発表年:2018年
ez的ジャンル:現代ブラジル音楽系マルチ奏者/ソングライター
気分は... :進化が止まらない・・・
新作アルバムから現代ブラジル音楽の若き旗手Antonio Loureiroの最新作『Livre』です。
ブラジル、サンパウロ出身。ミナス・ジェライス連邦大学で作曲と鍵盤打楽器を学んだマルチ奏者/シンガー・ソングライターAntonio Loureiroの紹介は、2ndアルバム『So』(2012年)、現代ブラジル音楽を代表するピアニストAndre Mehmariとの共演作Andre Mehmari & Antonio Loureiro『MehmariLoureiro Duo』(2016年)に続き2回目となります。
ソロ・スタジオ・アルバムとしては、『So』(2012年)以来、6年ぶり3作目となります。
プロデュースはAntonio LoureiroとTo Brandileone。
本作でもAntonio Loureiro(p、syn、ds、per、b、electronics、vo)は、そのマルチ奏者ぶりを披露してくれます。、
現代ジャズ・ギターの皇帝Kurt Rosenwinkel(g)、『MehmariLoureiro Duo』(2016年)で共演したAndre Mehmari(syn)、Louis Coleとのエレクトロ・ポップ・ユニットKNOWERで活動する女性シンガーGenevieve Artadi(vo)、Frederico Heliodoro(b)、Pedro Martins(g、vo)がフィーチャーされています。
それ以外にも『Herz & Loureiro』(2014年)で共演したRicardo Herz(violin)、To Brandileone(vo)、Rafael Alterio(vo)、Pedro Alterio(vo)が参加しています。
これまでマルチ奏者/コンポーザーのイメージが強かったLoureiroですが、本作では全9曲中、ヴォーカル曲が8曲となっており、マルチ奏者/シンガー・ソングライターAntonio Loureiroというイメージが鮮明となっています。
サウンド的にはジャズ、クラシック、現代音楽、ブラジル音楽が融合したLoureiroらしい音世界は健在ですが、エレクトロニクスなエッセンスを積極的に取り入れているのが本作の特徴かもしれません。
例えば、Louis Coleとのエレクトロ・ポップ・ユニットKNOWERで活動する女性シンガーGenevieve Artadiが参加した「Mad Men」では、KNOWER顔負けのダンサブルな音世界を聴かせてくれます。
ヴォーカル曲が増え、エレクトロニクスなエッセンスも加わったことで、より間口の広い1枚に仕上がったのでは?
Gilberto Gilのカヴァー「Oriente」以外はLoureiroのオリジナルです(共作含む)。
進化したLoureiroの音世界を楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Meu Filho Nasceu」
ヴォーカルを前面に打ち出した本作らしいオープニング。Pedro Martinsのギター、Ricardo Herzのヴァイオリンも加わり、ジャズ、クラシック、現代音楽、ブラジル音楽が融合したLoureiroらしい素敵な音世界を満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=Xg4_h_HIes4
「Jequitiba」
Loureiroのマルチ奏者ぶりを楽しめます。エレクトロニクスなエッセンスも織り交ぜた本作らしいサウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=XH4f8C5g3Og
「Resistencia」
Frederico Heliodoroをフィーチャー。Frederico Heliodoroのエレクトリック・ベースが映える、エレクトロニカなエッセンスと生演奏を絶妙にバランスさせた1曲に仕上がっています。コンポーザーからソングライターへと進化するLoureiroの成長ぶりを窺える1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=4Xbll6oyL2o
「Algum Lugar」
サウンドと歌を調和させたトータルな音楽づくりへのこだわりが感じられる1曲。現代ブラジル音楽ならではの味わい深さがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=LJh3EWmIqFo
「Caipira」
Kurt Rosenwinkelをフィーチャー。LoureiroがRosenwinkelの『Caipi』(2017年)に参加した返礼といったところでしょうか。本作唯一のインストですが、Loureiroが叩き出すリズムとRosenwinkelのギターが噛み合った現代ジャズ調の演奏を楽しむことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=riclIhnExyI
「Oriente」
Gilberto Gil作品のカヴァー。Gilのオリジナルは『Expresso 2222』(1972年)に収録されています。Gil作品をリズミックな現代ブラジル音楽へ変貌させたLoureiroの手腕に脱帽です。
https://www.youtube.com/watch?v=-arA3_Mcbc0
「Agora Pra Sempre」
Andre Mehmariをフィーチャー。Mehmariのシンセが牽引するエレクトロニクスを強調した本作らしい仕上がり。現代ブラジル音楽ならではの高揚感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Q4ZsdcmASWs
「Mad Men」
KNOWERのGenevieve Artadiをフィーチャー。KNOWERのエレクトロ・ポップ・ワールドに触発されたかのようなダンサブルな仕上がりです。Loureiroの新領域を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=PqtzgNoqbM0
「Livre」
Pedro Martinsをフィーチャー。ミナス・サウンドと現代音楽を融合させたシンガー・ソングライターAntonio Loureiroの世界を楽しめるタイトル曲で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=-vP8yoM4nHU
Antonio Loureiroの他作品もチェックを!
『Antonio Loureiro』(2010年)
『So』(2012年)
Antonio Loureiro/Chico Pinheiro/Sergio Santos 『Triz』(2012年)
Ricardo Herz & Antonio Loureiro『Herz & Loureiro』(2014年)
『Tokyo Solo』(2014年)
Andre Mehmari & Antonio Loureiro『MehmariLoureiro Duo』(2016年)