2019年04月21日

Theon Cross『Fyah』

盟友Moses Boyd、Nubya Garcia参加!Theon Crossの初ソロ・アルバム☆Theon Cross『Fyah』
ファイア
発表年:2019年
ez的ジャンル:新世代南ロンドン・ジャズ
気分は... :デモーニッシュ!

今回は新世代南ロンドン・ジャズの新作から、チューバ奏者Theon Crossの初ソロ・アルバム『Fyah』です。

Theon Crossは南ロンドン出身。2015年にMoses Boyd(ds)、Nubya Garcia(ts)を迎えて、初リーダー作となるEP「Aspirations EP」をレコーディングに参加しています。また、ホーン・セクションをフィーチャーしたジャズ・ユニットBrass Maskにも参加しています。

その後、新世代南ロンドン・ジャズを牽引するジャズ・サックス奏者Shabaka Hutchings率いるSons Of Kemetに参加し、『Last Evenings On Earth』(2016年)、『Your Queen Is A Reptile』(2018年)といったアルバムのレコーディングに参加しています。さらに
Brass Mask

また、今年に入り、10人編成のUK新世代ジャズ・ユニットSEED Ensembleのメンバーとして、1stアルバム『Driftglass』のレコーディングに参加しています。

CDショップの今ジャズ新作コーナーでSons Of KemetのリーダーShabaka Hutchingsによる別ユニットThe Comet Is Comingの最新作『Trust In The Lifeforce Of The Deep Mystery』(2019年)と、Theon Crossの初ソロ・アルバムとなる本作『Fyah』の2枚が並んでおり、両者を試聴してみました。

The Comet Is Coming『Trust In The Lifeforce Of The Deep Mystery』(2019年)
Trust in the Lifeforce..

サイケデリックでエレクトロニカなThe Comet Is Comingと、生音のダイナミズムのあるTheon Crossの初ソロは対照的な2枚でした。単純に良し悪しを比較できませんが、直観的に今聴くべきは後者であると感じ、本作を購入しました。

本作『Fyah』Theon Cross(tuba)以外の核となるミュージシャンがMoses Boyd(ds)とNubya Garcia(ts)。特にMoses BoydはTheon Cross自身と共に共同プロデュースを務めています。

共に、新世代南ロンドン・ジャズを牽引する期待のミュージシャンですね。当ブログでもMoses BoydはMoses Boyd Exodus名義の『Displaced Diaspora』(2018年)、Nubya Garciaは彼女が参加したジャズ・ユニットMaisha『There Is A Place』(2018年)を紹介済みです。

その2人以外にUnited VibrationsWayne Frances(ts)、Artie Zaitz (el-g)、Tim Doyle(per)、Nathaniel Cross(tb)といったミュージシャンが参加しています。

Theon、Boyd、Nubyaの三者によるスリリングなアンサンブルが本作の最大の魅力です。特に、Theonのチューバがベースの役割を担い、Boydのドラムと共にダイナミックなグルーヴを生み出しており、チューバという楽器のさらなる可能性を引き出しています。

楽曲はすべてTheon Crossのオリジナルです。

新世代南ロンドン・ジャズの勢いを感じるエキサイティングな1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Activate」
Boydのダイナミックなドラミング、ベース的な役割を担うTheonのチューバ、さらにNubyaのテナー・サックスが一体となってパワフルな新世代ジャズをプレイします。3者の研ぎ澄まされた感性が素晴らしいケミストリーを起こしています。
https://www.youtube.com/watch?v=EaSFwZFiKOQ

「The Offerings」
ロンドンらしくアフロ・ジャズのエッセンスを感じるアンサンブルです。特にNubyaのテナー・サックスとTheonのチューバのコントラストが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=K3JvGeF_X0E

「Radiation」
BoydのドラムとTheonのチューバが織り成すJ Dilla的な人力Hip-Hopビートにのって、Nubyaのテナーが鮮やかに響きます。
https://www.youtube.com/watch?v=Lj7WNbuEIf4

「Letting Go」
どっしり構えたTheonのチューバという中核の周りを、Nubyaの艶やかなテナーが衛星のように飛び交います。チューバという楽器の持つパワーを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=Ik6hEGI_NzM

「Candace of Meroe」
クラブジャズ好きも歓喜するであろう、ギター、パーカッションも加わったアフロ・ビート調アッパー・チューン。ここでのテナー・サックスはNubyaではなく、Wayne Frances。こうしたアッパー・チューンでもベース・ライン的なTheonのチューバは実に魅力的です。
https://www.youtube.com/watch?v=agk8SHjNg0g

「Panda Village」
オープニングの「Activate」と同じく、Boyd、Theon、Nubyaのスリリングかつダイナミックなアンサンブルを満喫できます。また、エレクトロニカなアクセントもいい感じです。クラブジャズ/クラブミュージックも飲み込んだロンドン新世代ジャズ・サウンドに魅了されます。
https://www.youtube.com/watch?v=S0SY7curw6s

「CIYA」
Theon、Boyd、Nubyaの三者にギターも加わったメロウな演奏です。Theonのチューバが全体を調和させています。
https://www.youtube.com/watch?v=pm3GKZ_7ITg

「LDN's Burning」
ラストはアフロ・ジャズ的なアプローチで締め括ってくれます。Theon、Boyd、Nubyaの三者によるコズミックな音世界が展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=Dt7j8l-gBO4

Theon Crossが参加したSons Of KemetMoses BoydNubya Garcia関連の過去記事もチェックを!

Sons Of Kemet『Your Queen Is A Reptile』(2018年)
Your Queen Is A Reptile

Moses Boyd Exodus『Displaced Diaspora』(2018年)
DISPLACED DIASPORA

Maisha『There Is A Place』(2018年)
There Is A Place [解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤CD] (BRC585)
posted by ez at 00:03| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする