2019年05月19日

Dwight Trible『Mothership』

L.A.ジャズ界の重要シンガーの最新作☆Dwight Trible『Mothership』
マザーシップ
発表年:2019年
ez的ジャンル:L.A.ジャズ系男性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :幽玄の美・・・

今回は新作ジャズからDwight Trible『Mothership』です。

オハイオ州シンシナティ出身、Carlos Ninoによるスピリチュアル・ジャズ・ユニットBuild An Arkへの参加でも知られるL.A.を拠点に活動するシンガーDwight Tribleの紹介は、UKのジャズ・トランぺッターMatthew Halsallと共演したDwight Trible With Matthew Halsall『Inspirations』(2017年)に続き2回目となります。

UKの注目ジャズ・レーベルGearbox Recordsからのリリースです。

当ブログで紹介した作品であれば、Moses Boyd Exodus『Displaced Diaspora』(2018年)、Theon Cross『Fyah』(2019年)といったアルバムがGearbox Recordsからのリリースです。

レコーディング・メンバーはDwight Trible(vo)以下、Kamasi Washington(ts)、Mark De Clive-Lowe(p)、John B. Williams(b)、Ramses Rodriguez(ds)、Maia(harp)、Miguel Atwood-Ferguson(viola)、Derf Reklaw(per)、Carlos Nino(hand per)という面々です。特に、すっかりジャズ・ピアニストになってしまったMark De Clive-Loweのピアノがアルバムに大きく貢献しています。

Gearbox Recordsの総帥Darrel Sheinmanのプロデュースです。

Dwight Tribleらしい深淵な低音ヴォーカルが映えるバラード中心の構成です。しかしながら、一口にバラードと言っても、さまざまなヴォーカル・スタイルで聴かせてくれるので、飽きさせない構成になっています。

スピリチュアル・ジャズのイメージが強いですが、オーセンティックなジャズ・バラードからソウルフルなバラードまで、あの手この手でDwight Tribleらしい深淵な歌世界を披露してくれます。

本作を象徴するタイトル曲「Mothership」、言霊のようなヴォーカルが映える「Brother Where Are You?」Beatlesの秀逸カヴァー「Tomorrow Never Knows」Donny Hathawayのディープなカヴァー「Thank You Master」、スピリチュアル・ジャズらしい「Desert Fairy Princess」、ビューティフル・バラード「These Things You Are To Me」あたりが僕のおススメです。

Dwight Tribleの濃密で深遠なジャズ・ヴォーカル・ワールドを満喫できる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Mothership」
Horace Tapscott/Linda Hill作。ジャズ・ピアニストHorace Tapscottのオリジナルはアルバム『Aiee! The Phantom』(1996年)に収録されています。Dwightの深遠な低音ヴォーカルが映えるオープニング。幽玄な音楽美を感じるオープニング。Mark De Clive-Loweのピアノ、Kamasi Washingtonのテナーな深遠なジャズ・ワールドを演出します。
https://www.youtube.com/watch?v=PiorlZ03ZDg

「It's All About Love」
Dwight Trible作。軽くラテン・フレイヴァーを効かせたスピリチュアル・ジャズ。大きな愛で聴く者を包み込んでくれます。ここでもMark De Clive-Loweの素晴らしいピアノを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=HAntv-pJCTs

「Mother」
Kamau Daaood/Nate Morgan作。今週よりも先週の母の日に紹介したかったビューティフル・ジャズ・バラード。Dwightの深遠な低音ヴォーカルが胸の奥まで染み入ります。
https://www.youtube.com/watch?v=Qfif7NaHK9k

「Brother Where Are You?」
Oscar Brown Jr.のカヴァー。オリジナルはアルバム『Mr Oscar Brown Jr Goes To Washington』(1965年)に収録されています。Dwightらしいディープなスピリチュアル・ジャズ・ワールドに浸れる1曲。Dwightの魂の歌はまるで言霊のようです。
https://www.youtube.com/watch?v=3M5dkPBdi6I

「Standing In The Need Of Prayer」
トラディショナルのカヴァー。Miguel Atwood-Fergusonのヴィオラが活躍するソウルフル・バラード。Miguel Atwood-Fergusonのヴィオラが入ることで演奏全体の壮大さが一気に増します。
https://www.youtube.com/watch?v=PCGPz2OFbcw

