発表年:1974年
ez的ジャンル:ブラジリアン・クロスオーヴァー
気分は... :黒のアヴァンギャルド・・・
ブラジルの最高峰ジャズ・サンバ・トリオTamba TrioがLuis Eca/Bebeto/Helcio Milito名義でリリースした『Tamba』(1974年)です。
これまで当ブログで紹介したTamba Trio、Tamba 4作品は以下の5枚。
Tamba Trio『Tamba Trio』(1962年)
Tamba Trio『Avanco』(1963年)
Tamba 4『We And The Sea』(1967年)
Tamba 4『Samba Blim』(1968年)
Tamba Trio『Tamba Trio』(1975年)
本作『Tamba』(1974年)は、Luiz Eca(p、key、per、vo)、Bebeto(b、sax、fl、per、vo)、Helcio Milito(ds、vo)というオリジナル・メンバーで復活し、RCAで制作された作品です。
ファンはご存知の通り、そのジャケの色合いから本作『Tamba』(1974年)は"ブラック・タンバ(黒タンバ)"、同じRCAで制作された次作『Tamba Trio』(1975年)は"ブルー・タンバ(青タンバ)"の通称で親しまれています。
"ブルー・タンバ"がメロウな印象のアルバムに仕上がっているのに対し、Tamba TrioがLuis Eca/Bebeto/Helcio Milito名義の本作た"ブラック・タンバ"は、ジャケ同様に前衛的な印象のアルバムに仕上がっています。
アルバムは大きく、本来のTamba Trioらしいジャズ・サンバと、本作ならではの前衛的なクロスオーヴァー・サウンドに分かれます。
前者であれば、Tom E Dito作の「Se E Questao De Adeus Ate Logo」、
Ivan Linsのカヴァー「Nao Tem Perdao」、
Eumir Deodato/Marcos Valle/Joao Donatoという豪華なソングライティング陣の「Pra Machucar Meu Coracao/Rosa Maria/Nao Tenho Lagrimas」がおススメです。
後者の前衛的クロスオーヴァーであれば、「Reflexos」、「Mestre Bimba」、「Quadros」がおススメです。
それ以外に、バイーア風のAntonio Carlos E Jocafiのカヴァー「Ossaim (Bamboxe)」、アフロ・サンバなTom E Ditoのカヴァー「Amanhanga」あたりも印象的です。
"ブラック・タンバ(黒タンバ)"ならではのTamba Trioワールドを満喫しましょう。
全曲紹介しときやす。
「Se E Questao De Adeus Ate Logo」
Tom E Dito作。オリジナルはMilton Banana『Milton Banana』(1974年)ヴァージョンです。清涼感のあるフルートが似合うメロウ・ジャズ・サンバがオープニング。ハードなエレクトリック・ギターが本作らしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=D6PHQSdCPSs
「Nao Tem Perdao」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。Ivan Linsのオリジナルはアルバム『Modo Livre』に収録されています。彼ららしい洗練されたセンスの哀愁サンバを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Y-KjwbLDxRo
「Reflexos」
Luiz Eca作。本作らしい前衛的なムードの漂うオリジナル。シンセを駆使したTamba Trio流のクロスオーヴァー・サウンドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=tM65wafU9P0
「Gazela」
Arlette Neves/Bebeto作。Bebetoの味わいのある寂しげなヴォーカルが胸に染み入ります。
https://www.youtube.com/watch?v=3ORhv13YGJc
「Mestre Bimba」
Luiz Eca/Helcio Milito/Adalberto作。前衛モード全開の演奏です。不気味なスペイシー・シンセと共にパーカッシヴに疾走します。
https://www.youtube.com/watch?v=ohwVmIhuhXE
「Ossaim (Bamboxe)」
Antonio Carlos/Jocafi/Ildazio Tavares作。Antonio Carlos E Jocafiのオリジナルはアルバム『Cada Segundo』(1972年)に収録されています。ここではバイーア風のミステリアスな音世界を展開します。
https://www.youtube.com/watch?v=edT9COfhc3c
「Em Casa」
Luiz Eca/Carlos Vereza作。EcaのピアノとBebetoのフルートによるシンプルながらも味わいのある演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=-nbpMUG0gBs
「Pra Machucar Meu Coracao/Rosa Maria/Nao Tenho Lagrimas」
Ary Barroso作「Pra Machucar Meu Coracao」、Anival Silvia/Eden Silvia作「Rosa Maria」、Max Bulhoes/Milton de Oliveira作「Nao Tenho Lagrimas」という1930〜40年代サンバ・クラシック3曲のメドレー。メロウ・エレピの似合う抑えたトーンの穏やかな演奏です。
「Quadros」
Luiz Eca作。Bebetoの格好良いベースが牽引するクロスオーヴァー・チューン。本作らしい前衛的なシンセ・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=VxYfQWoYDGQ
「Nao Tem Nada Nao」
Eumir Deodato/Marcos Valle/Joao Donato作。少しラテン・フレイヴァーの効いたメロウ・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=4BiTWJU9Wrc
「O Homem」
Luiz Eca作。メロウ・エレピとサックスの織り成す哀愁メロウ・ワールドがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=9OTxHMDt4Hw
「Morada」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。Ecaのエレピをバックに、Bebetoの味わいのある寂しげなヴォーカルが映える哀愁メロウ。
https://www.youtube.com/watch?v=VnuYPKPdTbM
「Amanhanga」
Tom E Dito作。Tom E Ditoのオリジナルはアルバム『Obrigado Corcovado』(1971年)に収録されています。ミステリアスなアフロ・サンバ調の仕上がり。
「Infinito」
Luiz Eca/Helcio Milito/Adalberto作。ラストは1から43までの数字を読み上げていくミステリアスな演奏で締め括ってくれます。
Tamba Trio、Tamba 4の過去記事もご参照ください。
Tamba Trio『Tamba Trio』(1962年)
Tamba Trio『Avanco』(1963年)
Tamba 4『We And The Sea』(1967年)
Tamba 4『Samba Blim』(1968年)
Tamba Trio『Tamba Trio』(1975年)