発表年:2001年
ez的ジャンル:Hip-Hop系ジャズ・プロジェクト
気分は... :イチローお疲れ様!
イチローの引退会見に見入ってしまい、ブログどころではなくなってしまいました。
日々の研鑽を怠らず、幾つもの困難を努力で乗り越えて高みを極めたイチローだからこその一言一言に胸を打たれました。
今回は人気Hip-HopアーティストMadlibのプロジェクトの1つYesterdays New Quintet名義の『Angles Without Edges』(2001年)です。
Madlib(本名:Otis Jackson Jr.)に関して、当ブログでは以下の7作品を紹介済みです。
Madlib『Shades Of Blue』(2003年)
Jaylib『Champion Sound』(2003年)
Yesterdays New Quintet『Stevie』(2004年)
Sound Directions『The Funky Side Of Life』(2005年)
Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
Quasimoto『Yessir, Whatever』(2013年)
本作『Angles Without Edges』(2001年)は架空ジャズ・ユニットのサイド・プロジェクトYesterdays New Quintet(YNQ)の第1弾アルバムです。本作に続き、2004年に2ndアルバム『Stevie』をリリースしています。
プロデュースはMadlib本人。レコーディング・メンバーとして、Otis Jackson Jr.(ds)、Joe McDuphre(key)、Monk Hughes(b)、Malik Flavors(per)、Ahmad Miller(vibes)の名がクレジットされ、一応カルテット編成になっていますが、実体はMadlib一人ですべて演奏しています。
J Dilla以降のHip-Hop感覚とMadlibのジャズ愛が結びつき、独特の幽玄的ジャズ・グルーヴを生み出しています。
「Paladium」(Weather Report)、「Thinking Of You」(Jorge Dalto「I've Got You on My Mind」)、「Uno Esta」と「Mestizo Eyes」(Bobbi Humphrey)、「Daylight」(Ramp)、「Sun Goddess」(Ramsey Lewis)といった名曲をMadlibらしい解釈でカヴァーしているのが面白いですね。
きっと最初は困惑して聴くことになるかもしれませんが、聴き重ねるほど独特の幽玄的ジャズ・グルーヴにハマるはずです。
Madlibならではのジャズ・センスを満喫しましょう!
全曲紹介しときやす。
「Prelude」
ヴァイヴの音色が心地好いメロウで穏やかなイントロ。
https://www.youtube.com/watch?v=cQoDpTHf3gc
「Julani」
50〜60年代のジャズ・フィーリングに満ちた演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=A7h8XQq7Xqc
「Papa」
Herb Geller「Sudden Senility」のドラム・ネタを用いたMadlibらしいセンスに溢れた1曲。クラヴィネットの音色も印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=n3b5JTPKvRU
「Keeper Of My Soul」
Walter Bishop, Jr.'s 4th Cycleによるブラック・ジャズをカヴァー。オリジナルは『Keeper Of My Soul』(1973年)に収録されています。さり気ないですが、Madlibのブラック・ジャズ愛を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=YUrOf_X5JKU
「The One Who Knows」
2000年以降のHip-Hopらしい乾いたビートと幽玄的ジャズ・サウンドによるYNQらしい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=zXG6q0xKvTQ
「The Birth Of YNQ」
インタールード的な繋ぎの1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=-9sZueyJf24
「Paladium」
Weather Reportのカヴァー。オリジナルは『Heavy Weather』(1977年)に収録されています。ラテン/ブラジリアン・フレイヴァーを強調したYNQ流クロスオーヴァーを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=tXv6tAPvDRg
「Life's Angles」
疾走する格好良さでいえば、J.J. Johnson「Willie Chase」のリズム・ネタを使った本曲が一番かもしれません。個人的にも一番のお気に入りです。
https://www.youtube.com/watch?v=Zeza7m5GIHI
「Thinking Of You」
Jorge Dalto「I've Got You on My Mind」の上モノとBad Medicine「Trespasser」のドラム・ネタの組み合わせ。Jorge Daltoのメロウ名曲をモチーフにミステリアスな音世界を展開します。
https://www.youtube.com/watch?v=CahK_WaDGrw
「Uno Esta」
Bobbi Humphreyのカヴァー1曲目。オリジナルはMizell兄弟が手掛けた『Fancy Dancer』(1975年)に収録されています。本作らしい幽玄的ジャズ・グルーヴを楽しめる演奏です。へなへなしたアブストラクト・サウンドがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=kIeniGfipwE
「Rugged Tranquility」
エクスペリメンタルなボッサ・ジャズといった雰囲気がYNQらしい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Vh_4m5T6J58
「Daylight」
Roy AyersがプロデュースしたRampのレア・グルーヴ人気曲をカヴァー。オリジナルは『Come Into Knowledge』(1977年)に収録されています。レア・グルーヴ人気曲を本作らしい幽玄グルーヴで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9JvLc-7Y6h0
「Hot Water」
今ジャズにも通じるJ Dilla以降のHip-Hop経由ジャズを感じることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=eiUlaceU_mk
「Mestizo Eyes」
Bobbi Humphreyのカヴァー2曲目。オリジナルは「Uno Esta」と同じく『Fancy Dancer』(1975年)に収録されています。このもっさりしたグルーヴは今でこそ違和感ありませんが、当時は困惑した人も多かったのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=iVyaSo9lSeI
「Sun Goddess」
Maurice WhiteをはじめとするEarth,Wind & Fire勢がバックアップしたRamsey Lewisの人気曲をカヴァー。オリジナルは『Sun Goddess』(1974年)に収録されています。お馴染みの人気曲をHip-Hop経由の次世代ジャズとして聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zQ4i0TcZB6o
「Kuhn's Theme」
タイトルにも反映されているようにSteve Kuhn「Ida Lupino」ネタ。ネタのセレクトも含めて、Madlibのジャズ愛に満ちた格好良いジャズ・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=7do3yzh8SZY
「Little Girl (Dakota's Song)」
UKソウルの重鎮Omar「Little Boy」のカヴァー。オリジナルは『For Pleasure』(1994年)に収録されています。乾いたビートとメロウ・エレピによるもっさりグルーヴが本作らしいです。
https://www.youtube.com/watch?v=JNswYWnVB0g
「Broken Dreams」
ミステリアスなバラードですが、終盤はアフリカン・ビートで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Zn6Bu5zbNy4
「Last Day」
アヴァンギャルドなアルバムのアウトロ。
ここまでがDisc1の本編全19曲です。
ボーナス・トラック扱いのDisc2には、「Elle's Theme」、「ReRev」、「Herbal Scent」、「Sunrays」というEP「Elle's Theme」(2001年)からの4曲、「Funshine」、「The Science」というEP「Uno Esta」(2001年)からの2曲の計6曲が収録されています。
特にBernard Purdie「Soul Bossa Nova」ネタのドラムが印象的な「Elle's Theme」、Milt Jacksonのカヴァー「ReRev」、McCoy Tyner「Beyond the Sun」ネタの「Sunrays」、Anthony King「Filigree Funk」ネタの 「Funshine」あたりがおススメです。
「ReRev」
https://www.youtube.com/watch?v=6dRmPcdyVGE
「Sunrays」
https://www.youtube.com/watch?v=vTxa0WaKc84
「Funshine」
https://www.youtube.com/watch?v=wT-KueGKRfI
Madlib関連の過去記事もチェックを!
Madlib『Shades Of Blue』(2003年)
Jaylib『Champion Sound』(2003年)
Yesterdays New Quintet『Stevie』(2004年)
Sound Directions『The Funky Side Of Life』(2005年)
Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
Quasimoto『Yessir, Whatever』(2013年)