「Song For My Mother」
James Leary作。Mark De Clive-Loweの美しいピアノに先導され、オーセンティックなジャズ・バラードをしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=8wjUtCjRRkw

「Tomorrow Never Knows」
Beatlesのカヴァー(John Lennon/Paul McCartney作)。オリジナルはアルバム『Revolver』(1966年)に収録されています。このカヴァー・セレクトは絶妙ですね。確かに、このBeatlesソングはDwightの深遠なスピリチュアル・ジャズ・ワールドによくハマります。Miguel Atwood-Fergusonのヴィオラをはじめバッキングもサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=xQZJ65maDCw

「Thank You Master」
Donny Hathawayのカヴァー。オリジナルはアルバム『Everything Is Everything』(1970年)に収録されています。前作『Inspirations』でも『Everything Is Everything』収録の「Tryin' Times」をカヴァーしていましたね。ということでDwightのDonny Hathawayカヴァーが悪いはずありません。DwightのディープでソウルフルなヴォーカルはDonny Hathawayが憑依したようです。
https://www.youtube.com/watch?v=YSa4vvlo9BA

「Desert Fairy Princess」
Dwight Trible/Jesse Sharps作。Miguel Atwood-FergusonのヴィオラとMaiaのハープが織り成す美しい響きをバックに、幽玄なDwightのヴォーカルが映える至極のスピリチュアル・ジャズ。アルバムで一番スピリチュアル・ジャズらしい曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=kZ3vdD_3dGk

「Walkin' To Paradise」
Dwight Trible作。オーセンティックなジャズ・バラードですが、逆にDwightのジャズ・ヴォーカリストとしての個性が際立ちます。
https://www.youtube.com/watch?v=J0XzqoW1BsU

「These Things You Are To Me」
Carmen Lundy作。Carmen Lundyのオリジナルはアルバム『Self Portrait』(1995年)に収録されています。ここでは穏やかなヴォーカルで優しく歌い上げるビューティフル・バラード。訳もなく涙腺が緩くなりそうな感動バラードです。ここでもMark De Clive-Loweの素敵なピアノが映えます。
https://www.youtube.com/watch?v=kiGUrqk3xOY

「Some Other Time」
Adolph Green/Betty Comden/Leonard Bernstein作のスタンダードをカヴァー。Dwight Tribleならではの語り口で噛みしめるように歌い上げるバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ha6xryE8Mw4

Dwight Tribleの他作品もチェックを!

『Horace』(2001年)
Horace

『Living Water』(2004年)
Living Water [帯解説・国内仕様輸入盤] (BRZN126)

Dwight Trible & The Life Force Trio『Love Is The Answer』(2005年)
Love Is The Answer [解説付・国内盤仕様・2CD] (BRZN108)

『Cosmic』(2011年)
Cosmic

Dwight Trible With Matthew Halsall『Inspirations』(2017年)
インスピレーションズ(with マシュー・ハルソール)
posted by ez at 02:18| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月18日

Klymaxx『Klymaxx』

「I Miss You」だけではありません!☆Klymaxx『Klymaxx』
Same
発表年:1986年
ez的ジャンル:女性ファンク・グループ
気分は... :物語はクライマックスへ・・・

今回は「I Miss You」の大ヒットで知られる、80年代に活躍した女性ファンク・グループKlymaxx『Klymaxx』(1986年)です。

1979年にL.A.で結成された女性ファンク・グループKlymaxxの紹介は、出世作『Meeting In The Ladies Room』(1984年)に続き2回目となります。

大ヒット・シングル「I Miss You」を含む前作『Meeting In The Ladies Room』(1984年)の商業的成功の勢いに乗って制作されたのが、本作『Klymaxx』(1986年)です。

前作ほどの大成功を収めることはできませんでしたが、それでも中身は前作と並びKlymaxxの絶頂期を示すアルバムに仕上がっています。

本作もグループのメンバーは、Bernadette Cooper(ds、vo)、Joyce "Fenderella" Irby(b、vo)、Lorena Porter Shelby(vo)、Lynn Malsby(key)、Robbin Grider(syn、g)、Cheryl Cooley(g、vo)という6名。

メンバー以外にGeorge ClintonSteve Shockley(Lakeside)Rod Temperton等がプロデュースに関与しています。また、Babyfaceがソングライティングで参加している曲もあります。

