2019年05月05日

Liquid Saloon『Liquid Saloon』

イスラエル産アフロビート/ハイブリッド・ジャズ☆Liquid Saloon『Liquid Saloon』
Liquid Saloon (リキッド・サルーン)
発表年:2019年
ez的ジャンル:イスラエル産アフロビート/ハイブリッド・ジャズ
気分は... :知の編集!

今回は新作ジャズからイスラエル産アフロビート作品、Liquid Saloon『Liquid Saloon』(2019年)です。

Liquid Saloonは、Amir Bresler(ds、prog、per、g、b)、Nomok(key)、Sefi Zisling(tp)というイスラエルの新進ジャズ・ミュージシャンによって結成されたトリオ。

メンバーのうち、Amir BreslerSefi Zislingは、昨年アルバム『More Than One Thing』が話題となった、イスラエルの新進ジャズ・ミュージシャンのコレクティヴTime Groveのメンバーです。

また、Amir BreslerはHip-Hop/ネオソウルなクロスオーヴァー・ユニットL.B.T(Live Beat Tapes)としても作品をリリースしています。

さて、Liquid Saloonの1stアルバム『Liquid Saloon』はアフロビート色の強いハイブリッド・ジャズに仕上がっています。Amir Breslerはアフロビート探求者であり、彼の志向が反映された1枚です。

イスラエルとアフロビートって、我々日本人のイメージでは結びつきづらいですが、考えてみれば地理的にはアフリカ大陸と隣接している国であり、それほど意外なものではないのかもしれません。

レコーディングには、メンバー以外にTime GroveのメンバーであるRejoicerButtering Trio)(key、b)やNitai Hershkovits(key)、さらにはShlomi Alon(sax、fl)、Jenny Penkin(vo)、Yonatan Albalak(g)、Eyal Talmudi(clarinet)といったミュージシャンが参加しています。

ハイライフ/アフロビートに刺激を受けつつも、しっかり現在進行形のジャズに昇華させ、さらにプログラミング/エレクトロニカを巧みに融合させたハイブリッド/ハイパーな音世界で楽しませてくれます。

このGW中、文化的な美意識の変遷・発展に関わる書籍をいくつか読み込んでおり、「知の編集」が僕の中で1つのキーワードになっています。

強引に関連づけると、本作は音楽という知の編集の巧みさを感じる1枚です。

組み合わせの妙がイノベーションを生み出す!
そんなことを実感した1枚でした。

全曲紹介しときやす。

「Naive By Choice」
本作を象徴するアフロビート調のオープニング。アフロビートのエッセンスを大胆に取り入れながらも、イスラエルの現在進行形ジャズらしさも提示している点が魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=EoIB64maC_o

「Gueta」
Nitai Hershkovitsをフィーチャー。エレクトロニカなエッセンスでハイパーなハイライフ/アフロビートを楽しめる本作らしい1曲。Sefi Zislingのトランペットはしっかりジャズしています。
https://www.youtube.com/watch?v=qGtDua4vK1Y

「Belibi」
Eyal Talmudiのクラリネットをフィーチャー。アフロビート探求者のAmir Breslerが叩き出すビートが印象的なハイライフ/アフロビート調のクロスオーヴァー・ジャズ。このハイブリッド感覚は実に刺激的です。
https://www.youtube.com/watch?v=qo7HsVKHS4I

「Self Parade」
ホーン・サウンドを前面に出した現在進行形ジャズな演奏です。イスラエル"今"ジャズを楽しみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=CD-tQkeyNx0

「Play Play」
ジャズの枠に収まらないAmir Breslerのトラック・メイカー的センスが冴えるアブストラクトなクロスオーヴァー・チューン。こういうの大好き!
https://www.youtube.com/watch?v=M_oK_MRWMvs

「Polaroid Banana」
プログラミング/エレクトロニカを駆使したハイパー感覚のアフロビート。このユニットの新しさを実感できる1曲。クラブジャズ好きの人も楽しめるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Ll4ZgRlXjrI

「Border Lines」
アフロ・ジャズ×エレクトロニカ×クール・ジャズといった趣の時空を超えたハイブリッド・ジャズ。うまく言い表せないですが面白い!
https://www.youtube.com/watch?v=UI_JwnBoWa8

「Won't Be Led By Fear」
Jenny Penkinのヴォーカルをフィーチャーしたミステリアスな次世代ネオソウル。J.Lamotta SuzumeMoonchildあたりがお好きな人は気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=lyB6iUc_-3M

「Slow Loris」
ラストはButtering TrioのRejoicerをフィーチャーした幻想的なアトモスフィアなメロウ・チューンで締め括ってくれます。心が浄化されます。
https://www.youtube.com/watch?v=6oftO_RxnK0

ご興味がある方はTime Grove『More Than One Thing』(2018年)あたりもチェックしてみては?

Time Grove『More Than One Thing』(2018年)
More Than One Thing (モア・ザン・ワン・シング)
posted by ez at 01:33| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする