発表年:2018年
ez的ジャンル:UK次世代レディ・ソウル
気分は... :ネクスト・レベルへ・・・
新作からUK期待の次世代女性ソウル・シンガーFatimaの2ndアルバム『And Yet It's All Love』です。
Fatima(本名:Fatima Bramme Sey)は、スウェーデン生まれ(両親がスウェーデン人とナイジェリア人)、現在ロンドンを拠点に活動する女性ソウル・シンガー。
UKエレクトロニック・シーンの人気プロデューサーFloating Points(Sam Shepherd)が主宰するEglo Recordsと契約し、「Mindtravelin EP」(2010年)を皮切りにコンスタントに作品をリリース。その傍らで、Sa-Ra Creative PartnersのShafiq Husaynのソロ・アルバム『Shafiq En' A-Free-Ka』(2009年)をはじめ、UKのプロデューサーFunkinEven、中国系イギリス人プロデューサーEric Lau等の作品に参加しています。
2014年に満を持して1stアルバム『Yellow Memories』をドロップし、Gilles PetersonのWorldwide AwardsにおけるAlbum Of The Year 2015をはじめ、各方面で高い評価を得ました。
そんなEglo Recordsのディーヴァ待望の2ndアルバムが本作『And Yet It's All Love』です。
『Yellow Memories』では、Floating Points(Sam Shepherd)をはじめ、Anderson .Paakとの強力ユニットNxWorriesでもお馴染みの人気Hip-HopプロデューサーKnxwledge、Madlibの実弟Oh No、Computer Jay、Scoop Deville、fLako(Natureboy Flako)といった気鋭のプロデューサーが起用されていました。
本作では、前作にも参加していたチリとドイツにルーツを持つNatureboy Flakoをメイン・プロデューサーに据え、それ以外にStones Throw期待のプロデューサー/ビートメイカーMndsgn、Sa-Ra Creative PartnersのTaz Arnold、、UKのプロデューサーJD Reid、同じくUKのプロデューサーThe Purist、L.A.を拠点に活動するマルチ奏者/ビートメイカーSwarvy、オーストラリア、メルボルン出身のアーティストKirkis等がプロデューサーとして起用されています。
本作ではアルバム全体が恋の始まりから終わりまでの1サイクルを描いたコンセプト・アルバムになっています。
そんなコンセプトと合致したアーティスティックなジャケも印象的です。
メイン・プロデューサーNatureboy Flakoが手掛けた楽曲は、エレクトリック・サウンドが印象的な次世代UKソウルといった雰囲気です。さらに多様なプロデューサーの楽曲がアルバムにアクセントを加え、全体として魅力なアルバムに仕上がっています。
Mndsgnプロデュースの「Dang」、
軽やかな「Westside」、摩訶不思議なダンサブル・チューン「I See Faces In Everything」、JD Reidプロデュースの哀愁チューン「Somebody Else」、シングルにもなった「Caught In A Lie」あたりが僕のおススメです。
次世代UKソウルの歌姫による恋の物語に耳を傾けましょう。
全曲紹介しときやす。
「Dang」
Mndsgnがプロデュース。ローズ音色が心地好い幻想的ネオソウルといった趣のオープニング。Fatimaの少しレイジーかつコケティッシュなヴォーカルが揺らめきます。
「Westside」
Natureboy Flakoプロデュース。軽やかなエレクトリック・サウンドをバックに、Fatimaのヴォーカルが軽やかに舞います。
https://www.youtube.com/watch?v=xRbR7qKcZrM
「Attention Span Of A Cookie」
Natureboy Flakoプロデュース。摩訶不思議な雰囲気のエレクトリック・サウンドに乗って、Fatimaがリズミックなヴォーカルを聴かせてくれます。
「I See Faces In Everything」
Natureboy Flakoプロデュース。前曲「Attention Span Of A Cookie」の 摩訶不思議なエレクトリック・サウンドをさらにダンサブルにした雰囲気です。ビートの効いたサウンドに乗り、Fatimaが妖艶なヴォーカルで迫ってきます。
「Take It All」
The Puristプロデュース。N.Y.出身のラッパーRoc Marcianoをフィーチャー。ビートレスのサウンドをバックに、FatimaのヴォーカルとRoc Marcianoのラップが交錯します。
「Somebody Else」
JD Reidプロデュース。JD Reidによる哀愁トラックをバックに、Fatimaが切ない女心を歌い上げるR&Bチューン。JD Reidによるトラックはなかなか刺激的です。
https://www.youtube.com/watch?v=AMfIG0_anQE
「Caught In A Lie」
Natureboy Flakoプロデュース。シングル・カットもされました。タイトルのように嘘による破局を歌う哀愁R&Bグルーヴ。少しダークなサウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=zYq_ZNA_nkw
「Waltz」
Natureboy Flakoプロデュース。前曲での破局の後、戻ってきて欲しいと懇願する哀愁のエレクトリック・ワルツ。
https://www.youtube.com/watch?v=vWh2AvJwUEM
「So Rite」
Swarvyプロデュース。さり気ない雰囲気ながらもセンスを感じるネオソウル調のメロウな仕上がり。
「Movie」
Freckles Pecanプロデュース。ピアノをバックにFatimaが切々と歌い上げるバラード。
「Note To Self」
Sa-Ra Creative PartnersのTaz Arnoldプロデュース。Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』(2015年)のプロデュースでも名を上げたTaz Arnoldが幻想的なトラックを聴かせてくれます。1分強しかないのが残念です。
「And Yet It's All Love」
Kirkisプロデュース。ラストは無限の愛の力を歌うビューティフル・バラードで締め括ってくれます。
未聴の方は1stアルバム『Yellow Memories』(2014年)もチェックを!
『Yellow Memories』(2014年)