発表年:1976年
ez的ジャンル:Malaco系レディ・ソウル
気分は... :歌姫誕生!
今回はサザン・ソウルの名門Malacoレーベルの歌姫Dorothy Mooreの1stソロ・アルバムであり、代表作である『Misty Blue』(1976年)です。
1946年ミシシッピ州ジャクソン生まれの女性ソウル・シンガーDorothy Mooreの紹介は、『Once Moore with Feelin』(1978年)に続き2回目となります。
1960年代にThe PoppiesのメンバーとしてデビューしたDorothy Mooreは、70年代に入りソロ・シンガーとして歩み始めます。
Avco、GFS、Chimneyvilleといったレーベルからシングルをリリースした後、70年代半ばにサザン・ソウルの名門レーベルMalacoと契約します。
そして、Malacoからの第1弾シングル「Misty Blue」が1976年にUSチャート第3位、同R&Bチャート第1位の大ヒットとなり、一躍Malacoの歌姫として注目されることになります。ちなみに同曲は1973年にレコーディングされたものの、未発表になっていました。このお蔵入り寸前の曲が、Dorothyの運命を切り拓くと同時に、ヒットが生まれず窮地に陥っていたMalacoを救うことになります。
この勢いに乗って、リリースされたDorothyの1stソロ・アルバムが『Misty Blue』です。
プロデュースはMalacoの設立者Tommy Couchをはじめ、Wolf Stephenson、James Stroudという3名。
James Stroud(per)、Carson Whitsett (key)、Dino Zimmerman(g)、Fred Knobloch(g)、Don Barrett(b)等のミュージシャンがレコーディングに参加しています。Carson Whitsett 、Dino Zimmermanはソングライティングでも貢献しています。
大ヒット曲「Misty Blue」をはじめ、2ndシングルにもなった「Funny How Time Slips Away」、Phillip Mitchell作の「The Only Time You Ever Say You Love Me」、Eddie Floydのカヴァー「I Don't Want To Be With Nobody But You」といったサザン・ソウルらしい味わいのあるバラードが魅力です。
アップ/グルーヴィー系であれば、James Carrのカヴァー「Dark End Of The Street」、ドライヴ感の格好良い「Too Much Love」、豪快なファンキー・グルーヴ「Ain't That A Mother's Luck」あたりがおススメです。
Malacoの歌姫を誕生させたサザン・ソウル名盤をご堪能あれ!
全曲紹介しときやす。
「The Only Time You Ever Say You Love Me」
Phillip Mitchell作。サザン・ソウルならではのアーシーで芳醇なコクを味わえるバラードがオープニング。本作の魅力を象徴している素敵なバラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=i4w5K__wvKE
「Dark End Of The Street」
James Carr、1967年のR&Bヒットをカヴァー(Dan Penn/Chips Moman作)。オリジナルはアルバム『You Got My Mind Messed Up』に収録されています。アレンジの妙が光るサザン・ソウルらしいミディアム・グルーヴに仕上がっています。なかなか格好良い!