また、Howard HewettSiedah Garrett等がバック・コーラスで参加しています。

Rod Temperton作&プロデュースの「Man Size Love」(映画『Running Scared』挿入歌)、George Clintonもプロデュースに関与した重量ファンク「Sexy」、大ヒット「I Miss You」を彷彿させるビューティフル・バラード「I'd Still Say Yes」、アーバン・ミディアム「Divas Need Love Too」という4曲のシングルがアルバムを象徴しています。。

それ以外に「I'd Still Say Yes」と双璧をなす素敵なバラード「Long Distance Love Affair」、ミネアポリス・ファンク調の「Fab Attack」、セクシー・ファンク「Fashion」もおススメです。

結果として、本作を最後にBernadette CooperJoyce "Fenderella" IrbyLynn Malsbyの3名が脱退してしまいます。

その意味では、KlymaxxKlymaxxらしかった最後の作品だと思います。

キャッチーで聴きやすい女性ファンク・グループ作品をぜひ!

全曲紹介しときやす。

「Sexy」
Bernadette Cooper作。Bernadette Cooper/Joyce "Fenderella" Irbyプロデュース。共同プロデューサーとして、George Clintonの名もクレジットされています。シングル・カットされ、US R&Bチャート第18位となっています。タイトルの通り、セクシーな重量ファンクに仕上がっています。彼女たちのファンク魂が伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=Wi1zbSBcv7w

「Fab Attack」
Bernadette Cooper/Cheryl Cooley/Marquis "Hami" Dair/Joyce "Fenderella" Irby/Sami McKinney作。Joyce "Fenderella" Irbyプロデュース。ミネアポリス・ファンク系の妖しげなダンサブル・チューン。このグループらしいファンク・チューンです。Cheryl Cooleyのギター・ソロもキマっています。

「Divas Need Love Too」
Bernadette Cooper/Vincent Brantley/Rick Timas作&プロデュース。シングル・カットされ、US R&Bチャート第14位となっています。ブラコンらしいアーバンなミディアム・グルーヴは僕好み。翌年 Michael Jacksonとのデュエット「I Just Can't Stop Loving You」で大ヒットを記録するSiedah Garrettがバック・コーラスを務めます。
https://www.youtube.com/watch?v=B1Azsa8r1jI

「I'd Still Say Yes」
Babyface/Joyce "Fenderella" Irby/Greg Scelsa作。Joyce "Fenderella" Irbyプロデュース。シングル・カットされ、USチャート第18位、US R&Bチャート第7位となっています。大ヒット「I Miss You」を彷彿させる素敵なビューティフル・バラード。ソングライティングにはBabyfaceも参加しています。甘酸っぱい青春の思い出が蘇ってくる感じがたまりません。Howard HewettThe Watersがバック・コーラスを務めます。
https://www.youtube.com/watch?v=hiMUVPWE7ec

「Fashion」
Bernadette Cooper/Mike Hightower作。Bernadette Cooper/Joyce "Fenderella" Irbyプロデュース。セクシー・モードのファンク・チューン。ポップになりすぎていないのがグッド!

「Danger Zone」
Joyce "Fenderella" Irby/Chuck Gentry作。Joyce "Fenderella" Irbyプロデュース。ポップ・マーケットを意識したシンセ・ポップ調の哀愁グルーヴ。この時代らしい雰囲気ですが、僕の好みではありません。
https://www.youtube.com/watch?v=N1ua3qErUqI

「Long Distance Love Affair」
Scott Durbin作。Joyce "Fenderella" Irbyプロデュース。「I'd Still Say Yes」と同路線のピュアな魅力に満ちたビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=ACo7mYdUKhA

「Come Back」
Lynn Malsby作。Lynn Malsby/Steve Shockleyプロデュース。哀愁バラードですが、少し正攻法すぎる気も・・・何かもう一工夫欲しいです。
https://www.youtube.com/watch?v=4c6kAHq9dOU

「Man Size Love」
Rod Temperton作。Bruce Swedien/Dick Rudolph/Rod Tempertonプロデュース。Gregory Hines、Billy Crystal主演のアクション・コメディ映画『Running Scared』の挿入歌。シングルにもなり、USチャート第15位のヒットとなりました。Rod Temperton絡みということもあり、ポップ・マーケットを意識したキャッチーなダンサブル・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=LHg_8-1EBPI

Klymaxxの他作品もチェックを!

『Girls Will Be Girls』(1982年)
Girls Will Be Girls

『Meeting In The Ladies Room』(1984年)
レディーズ・ルーム

『The Maxx Is Back』(1990年)
klymaxx the maxx is back.jpg

『One Day』(1994年)
One Day
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2019年05月17日

Soulstance『Lead the Way』

それでも踊るためのジャズが好き!☆Soulstance『Lead the Way』
Lead the Way
発表年:2006年
ez的ジャンル:Schema系クラブジャズ
気分は... :それでも踊るためのジャズ・・・

イタリア、ミラノの人気クラブジャズ・レーベルSchema作品からSoulstance『Lead the Way』(2006年)です。

Gianni Lo GrecoEnzo Lo GrecoLo Greco兄弟によるクラブジャズ・ユニットSoulstanceに関して、当ブログで紹介した作品は以下の3枚。

 『En Route』(1999年)
 『Act On!』(2000年)
 『Life Size』(2003年)

"今ジャズ"ブームの煽りで、存在感の薄いクラブジャズ・・・
それでも踊るためのジャズを欲するニーズはあるはず!少なくとも僕は聴きたい!

そんな僕のニーズを満たしてくれるのが本作Soulstance『Lead the Way』(2006年)です。

レコーディングにはEnzo Lo Greco(b、g、fl、p、prog)、Gianni Lo Greco(ds、per)以下、Alberto Bonacasa(p)、Germano Zenga(ts)、Hendrixon Mena(tp、flh)、Francesco Pinetti (vibes)、Sandro Cerino(fl、clarinet)、Alice Ricciardi(vo)といったミュージシャンが参加しています。

楽曲はすべてEnzo Lo Grecoのオリジナル。

各種コンピにも収録された「Toka A Bola」「Make A Wish」「Special One」「Moon Vision」「Eclipse」「Lead The Way」「Cool Plan」をはじめ、"踊るためのジャズ"好きの心を満たしてくれる楽曲がズラリと並びます。

ワンパターンなのはわかっちゃいるけど、この心地好さには抗えません。

全曲紹介しときやす。

「Antigua」
Lo Greco兄弟らしいプログラミングと生音の巧みな融合を楽しめるアフロ・キューバン・グルーヴがオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=drIUDpEMUdw

「Toka A Bola」
パーカッシヴでダブル・ベースの効いたアフロ・キューバン・サウンドと共に疾走します。スタイリッシュな躍動感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=YfuurHo0wIs

「Summer Midnight」
サマー・モードのメロウ・ボッサ・ジャズ。ヴァイヴの上品な響きやフルートの涼しげな音色が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=gfuSJQMtv9I

「Make A Wish」
Soulstanceらしい薄っすらとしたエレクトロニカ感を楽しめるフロア仕様の1曲。フューチャリスティックなアフロ・キューバン・サウンドを存分に楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=CGvYjcXji3Q

「Special One」
Schema系Nu Jazzの典型のような格好良いダンス・チューン。伊達男たちのクラブジャズ・ワールドどっぷり浸りましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=Oka-M2SRSXA

「Moon Vision」
僕好みのジャズ・ワルツ。Alice Ricciardiのスキャットと共に柔らかい夕陽に包まれていくような感覚がいいですね。さり気ない洗練があります。
https://www.youtube.com/watch?v=kb0PdPtGC7U

「Eclipse」
Schemaらしいエレガントなダンシング・ジャズ。格好良いホーン・アンサンブル&ソロと共に疾走する様は正に伊達男たちのクラブジャズですね。
https://www.youtube.com/watch?v=xKu1_SZqc3w

「Lead The Way」
艶やかなAlice Ricciardiのスキャットが似合う哀愁アフロ・キューバン・グルーヴ。哀愁の美学を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=JRB2BbXozgQ

「Cool Plan」
レトロなジャズ・フィーリングを逆手にとったLo Greco兄弟の心憎いセンスに満ちたファンキー・ジャズ。1周回って実にスタイリッシュです。
https://www.youtube.com/watch?v=ZmZO7KOv05Q

「Crossroads」
鮮やかなホーン・アンサンブル&Alice Ricciardiのスキャットと共に疾走します。他の楽曲ほど注目されていませんが、なかなか格好良いと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=7dmlYMmDLRg

「Still In A Dream」
少しテンポを落とした展開で小休止といったところでしょうか。でもこれも小技が効いていてたまらない。
https://www.youtube.com/watch?v=yb0lixecq1Q

「Natural Form」
ラストは色気のあるアフロ・キューバンで締め括ってくれます。緩急のアクセントもあってオトナなクラブジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=mb5pV5IPeos

Soulstanceの他作品もチェックを!

