2019年03月25日

Marilia Barbosa『Filme Nacional』

ブラジリアン・フリー・ソウルの金字塔☆Marilia Barbosa『Filme Nacional』
フィウメ・ナシオナル
発表年:1978年
ez的ジャンル:ブラジリアン・フリー・ソウル
気分は... :イライラせずに粘り強く・・・

今回はブラジリアン・フリー・ソウルの金字塔として再評価の高い1枚、Marilia Barbosa『Filme Nacional』(1978年)です。

Marilia Barbosaは、1950年生まれの女優/シンガー。

幼少期から女優/シンガーとして活躍し、天才少女と呼ばれたMarilia Barbosa。70年代に入るとBaden Powell等の有名アーティストとツアーを回ったり、主役級の役でテレビ・ドラマに出演するようになります。

そんな中、1978年に制作されたのが唯一のアルバムである本作『Filme Nacional』(1978年)です。

プロデュースはGuto Graca Mello

ハイライトは本作の再評価を高めるきっかけとなったブラジリアン・フリー・ソウルの人気曲「Manifesto」。この1曲狙いで本作を購入する人も多いのでは?

それ以外に、Rita Lee作の「Melodia Inacabada」「Total Abandono」「Estoria De Cantador」というDjavan作品2曲、Don Beto/Reina作のオトナの哀愁メロウ「Minh'alma」Gal Costaも歌った素敵なバラード「Olha」あたりもおススメです。

まずは「Manifesto」を聴くべきですが、それ以外も楽しめるブラジリアン・メロウ作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Manifesto」
Guto Graca Mello/Mariozinho Rocha作。前述のようにブラジリアン・フリー・ソウルとして人気のオープニング。ブラジリアン・シンガーならではの歌い回しと爽快メロウ・グルーヴが織り成す生命感に溢れた音世界は、まさにブラジリアン・フリー・ソウル名曲と呼ぶに相応しい仕上がりだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=IroUVO3QVU4

「Minh'alma」
Don Beto/Reina作。落ち着いたサウンドとMariliaの艶めかしいヴォーカルが織り成すオトナの哀愁メロウ。
https://www.youtube.com/watch?v=BmZmFESNkDA

「Melodia Inacabada」
Rita Lee作。アコギの爽やかな響きに乗って、Mariliaのヴォーカルが輝くを増すメロウ・フォーキー。US西海岸サウンドのエッセンスがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=V90wUbRix-c

「Como Um Sonho」
Don Beto作。美しいストリングスを配した哀愁バラード。サウダージな味わいです。
https://www.youtube.com/watch?v=N9PqAz0N5AM

「Filme Nacional」
Marcio Proenca作。タイトル曲はオトナのメロウ・サウンドとMariliaの艶めかしいヴォーカルがいい雰囲気を醸し出す哀愁バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=lis_mi0Cih0

「Olha」
Erasmo Carlos/Roberto Carlos作。当ブログではGal Costaヴァージョンも紹介した素敵なバラード。美しいストリングス、ムーディーなサックスをバックに、Mariliaが感動的なヴォーカルで歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=-hLVk40IAzQ

「Antes Que Aconteca」
Renato Teixeira作。前半は寂しげなアコーディオンの音色が印象的な哀愁バラードですが、後半は表情に変化を見せます。
https://www.youtube.com/watch?v=VNJZD6UPs4o

「Total Abandono」
Djavan作。Djavan本人のヴァージョンは『Seduzir』(1981年)に収録されています。Djavan作品を素敵なアレンジのメロウ・グルーヴで聴かせてくれます。「Manifesto」以外ならば、コレが一番好き。
https://www.youtube.com/watch?v=XvHHR9btU-o

「Estoria De Cantador」
Djavan作。Djavanのオリジナルは『Djavan』(1978年)に収録されています。Djavanの名曲を、優しさに溢れたスケールの大きなバラードとして歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=aKHOhLlyhc8

「Pour Pablito」
Dito/Joao Mello作。エレピのメロウな響きに癒されるビューティフル・バラード。アクセントにつけたシンセの音色が少し邪魔ですが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=uZ9Rdnnvefk

「Coracao De Candango」
Egberto Gismonte/Joao Carlos Padua作。ラストは少しノスタルジックな雰囲気のバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Bi7OAvKwx2U

いよいよ年度末の最終週。
今週はやらねばならないことが多いですが、自分の都合のみではどうにもならないに振り舞わされそう。忍耐力が試される1週間になりそうです。イライラせずに粘り強く行動することを心掛けたく思います。
posted by ez at 00:59| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月24日

J.Lamotta Suzume『Suzume』

ベルリン産次世代ネオソウルの第2弾☆J.Lamotta Suzume『Suzume』
すずめ
発表年:2019年
ez的ジャンル:ベルリン産次世代ネオソウル
気分は... :すずめの学校の先生は・・・

新作アルバムからイスラエル出身、ドイツ、ベルリンを拠点に活動する女性アーティストJ. Lamotta Suzumeの2ndアルバム『Suzume』です。

イスラエル、テルアビブでモロッコ系の両親の元に生まれ、現在はベルリンを拠点に活動するビートメイカー、シンガー/ラッパーJ. Lamotta Suzumeの紹介は、デビュー・アルバム『Concious Tree』(2017年)に続き2回目となります。

デビュー・アルバム『Concious Tree』(2017年)は、年末恒例『ezが選ぶ2018年の10枚』にもセレクトしたお気に入り作品です。

Hiatus KaiyoteJordan RakeiMoonchildに通じる次世代ネオソウル感覚と、J Dillaを敬愛するビートメイカーとしての才、さらにErykah Baduを思わせるキュートなヴォーカルを調和させた『Concious Tree』のメロウな音世界は格別でした。

その『Concious Tree』に続く2ndアルバム『Suzume』は、自らの音世界に対する自信を深めた彼女の充実ぶりが窺える1枚に仕上がっています。

デビュー・アルバム『Concious Tree』(2017年)と同じく、ドイツの気鋭レーベルJakarta Recordsからのリリースです。

プロデュースはJ.Lamotta Suzume自身。

レコーディングにはMartin Buhi(b、strings arr)、Daron Segal(key)、Pier Ciaccio(ds)、Ra'fat Muhammad(ds、per)、Jarita Freydank(per)、Omri Abramov(ts、brass arr)、William Henderson(tp)、Frank Dasent(tb)、Linda Jozefowski(fl)、Josefine Andronic(vln)、Yuka Snell(vln)、Mishi Stern(vln)、Tabias Opialla(vla)、Lucy Hoile(cello)、Ron Meir(back vo)、Noritsu(back vo)といったミュージシャンが参加しています。

アルバムのリード曲「Turning」Moonchildに通じる日だまりのメロウ・ソウル「If You Wanna」、ジャズ・フィーリングの効いた「Shake It」、パーカッシヴに疾走する「Back In Town」、心地好いジャジー&メロウ「Where's The Sun In Berlin」、Hip-Hopトラック「Free The Jazz」、洒脱なセンスが冴え渡る「That's What I Call (Freedom)」などSuzumeワールドを存分に満喫できます。

また、国内盤ボーナス・トラック3曲も本編に劣らない充実ぶりです。

次世代ネオソウル好きには間違いない1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「If You Wanna」
日だまりのメロウ・ソウルがオープニング。彼女のキュートな魅力を満喫できます。Moonchildあたりの次世代ネオソウルがお好きな人は気に入るはず!

「Shake It」
ジャズ・フィーリング濃いめの次世代ネオソウルといった仕上がり。さり気ないですが、彼女のセンスが詰まっています。

「Back In Town」
ジャジー・メロウ・サウンドとパーカッシヴな疾走感が心地好い1曲。自身によるポケット・トランペットの音色も印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=oFAn8GEBbmM

「Shine」
つなぎの小曲ですが、素敵なメロウ・チューンです。

「Where's The Sun In Berlin」
生音ジャジー&メロウ・サウンドが心地好いメロウ・グルーヴ。彼女のキュート・ヴォーカルとジャジー&メロウ・サウンドの相性は抜群です。

「Deal with It II」
故郷イスラエルを思わせるエキゾチックなエッセンスの効いたメロウ・グルーヴ。

「Turning」
アルバムのリード曲。透明感のある彼女の歌声が優しく包み込んでくれるメロウ・ミディアム。聴く者を惹き付けるサムシングがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=p84yvVeOYWQ

「Free The Jazz」
Teknical Development.isをフィーチャーしたHip-Hopトラック。ラッパー&ビートメイカーとしての彼女の才を満喫できます。クールなジャジー&メロウ感覚がいいですね。

「Shugah Boi」
ストリングを交えたメロウなネオソウル・グルーヴ。後半はジャズ・フィーリングで楽しませてくれます。

「That's What I Call (Freedom)」
キュートな彼女の歌声が映えるジャジー&メロウ。洒脱なセンスが冴え渡ります。

「Free The Jazz (Instrumental)」
「Free The Jazz」のインスト・ヴァージョン。このトラックのジャジーな魅力を再認識できます。

ここまでが本編。ここから3曲は国内盤ボーナス・トラック。このボートラ3曲が

「Ulai/Maybe」
本編以上に、彼女のコケティッシュな魅力が伝わってくるメロウ・チューン。

「Yoshitaka」
"Suzume"というアーティスト名を伝授した日本人グラフィックデザイナー川井田 好應 (Yoshitaka Kawaida)氏の名を冠したトラック。本編ではあまり聴けなかった、J Dilla的トラックを楽しめる1曲。

「Se Love」
ドリーミーな浮遊感が心地好いメロウ・グルーヴ。ヴァイヴの音色がいい感じです。

未聴の方はデビュー・アルバム『Concious Tree』(2017年)もチェックを!

『Concious Tree』(2017年)
コンシャス・トゥリー
posted by ez at 01:26| Comment(2) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月23日

Sharp『Sharp』

Calloway兄弟プロデュースのファンク/ソウル・グループ☆Sharp『Sharp』
sharp sharp.jpg
発表年:1989年
ez的ジャンル:80年代エレクトリック・ファンク
気分は... :平成元年のファンク!

今回は元Midnight StarのメンバーであったCalloway兄弟がプロデュースしたファンク/ソウル作品Sharp『Sharp』(1989年)です。

Sharpは、オハイオ州で結成されたファンク/ソウル・グループ、メンバーはAce Parker(g、b、key、ds、vo)、Al Gover(vo、as、key)、Eugene Gresham(key、tp、flh、back vo)、Ron Duskin(ss、fl、syn、key、vo)、Eric Watkins(key、tp、flh、tb、back vo)、Jonathan Jones (g、b、ds、back vo)という6名。

グループ唯一のアルバムとなる本作『Sharp』(1989年)は、Midnight StarのメンバーであったReggie CallowayVincent Calloway(Cino Calloway)Calloway兄弟がプロデュースしています。彼らはR&BユニットCallowayとしても知られていますね。

リアルタイムでは国内で殆ど話題にならない1枚でした。多分、僕はCalloway兄弟プロデュースという点に興味を持ち、購入した記憶があります。

しかし、某有名ディスク・ガイドに掲載されたことで、再評価が高まった1枚となりました。

シングル・カットささた「Playboy」をはじめ、「Can't Get Enough」「Can't Take My Eyes Off You」「Love or Money」といったキャッチーエレクトリック・ファンクが魅力のアルバムです。このあたりはMidnight Starの流れを汲むCalloway兄弟の手腕が発揮されています。

個人的には絶品スロウ「Tomorrow Each Day」も超おススメです。

Midnight StarCalloway好きの人はチェックしてみては?

