2018年11月30日

Lorenzo『Lorenzo』

ヒット曲「Real Love」収録☆Lorenzo『Lorenzo』
lorenzo lorenzo.jpg
発表年:1992年
ez的ジャンル:NJS系男性R&B
気分は... :少しズルいですが・・・

今回は90年代R&B作品からLorenzo『Lorenzo』(1992年)です。

1972年フロリダ生まれの男性R&BシンガーLorenzo(Lorenzo Smith)の紹介は、3rdアルバム『Love On My Mind』(1995年)に続き2回目となります。

『Lorenzo』(1992年)は、18歳にしてリリースしたデビュー・アルバム『Let Me Show You』(1990年)に続く2ndアルバムであり、。彼の最大のヒット曲「Real Love」(US R&Bチャート第6位)が収録されています。

本作『Lorenzo』(1992年)について、注意すべき点があります。それはデビュー・アルバム『Let Me Show You』(1990年)から5曲が再収録されている点です。

Fitzgerald Scott/Joe Jeffersonをメイン・プロデューサーを務めており、それ以外にKelvin Anderson/Wendell (Ricky) SmithTerry StubbsStacey HarcumBruce Weeden/Mike Forteといったプロデューサーが起用されています。

純粋な新録曲ではヒット曲「Real Love」がハイライトですが、それ以外に2ndシングルとなったスロウ・ジャム「Make Love To Me」「Saving My Love」「Kiss You, Please You」というTerry Stubbsプロデュースの2曲がおススメです。

『Let Me Show You』からの再収録曲では、「Tic Toc」「My Love」といったメロディアスな2曲がおススメです。若々しいNJS「Walk With You」あたりもいいですね。

若々しいNJSと早熟なバラードのバランスの取れた男性R&B佳作だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Real Love」
Fitzgerald Scott/Joe Jeffersonプロデュース。US R&Bチャート第6位となった彼のキャリアを代表するヒット・シングル。爽快なダンサブル感が魅力のNJSです。NJS好きならばグッとくるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=3dXGVl-pxqE

「Saving My Love」
Terry Stubbsプロデュース。ポップ・ソウル感覚のメロディアスな爽快ダンサブル・チューン。若々しい感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=CtA4Lgwwpkk

「Make Love To Me」
Fitzgerald Scott/Joe Jeffersonプロデュース。「Real Love」に続く2ndシングルとしてUS R&Bチャート第21位となっています。Lorenzoのシンガーとしての魅力を堪能できるセクシー・モードのスロウ・ジャムです。
https://www.youtube.com/watch?v=PdkLlLxk58w

「I Can't Stand The Pain」
Fitzgerald Scott/Joe Jeffersonプロデュース。シングルとしてUS R&Bチャート第22位となっています。オーセンティックなバラードを女性シンガーPaula Hollowayと共にエモーショナルに歌い上げます。美しいヴァイオリン・ソロも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=deICgi2PDWo

「Kiss You, Please You」
Terry Stubbsプロデュース。キャッチーなNJS。この時代にありがちなダンサブル・サウンドですが、この雰囲気嫌いではありません。
https://www.youtube.com/watch?v=jYdIJNdYR0g

「Walk With You」
デビュー・アルバム『Let Me Show You』からの再収録その1。Stacey Harcumプロデュース。若々しいNJSを満喫できるキャッチーなダンサブル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=KoVnXi6NntI

「I Can't Believe It」
デビュー・アルバム『Let Me Show You』からの再収録その2。Kelvin Anderson/Wendell (Ricky) Smithプロデュース。デビュー作ならではの初々しさが魅力もNJS。E-Vette Moneyの女性ラップも聴くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=NNnDykXoNkc

「Natasha」
デビュー・アルバム『Let Me Show You』からの再収録その3。Kelvin Anderson/Wendell (Ricky) Smithプロデュース。メロディアスなミディアム。18歳ならではの魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=qFgFJUma4uE

「My Love」
デビュー・アルバム『Let Me Show You』からの再収録その4。Fitzgerald Scott/Joe Jeffersonプロデュース。美メロのミディアム・グルーヴ。Lorenzo自身もソングライティングに参加しており、Lorenzoの才能を存分に満喫できる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=itJDfy_eulY

「Tic Toc」
デビュー・アルバム『Let Me Show You』からの再収録その5。Bruce Weeden/Mike Forteプロデュース。『Let Me Show You』からのシングルとしてUS R&Bチャート第41位となっています。『Let Me Show You』からの再収録曲の中ではコレがダントツで一番好き!Lorenzoの早熟ぶりを窺える素敵なミディアム・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ssyc3ML8YKE

「Real Love (Block Radio Mix)」
「Real Love」のRadio Mix。正直、オリジナル・ヴァージョンの方が好きですが。
https://www.youtube.com/watch?v=PuhQxJp9Q5g

Lorenzoの他作品もチェックを!

