発表年:2018年
ez的ジャンル:UKオルタナティヴR&B
気分は... :成長の惑星、サターン・・・
今回は新作アルバムからUKオルタナティヴR&Bの女性シンガー・ソングライターNAOの2ndアルバム『Saturn』です。
ロンドン出身の女性シンガー/ソングライターNAO(本名:Neo Jessica Joshua)の紹介は、1stアルバム『For All We Know』(2016年)に続き、2回目となります。
Disclosureの大ヒット・アルバム『Caracal』収録の「Superego」、UKの新鋭ビートメイカーMura MasaのEP『Someday Somewhere』でのフィーチャリングで注目され、1stアルバム『For All We Know』(2016年)が各方面で絶賛されたNAO。
エレクトロニカとファンク、ソウルを融合させたサウンドをバックに、個性的なキュート・ヴォーカルを聴かせる独自のオルタナティヴR&Bワールドは圧巻でした。
2ndアルバムとなる本作『Saturn』は、UKベースミュージックのエッセンスを取り入れたサウンドが印象的であった『For All We Know』と比較して、よりキャッチーなオルタナティヴR&Bに仕上がっています。
NAO自身、前作も手掛けていたGradesの2人がメイン・プロデューサー。それ以外に、前作も手掛けていたStint、Royce Wood Junior、旧知のMura Masa、NZ出身の女性シンガーLordeの大ヒット「Royals」のソングライティングで第56回グラミー賞Song of the Yearを受賞したJoel Little、Diploとの共同作業でも知られるL.A.を拠点とするプロデューサーKing Henry、さらにはLoxe、Dan Coxといったプロデューサーが起用されています。
当ブログでも紹介したUS西海岸を拠点とする男性R&BアーティストSiR、UK男性シンガーKwabsがフィーチャリングされています。
『For All We Know』と同じく自身が立ち上げたレーベルLittle Tokyo Recordingsからのリリースです。
「Another Lifetime」、「Make It Out Alive」、「If You Ever」というシングルにもなった冒頭3曲や、Kwabsとデュエットしたタイトル曲「Saturn」を聴けば、本作の方向性が分かると思います。
彼女のフェイヴァリット・アーティストKendrick Lamarを意識した「Orbit」、新しい音楽スタイル"アフロ・バッシュメント"を取り入れた「Drive And Disconnect」あたりにも注目です。
オルタナティヴR&B好きな人を十分に満足させる内容だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Another Lifetime」
透明感のあるNAOのヴォーカルが映えるオープニング。先行シングルにもなりました。薄っすらとしたエレクトロニカ・サウンドをバックに、彼女の歌声がジワジワと染み渡ってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=FRCQ24V8eO8
「Make It Out Alive」
SiRをフィーチャー。シングルにもなりました。US R&B好きの人も気に入るであろう素敵なメロウ・ミディアムに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=3tM103RrHJE
「If You Ever」
これもシングル曲。Mura Masaもプロデューサーとして参加。シングル・ヴァージョンではUSラッパー6lackをフィーチャーしていましたが、アルバム・ヴァージョンでは6lackをフィーチャーしていません。NAOの個性的なキュート・ヴォーカルが引き立つダンサブル・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=7bRQmZXH6PE
※シングル・ヴァージョン
「When Saturn Returns (Interlude)」
タイトル曲へ向かうインタールード。
「Saturn」
Kwabsをフィーチャー。今までのNAOでは聴けなかったオーセンティックなR&BバラードをKwabsとのデュエットで聴かせてくれます。実にビューティフル!
「Gabriel」
ギター・カッティングのリズミックな響きが心地好い1曲。程良くドリーミーな感じもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=4stoADq1Sug
「Orbit」
彼女のフェイヴァリット・アーティストKendrick Lamarを意識して書かれた楽曲。ラップも披露しつつ、自己の内面と対話し、Kendrick Lamarしています。
「Love Supreme」
ベースの効いたミディアム・グルーヴ。崇高な愛を軽やかに歌い上げます。
「Curiosity」
King Henryがプロデュースに参加。ゆったりと流れるようなエレクトロニカ・サウンドが印象的です。
「Drive And Disconnect」
ダンス・ホール・レゲエとアフロビートを融合させた新しい音楽スタイル"アフロ・バッシュメント"を取り入れた楽曲。NAOのキュートなヴォーカルのせいか、実にキャッチーな1曲に仕上がっています。
「Don't Change」
エレクトロニカの効いたオルタナティヴR&Bらしいバラード。
「Yellow Of The Sun」
Joel Littleがプロデュースに参加。ポップ&ダンサブルなミディアム・グルーヴに仕上がっています。
「A Life Like This」
ラストはJames Blake調の壮大なエレクトロニカ・サウンドで締め括ってくれます。
国内盤CDには「Bad Blood」、「Adore You」(Abhi//Dijonをフィーチャー)、「Girlfriend」の3曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
『For All We Know』(2016年)