全曲紹介しときやす。

「Playboy」
シングル・カットもされたエレクトリック・ファンク。良くも悪くも80年代後半のエレクトリック・サウンドですが、なかなかキャッチーだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=tw7gbDwazbk

「Can't Get Enough」
個人的にはダンサブルなファンク・チューンであれば、コレが一番のお気に入り。妖しげな煌びやかさを放つエレクトリック・ファンクが80年代らしくて好きです!
https://www.youtube.com/watch?v=0WbZ60hOLqQ

「Second to None」
ハイ・トーン・ヴォーカルが映える素敵なラブ・バラード。ヴォーカル・グループとしての魅力も示してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=JgXvDGH8DqY

「Can't Take My Eyes Off You」
Frankie ValliやBoys Town Gangでお馴染みの人気曲「君の瞳に恋してる」と同タイトルですが同名異曲です。コチラは甘く危険な香りのエレクトリック・ファンクに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=zeAJwfmWhWA

「Love or Money」
本曲らしいキャッチーなエレクトリック・ファンク。甘く危険な香りとメロディアスな側面を織り交ぜたキャッチーな仕上がりがグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=aZvilZ7z1Aw

「Double Your Pleasure」
ロッキン・ギターなどでアクセントをつけていますが、「Can't Take My Eyes Off You」からの流れで少し一本調子に感じるかも?
https://www.youtube.com/watch?v=QgGes4IfO6E

「Tomorrow Each Day」
アルバムで一番のお気に入り。リアルタイムで聴いていたときはダントツでコレばかりリピートで聴いていました。甘く切ないスロウを聴くと、甘酸っぱい青春の思い出が蘇ってきます。僕にとってはエヴァーグリーンな魅力を持つ名曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=jNImkB9899A

「Available」
ラストも重量感のあるエレクトリック・ファンクで締め括ってくれます。ただし、エレクトリック・ファンクの負の部分が顕在化しており、少し残念です。
https://www.youtube.com/watch?v=ctSPQBj3j2E

ご興味がある方はCallowayの作品もチェックを!

Calloway『All The Way』(1989年)
All the Way

Calloway『Let's Get Smooth』(1992年)
Let's Get Smooth
posted by ez at 01:06| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月22日

Yesterdays New Quintet『Angles Without Edges』

Madlibによる架空ジャズ・ユニット第1弾☆Yesterdays New Quintet『Angles Without Edges』
Angles Without Edges by Yesterdays New Quintet (2001-05-03)
発表年:2001年
ez的ジャンル:Hip-Hop系ジャズ・プロジェクト
気分は... :イチローお疲れ様!

イチローの引退会見に見入ってしまい、ブログどころではなくなってしまいました。

日々の研鑽を怠らず、幾つもの困難を努力で乗り越えて高みを極めたイチローだからこその一言一言に胸を打たれました。

今回は人気Hip-HopアーティストMadlibのプロジェクトの1つYesterdays New Quintet名義の『Angles Without Edges』(2001年)です。

Madlib(本名:Otis Jackson Jr.)に関して、当ブログでは以下の7作品を紹介済みです。

 Madlib『Shades Of Blue』(2003年)
 Jaylib『Champion Sound』(2003年)
 Yesterdays New Quintet『Stevie』(2004年)
 Sound Directions『The Funky Side Of Life』(2005年)
 Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
 Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
 Quasimoto『Yessir, Whatever』(2013年)

本作『Angles Without Edges』(2001年)は架空ジャズ・ユニットのサイド・プロジェクトYesterdays New Quintet(YNQ)の第1弾アルバムです。本作に続き、2004年に2ndアルバム『Stevie』をリリースしています。

プロデュースはMadlib本人。レコーディング・メンバーとして、Otis Jackson Jr.(ds)、Joe McDuphre(key)、Monk Hughes(b)、Malik Flavors(per)、Ahmad Miller(vibes)の名がクレジットされ、一応カルテット編成になっていますが、実体はMadlib一人ですべて演奏しています。

J Dilla以降のHip-Hop感覚とMadlibのジャズ愛が結びつき、独特の幽玄的ジャズ・グルーヴを生み出しています。

「Paladium」Weather Report)、「Thinking Of You」Jorge Dalto「I've Got You on My Mind」)、「Uno Esta」「Mestizo Eyes」Bobbi Humphrey)、「Daylight」Ramp)、「Sun Goddess」Ramsey Lewis)といった名曲をMadlibらしい解釈でカヴァーしているのが面白いですね。