『Let Me Show You』(1990年)
Let Me Show You

『Love On My Mind』(1995年)
Love on My Mind
posted by ez at 00:26| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月28日

Maria Bethania『Recital Na Boite Barroco』

MPBのライブ女王、初のライブ・アルバム☆Maria Bethania『Recital Na Boite Barroco』
Recital Na Boite Barroco (Dig)
発表年:1968年
ez的ジャンル:早熟系女性MPB
気分は... :表現者としての才!

今回はCaetano Velosoの妹にしてブラジルを代表する女性シンガーMaria Bethaniaのライブ・アルバム『Recital Na Boite Barroco』(1968年)です。

これまで当ブログで紹介したMaria Bethania作品は以下の5枚。

 『Edu E Bethania』(1967年) ※Edu Loboとの共演作
 『Maria Bethania (1969)』(1969年)
 『Passaro Proibido』(1976年)
 『Alibi』(1978年)
 『Ciclo』(1983年)

本作『Recital Na Boite Barroco』(1968年)は、Maria Bethania初のライブ・アルバムです。

Maria Bethaniaといえば、本作を皮切りに『Maria Bethania Ao Vivo』(1970年)、『Rosa dos Ventos』(1971年)、『Drama 3o Ato』(1973年)、『A Cena Muda』(1974年)といったライブ・アルバムを立て続けにリリースしています。それだけライブに自信があったのでしょうね。

初ライブ・アルバム『Recital Na Boite Barroco』(1968年)も、ライブに対する自信に溢れた素晴らしいアルバムに仕上がっています。

歌の巧さ以上に表現者としての才に秀でた人なので、そのあたりの魅力がライブでダイレクトに伝わってくるかもしてませんね。

全15曲。兄Caetano VelosoGilberto Gilといったトロピカリアの仲間の作品、Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作品、ブラジルの偉大なコンポーザー達の古典などから構成されています。

どの楽曲もMaria Bethaniaならではの味わいが注入されているのがいいですね。特に、Gilberto Gilのカヴァー3曲を聴くと、Maria Bethaniaというアーティストの魅力がよくわかると思います。

初ライブ・アルバムですが、早くも貫禄を見せつけるあたりにMaria Bethaniaの凄みを感じます。

全曲紹介しときやす。

「Marginalia II」
オープニングはGilberto Gil作品のカヴァー(Gilberto Gil/Torquato Neto作)。Gilのオリジナルは『Gilberto Gil』(1968年)に収録されています。トロピカリアな名曲ですが、本ヴァージョンはオリジナルのリズミックな部分を強調したカヴァーに仕上がっています。躍動感のある好カヴァーだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=y0DBXSssLHs

「Carinhoso」
Joao De Barro/Pixinguinha作。当ブログではTania MariaElis ReginaMade In Brazilヴァージョンも紹介済みの楽曲です。ギター&ピアノのアコースティックなバッキングを従え、しっとりと歌い上げながらも、巧みにメリハリをつけ、ドラマチックに締め括るあたりにBethaniaの早熟ぶりを感じます。

「Se Todos Fossem Iguais A Voce」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作。当ブログではLenita BrunoBaden Powellのカヴァーを紹介済みです。ここでは「Carinhoso」とのメドレーのような流れで、美しいバラードを歌い上げます。
「Carinhoso/Se Todos Fossem Iguais A Voce」
https://www.youtube.com/watch?v=WLgJpro1whg

「Ultimo Desejo」
サンバの巨人Noel Rosaの作品をカヴァー。当ブログではSimone Morenoのカヴァーを紹介済みです。哀愁サンバとBethaniaの憂いを帯びたヴォーカルの相性は抜群です。

「Camisa Listada」
バイーア出身の偉大なコンポーザーAssis Valenteの作品をカヴァー。1937年にCarmen Mirandaでヒットした楽曲です。ここではエレガントかつリズミックなアレンジをバックに、Bethaniaが情感たっぷりの歌い回しで堂々と歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=7XHuFJjtzkw

