発表年:2010年
ez的ジャンル:Brownswood系コンテンポラリー・ジャズ・デュオ
気分は... :静寂の美学・・・
今回はコンテンポラリー・ジャズ・デュオ作品、Half Seas Over『Half Seas Over』(2010年)です。
Gilles PetersonのBrownswood Recordingsからリリースされたアルバムです。
Half Seas Overは、N.Y.を拠点とするジャズ・ピアニストElan MehlerとUS出身ながらフランス在住のシンガー・ソングライターAdam McBride-Smithによるデュオ。
Elan Mehlerがヴォーカル作品に取り組んだソロ・アルバム『The After Suite』(2009年)に、Becca Stevensと共にAdam McBride-Smithがヴォーカリストとして参加し、意気投合した2人がHalf Seas Overとしてユニットを組むことになりました。
レコーディングには、Elan Mehler(p)、Adam McBride-Smith(vo)以下、Tod Hendrick(b)、Max Goldman(ds)、Jeremy Viner(ts)、Liam Robinson(accordion、back vo)、Becca Stevens(vo)といったミュージシャンが参加しています。
Brownswoodからのリリースということでクラブジャズ的な音をイメージする人もいるかもしれませんが、内容はSSW的な味わいのコンテンポラリー・ジャズ作品に仕上がっています。
ジャズ・ピアニストElan Mehlerが、フォーク/カントリーをバックボーンに持つSSW Adam McBride-Smithの個性を取り込み、『The After Suite』(2009年)のアプローチをさらに深化させた作品という印象です。
SSW的な静寂のジャズ、といった趣が魅力だと思います。
胸に染み入る静寂の音世界に浸るのも悪くありません。
全曲紹介しときやす。
「Get Me To The Station」
Elan Mehler/Adam McBride-Smith作。本作らしいジャズ×SSWな雰囲気を満喫できる1曲。派手さはないものの気の利いたジャジー・サウンドにグッときます。
「The New Breed」
Elan Mehler/Adam McBride-Smith作。AdamのSSWらしい側面を前面に打ち出した味わい深い1曲。僕の一番のお気に入り。胸に染み入ります。
https://www.youtube.com/watch?v=jEFM4OPuEYU
「Sad Mona」
Adam McBride-Smith作。サックス、アコーディオンも加わった哀愁チューン。タンゴのアクセントがグッド!目立ちませんがBecca Stevensもバック・コーラスで参加しています。
「Prelude」
Elan Mehler/Adam McBride-Smith作。Elanのピアノ・ソロによる次曲へのプレリュードです。
「Evensong」
Elan Mehler/Adam McBride-Smith作。美しいピアノ・バラードをAdamが少し寂しげに歌います。ゆったりと時間が流れていく感じがいいですね。
「Sunday's Empire」
Elan Mehler/Adam McBride-Smith作。Adamのフォーク/カントリーのバックボーンを活かした軽快なカントリー・ジャズ。本作らしい演奏といえるのでは?
「Into The Night」
Adam McBride-Smith作。夜、酒でも飲みながら聴きたく小粋なジャジー・チューン。酒場のジャズといった雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=9dpDqQVf4e0
「The Hathaways」
Elan Mehler/Adam McBride-Smith作。Elanのピアノをバックに、Adamがしみじみと歌い上げます。
「Just To Clear My Head」
Elan Mehler/Adam McBride-Smith作。何処となく寂しげな雰囲気が本作らしくていいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=-ayRw41pQiI
「Cypress Grove」
Elan Mehler/Adam McBride-Smith作。ブルージーな雰囲気な演奏でアルバム全体にアクセントをつけてくれます。
「Here On The Plains」
Elan Mehler/Adam McBride-Smith作。Elanの美しいピアノをバックに、Adamが囁くように歌います。静寂の美学を感じます。
「Rake」
Elan Mehler/Adam McBride-Smith作。淡々とした雰囲気ながらもAdamが噛みしめながら歌い上げます。
「Long Way Down」
Adam McBride-Smith作。ラストはElanの優しいピアノをバックに、Adamが静かに語りかけ、アルバムは幕を閉じます。
ご興味がある方は、2人が出会うきっかけとなったElan Mehler『The After Suite』(2009年)もチェックしてみては?Becca Stevensも参加しています。
Elan Mehler『The After Suite』(2009年)
Elan Mehler、Adam McBride-Smithのソロ作もチェックしてみては?
Elan Mehler『Scheme for Thought』(2007年)
Elan Mehler『Being There Here』(2013年)
Elan Mehler『Early Sunday Morning』(2014年)
Adam McBride-Smith『Good & Gone』(2007年)