きっと最初は困惑して聴くことになるかもしれませんが、聴き重ねるほど独特の幽玄的ジャズ・グルーヴにハマるはずです。

Madlibならではのジャズ・センスを満喫しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Prelude」
ヴァイヴの音色が心地好いメロウで穏やかなイントロ。
https://www.youtube.com/watch?v=cQoDpTHf3gc

「Julani」
50〜60年代のジャズ・フィーリングに満ちた演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=A7h8XQq7Xqc

「Papa」
Herb Geller「Sudden Senility」のドラム・ネタを用いたMadlibらしいセンスに溢れた1曲。クラヴィネットの音色も印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=n3b5JTPKvRU

「Keeper Of My Soul」
Walter Bishop, Jr.'s 4th Cycleによるブラック・ジャズをカヴァー。オリジナルは『Keeper Of My Soul』(1973年)に収録されています。さり気ないですが、Madlibのブラック・ジャズ愛を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=YUrOf_X5JKU

「The One Who Knows」
2000年以降のHip-Hopらしい乾いたビートと幽玄的ジャズ・サウンドによるYNQらしい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=zXG6q0xKvTQ

「The Birth Of YNQ」
インタールード的な繋ぎの1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=-9sZueyJf24

「Paladium」
Weather Reportのカヴァー。オリジナルは『Heavy Weather』(1977年)に収録されています。ラテン/ブラジリアン・フレイヴァーを強調したYNQ流クロスオーヴァーを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=tXv6tAPvDRg

「Life's Angles」
疾走する格好良さでいえば、J.J. Johnson「Willie Chase」のリズム・ネタを使った本曲が一番かもしれません。個人的にも一番のお気に入りです。
https://www.youtube.com/watch?v=Zeza7m5GIHI

「Thinking Of You」
Jorge Dalto「I've Got You on My Mind」の上モノとBad Medicine「Trespasser」のドラム・ネタの組み合わせ。Jorge Daltoのメロウ名曲をモチーフにミステリアスな音世界を展開します。
https://www.youtube.com/watch?v=CahK_WaDGrw

「Uno Esta」
Bobbi Humphreyのカヴァー1曲目。オリジナルはMizell兄弟が手掛けた『Fancy Dancer』(1975年)に収録されています。本作らしい幽玄的ジャズ・グルーヴを楽しめる演奏です。へなへなしたアブストラクト・サウンドがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=kIeniGfipwE

「Rugged Tranquility」
エクスペリメンタルなボッサ・ジャズといった雰囲気がYNQらしい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Vh_4m5T6J58

「Daylight」
Roy AyersがプロデュースしたRampのレア・グルーヴ人気曲をカヴァー。オリジナルは『Come Into Knowledge』(1977年)に収録されています。レア・グルーヴ人気曲を本作らしい幽玄グルーヴで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9JvLc-7Y6h0

「Hot Water」
今ジャズにも通じるJ Dilla以降のHip-Hop経由ジャズを感じることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=eiUlaceU_mk

「Mestizo Eyes」
Bobbi Humphreyのカヴァー2曲目。オリジナルは「Uno Esta」と同じく『Fancy Dancer』(1975年)に収録されています。このもっさりしたグルーヴは今でこそ違和感ありませんが、当時は困惑した人も多かったのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=iVyaSo9lSeI

「Sun Goddess」
Maurice WhiteをはじめとするEarth,Wind & Fire勢がバックアップしたRamsey Lewisの人気曲をカヴァー。オリジナルは『Sun Goddess』(1974年)に収録されています。お馴染みの人気曲をHip-Hop経由の次世代ジャズとして聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zQ4i0TcZB6o

「Kuhn's Theme」
タイトルにも反映されているようにSteve Kuhn「Ida Lupino」ネタ。ネタのセレクトも含めて、Madlibのジャズ愛に満ちた格好良いジャズ・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=7do3yzh8SZY