「Marina」
Dorival Caymmi作。当ブログではGilberto Gilのカヴァーを紹介済みです。美しいピアノ・バラードを、抑えたトーンでしっとり歌い上げます。

「O Que Tinha De Ser」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作品のカヴァー2曲目。クラシック調のバッキングが印象的な哀愁バラードに仕上がっています。ベテラン・シンガーのような風格が漂います。

「Molambo」
Augusto Mesquita/Jayme Florence作。Baden Powellも師事した偉大なギタリストJayme Florenceの作品を、やさしい歌声で包み込むように歌い上げます」。

「Lama」
Aylce Chaves/Paulo Marques作。古典サンバを緩急をつけながらエレガントに歌い上げます。

「Pano Legal」
Billy Blanco作。1分にも満たない短い演奏ですが、ジャズ・サンバ調の華やかな雰囲気がいいですね。

「Cafe Socaite」
Miguel Gustavo作。「Pano Legal」とのメドレーで歌われます。優雅な歌いっぷりが印象的です。
「Pano Legal/Cafe Socaite」
https://www.youtube.com/watch?v=_vVBeEJkkI0

「Pe da Roseira」
Gilberto Gilのカヴァー2曲目。Gilのオリジナルは『Gilberto Gil』(1968年)に収録されています。オリジナル以上にブラジルらしい情感が出ているのが、表現者としてのBethaniaの才なのでしょうね。

「Ele Falava Nisso Todo Dia」
Gilberto Gilのカヴァー3曲目。Gilのオリジナルは『Gilberto Gil』(1968年)に収録されています。少しテンポを落とし、Bethania色に染めたカヴァーに仕上がっています。この2曲のGilberto Gilカヴァーを聴くことで、Maria Bethaniaというアーティストの存在感・個性が伝わってくるのが興味深いですね。

「Baby」
Caetano Velosoの名曲カヴァー。当ブログでは、トロピカリズモの金字塔アルバム『Tropicalia: ou Panis Et Circencis』収録のGal Costa & Velosoヴァージョン、『Gal Costa』収録のGal Costaヴァージョン、Os Mutantesの2ヴァージョン(『Os Mutantes』収録ヴァージョン、『Jardim Eletrico』収録ヴァージョン)も紹介済みです。これらヴァージョンと同じく、Bethaniaヴァージョンにも素晴らしい輝きがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=-LfYTQV-XLg

「Maria, Maria」
Caetano Veloso/Capinan作。ラストは兄Caetanoが妹のために書き上げた名曲で締め括ってくれます。

Maria Bethaniaの他作品もチェックを!

『Maria Bethania』(1965年)
Maria Bethania

Edu Lobo & Maria Bethania『Edu E Bethania』(1967年)
エドゥ・ロボ&マリア・ベターニア

『Maria Bethania (1969)』(1969年)
Maria Bethania

『A Tua Presenca...』(1971年)
Tua Presenca

『Rosa dos Ventos』(1971年)
Rosa Dos Ventos

『Drama 3o Ato』(1973年)
Drama 3? Ato

『A Cena Muda』(1974年)
Cena Muda

Chico Buarque & Maria Bethania『Chico Buarque & Maria Bethania Ao Vivo』(1975年)
Chico Buarque & Maria Bethania

『Passaro Proibido』(1976年)
Passaro Proibido

『Passaro Da Manha』(1977年)
Passaro Da Manha

『Alibi』(1978年)
アリバイ

『Mel』(1979年)
Mel

『Talisma』(1980年)
Talisma

『Alteza』(1981年)
Alteza

『Ciclo』(1983年)
Ciclo
posted by ez at 04:29| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月27日

Gary Bartz『Love Affair』

メロウなジャズ・ファンク/フュージョン作品☆Gary Bartz『Love Affair』
ラヴ・アフェア
発表年:1978年
ez的ジャンル:ジャズ・ファンク/メロウ・フュージョン
気分は... :富士山パワー!

昨日は富士山駅の展望デッキから富士山をじっくり眺め、大きなパワーを貰ってきました。

今回は実力派サックス奏者Gary Bartz『Love Affair』(1978年)です。

これまで当ブログで紹介したGary Bartz作品は以下の5枚。

 Gary Bartz NTU Troop『Harlem Bush Music - Uhuru』(1971年)
 Gary Bartz Ntu Troop『Juju Street Songs/Follow The Medicine Man』(1972年、2in1CD)
 『The Shadow Do』(1975年)
 『Music Is My Sanctuary』(1977年)
 『Bartz』(1980年)

本作『Love Affair』(1978年)は、ヴォーカルをフィーチャーしたジャズ・ファンク/メロウ・フュージョン作品に仕上がっています。

プロデュースはGary Bartz自身。

レコーディングにはGary Bartz(as、ss、clarinet、per、vo)以下、Juewett Bostick(g)、Wah Wah Watson(g)、John Rowin(g)、George Cables(key、p)、Nate Morgan(syn、p)、Welton Gite(b)、Curtis Robertson(b)、Tony Robertson(ds)、Howard King(ds)、Bill Summers(per、congas)、Vince Charles(per、timbale)、Dorothy Ashby(harp)、Beloyd Taylor(back vo)、Patryce "Chocolate" Banks(back vo)、Sybil Thomas(back vo)といったミュージシャンが参加しています。

「Love Affair」John Coltraneのカヴァー「Giant Steps」といったメロウ・フュージョンや、少しP-Funkっぽい雰囲気もある「Shake Your Body (It's The Joint)」、ブラック・フィーリングの「At Last」といったファンキー・チューンがおススメです。

順番的には『The Shadow Do』(1975年)、『Music Is My Sanctuary』(1977年)あたりの次に聴くといいのでは?

Gary Bartzのトータルなサウンド・センスを楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Big Apple Love」
Gary Bartz作。ヴォーカル隊を従えたソウルフルなジャズ・ファンクがオープニング。ここでのBartzはクラリネットをプレイしています。
https://www.youtube.com/watch?v=VCT6UdXjxL4

「Penelope」
バルセロナ出身のコンポーザーAugusto Algueroの名曲「エーゲ海の真珠」をカヴァー。Bartzのサックスを堪能できるメロウ・フュージョン調の仕上がり。Dorothy Ashbyの美しいハープが効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=BZzlydTPdSc

「Shake Your Body (It's The Joint)」
Gary Bartz作。ソウルフルなヴォーカル隊の映えるファンク・チューン。少しP-Funkっぽい雰囲気もあっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=EZej66fEhL8

「At Last」
Gary Bartz作。ブラック・フィーリングの効いたジャズ・ファンク・グルーヴ。Welton Giteのベースが格好良いです。
https://www.youtube.com/watch?v=_zTiK1Pt_zA

「Love Affair」
Gary Bartz作。ラテン/ブラジリアン・フレイヴァーの効いたメロウ・フュージョン。Mizell Brothers作品に通じる魅力があります。華のあるコーラス隊を従え、Bartzのアルト・サックスが冴え渡ります。
https://www.youtube.com/watch?v=I16WH7ZB0-I

「Giant Steps」
ラストはJohn Coltraneのカヴァー。当ブログではWoody HermanDon Glaserのカヴァーも紹介済みです。Coltraneの名曲をブラジリアン・フュージョンで聴かせてくれます。

Gary Bartzの過去記事もご参照下さい。

Gary Bartz NTU Troop『Harlem Bush Music - Uhuru』(1971年)
ハーレム・ブッシュ・ミュージック~ウフル(紙ジャケット仕様)

Gary Bartz Ntu Troop『Juju Street Songs/Follow The Medicine Man』(1972年)
Juju Street Songs

『The Shadow Do』(1975年)
ザ・シャドウ・ドゥ

『Music Is My Sanctuary』(1977年)
Music Is My Sanctuary

『Bartz』(1980年)
BARTZ
posted by ez at 01:13| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月25日

Georgia Anne Muldrow『Overload』

異才女性R&Bアーティストの最新作はBrainfeederから☆Georgia Anne Muldrow『Overload』
Overload [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック収録 / 国内盤] (BRC583)
発表年:2018年
ez的ジャンル:エクスペリメンタル女性R&B
気分は... :独特のオーラが!