『En Route』(1999年)
En Route

『Act On!』(2000年)
Act On!

『Life Size』(2003年)
Life Size

『Electronic Chamber Jazz』(2018年)
Electronic Chamber Jazz

Lo Greco Bros名義やQuintetto Lo Greco名義の作品もチェックを!

Lo Greco Bros『Grooves in Jazz Club』(1994年)
Grooves in Jazz Club

Lo Greco Bros『Desire』(1996年)
lo greco bros desire.jpg

Lo Greco Bros Quartet『Short Sories』(2017年)
Short Stories

Lo Greco Bros『Different Standards』(2017年)
Different Standards

Lo Greco Bros『Different Standards Vol. 2』(2018年)
Different Standards Vol 2

Quintetto Lo Greco『Snap Count』(2006年)
quintetto lo greco snap count.jpg

Quintetto Lo Greco『The Right Spirit』(2007年)
THE RIGHT SPIRIT
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2019年05月16日

Melvin Riley『Ghetto Love』

Ready For The Worldのリード・シンガーによる初ソロ☆Melvin Riley『Ghetto Love』
Ghetto Love
発表年:1994年
ez的ジャンル:セクシー系男性R&B
気分は... :「未」用心 or 「無」用心

90年代男性R&BからMelvin Riley『Ghetto Love』(1994年)です。

Melvin Rileyは80年代に活躍したソウル/ファンク・ユニットReady For The Worldのリード・ヴォーカル。

1982年にミシガン州フリントで結成された彼らは「Oh Sheila」(1985年)(USチャート第1位、同R&Bチャート第1位)、「Love You Down」(1986年)(USチャート第9位、同R&Bチャート第1位)といったヒットを放ちました。特にPrinceらミネアポリス・ファンクの影響を感じる「Oh Sheila」のヒットは印象的でした。

Ready For The World「Oh Sheila」
 https://www.youtube.com/watch?v=wbL2lMn34Oo
Ready For The World「Love You Down」
 https://www.youtube.com/watch?v=r3Ui8_oqc9Q

1991年にReady For The World解散後、Melvin Rileyはソロ活動に転じます。そして、ソロ第一弾アルバムとしてリリースされたのが本作『Ghetto Love』(1994年)です。

Melvin Riley自身のセルフ・プロデュースです(共同プロデュースを含む)。

全15曲。スロウ系が中心ですが、どエロ・モードから真摯なオーセンティック・モードまで振り幅が大きすぎて少し戸惑います。曲数は少ないですがダンサブル系も悪くありません。

スロウ系であれば、「Servin' It」「What Makes A Man (Wanna Cheat On His Woman)」「Spoil You」がおススメです。

ダンサブル系であれば、The Emotions「Blind Alley」ネタの「Goin' Thru A Thang」、G-Funkモードの三連発「Little Somethin' Somethin'」「#1 Nigga From The Hood」「Cutta Me Loose」がおススメです。

序盤のどエロ・モードでドン引きしないでくださいね!

全曲紹介しときやす。

「Interlude」
インタールード。

「Whose Is It?」
シングルにもなったセクシー・バラード。セクシーな仕掛けを散りばめたエロエロな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=wA7dFUqY_lA

「I'm All In」
「Whose Is It?」に続きセクシー・モードのバラード。聴いてる方が赤面してしまうエロさです。
https://www.youtube.com/watch?v=mJL6jd4aKeQ

「Servin' It」
おススメその1。同じバラードでもエロを抑えたメロウ・バラード。僕にはこの位のセクシー・モードがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=dQeJOS2quuQ

「If You Don't Tell I Won't Tell」
女性コーラスも加わった切ないヴォーカルの哀愁メロウ。
https://www.youtube.com/watch?v=1afG16UkAfU

「Goin' Thru A Thang」
The Emotions「Blind Alley」をサンプリングしたメロウ&グルーヴィーなおススメその2。ダンサブル・チューン。ラップ・パートもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=pHz1WGIchNI

「What Makes A Man (Wanna Cheat On His Woman)」
おススメその3。シングルにもなった90年代男性R&Bグループ風のメロウ・バラード。「Whose Is It?」のエロ路線よりも、このタイプのバラードの方が僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=A6r2_icVNGk

「Love's Gonna Get Cha」
ピアノをバックに誠実な語り口で歌い上げるオーセンティック・バラード。「Whose Is It?」とのギャップにビックリ!
https://www.youtube.com/watch?v=SYgjGlzGtZ4

「Ghetto Love」
哀愁メロディを切々と歌い上げるバラード。なかなか雰囲気あっていい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=16SKq2Zu8PA

「Tabs On Ya」
前曲からの流れがいい感じの哀愁バラード。男の哀愁がジンワリと伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=0Vgl8VbxemU

「Little Somethin' Somethin'」
おススメその4。G-Funkモードのピーヒャラ・シンセが印象的なダンサブル・チューン。このタイプは彼にフィットしているかも?Marvin Gaye「"T" Plays It Cool」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=xYXbgxaHslY

「#1 Nigga From The Hood」
おススメその5。哀愁モードのミディアム・グルーヴ。ここでもG-Funk調のピーヒャラ・シンセが飛び出します。KC & the Sunshine Band「What Makes You Happy」、Najee「Betcha Don't Know」、Dr. Dre & Snoop Dogg feat. Bushwick Bill, The Lady of Rage and RBX「Stranded on Death Row」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=D5pMKeQ7ujo

「Cutta Me Loose」
おススメその6。MC Breedのラップをフューチャーしたダンサブル・チューン。コレもG-Funkのエッセンスを取り入れています。Ohio Players「Funky Worm」 、Albert King「I'll Play the Blues for You」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=DSiaEgkJhq4

「Bone In The Bag」
少しダーク・トーンのミディアム・グルーヴ。ゲットー感が漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=P7PNHHtso08

「Spoil You」
おススメその7。ラストはMelvinの魅力が存分に伝わってくるセクシー・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=NKSPAnD7Z0I

本作以降、2000年に2ndアルバム『Bedroom Stories』をリリースしています。

『Bedroom Stories』(2000年)
melvin riley bedroom stories.jpg
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2019年05月14日

Miles Davis『In Concert』

『On The Corner』の世界を実践したライヴ録音☆Miles Davis『In Concert』
イン・コンサート
発表年:1973年
ez的ジャンル:エレクトリック・マイルス
気分は... :未完の美!

今回はジャズ界の帝王Miles Davisの作品から、エレクトリック・マイルス時代<の1枚、『In Concert』(1973年)です。

ジャズ界の帝王Miles Davisに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の18枚。

 『Bag's Groove』(1954年)
 『'Round About Midnight』(1955、56年)
 『Cookin'』(1956年)
 『Miles Ahead』(1957年)
 『Milestones』(1958年)
 『Someday My Prince Will Come』(1961年)
 『E.S.P.』(1965年)
 『Miles Smiles』(1966年)
 『Nefertiti』(1967年)
 『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
 『In A Silent Way』(1969年)
 『Live Evil』(1970年)
 『On The Corner』(1972年)
 『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
 『Dark Magus』(1974年)
 『Agharta』(1975年)
 『The Man With The Horn』(1981年)
 『Tutu』(1986年)

本作『In Concert』(1973年)は、1972年9月29日のN.Y.Philharmonic Hallでのライヴ・コンサートを録音したものです。

録音時期はファンクネスを前面に打ち出した話題作『On The Corner』(1972年)の3カ月後であり、同作の音世界を実践しようとしたライブになっています。そのあたりは『On The Corner』と同じCorky McCoyがジャケを手掛けている点にも反映されています。

レコーディング・メンバーはMiles Davis(tp)以下、Carlos Garnett(ss、ts)、Cedric Lawson(el-p、syn)、Reggie Lucas(el-g)、Khalil Balakrishna(el-g)、Michael Henderson(el-b)、Al Foster(ds)、Badal Roy(tablas)、James Mtume(per)。

