発表年:1995年
ez的ジャンル:西海岸G-Funk
気分は... :彗星の如く・・・
今回は大ヒットを記録したG-Funk作品Tha Dogg Pound『Dogg Food』(1995年)
Tha Dogg Poundは、1992年に西海岸の人気ラッパーSnoop Dogの従兄弟であるKuruptとDaz Dillinger(Dat Nigga Daz)がロングビーチで結成したHip-Hopユニット。より広義にSnoopらの準メンバーも含むユニットを指すこともあります。
当時Snoop Dogが所属していたDeath Row Recordsと契約し、Snoopの弟分ユニットといったポジションでレコーディング活動を開始します。
Dr. Dre、Snoop Dog等の作品での客演を経て、1995年にデビュー・アルバムとなる本作『Dogg Food』をリリース。アルバムはUSアルバム・チャート、同R&Bアルバム・チャート共にNo.1となる大ヒットを記録し、いきなり大きな商業的成功を収めました。
しかしながら、所属先のDeath Rowでは悪名高きSuge Knightによる支配が強化され、2Pacの射殺、Dr. Dre、Snoop DogのDeath Rowからの離脱といったトラブルが続発します。
こうした中でKuruptも嫌気がさし、Death Rowから離れてしまい、ソロ・アルバム『Kuruption!』(1998年)をリリースします。一方のDaz DillingerはDeath Rowに止まり、プロデューサーとして手腕を振るうことになります。結果として、Tha Dogg Poundは活動休止の状態となってしまいます。
その後、Daz DillingerもDeath Rowを離れ、独自のレーベルD.P.G. Recordzを設立したことで事態は好転し、再び2人はタッグを組むことなります。こうしてD.P.G.名義でアルバム『Dillinger & Young Gotti』(2001年)をリリースし、復活を果たします。
それにも関わらず、ここでまた予想外の展開が・・・Kuruptが突如として古巣Death Rowに舞い戻ってしまったのです。こうして2人の間には再び深い溝が出来てしまいますが、再びDeath Rowを離脱したKuruptがDaz Dillingerと和解し、元サヤに戻ったグループは2010年までに5枚のアルバムをリリースしています。
G-Funk作品を積極的に聴いてきた訳ではない僕ですが、本作は大ヒット作品ということもあり、キャッチーで聴きやすいですね。
Dr. Dre、Suge Knightがエグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ね、多くのトラックをDaz Dillinger(Dat Nigga Daz)がプロデュースしています。それ以外にDJ Pooh等もプロデューサーとして参加しています。
また、Snoop Dog、Nate Dogg等がフィーチャリングされています。
シングルになった「New York, New York」、「Let's Play House」をはじめ、G-Funkらしいトラックを随所で楽しめます。
この時期のアルバムらしく全17曲というボリューミーな構成のため、やや一本調子にも感じてしまいますが、絶好調のG-Funk作品として楽しめる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Intro」
アルバムのイントロ。The Last Poets「The Shalimar」ネタのフレーズが使われています。
「Dogg Pound Gangstaz」
Dat Nigga Dazプロデュース。不穏な空気が支配するギャングスタ・ラップらしい仕上がり。DJ Pooh feat. Threat & Val Young「No Where 2 Hide」、The Graingers「Shine Your Light」、Snoop Dogg「Hit Rocks」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=JtJjVSdC4Dw
「Respect」
Dat Nigga Dazプロデュース。G-Funkらしいダークなファンクネスが印象的なトラック。The Lady of Rage feat. Dr. Dre & Snoop Dogg「Afro Puffs (extended remix)」をサンプリング。Parliament「Flash Light」のフレーズも聞こえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=NesmpnK9ONA
「New York, New York」
DJ Poohプロデュース。Snoop DoggをフィーチャーしたG-Funkクラシック。シングルにもなりました。タイトルの通り、東海岸をディスったHip-Hop東西抗争の真っ只中らしいG-Funkに仕上がっています。EPMD「You're a Customer」、Genesis「I Can't Dance」、Grandmaster Flash & the Furious Five「New York, New York」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=vsfzAvOrjrc
Guy「Spend Time」、RBL Posse「Frisco, Frisco」、The Game feat. 50 Cent「Westside Story」、 The Notorious B.I.G.「St. Ides Commercial (Unreleased Heat)」等のサンプリング・ソースとなっています。
Guy「Spend Time」
https://www.youtube.com/watch?v=bMPb0qb5PfU
RBL Posse「Frisco, Frisco」
https://www.youtube.com/watch?v=STAt4O41mqI
The Notorious B.I.G.「St. Ides Commercial (Unreleased Heat)」