独特の音世界でファンを魅了する女性R&BアーティストGeorgia Anne Muldrowの最新作『Overload』です。

L.A.出身の女性R&Bシンガー/ソングライター/プロデューサーGeorgia Anne Muldrowに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の4枚。

 『Olesi: Fragments of an Earth』(2006年)
 『Umsindo』(2009年)
 『Kings Ballad』(2010年)
 『Seeds』(2012年)

最新作『Overload』は、Flying LotusBrainfeederからリリースです。

エグゼクティブ・プロデューサーとして、Flying Lotus、公私のパートナーDudley Perkins、さらにはAloe Blacc

Georgia Anne Muldrowのセルフ・プロデュース以外に、BJ The Chicago Kid『In My Mind』(2016年)をプロデュースしたMike & Keys、Aloe Blacc、50 Cent、Eminem、Dr. Dre等を手掛けるHip-Hop/R&BプロデューサーKhalilDJ Khalil)、オランダ、ロッテルダムを拠点とするビートメイカーMoods、フィリピン、マニラを拠点とするLustbassといったプロデューサーが起用されています。

また、Shana Jenson、公私のパートナーDudley Perkinsがフィーチャリングされています。

先行シングルになった「Overload」、社会メッセージ・ソング「Blam」、新鋭ビートメイカーMoodsのトラックが印象的な「Aerosol」、Lustbassプロデュースのビューティフル・ソング「Vital Transformation」The Gap Bandのカヴァー「You Can Always Count On Me」、リズミックに躍動する「Bobbie's Dittie」あたりが僕のおススメです。

派手さはありませんが、彼女の放つ独特のオーラを存分に楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「I.O.T.A. (Instrument Of The Ancestors)」
Georgia Anne Muldrowプロデュース。多重コーラスを用いた彼女らしいハイパー&トライバルなアルバムのプロローグ。

「Play It Up」
Mike & Keysプロデュース。ダークなムードの中でGeorgia Anne Muldrowらしい独特の世界観を醸し出します。
https://www.youtube.com/watch?v=_h5xtQddIuE

「Overload」
Khalil/Mike & Keysプロデュース。アルバムからの先行シングル。Hip-Hopビートとネオソウルをメロウに調和させた感じの仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=m3y51fkjLEI

「Blam」
Mike & Keysプロデュース。銃社会へ警鐘を鳴らす社会メッセージ・ソング。Hip-Hopビートに乗って、鋭いメッセージを刻んでいきます。
https://www.youtube.com/watch?v=V8EVJmQd3Cs

「Williehook (Skit)」
Georgia Anne Muldrowプロデュース。ビートの効いたスキット。

「Aerosol」
Moodsプロデュース。新鋭ビートメイカーによるドリーミー・トラックをバックに、丁寧にMuldrowが言葉を紡いでいきます。
https://www.youtube.com/watch?v=nqGOU6d5pLA

「Vital Transformation」
Lustbassプロデュース。元々はGeorgia Anne MuldrowをフィーチャーしたLustbassの作品として2014年にリリースしていた楽曲です。聴いていると勇気とパワーをもらえるビューティフル・チューン。素敵なメッセージが胸の奥まで染み渡ります。
https://www.youtube.com/watch?v=t6n-PzqkxJM

「You Can Always Count On Me」
The Gap Bandのカヴァー(Buddy Jones/Charlie Wilson作)。オリジナルは『Magicians Holiday』(1974年)に収録されています。Shana Jensonをフィーチャー。Georgia Anne Muldrow/Mike & Keysプロデュース。このカヴァー・セレクトは興味深いですね。聴く者の心を優しく包み込んでくれる感動バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=aOB3NiKV5g8

「These Are The Things I Really Like About You」
公私のパートナーDudley Perkinsをフィーチャー。Georgia Anne Muldrowプロデュース。ジャズ・フィーリングの効いたサウンドは本作の中で異色です。
https://www.youtube.com/watch?v=B7Gf577e-b8

「Canadian Hillbilly」
Georgia Anne Muldrowプロデュース。ジワジワとくる深淵なバラード。こういうのもMuldrowらしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=h_ceEJbTb7s

「Conmigo (Reprise)」
Georgia Anne Muldrowプロデュース。アコースティック・ベース、ピアノ等によるジャズ・サウンドと幻想的なヴォーカルの組み合わせが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=WmXYDmNnVbs

「Bobbie's Dittie」
Georgia Anne Muldrowプロデュース。彼女の子息もソングライティングに名を連ねるリズミックな仕上がり。サウンド的にはコレが一番格好良いかも?
https://www.youtube.com/watch?v=kD2YxN66flU

「Ciao」
Georgia Anne Muldrowプロデュース。本編のラストは軽くトライバルなミディアム・チューンで締め括ってくれます。

「What Can We Do Now」
国内盤ボーナス・トラック。ジャズ・トランぺッターAmbrose Akinmusireと男性ラッパーAyun Bassaをフィーチャー。今ジャズとHip-Hopフィーリングを織り交ぜた僕好みの1曲に仕上がっています。Georgia Anne Muldrowプロデュース。

Georgia Anne Muldrowの過去作品もチェックを!