プロデュースはTeo Macero

『On The Corner』のダークサイドとでも呼びたくなる暗黒のグルーヴが印象的な演奏が続きます。その意味でMilesと共に、ドラムのAl Foster、パーカッションのJames Mtumeが目立っています。

また、Teo Maceroの見事な編集スキルで完成度を高めた『On The Corner』に対して、本作には未完成な魅力があります。賛否両論あると思いますが、予測不能のグダグダ感が面白いと思います。

全編通しで聴くには、それなりの忍耐が必要ですが、エレクトリック・マイルスというブラックホールが、いろいろなものを飲み込んでいくような異様な音世界を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

Disc1

「Rated X」
スタジオ・ヴァージョンは後に『Get Up With It』収録。得体の知れない暗黒グルーヴが会場をジワジワと浸食していきます。そんな暗黒グルーヴの中でMilesのエレクトリック・トランペットが不気味に響き渡ります。未完ならではのケミストリーがあって面白いのでは?アフロビートやインド音楽のエッセンスも僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=7ylLFQVsWzU 
※途中で終わっています

「Honky Tonk」
この曲もスタジオ・ヴァージョンは『Get Up With It』収録。これがMiles流ホンキー・トンクなのでしょうか(笑)。アヴァンギャルドなギター・プレイに続き、ブルージーな演奏が展開されます。

「Theme from Jack Johnson」
『A Tribute to Jack Johnson』をモチーフにした演奏。Al Fosterの叩き出すビートに先導され、阿波踊り的グルーヴが展開されます♪エライヤッチャ〜エライヤッチャ〜♪Milesのトランペットも阿波踊り的グルーヴによくフィットしています。最初は奇異に聴こえた阿波踊り的グルーヴが何度も聴くうちにクセになります。

「Black Satin/The Theme」
スタジオ・ヴァージョンは『On The Corner』収録。『On The Corner』のような完成されたグルーヴになっていませんが、このグダグダな感じが未完ならではの楽しさなのでは?それでも後半の演奏はかなり格好良いと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=4hqM0Zu1WL8

Disc2

「Ife」
スタジオ・ヴァージョンは後に『Big Fun』収録。約28分という長尺の演奏。前半は本作らしい暗黒グルーヴで押し通します。扇動的なパーカッシヴ感が僕好み。不穏なCedric Lawsonな鍵盤や、地を這うMichael Hendersonのベースも目立ちます。グダグダの中盤を経て、後半は一気にギアを上げますが、再びスローダウンし、コズミックな雰囲気の中でMilesのトランペットが妖しく響きます。

「Right Off/The Theme」
スタジオ・ヴァージョンは『A Tribute to Jack Johnson』収録。Al Foster、Mtumeが繰り出すリズムの先導され、覚醒的でコズミックな数奇な音世界にトリップします。そんな中でMilesのエレクトリック・トランペットが不気味な存在感を示します。Cedric Lawsonの鍵盤も効いていますね。

Youtubeに曲単位の音源少ないので、フルアルバム音源を紹介しておきます。
『In Concert (Full Album) 』
https://www.youtube.com/watch?v=tCen_K1W1w0

Miles Davisの過去記事もご参照下さい。

『Bag's Groove』(1954年)
バグズ・グルーヴ

『'Round About Midnight』(1955、56年)
'Round About Midnight

『Cookin'』(1956年)
クッキン

『Miles Ahead』(1957年)
Miles Ahead

『Milestones』(1958年)
マイルストーンズ+3

『Someday My Prince Will Come』(1961年)
Someday My Prince Will Come

『E.S.P.』(1965年)
E.S.P.

『Miles Smiles』(1966年)
マイルス・スマイルズ

『Nefertiti』(1967年)
ネフェルティティ + 4

『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
キリマンジャロの娘

『In A Silent Way』(1969年)
In a Silent Way (Dlx)

『Live Evil』(1970年)
ライヴ・イヴル

『On The Corner』(1972年)
Blu-spec CD オン・ザ・コーナー

『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
ゲット・アップ・ウィズ・イット

『Dark Magus』(1974年)
ダーク・メイガス

『Agharta』(1975年)
Agharta

『The Man With The Horn』(1981年)
The Man with the Horn

『Tutu』(1986年)
TUTU<SHM-CD>
posted by ez at 09:11| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする