発表年:2000年
ez的ジャンル:MPBの歌姫
気分は... :変化を恐れず!
今回はMPBの歌姫Marisa Monteの『Memorias, Cronicas e Declaracoes De Amor』(2000年)です。
これまで当ブログで紹介したMarisa Monte作品は以下の7枚。
『Marisa Monte(MM)』(1989年)
『Mais』(1991年)
『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao』(1994年)
『Barulhinho Bom(A Great Noise)』(1996年)
『Universo Ao Meu Redor』(2006年)
『Infinito Particular』(2006年)
『O Que Voce Quer Saber De Verdade』(2011年)
また、Carlinhos Brown、Arnaldo Antunesによるスーパー・トリオTribalistasのアルバム『Tribalistas』(2002年)も紹介済みです。
本作『Memorias, Cronicas e Declaracoes De Amor』(2000年)は、歌姫Marisa Monteの充実ぶりが感じられる大ヒット・アルバムであり、本国ブラジルでは100万枚以上の売上を記録しました。
プロデュースはArto LindsayとMarisa Monte。
レコーディングにはMarisa Monte(vo、g)以下、Arto Lindsay(g)、Domenico Lancellotti(ds)、Kassin(b、key)、Dadi(b)、Peter Scherer(key)、Andres Lewin(el-p)、Marc Ribot(g)、Melvin Gibbs(b)、Davi Moraes(g、sitar、ds)、Carlinhos Brown(per)等のミュージシャンが参加しています。
また、後にスーパー・トリオTribalistasを組むこととなるArnaldo Antunes(vo)、ブラジル音楽の偉大なコンポーザー/キーボード奏者Joao Donato(p)、売れっ子チェロ奏者Jaques Morelenbaum(cello)の3名がスペシャル・ゲストとしてクレジットされています。
本作は長年タッグを組んできたArto Lindsayとのコンビの最終アルバムですが、その総決算的な完成度の高さを感じる1枚です。
新世代のブラジル音楽のエッセンスを取り入れつつ、聴きやすさも両立させている完成度の高さに、改めて感心してしまいます。聴き込むほどに、さり気ない斬新さや緻密さにグッとくるのが魅力です。
商業的にも、音楽性の面でもMPBの歌姫の貫禄を示してくれた1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Amor I Love You」
Marisa Monte/Carlinhos Brown作。スーパー・トリオTribalistasの同僚となるArnaldo Antunesをゲストに迎えたオープニング。ソングライティングにはCarlinhos Brownも関わっており、プレTribalistasとでも呼びたくなる素敵なラブソング。ラテン・グラミー賞も受賞した名曲です。基本はアコースティックなラブソングですが、エレクトロ&ストリングスによる味付け本作らしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qF5hXBZW47w
「Nao Va Embora」
Marisa Monte/Arnaldo Antunes作。新世代MPBといった雰囲気がいいですね。Davi Moraesによるシタール・ギター、Carlinhos Brownによるパーカッション・アレンジが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=XDhx7oBqZWs
「O Que Me Importa」
Tim Maia等が歌っていたJose de Ribamar Cury Heluy作品をカヴァー。Marisaの優しい歌声にグッとくる素敵なメロウ・バラードに仕上がっています。Marc Ribotのギターがいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=YsiKwM7snAM
「Nao E Facil」
Marisa Monte/Carlinhos Brown/Arnaldo AntunesというTribalistasメンバーによる共作。ブラジルらしさとArto Lindsay的コスモポリタン・サウンドが見事に調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=JKrpdUxb4X8
「Perdao Voce」
Carlinhos Brown/Alaim Tavares作。Marisaの歌声がアコギとストリングスによる美しい響きに溶け込んで一体化している感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=uEaq18nUGmw
「Tema de Amor」
Marisa Monte/Carlinhos Brown作。美しくメロディアスな中にもモダンなエッセンスが散りばめられている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Wd87Hf0TLng
「Abololo」
Marisa Monte/Lucas Santtana作。後にブラジル音楽シーンに大きなインパクトを与えた『Sem Nostalgia』(2009年)を生み出したLucas Santtanaとの共作です。スペシャル・ゲストのJoao Donatoのピアノをバックに、Marisaがしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=wZkUjNMgeDU
「Para Ver as Meninas」
Paulinho da Viola作品をカヴァー。オリジナルは『Paulinho Da Viola』(1971年)に収録されています。哀愁のメロディを歌うMarisaを切ない語り口がたまりません。スペシャル・ゲストのJaques Morelenbaumのチェロが演奏全体の品格を高めているのがいいですね。そんな中でArto Lindsayのギターがアヴァンギャルドな雰囲気を醸し出しているのが面白いです。
https://www.youtube.com/watch?v=wSW3FtvOTn0
「Cinco Minutos」
Jorge Benのカヴァー。オリジナルは『A Tabua De Esmeralda』(1974年)に収録されています。Lucas SanttanaやDomenico Lancellottiも参加し、Jorge Benソングをアヴァンギャルドな新世代ブラジル・サウンドへ変貌させているのがサイコーです。
「Gentileza」
Marisa Monte作。SSWらしい雰囲気ですが、よく聴くと結構手の込んだサウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=dcx-UbylYLk
「Agua Tambem E Mar」
Marisa Monte/Carlinhos Brown/Arnaldo Antunes作。浮遊するキーボードとスペシャル・ゲストのJaques Morelenbaumのチェロがストレンジな雰囲気を演出します。夢の中のMarisaといった趣です。
https://www.youtube.com/watch?v=B0kPEf67WMI
「Gotas de Luar」
Nelson Cavaquinho/Guilherme de Brito作品のカヴァー。Guilherme de Britoのオリジナルは『Quatro Grandes Do Samba』(1977年)に収録されています。ギターのみのシンプルな演奏をバックに、Marisaの歌が優しく包み込んでくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=r71zDtKXOJw
「Sou Seu Sabia」
ラストはCaetano Veloso作品で締め括ってくれます。Caetano自身のヴァージョンはアルバム『Noites Do Norte』(2000年)に収録されています。スペシャル・ゲストのJoao Donatoのピアノやストリングスを従え、美しいバラードをMarisaらしい語り口で歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=vWbkT1lylJ4
Marisa Monte関連の他作品もチェックを!
『Marisa Monte(MM)』(1989年)
『Mais』(1991年)
『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao(Rose and Charcoal)』(1994年)
『Barulhinho Bom(A Great Noise)』(1996年)
Tribalistas『Tribalistas』(2002年)
『Universo Ao Meu Redor』(2006年)
『Infinito Particular』(2006年)
『O Que Voce Quer Saber De Verdade』(2011年)
『Verdade Uma Ilusao』(2014年) ※ライブ・アルバム
『Colecao』(2016年) ※コラボ・ワークス集
Tribalistas『Tribalistas』(2017年)