『The Worthnothings EP』(2004年)
Worthnothings

『Olesi: Fragments of an Earth』(2006年)
Olesi: Fragments of an Earth

G&D『The Message Uni Versa』(2007年)
The Message Uni Versa

Pattie Blingh and the Akebulan 5『Sagal』(2007年)
Sagala

Georgia Anne Muldrow & Declaime『Someothaship』(2008年)
Someothaship

『Umsindo』(2009年)
Umsindo

『Early』(2009年)
Early

『Georgia Anne Muldrow Presents Ms One & The Gang』(2009年)
Ms. One

『Kings Ballad』(2010年)
Kings Ballad

Jyoti『Ocotea』(2010年)、
Jyoti-Ocotea Album

『Vweto』(2011年)
Vweto

『Owed to Mama Rickie』(2011年)
Owed to Mama Rickie

『Seeds』(2012年)
Seeds

The Blackhouse『The Blackhouse』(2012年)
Blackhouse

G&D『Lighthouse』(2013年)
Lighthouse

Jyoti『Denderah』(2013年)
Denderah

『A Thoughtiverse Unmarred』(2015年)
A Thoughtiverse Unmarred
posted by ez at 00:02| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月24日

Johnny Nash『I Can See Clearly Now』

大ヒット「I Can See Clearly Now」収録☆Johnny Nash『I Can See Clearly Now』
I Can See Clearly Now
発表年:1972年
ez的ジャンル:レゲエ伝道師系US男性R&Bシンガー
気分は... :視界良好!

昨晩はPink Floydのトリビュート・バンド原始神母のライブへ行ってきました。

ロック離れの著しい僕ですが、ロック少年に戻り、プログレ・ワールドを堪能してきました。ライティングの素晴らしさも含めて、トリビュート・バンドの域を超えた素晴らしいショーでした。

さて、今回はPink Floydとは全く無関係、レゲエを世界に広めたUS男性シンガーJohnny Nashの代表作『I Can See Clearly Now』(1972年)です。

Johnny Nashは1940年テキサス州ヒューストン生まれの黒人男性シンガー。10代前半からポップ・シンガー/俳優として活躍し、60年代半ばからはR&Bシンガーとして活動するようになります。

1967年に初めてジャマイカを訪れたNashは、ロックステディのリズムに触発され、帰国後にジャマイカン・リズムを取り入れた「Hold Me Tight」をレコーディングし、ヒットさせます。

そして、1972年にジャマイカン・レゲエ・バンドFabulous Five Inc.をバックに従えたシングル「I Can See Clearly Now」がUSチャート第1位、同R&Bチャート第1位、UKチャート第5位の世界的大ヒットとなり、ジャマイカ以外のリスナーにレゲエを広く認知させるきっかけを作りました。

その「I Can See Clearly Now」が収録されたアルバムが本作『I Can See Clearly Now』(1972年)です。

その後も作品をリリースしますが、「I Can See Clearly Now」のようなヒットを生むことはありませんでした。

僕もそうですが、「I Can See Clearly Now」はジャマイカのボブスレー・チームを描いたスポーツ・コメディ映画『Cool Runnings』Jimmy Cliffヴァージョンの印象が強い人が多いのでは?

本作『I Can See Clearly Now』(1972年)は、レゲエを世界に知らしめた作品として、再評価されるべき1枚かもしれませんね。The Wailersの世界進出第1弾アルバム『Catch a Fire』のリリースが1973年ということを考えれば、本作のヒットがBob Marleyらの世界進出をアシストしたといえるでしょう。

Johnny Nashは当時はジャマイカ以外では無名であったBob Marleyとも親交があり、本作でもBob Marley作品を3曲カヴァーし、さらにはBob Marleyとの共作曲もあります。これらのレコーディングにBob Marley本人が参加しているという情報源もありますが、僕は正確に把握できていません。

それ以外にも『Catch a Fire』のレコーディングに参加していたオルガン奏者John "Rabbit" Bundrickの楽曲も2曲取り上げています。

アルバム全体としては、レゲエ・スタイルの楽曲が中心ですが、ソウル/R&Bスタイルの楽曲も収録されています。

注目は、大ヒット「I Can See Clearly Now」や、「Stir It Up」「Guava Jelly」「Comma Comma」「You Poured Sugar on Me」といったBob Marley絡みの楽曲です。

上記以外であれば、「How Good It Is」「Cream Puff」「There Are More Questions Than Answers」という終盤のレゲエ・チューン3曲がおススメです。John "Rabbit" Bundrick作の感動バラード「We're All Alike」もいいですよ。

社会メッセージとしてのレゲエは脇に置き、サウンドとしてのレゲエのエッセンスを上手く取り入れ、ポジティヴなレゲエ作品に仕上がっているのがいいですね。

全曲紹介しときやす。

「Stir It Up」
Bob Marleyのカヴァー1曲目。リラックスしたレゲエ・サウンドとNashのソウルフル・ヴォーカルがよくマッチしています。リコーダーの音色がいいアクセントになっています。シングルとして、US R&Bチャート第11位となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Mh4Zm6YRHDk

「That's the Way We Get By」
John "Rabbit" Bundrick作。これはR&Bスタイルの楽曲。70年代というより60年代のスタイルですが、これはこれで悪くありません。

「Guava Jelly」
Bob Marleyのカヴァー2曲目。レゲエとソウル・バラードを融合させた感じのメロウな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=A5TkfjawW3I

「(It Was) So Nice While It Lasted」
Sam & Daveのカヴァー(Billy Nash作)。オリジナルよりもテンポを落としたバラード・カヴァーに仕上がっています。。

「Ooh Baby You've Been Good to Me」
Johnny Nash作。R&Bスタイルのアッパー・チューン。60年代スタイルの曲調ですが、なかなかキャッチーです。
https://www.youtube.com/watch?v=UNb3RKO-jxo

「You Poured Sugar on Me」
Bob Marley/Johnny Nash作。注目の共作曲はスウィートなラヴァーズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=5RJuLbFro4M

「I Can See Clearly Now」
Johnny Nash作。前述のようにJohnny Nash、一世一代のヒット曲。Nashが目の手術をした後に、太陽の日差しを浴びた喜びの気持ちが込めれた歌です。ポジティヴな歌詞と開放的なレゲエ・サウンドが見事に調和した名曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=FscIgtDJFXg

前述のJimmy Cliffのカヴァーが有名ですが、それ以外にFunk, Inc、Gladys Knight & the Pips、Petula Clark、Susan Cadogan、Blowfly、Ray Charles等50以上のカヴァー・ヴァージョンがあります。
Jimmy Cliff「I Can See Clearly Now」
 https://www.youtube.com/watch?v=MrHxhQPOO2c
Gladys Knight & the Pips「I Can See Clearly Now」
 https://www.youtube.com/watch?v=XRimbxTFq5I
Petula Clark「I Can See Clearly Now」
 https://www.youtube.com/watch?v=S7JX3-8zjrs
Susan Cadogan「I Can See Clearly Now」
 https://www.youtube.com/watch?v=jAsxcV73w6k
Ray Charles「I Can See Clearly Now」
 https://www.youtube.com/watch?v=Nu0N8mhry0s

「Comma Comma」
Bob Marleyのカヴァー3曲目。哀愁モードの切ないバラードを歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=ne3lCXSPSZo

「We're All Alike」
John "Rabbit" Bundrick作。シンプルなバッキングによる感動バラード。なかなか味わい深くて好きです。

「How Good It Is」
Johnny Nash作。レゲエ色の強い演奏を楽しめます。こういった演奏でもメロウネスが効いているのが魅力です。

「Cream Puff」
Margaret Nash作。オリジナル・プレスでは「The Fish and the Alley of Destruction」が収録されていましたが、それ以降のプレスで本曲に差し替えとなった模様です。軽快なレゲエ・チューンですが、ソウルフルな味わいも楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=EE1HEMXhUhk

「There Are More Questions Than Answers」
Johnny Nash作。トロピカルな雰囲気も漂うレゲエ・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=DDTvLldOgZs

『My Merry-Go-Round』(1973年)
My Merry-Go-Round

『Tears on My Pillow』(1975年)
Tears on My Pillow
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