https://www.youtube.com/watch?v=Sa8AckYbKt8
「Smooth」
DJ Poohプロデュース。Snoop Dogg、Kevin ""Slo Jammin" James、Ricky Harris、Val Youngをフィーチャー。Toddy Tee「The Batterram」、Snoop Dogg「Tha Shiznit」、 Doug E. Fresh & Slick Rick「La Di Da Di」をサンプリング。スクラッチも含めて、G-Funkの魅力に溢れた1曲に仕上がっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=OIvzAfJim6Y
「Cyco-Lic-No (Bitch Azz Niggaz)」
Dat Nigga Dazプロデュース。Mr. Malikをフィーチャー。ダークな中にもParliament「Aqua Boogie (A Psychoalphadiscobetabioaquadoloop)」ネタも織り交ぜた遊び心がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=fzzUmWlOQiE
「Ridin', Slipin' And Slidin'」
Dat Nigga Daz/Dave Swangプロデュース。Mz. South 'Sentralをフィーチャー。リズミックなアクセントのついたトラックとFaze-O「Riding High」のフレーズ引用が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=akBcbQtLhIE
「Big Pimpin 2」
Dat Nigga Dazプロデュース。Big Pimpinをフィーチャー。Death Rowからリリースされたサントラ『Above the Rim』(1994年)に収録されていた「Big Pimpin'」のパート2。
https://www.youtube.com/watch?v=9WgHsAVJTbY
「Let's Play House」
Dat Nigga Dazプロデュース。Michel'le、Nate Doggをフィーチャー。シングルにもなりました。G-Funkらしいシンセ・フレーズが印象的なトラックです。終盤にはお馴染みの童謡「London Bridge Is Falling Down(ロンドン橋落ちた )」のフレーズも聞こえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=Qx9yypsIW_Q
YG feat. TeeFlii「Do It to Ya」のサンプリング・ソースとなっています。
YG feat. TeeFlii「Do It to Ya」
https://www.youtube.com/watch?v=Nvaq-4Qx7Go
「I Don't Like To Dream About Gettin Paid」
Dat Nigga Dazプロデュース。Nate Doggをフィーチャー。Lionel Richie「Love Will Find a Way」をサンプリング。また、Eric B. & Rakim「Paid in Full」のフレーズも挿入されています。 メロディアスなコーラス・パートもあり実にキャッチーな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=jh5wMKqWVh4
「Do What I Feel」
Dat Nigga Dazプロデュース。The Lady Of Rageの女声ラップをフィーチャー。他のトラックと比較すると少し地味かも?
https://www.youtube.com/watch?v=6d0lvvhVOJ0
「If We All Fuc」
Dat Nigga Dazプロデュース。Snoop Doggをフィーチャー。パーカッシヴ・トラックに乗った達者なフロウを楽しみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=ZVJxcHU2tc8
「Some Bomb Azz Pussy」
Dat Nigga Dazプロデュース。Snoop Dogg等をフィーチャー。タイトルから想像できるように下ネタ・モード全開です。
https://www.youtube.com/watch?v=3cZ2Eu09Erc
「A Doggz Day Afternoon」
Dat Nigga Dazプロデュース。Snoop Dogg、Nate Doggをフィーチャー。ファンクネスの効いたダーク・トラックが彼ららしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=6ME3K3m3U-Q
「Reality」
Dat Nigga Daz/Emanuel Deanプロデュース。Emanuel Deanをフィーチャー。そこはかとなく漂うF-Gunkの哀愁ダークネスな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=HRKva-o0SyM
「One By One」
Dat Nigga Dazプロデュース。テンポのいいフロウが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=-h2H1tjvNkA
「Sooo Much Style」
Soopafly/Overdoseプロデュース。ラストはKuruptとDat Nigga Dazが格好良いフロウで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=KTQccTbg2Bk
Tha Dogg Poundの他作品もチェックを!
『Dillinger & Young Gotti』(2001年)
『Cali Iz Active』(2006年)
『Dogg Chit』(2007年)
『That Was Then, This Is Now』(2009年)
『100 Wayz』(2010年)