https://www.youtube.com/watch?v=1uA-5idZt_U
James Carr「Dark End Of The Street」
https://www.youtube.com/watch?v=HC3AXQ8dPJM
「Funny How Time Slips Away」
カントリー・シンガーBilly Walker、1961年のシングル曲をカヴァー(Willie Nelson作)。Al Greenもアルバム『Call Me』でカヴァーしています。「Misty Blue」に続きシングル・カットされ、US R&Bチャート第7位のヒットとなっています。ストリングスを配した、美しくも味わい深いバラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=fnmZMDpqu44
J Gunn「Pinot Noir」のサンプリング・ソースとなっています。
J Gunn「Pinot Noir」
https://www.youtube.com/watch?v=ZRUOfkeUr7c
「Laugh It Off」
Carson Whitsett作。Dorothyのヴォーカリストとしての器の大きさを実感できるバラード。オーセンティックな魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=1uaXZBxocbI
「Misty Blue」
前述のように大ヒットしたタイトル曲。オリジナルは女性カントリー・シンガーWilma Burgess、1966年のシングル(Bob Montgomery作)。1972年に男性R&BシンガーJoe Simonがカヴァーしており、1973年にレコーディングされた本ヴァージョンのヒントになっているかもしれません。本ヴァージョンはイナたさの中にエレガントな気品が漂う素敵なバラードに仕上がっています。Dorothyの透明感のある優しい歌声が映えるレディ・ソウル名曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=HNQlhCsGIpc
R&B系であれば、Monicaがアルバム『The Boy Is Mine』(1998年)でカヴァーしていましたね。それ以外にMary J. Blige、Boyz II Men、Etta Jamesもカヴァーしています。また、Mr. Doctor「Misty Blue Tribute」等のサンプリング・ソースとなっています。
Joe Simon「Misty Blue」
https://www.youtube.com/watch?v=6HVkSxhjj0c
Monica「Misty Blue」
https://www.youtube.com/watch?v=M1V2HLJGx-k
Mary J. Blige「Misty Blue」
https://www.youtube.com/watch?v=rH_k4s-CUrM
Boyz II Men「Misty Blue」
https://www.youtube.com/watch?v=oC_4ghdjKvk
Etta James「Misty Blue」
https://www.youtube.com/watch?v=ZvuHmiFOIYI
Mr. Doctor「Misty Blue Tribute」
https://www.youtube.com/watch?v=sA9mMSpSuZk
「Enough Woman Left (To Be Your Lady)」
Carson Whitsett作。いきなりダンサブルなディスコ・チューンアルバムの中で少し浮いている気もしますが、コレはコレで好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=AYee1uI18bs
「I Don't Want To Be With Nobody But You」
Eddie Floydのカヴァー。オリジナルは『Soul Street』(1974年)に収録されています。スケールの大きなバラードをエモーショナルに歌い上げます。エモーショナルな中にもエレガントさが漂うのがこの人らしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=Xn63JxqY6E0
当ブログでも紹介したJoss Stone『The Soul Sessions Vol 2』(2012年)ヴァージョンは本ヴァージョンをお手本にしていると思われます。
Joss Stone「I Don't Want To Be With Nobody But You」
https://www.youtube.com/watch?v=F_yLHRnYVn4
「Ain't That A Mother's Luck」
Dino Zimmerman/Jerry Strickland作。サザン・ソウルらしい豪快なファンキー・グルーヴ。名うてのスタジオ・ミュージシャン達の好バッキングを従え、Dorothyのヴォーカルも絶好調です。
https://www.youtube.com/watch?v=Vs2Aa9yK3J0
「Too Much Love」
Carson Whitsett/Eddie Floyd作。個人的にはアルバムで一番のお気に入りがコレ。ドライヴ感に溢れたダイナミックなファンキー・グルーヴ。バラードだけではない魅力を見せつけてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=aHR6mzFENKA
「It's So Good」
Eddie Floyd作。本編ラストはホーンの効いた小気味いいミディアム・グルーヴで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Y7xiY8HeHGg
Saafir「King Sizzle」のサンプリング・ソースとなっています。
Saafir「King Sizzle」
https://www.youtube.com/watch?v=EYTp5_ji4UQ
CDにはボーナス・トラックとして、シングル「Misty Blue」のB面曲だった「Here It Is」(King Floydのカヴァー)が追加収録されています。いい感じのアーシーなファンキー・チューンに仕上がっています。
「Here It Is」
https://www.youtube.com/watch?v=f8Uvb5HIeRM
Dorothy Mooreの他作品もチェックを!
『Dorothy Moore』(1977年)
『Once Moore with Feelin』(1978年)
『Definitely Dorothy』(1979年)
『Time Out for Me』(1988年)
『Winner』(1989年)
『Stay Close to Home』(1992年)
『I'm Doing Alright』(2005年)