』(1986年)、さらにDef Jam傘下のOBRから2ndアルバム『On The Horizon』(1989年)をリリースしました。その後、OBRを離れ、 Columbia傘下のChaos RecordingsからUK録音の3rdアルバムとなる本作『For The Sake Of Love』(1993年)をリリースしています。
Oran "Juice" Jonesに続くOBRの男性R&Bシンガーというイメージが強いですね。
僕がリアルタイムで聴いていたのは、2nd『On The Horizon』(1989年)と3rd『For The Sake Of Love』(1993年)の2枚。当時は『On The Horizon』の方をよく聴いていましたが、今日再評価されているのは『For The Sake Of Love』かもしれませんね。
今回、改めて2枚を聴き比べ、確かに今聴くならば『For The Sake Of Love』だと納得しました。
3rdアルバムとなる本作『For The Sake Of Love』(1993年)は、前述のようにUK録音であり、B.E.F.(British Electric Foundation)やHeaven 17の活動で知られるMartyn Wareがメイン・プロデューサーに起用されています。
TashanとMartyn Wareの出会いは、MartynのユニットB.E.F.の2ndアルバム『Music Of Quality And Distinction Volume II』(1991年)に収録されたMarvin Gayeの大ヒット曲「I Want You」のカヴァーです(本作にも収録)。
その「I Want You」をはじめ、アーバンな魅力×UKソウルなオトナR&Bな楽曲がズラリと並びます。
Snap!の活動でも知られる女性シンガーPenny Fordがデュエットで参加し、Cindy Mizelle、Tawatha Agee、Jocelyn Brown、Jerry Barnes(Juicy)、Mic Murphy(The System)等がバック・ヴォーカルで参加しています。また、P-Funkの重鎮Bernie Worrellも参加しています。
前述の「I Want You」、Squeezeのカヴァー「Tempted」以外はTashanおよび参加メンバーのオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「Tempted」
Martyn Wareプロデュース。Squeeze、1981年のシングルをカヴァー(Chris Difford/Glenn Tilbrook作)。UK録音ならではのカヴァー・セレクトですが、コレが見事にハマったUKソウル感覚の好カヴァーに仕上がっています。Cindy Mizelle、Tawatha Ageeがバック・コーラスを務めます。
https://www.youtube.com/watch?v=UJtLyPDFacg
「Been A Long Time」
Martyn Ware/Tashanプロデュース。スクラッチ音を織り交ぜつつ、アーバン・フィーリングが心地好いミディアム・グルーヴ。
「Ecstatic」
Maz & Kilgore/David Kahneプロデュース。実にUKソウルらしいサウンド!なんて思っていたら、このミディアム・グルーヴはN.Y.レコーディングでした。
「For The Sake Of Love」
Martyn Ware/Tashanプロデュース。タイトル曲はCindy Mizelle、Tawatha Agee、Jocelyn Brownといった豪華バック・コーラス陣を配したクワイエット・ストームなミディアム・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=qbTQG9CZ2j8
「Single And Lonely」
Tashanプロデュース。美しいストリングスを配したバラード。コレもクワイエット・ストーム好きが気に入りそう。
https://www.youtube.com/watch?v=o2Qh64-wTpU
「Still In Love」
Martyn Ware/Tashanプロデュース。僕好みの生演奏のアーバン・メロウ。Tashanのダンディな魅力が伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=W1OigLbAJ3s
「Love Is Forever」
Mark Morales/Mark C. Rooneyプロデュース。シングルにもなったメロウ・グルーヴ。NJSとアーバン・フィーリングが絶妙に融合しているのがいいですね。昔も今もコレが一番のお気に入りです。
https://www.youtube.com/watch?v=08tDwECF_z0
「Romantically Inspired」
Martyn Ware/Tashanプロデュース。Jocelyn Brownがバック・コーラスを務めるオトナのアーバン・メロウ。Martyn Wareのサウンド・センスを感じます。
「Control Of Me」
Kevin Ryanプロデュース。クラブミュージック的アプローチのミディアム・グルーヴに仕上がっています。
「Insane」
Mark Morales/Mark C. Rooneyプロデュース。Snap!の活動でも知られる女性シンガーPenny Fordとのデュエット。2人のソウル・ヴァイヴが伝わってくる爽快グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=_KwCnGyNsGw
「All I Ever」
Martyn Ware/Tashanプロデュース。Incognitoライクな清涼ジャズ・ファンク・サウンドをバックにTashanのヴォーカルが躍動します。鮮やかなホーン・サウンドも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=xy6bTWYM44w
「Love Of My Life」
Carl Holst-Roness/Marvin Williamsプロデュース。Tashanのセクシーな魅力が伝わってくるミディアム・バラード。シンセ・ソロはBernie Worrell。
https://www.youtube.com/watch?v=lxxzi6Aapgw
「I Want You」
Martyn Ware/Tashanプロデュース。Leon Ware/Arthur "T-Boy" Ross作によるMarvin Gayeの大ヒット曲をカヴァー。前述のようにTashanとMartyn Wareが出会うきっかけとなったB.E.F.『Music Of Quality And Distinction Volume II』(1991年)に収録されていた楽曲です。JuicyのJerry Barnes、The SystemのMic Murphyがバック・コーラスを務めます。また、Bernie Worrellも参加しています。Martyn Ware的サウンド・センスとTashanのヴォーカルの魅力がうまく結びついた、この時期のUKらしい好カヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=UTxYtZpzWWo
Tashanの他作品もチェックを!
『Chasin' a Dream』(1986年)
『On The Horizon』(1989年)