発表年:1971年
ez的ジャンル:悲運の女性SSW
気分は... :神は試練を与えたもう・・・
今回は悲運の女性シンガー・ソングライターJudee Sillのデビュー・アルバム『Judee Sill』(1971年)です。
1944年L.A.生まれの女性シンガー・ソングライターJudee Sillは、2ndアルバム『Heart Food』(1973年)に続き2回目となります。
本作はDavid Geffenが設立したばかりのAsylum Recordsの第1弾アルバムとなった作品です。
プロデュースはHenry Lewy、John Beck、Jim Pons、Graham Nash。さらにDon Bagley、Bob Harrisがオーケストレーションを手掛けています。
レコーディングにはJudee Sill(vo、g、p)以下、David Crosby(g)、Graham Nash(org)、Clydie King(back vo)、Rita Coolidge(back vo)、Venetta Fields (back vo)が参加しています。
シンプルなフォーキー作品をイメージする人も多いかもしれませんが、実際に聴くと意外に凝った作品に仕上がっています。素晴らしい楽曲、歌声に加え、クラシック等のエッセンスを取り入れたアレンジの素晴らしさも本作の魅力です。
シングルにもなった「Jesus Was a Cross Maker」、The Turtlesがシングル・リリースした「Lady-O」、優しい歌声に包まれるフォーキー「Crayon Angels」といった名曲がズラリと並びます。
カントリー調の「Ridge Rider」、楽曲が素晴らしい「My Man on Love」、ブルージーな「Enchanted Sky Machines」、フォーキーなのにポップな「The Lamb Ran Away with the Crown」あたりも僕のおススメです。
予備知識なしで聴いても、一度聴けば「これは名作」と感じる1枚なのでは?
楽曲はすべてオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「Crayon Angels」
夢の中で無垢な心をさらけ出すJudeeの優しい歌声に包まれるフォーキー・チューンがオープニング。Judee Sillファンには人気の高い1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=vhbnB1EDdQY
Ron Sexsmithのカヴァーもいいですよ。
Ron Sexsmith「Crayon Angels」
https://www.youtube.com/watch?v=DtctFBxhNAo
「The Phantom Cowboy」
何気ないカントリー調の曲ですが、抜群のオーケストレーションで完成度がグッと増しています。
https://www.youtube.com/watch?v=Bo79-3DIU-8
「The Archetypal Man」
基本はカントリー調ですが、バロックのエッセンスを効かせたアレンジ&コーラスが格別な味わいを与えています。
https://www.youtube.com/watch?v=2iAzj6sj19s
「The Lamb Ran Away with the Crown」
フォーキーなのにポップなのがいいですね。Judeeの無垢で想像力豊かな歌詞の世界を見事にサウンドで表現していると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=VHPSnmt2hDM
「Lady-O」
The Turtlesが1969年にシングル・リリースした楽曲のセルフ・カヴァー。この曲もJudeeを代表する1曲ですね。ピュアな世界観とJudeeの繊細な歌声がマッチした素敵な音世界に魅了されます。オーケストレーションの効果も抜群!
https://www.youtube.com/watch?v=PP8DjFhxy60
The Turtlesヴァージョンもチェックを!
The Turtles「Lady-O」
https://www.youtube.com/watch?v=f2lprG5X8nA
「Jesus Was a Cross Maker」
シングルにもなった代表曲。楽曲、ヴォーカル、サウンドも含めて、一度聴いただけで心に刺さる、Judee Sillというアーティストの世界観がよく反映された名曲だと思います。神よ、なぜあなたは彼女に試練を与えたのでしょうか?Graham Nashのプロデュースです。
https://www.youtube.com/watch?v=J5CalHct6FA
The Mamas & The PapasのCass Elliot、The Hollies、Warren Zevon、Linda Ronstadt等がカヴァーしています。
Cass Elliot「Jesus Was a Cross Maker」
https://www.youtube.com/watch?v=Dp9_XndgQyw
The Hollies「Jesus Was a Cross Maker」
https://www.youtube.com/watch?v=56c5h88H4L0
「Ridge Rider」
さり気にお気に入りの1曲。馬のパッカパッカという足音を模したリズムが印象的なカントリー調の仕上がり。ゆったりとした中にもロマンティックな雰囲気もあっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=T1DounBP97Q
「My Man on Love」
ソングライターとしてのJudeeの才を実感できる素敵なフォーキー・チューン。聴けば聴くほど味わいが増してきます。UKフォーク・グループParchmentがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=2nKmhrc49Ek
「Lopin' Along Thru the Cosmos」
オーケストレーションを織り交ぜながら、壮大な宇宙に思いを馳せます。
https://www.youtube.com/watch?v=UzrM3eomnAA
「Enchanted Sky Machines」
サックスも交えたブルージーな仕上がり。個人的な好みを言えば、この路線の曲をもっと聴いてみたかったです。
https://www.youtube.com/watch?v=KovulWxnaks
「Abracadabra」
Judeeの優しい歌声が心の傷を癒してくれる素敵なフォーキー・チューンで締め括ってくれます。終盤のオーケストレーションが素晴らしい!
https://www.youtube.com/watch?v=EDd-IYfO28s
『Heart Food』(1973年)
『Dreams Come True』(2005年)
ご興味がある方は、Judee Sillのトリビュート・アルバム『Crayon Angel: A Tribute To The Music Of Judee Sill』(2009年)をチェックするのも楽しいのでは?
『Crayon Angel: A Tribute To The Music Of Judee Sill』(2009年)