発表年:1972年
ez的ジャンル:レゲエ伝道師系US男性R&Bシンガー
気分は... :視界良好!
昨晩はPink Floydのトリビュート・バンド原始神母のライブへ行ってきました。
ロック離れの著しい僕ですが、ロック少年に戻り、プログレ・ワールドを堪能してきました。ライティングの素晴らしさも含めて、トリビュート・バンドの域を超えた素晴らしいショーでした。
さて、今回はPink Floydとは全く無関係、レゲエを世界に広めたUS男性シンガーJohnny Nashの代表作『I Can See Clearly Now』(1972年)です。
Johnny Nashは1940年テキサス州ヒューストン生まれの黒人男性シンガー。10代前半からポップ・シンガー/俳優として活躍し、60年代半ばからはR&Bシンガーとして活動するようになります。
1967年に初めてジャマイカを訪れたNashは、ロックステディのリズムに触発され、帰国後にジャマイカン・リズムを取り入れた「Hold Me Tight」をレコーディングし、ヒットさせます。
そして、1972年にジャマイカン・レゲエ・バンドFabulous Five Inc.をバックに従えたシングル「I Can See Clearly Now」がUSチャート第1位、同R&Bチャート第1位、UKチャート第5位の世界的大ヒットとなり、ジャマイカ以外のリスナーにレゲエを広く認知させるきっかけを作りました。
その「I Can See Clearly Now」が収録されたアルバムが本作『I Can See Clearly Now』(1972年)です。
その後も作品をリリースしますが、「I Can See Clearly Now」のようなヒットを生むことはありませんでした。
僕もそうですが、「I Can See Clearly Now」はジャマイカのボブスレー・チームを描いたスポーツ・コメディ映画『Cool Runnings』のJimmy Cliffヴァージョンの印象が強い人が多いのでは?
本作『I Can See Clearly Now』(1972年)は、レゲエを世界に知らしめた作品として、再評価されるべき1枚かもしれませんね。The Wailersの世界進出第1弾アルバム『Catch a Fire』のリリースが1973年ということを考えれば、本作のヒットがBob Marleyらの世界進出をアシストしたといえるでしょう。
Johnny Nashは当時はジャマイカ以外では無名であったBob Marleyとも親交があり、本作でもBob Marley作品を3曲カヴァーし、さらにはBob Marleyとの共作曲もあります。これらのレコーディングにBob Marley本人が参加しているという情報源もありますが、僕は正確に把握できていません。
それ以外にも『Catch a Fire』のレコーディングに参加していたオルガン奏者John "Rabbit" Bundrickの楽曲も2曲取り上げています。
アルバム全体としては、レゲエ・スタイルの楽曲が中心ですが、ソウル/R&Bスタイルの楽曲も収録されています。
注目は、大ヒット「I Can See Clearly Now」や、「Stir It Up」、「Guava Jelly」、「Comma Comma」、「You Poured Sugar on Me」といったBob Marley絡みの楽曲です。
上記以外であれば、「How Good It Is」、「Cream Puff」、「There Are More Questions Than Answers」という終盤のレゲエ・チューン3曲がおススメです。John "Rabbit" Bundrick作の感動バラード「We're All Alike」もいいですよ。
社会メッセージとしてのレゲエは脇に置き、サウンドとしてのレゲエのエッセンスを上手く取り入れ、ポジティヴなレゲエ作品に仕上がっているのがいいですね。
全曲紹介しときやす。
「Stir It Up」
Bob Marleyのカヴァー1曲目。リラックスしたレゲエ・サウンドとNashのソウルフル・ヴォーカルがよくマッチしています。リコーダーの音色がいいアクセントになっています。シングルとして、US R&Bチャート第11位となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Mh4Zm6YRHDk
「That's the Way We Get By」
John "Rabbit" Bundrick作。これはR&Bスタイルの楽曲。70年代というより60年代のスタイルですが、これはこれで悪くありません。
「Guava Jelly」
Bob Marleyのカヴァー2曲目。レゲエとソウル・バラードを融合させた感じのメロウな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=A5TkfjawW3I
「(It Was) So Nice While It Lasted」
Sam & Daveのカヴァー(Billy Nash作)。オリジナルよりもテンポを落としたバラード・カヴァーに仕上がっています。。
「Ooh Baby You've Been Good to Me」
Johnny Nash作。R&Bスタイルのアッパー・チューン。60年代スタイルの曲調ですが、なかなかキャッチーです。
https://www.youtube.com/watch?v=UNb3RKO-jxo
「You Poured Sugar on Me」
Bob Marley/Johnny Nash作。注目の共作曲はスウィートなラヴァーズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=5RJuLbFro4M
「I Can See Clearly Now」
Johnny Nash作。前述のようにJohnny Nash、一世一代のヒット曲。Nashが目の手術をした後に、太陽の日差しを浴びた喜びの気持ちが込めれた歌です。ポジティヴな歌詞と開放的なレゲエ・サウンドが見事に調和した名曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=FscIgtDJFXg
前述のJimmy Cliffのカヴァーが有名ですが、それ以外にFunk, Inc、Gladys Knight & the Pips、Petula Clark、Susan Cadogan、Blowfly、Ray Charles等50以上のカヴァー・ヴァージョンがあります。
Jimmy Cliff「I Can See Clearly Now」
https://www.youtube.com/watch?v=MrHxhQPOO2c
Gladys Knight & the Pips「I Can See Clearly Now」
https://www.youtube.com/watch?v=XRimbxTFq5I
Petula Clark「I Can See Clearly Now」
https://www.youtube.com/watch?v=S7JX3-8zjrs
Susan Cadogan「I Can See Clearly Now」
https://www.youtube.com/watch?v=jAsxcV73w6k
Ray Charles「I Can See Clearly Now」
https://www.youtube.com/watch?v=Nu0N8mhry0s
「Comma Comma」
Bob Marleyのカヴァー3曲目。哀愁モードの切ないバラードを歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=ne3lCXSPSZo
「We're All Alike」
John "Rabbit" Bundrick作。シンプルなバッキングによる感動バラード。なかなか味わい深くて好きです。
「How Good It Is」
Johnny Nash作。レゲエ色の強い演奏を楽しめます。こういった演奏でもメロウネスが効いているのが魅力です。
「Cream Puff」
Margaret Nash作。オリジナル・プレスでは「The Fish and the Alley of Destruction」が収録されていましたが、それ以降のプレスで本曲に差し替えとなった模様です。軽快なレゲエ・チューンですが、ソウルフルな味わいも楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=EE1HEMXhUhk
「There Are More Questions Than Answers」
Johnny Nash作。トロピカルな雰囲気も漂うレゲエ・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=DDTvLldOgZs
『My Merry-Go-Round』(1973年)
『Tears on My Pillow』(1975年)