発表年:2009年
ez的ジャンル:L.A.スピリチュアル・ジャズ・プロジェクト
気分は... :ピースフル・ジャズ・・・
今回はL.A.のスピリチュアル・ジャズ・プロジェクトBuild An Arkの3rdアルバム『Love (Part 1)』(2009年)です。
US西海岸の奇才ミュージシャン/プロデューサーCarlos Ninoを中心としたスピリチュアル・ジャズ・プロジェクトBuild An Arkの紹介は、1stアルバム『Peace With Every Step』(2004年)、2ndアルバム『Dawn』(2007年)に続き3回目となります。
それまでのアルバム同様に、L.A.ジャズ・シーンのミュージシャン総動員で、ラブ&ピースなスピリチュアル・ジャズ・ワールドを展開します。
プロデュースはCarlos Nino。
Carlos Nino(per)、Miguel Atwood-Ferguson(violin、viola、p、french horn)、Phil Ranelin(tb)、Nick Rosen(g、b)、Tracy Wannomae(fl、bcla、ts)、Tara Speiser(bassoon)、Yaakov Levy(fl、ts)、Trevor Ware(b)、Tony Austin(ds)、Dwight Trible(org)、Brandon Coleman(p、org)、Jim Lang(org、p)、John Rangel(p)、Damon Aaron(g)、Andres Renteria(g、ds、per)、Chis Lea(fl)、Kharon Harrison(ds)、Derf Reklaw(congas)、Brendan Willard(as)、Amy Sanchez(french horn)、Alfredo Rivera(ts)、Leon Mobley(djembe)、Peter Jacobson(cello)、Rebekah Raff(harp)、Paul Livingstone(sirar)、Michael White(violin)等が参加しています。
また、Carlos Nino、Dwight Trible、Dexter Story、Tracey Hart、Waberi Jordan、Gaby Hernandez、Azul Nino、Damon Aaron、Mark Maxwell、Mia Doi Tod、Jim Lang、Waberi Jordan、Kamau Daaood、Carmen Lundy等がヴォーカルとして名を連ねます。
前作『Dawn』(2007年)と同じく、Miguel Atwood-Fergusonの貢献が大きいですね。
作者Phil Ranelin自身も参加している「How Do We End All This Madness」(Phil Ranelin)、「Sweet Thing」(Van Morrison)、「Love Is Everywhere」(Pharoah Sanders)といったカヴァーが目を引きますが、オリジナルも充実しています。
スウィンギーに疾走する「This Prayer: For The Whole World」、Dwight Tribleによる深淵な「Celebrate」、Waberi Jordanのヴォーカルが感動的な「Sunflowers In My Garden」、前半と後半のコントラストが鮮やかな「In The Park」、Build An Arkらしいピースフル・ジャズ「World Peace Now」をはじめ、Build An ArkらしいL.A.スピリチュアル・ジャズ・ワールドを楽しめます。
愛に満ちたスピリチュアル・ジャズ・ワールドは、聴く者の心を整えてくれるはずです。
全曲紹介しときやす。
「Love」
Nick Rosen/Miguel Atwood-Ferguson作。美しく穏やかな愛に満ちたオープニング。Miguel Atwood-Fergusonによる素晴らしいアレンジを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=XK2dBaBPuqg
「This Prayer: For The Whole World」
Yaakov Levy作。Tracey HartとWaberi Jordanのヴォーカルと共にスウィンギーに疾走します。生命感に満ちたエモーショナルなアンサンブルがグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=BX7GyihLcQQ
「How Do We End All This Madness ?/Play The Music!」
Phil Ranelin作の「How Do We End All This Madness ?」をカヴァー。オリジナルはWendell Harrison & Phillip Ranelin『Message From The Tribe』(1972年)に収録されています。作者Phil Ranelin自身も参加しています。ブラック・ジャズ名曲を現行L.A.ジャズらしいアンサンブルで聴かせてくれます。「How Do We End All This Madness ?」に続き、Sun Ra & His Arkestraへ捧げられた「Play The Music!」(Yaakov Levy作)へ展開します。
https://www.youtube.com/watch?v=z8is6L9j4Yk
「Celebrate」
Dwight Trible作。Dwight Tribleらしい深淵なソウルフル・ヴォーカルによるスピリチュアル・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=RJsSNhVYe98
「Sweet Thing/Sweet Thing Reprise」
Van Morrison作「Sweet Thing」のインスト・カヴァー。オリジナルは『Astral Weeks』(1968年)に収録されています。牧歌的な味わいのフォーキー・ジャズとして聴かせてくれます。その余韻を楽しむかのようにMiguel Atwood-Ferguson作の「Sweet Thing Reprise」へ続いていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=Q7MoyzXVX90
「Funs Theme」
Andres Renteria/Miguel Atwood-Ferguson作。作者Andres Renteriaのギターとストリングスが織り成す繊細で美しい音世界に浸りましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=VeA7b6ZZbP0
「Sunflowers In My Garden」
Waberi Jordan作。作者Waberi Jordanのリード・ヴォーカルを中心としたエモーショナルなヴォーカル・ワークに感動する1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=rHNEcIa6kF8
「Love Is Everywhere」
Pharoah Sanders作品をカヴァー。オリジナルは『Love In Us All』(1974年)に収録されています。Build An Arkらしいカヴァー・セレクトですが、演奏時間が1分半というはあまりに短いのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=bCDZrWrdA04
「In The Park」
Mark Maxwell作。童心に帰ったかのようなコーラスワークが印象的なワルツ調の序盤から、中盤以降はDerf Reklawのコンガがパーカッシヴに響くトライバルな展開へ様変わりします。
https://www.youtube.com/watch?v=qGjmBNXAehA
「World Music」
Build An Ark作。Kharon Harrisonによるポエム、Paul Livingstoneによるシタールが印象的です。
「World Peace Now」
Miguel Atwood-Ferguson作。Miguel Atwood-Fergusonらしい美学に満ちたピースフル・ジャズを満喫できます。今をときめくBrandon Colemanのハモンドがいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=Mu1sLcVoGiQ
「May It Be So」
Jim Lang作。作者Jim Langの美しいピアノ、Miguel Atwood-Fergusonのヴィオラ、コーラス隊が織り成す厳かなゴスペル調バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=IJevoaXSEQ0
「More Love」
Build An Ark作。アルバムの余韻を楽しむエンディング。
国内盤CDボーナス・トラックとして、「World Peace Now (Rehearsal Track 1)」が追加収録されています。
本作の続編として、『Love Part 2』(2010年)も制作されています。
『Peace With Every Step』(2004年)
『Dawn』(2007年)
『Love Part 2』(2010年)
『The Stars Are Singing Too』(2011年)