「Little Girl (Dakota's Song)」
UKソウルの重鎮Omar「Little Boy」のカヴァー。オリジナルは『For Pleasure』(1994年)に収録されています。乾いたビートとメロウ・エレピによるもっさりグルーヴが本作らしいです。
https://www.youtube.com/watch?v=JNswYWnVB0g

「Broken Dreams」
ミステリアスなバラードですが、終盤はアフリカン・ビートで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Zn6Bu5zbNy4

「Last Day」
アヴァンギャルドなアルバムのアウトロ。

ここまでがDisc1の本編全19曲です。

ボーナス・トラック扱いのDisc2には、「Elle's Theme」「ReRev」「Herbal Scent」「Sunrays」というEP「Elle's Theme」(2001年)からの4曲、「Funshine」「The Science」というEP「Uno Esta」(2001年)からの2曲の計6曲が収録されています。

特にBernard Purdie「Soul Bossa Nova」ネタのドラムが印象的な「Elle's Theme」Milt Jacksonのカヴァー「ReRev」McCoy Tyner「Beyond the Sun」ネタの「Sunrays」、Anthony King「Filigree Funk」ネタの 「Funshine」あたりがおススメです。
「ReRev」
 https://www.youtube.com/watch?v=6dRmPcdyVGE
「Sunrays」
 https://www.youtube.com/watch?v=vTxa0WaKc84
「Funshine」
 https://www.youtube.com/watch?v=wT-KueGKRfI

Madlib関連の過去記事もチェックを!

Madlib『Shades Of Blue』(2003年)
Shades of Blue

Jaylib『Champion Sound』(2003年)
Champion Sound

Yesterdays New Quintet『Stevie』(2004年)
Stevie: Instrumental Tribute to Stevie Wonder

Sound Directions『The Funky Side Of Life』(2005年)
Funky Side of Life

Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
Liberation

Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
Sujinho

Quasimoto『Yessir, Whatever』(2013年)
Yessir Whatever
posted by ez at 02:04| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月21日

Leon Thomas『Blues And The Soulful Truth』

レア・グルーヴ方面で再評価の高い1枚☆Leon Thomas『Blues And The Soulful Truth』
ブルース・アンド・ザ・ソウルフル・トゥルース (日本初CD化、日本独自企画盤、歌詞、解説付き)
発表年:1972年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系黒人ジャズ・ヴォーカル
気分は... :芸術は爆発だ!

今回は独自のヨーデル調スキャットで知られる男性ジャズ・シンガーLeon Thomas『Blues And The Soulful Truth』(1972年)です。

イリノイ州イーストセントルイス出身の男性ジャズ・シンガーLeon Thomas(1937-1999年)の紹介は、1stソロ・アルバム『Spirits Known And Unknown』(1969年)に続き2回目となります。

本作『Blues And The Soulful Truth』(1972年)はレア・グルーヴ方面からも再評価の高い1枚です。Flying Dutchmanからのリリースです。

レコーディングにはLeon Thomas(vo、per)、Pee Wee Ellis(p、ts)、Donald Pate(b)、Gordon Edwards(b)、Stanley Clarke(b)、Bernard Purdie(ds)、Airto Moreira(ds)、Jesse Kilpatrick(ds)、Cornell Dupree(g)、Larry Coryell(g)、Neal Creque(p)、Baba Feme(per)、Gene Golden(congas)、John Eckert(tb)、Dick Griffin(tp)、Cecil Payne(bs)等のミュージシャンが参加しています。

プロデュースはBob ThielePee Wee Ellisがアレンジを手掛けています。

スピリチュアル・ジャズのイメージがあるLeon Thomasですが、本作はジャズ・ファンク、ソウル、ブルースのエッセンスを取り入れたジャズ・アルバムらしからぬ1枚に仕上がっています。

Leon Thomas版「Tighten Up」なグルーヴィー・ソウル「Love Each Other」、JBライクにシャウトするジャズ・ファンク「Let's Go Down To Lucy's」、Stanley Clarkeのベースが牽引するGabor Szaboのカヴァー「Gypsy Queen」、アラビックな雰囲気が漂うミステリアス&サイケデリックな「Shape Your Mind To Die」、ゴスペル・ライクに高揚する「L-o-v-e」あたりがおススメです。

エキセントリックなジャケのインパクトも大!
独特のオーラを放つ1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Let's Go Down To Lucy's」
Alfred Ellis/Leon Thomas作。LeonがJBライクに熱くシャウトするジャズ・ファンクがオープニング。Bernard Purdie、Gordon Edwards、Cornell Dupreeらのバッキングによるファンク・グルーヴもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=1BnHNeUauww

「L-o-v-e」
Leon Thomas作。女性コーラス隊も加わり、ファンキーに躍動するソウル・チューン。ゴスペル・ライクな高揚感もいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ziX3g-I7qPM

「Gypsy Queen」
George David Weiss/Gabor Szabo作。Santanaヴァージョンでも知られるGabor Szabo作品をカヴァー。Gabor Szaboのオリジナルは、当ブログでも紹介した『Spellbinder』(1966年)に収録されています。10分超の大作ですが、格好良すぎるStanley Clarkeのベース、Airto Moreiraのドラムが牽引するミステリアス&エキサイティングな演奏をバックに、Leonらしいヨーデル調スキャットを披露してくれるクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=PYjURwrMkbE

House of Pain「All My Love」のサンプリング・ソースとなっています。
House of Pain「All My Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=uK15faVp8EY

「Love Each Other」
Leon Thomas作。レア・グルーヴ的には本作のハイライト。思わずArchie Bell & The Drells「Tighten Up」をイメージしてしまうグルーヴィーなソウル・ダンサー。正にLeon Thomas版「Tighten Up」といった感じですね。
https://www.youtube.com/watch?v=CT-jsTQL8n0

「Shape Your Mind To Die」
Leon Thomas/Neal Creque作。中東のアラビックな雰囲気が漂うミステリアス&サイケデリックなジャズ・グルーヴ。不敵なLeonのヴォーカルも含めて独特の雰囲気を醸し出します。終盤のヴィター(ヴァイオリンとギターを合わせた電子楽器)の音色も印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=ib4QhAfhOFo

Brand Nubian「The Travel Jam」、Melanin 9「The Generation Gap」等のサンプリング・ソースとなっています。
Melanin 9「The Generation Gap」
 https://www.youtube.com/watch?v=b7Tt57hyQEw

「Boom-Boom-Boom」
偉大なブルース・マンJohn Lee Hooker、1962年のR&Bヒットをカヴァー。ジャズ・アルバムであることを忘れてしまいそうなブルージーな演奏&ヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=i0z1KaYlnZU

「China Doll」
Alfred Ellis/Jesse Kilpatrick/Leon Thomas作。タイトルから想像できるように、オリエンタル・ムードのピアノが印象的なスピリチュアル・ジャズ。
https://www.youtube.com/watch?v=DON5WvSVYSc

Lootpack「Wanna Test」のサンプリング・ソースとなっています。
Lootpack「Wanna Test」
 https://www.youtube.com/watch?v=lYjPXX6KYb0

「C.C. Rider」
ブルース・クラシックのカヴァー。ラストは「Boom-Boom-Boom」同様にブルージーに締め括ってくれます。ここでもヴィターの音色が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=HkJZuKSyn7M

Leon Thomasの他作品もチェックを!

『Spirits Known And Unknown』(1969年)
スピリッツ・ノウン&アンノウン +3  (日本独自企画盤、解説、歌詞付き)

『The Leon Thomas Album』(1970年)
レオン・トーマス・アルバム  (日本初CD化、日本独自企画盤、解説、歌詞付き)

Leon Thomas With Oliver Nelson『In Berlinb』(1971年)
In Berlin

『Full Circle』(1973年)
フル・サークル (日本初CD化、日本独自企画盤、歌詞、解説付き)
posted by ez at 01:45| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする