2019年06月30日

Jordan Rakei『Origin』

さらなる進化を遂げた次世代ネオソウル☆Jordan Rakei『Origin』
Origin [輸入盤CD] (ZENCD256)_742
発表年:2019年
ez的ジャンル:次世代ネオソウル系男性シンガー・ソングライター
気分は... :シンギュラリティへの警告!

新作アルバムから注目の男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiの3rdアルバム『Origin』です。

オーストラリア、ブリスベン出身、現在はロンドンを拠点とする男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiの紹介は、1stアルバム『Cloak』(2016年)、2ndアルバム『Wallflower』(2017年)に続き3回目となります。

本作も前作『Wallflower』(2017年)に続き、Ninja Tuneからのリリースです。

クロスオーヴァーな次世代ネオソウルとして注目を集めた1stアルバム『Cloak』(2016年)に続く、前作『Wallflower』(2017年)はパーソナルな内面にフォーカスしたシンガー・ソングライター的な色合いの強いアルバムでした。

最新作となる3rdアルバム『Origin』は、行き過ぎたテクノロジーへ警鐘を鳴らす社会メッセージ色の強い楽曲が多く収録されています。シンギュラリティあたりを懸念しているのでしょうね。

その一方でメロディアスでカラフルなサウンドを楽しめる作品に仕上がっています。Rakei本人はTom Misch『Geography』(2018年)あたりを意識していたみたいですね。

前作も悪くありませんでしたが、個人的には本作の方向性の方が断然好きです。

派手なゲストはありませんが、互いの作品に参加し合う敏腕ドラマーRichard Spaven(ds)、The Cinematic Orchestraのギタリスト
Stuart McCallum(strings arr)、何曲かで共同プロデューサーも務めるJim Macrae(ds、prog)、UK新世代フューチャー・ソウル・バンドNative DancerのメンバーであるFrida Touray(back vo)、Sam Crowe(p)、Josh Arcoleo(ts)の3名(リーダーのSam CroweMark Guilianaも参加していたSam Crowe Group名義の作品でも知られるミュージシャン)、『Cloak』にも参加していたImraan Paleker(g、b、per)、WaajuのメンバーでJordan Rakei作品にはお馴染みのErnesto Marichales(per)、男女ユニットBrotherlyとしても活動していたRob Mullarkeys(b)等のミュージシャンが参加しています。

また、UKの男性シンガー・ソングライターOli Rockbergerが共同プロデュース&ソングライティングで参加しています。

アルバムに先駆けて昨年シングル・リリースされた「Wildfire」、リード・シングルとなった「Mind's Eye」をはじめ、シングル向きのキャッチーなディスコ・ファンク「Rolling Into One」、フューチャリスティックな中にソウルフルな味わいがある「Mad World」、シンセ・ベースの効いたフューチャリスティック・ネオソウル「Signs」、Oli Rockbergerとの共同プロデュース・共作の深遠なビューティフル・バラード「Speak」、インド×ジャズな神秘的スピリチュアル・チューン「Mantra」あたりがおススメです。

さらに進化を遂げたJordan Rakeiワールドをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Mad World」
Christopher Taylor/Jordan Rakei/Kwabena Adjepong作。作者の一人Kwabena AdjepongはKwabs名義でNao『Saturn』にもフィーチャリングされていましたね。タイトルの通り、テクノロジーに支配されたマッド・ワールドへの警鐘を鳴らすオープニング。プログラミングを駆使したフューチャリスティックな雰囲気の楽曲ですが、RakeiのヴォーカルはMarvin Gaye調のソウルフルな味わいがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=yWj2fD8ggnc

「Say Something」
Jordan Rakei作。演奏もすべて一人でこなし、マルチ・インストゥルメンタリストぶりで楽しませてくる幻想的な次世代ネオソウル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=IwJU6fmGsc0

「Mind's Eye」
Jim Macraeとの共同プロデュース。Beau Diakowicz/Jordan Rakei作。アルバムからのリード・シングルとして今年1月にリリースされた楽曲。UKらしいダンサブルなフューチャー・ソウルに仕上がっています。Ernesto Marichales(per)も加わり、少しアフロ・フィーリングも入っている感じがいいですね。歌詞は未来の電脳世界を皮肉った内容になっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZwdBaYxVyCI

「Rolling Into One」
Jim Macraeとの共同プロデュース。Jordan Rakei作。シングル向きのキャッチーなディスコ・ファンクですが、Jordan Rakei流の佇まいがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=dmcTYjVDb-M

「Oasis」
Beau Diakowicz/Jordan Rakei作。Richard Spaven(ds)参加曲。多重録音による素晴らしいヴォーカル・ワークと共に始まる次世代ネオソウル・チューン。颯爽とした雰囲気がいいですね。Spavenが新世代ドラマーらしいドラミングで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=pb9pNw6qKkA

「Wildfire」
Imraan Paleker/Jordan Rakei作。アルバムに先駆けて、2018年にシングル・リリースされた楽曲。Rakei本人も前作『Wallflower』と本作を橋渡しする曲と位置づけています。Imraan Paleker(g、b、per)、Jim Macrae(ds)が参加したメロディアスかつリズミックな次世代ネオソウルに仕上がっています。本作らしいビューティフルで透明感のある音世界を楽しむことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=D81WtY2Xuqw

「Signs」
Frida Touray/Jordan Rakei作。シンセ・ベースによるグルーヴが印象的なフューチャリスティック・ネオソウル。Frida Tourayのバック・コーラスもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=zk0GZ4jFWro

「You & Me」
Jordan Rakei作。ポップ職人的な魅力に溢れた1曲。Sam Croweの素敵なピアノも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=BpHtof-ua4w

「Moda」
Jim Macraeとの共同プロデュース。Jordan Rakei作。前曲「You & Me」との組曲のような構成がいいですね。本作らしい社会メッセージが歌われるミディアム・グルーヴ。ポップ・センスに溢れたサウンドもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=EYcSQHVqIw0

「Speak」
Oli Rockbergerとの共同プロデュース・共作。Oli RockbergerはRichard Spaven作品やBecca Stevens『Regina』にも参加しているUKの男性シンガー・ソングライター。また、Stuart McCallumがストリングス・アレンジを手掛けています。ピアノと素晴らしいストリングス中心の深遠なビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=X_wp2RibPiQ

「Mantra」
Jim Macraeとの共同プロデュース。Jordan Rakei作。本編ラストはインド×ジャズなクロスオーヴァーが楽しめる神秘的スピリチュアル・チューンに仕上がっています。スピリチュアル・フィーリングですがポジティブなヴァイヴで満ちているのがいいですね。Native Dancerの3名が活躍しています。
https://www.youtube.com/watch?v=5XN1ojq52Hc

国内盤CDにはボーナス・トラック「Always Coming」が追加収録されています。幻想的なビューティフル・バラードです。

未聴の方は、1st『Cloak』(2016年)、2nd『Wallflower』(2017年)もぜひチェックを!

『Cloak』(2016年)
クローク

『Wallflower』(2017年)
Wallflower [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRZN245)
posted by ez at 00:26| Comment(2) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月29日

Muriel Winston『A Fresh Viewpoint』

ピースフルな女性ジャズ・ヴォーカル作品☆Muriel Winston『A Fresh Viewpoint』
ア・フレッシュ・ヴューポイント
発表年:1975年
ez的ジャンル:Strata-East系女性ジャズ・シンガー
気分は... :これはジャケ買いしてしまう!

今回は女性ジャズ・シンガーMuriel WinstonStrata-Eastからリリースしたピースフル・ジャズ作品『A Fresh Viewpoint』(1975年)です。

Muriel Winstonは1939年生まれ。

ニューヨークを拠点に音楽を教えながら自身の音楽を活動を行っていましたが、スピリチュアル・ジャズの最高峰SStrata-Eastでレコーディングした本作が唯一のアルバムです。

レコーディング・メンバーはMuriel Winston(vo、p)、Stanley Cowell(p)、Bill Lee(b)、Billy Higgins(ds、per)、Clifford Jordan (fl)等で、Strata-Eastを代表するミュージシャンたちがMurielのバッキングを務めます。

特に、映画監督Spike Leeの父親としても知られるBill Leeが楽曲提供も含めて本作に大きく貢献しています。

美しいジャケが印象的なアルバムですよね。
僕もアーティスト自身よりもジャケが先にインプットされ、気になっていた作品でした。

アルバムの中身は、子供たちのコーラスも交えたピースフルな雰囲気が印象的なジャズ・ヴォーカル作品に仕上がっています。また、黒人ジャズ・シンガーらしいソウルフルな味わいもいい感じです。

派手な作品ではありませんが、ピースフル&ハッピーな愛に溢れた素敵な1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Children's Trilogy」
Bill Lee作の子供向けオペラ『Little' Johnny』からの組曲。子供たちのコーラスと共にスピリチュアル・ジャズからスウィンギー・ジャズへ展開します。本作らしいピースフルなヴァイヴに溢れています。

「We'll Remember Those Years」
Consuela Lee Moorehead作。Murieのヴォーカルの魅力を楽しめるバラード。控え目な感じですが味わいがあります。

「A Song For My Daddy」
Muriel Winston/Bill Lee作。Clifford Jordanのフルートによる先導に続き、Murielがポエトリーを読み上げます。

「Sing Chillun Sing」
Bill Lee作。子供たちを歌い上げるピースフル・ジャズ。スウィンギーな中にもブラック・ジャズを感じられるのがいいですね。

「The Lord Will Make A Way Somehow」
Thomas A. Dorsey作。気分は一気に南部モードへ・・・ソウルフル&アーシーな雰囲気に惹かれるバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=Xg2rlYf3ddo

「A Song To Everyone In The World」
Muriel Winston作。ファンキー・ソウル・フィーリングが印象的です。どこか垢抜けない感じが逆にいいですね。

「Never Been In Love」
Tadd Dameron/Irving Reid作。美しいピアノの音色をバックに、しっとりと歌い上げるバラード。ジャケのような誰もいない海辺の夕陽の光景がフィットします。

「Weekend」
Tadd Dameron/Irving Reid作。黒人ジャズ・シンガーならではの歌い回しに味があります。さり気ないけど絶妙なバッキングも見事です。
https://www.youtube.com/watch?v=0p1SjMyHhnQ

「Soul Trane」
Tadd Dameron作。味のあるスキャットで歌うバラード。歌詞がないのに心動かされてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=Lcy_uZZoZ_s

「I'm Never Happy Anymore」
Tadd Dameron/Irving Reid作。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。子供コーラスと共にMurieのヴォーカルが躍動します。Clifford Jordanのフルートもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=hDA8mMcrb50

「Love Took The 7:10 Tonight」
Tadd Dameron/Irving Reid作。Strata-Eastらしい音世界を感じるバッキングとMurieのヴォーカルがフィットしたバラード。

「The Happy Heart」
Tadd Dameron/Irving Reid作。前半はスウィンギー&ハッピーな感じで、後半はしっとりと歌い上げます。

ご興味がある方はStrata-Eastの過去記事もご参照ください。

JuJu『Chapter Two : Nia』(1974年)
チャプター2:ニア

Shamek Farrah『First Impressions』(1974年)
ファースト・インプレッションズ (BOM1408)

Stanley Cowell『Musa・Ancestral Streams』(1974年)
Musa Ancestral Streams

Stanley Cowell『Regeneration』(1975年)
リジェネレーション(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 01:39| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月27日

Jongo Trio『Jongo Trio (1965)』

個性的なジャズ・サンバ・トリオ☆Jongo Trio『Jongo Trio (1965)』
Jongo Trio
発表年:1965年
ez的ジャンル:ジャズ・サンバ・トリオ
気分は... :決定力の違い・・・

サッカーはコパ・アメリカの男子代表、W杯の女子代表ともに敗れ、大会から姿を消しました。どちらのチームも決定機を決めきれずに敗戦というパターンでしたね。いつもの決定力不足・・・

勝ち上がれなかったが日本らしさは見せることができた・・・という言い訳にはいい加減ウンザリですね。

さてブラジルのジャズ・サンバ作品からJongo Trio『Jongo Trio (1965)』(1965年)です。
※1972年リリースのセルフ・タイトル・アルバムと区別するために便宜上リリース年を補足しています。

Jongo Trioはは1965年にサンパウロで結成されたジャズ・サンバ・トリオ。

オリジナル・メンバーはAntonio "Toninho" Pinheiro(ds、vo)、Cido Bianchi(p、vo)、Sebastiao "Sabá" Oliveira Da Paz(b、vo)の3名。

ToninhoSabaSom Tresでの活動でも知られています。

1stアルバムとなる本作『Jongo Trio』(1966年)以降、Claudette Soaresらとの共演アルバムClaudette Soares, Taiguara e Trio『Primeiro Tempo: 5 X 0』(1966年)、ヴォーカル・メンバーを加え4人体制となった『Jongo』(1970年)、再びトリオ編成に戻った『Jongo Trio』(1972年)といったアルバムをリリースしています。

さて、本作『Jongo Trio (1965)』ですが、ヴォーカル曲中心のエレガントかつ変幻自在なジャズ・サンバ作品に仕上がっています。3人のメンバーが演奏のみならず3声コーラスによるヴォーカル・ワークでも魅せてくれます。また、ジャズ・サンバ・トリオですが、その枠からはみ出たような演奏を聴けるのも楽しいですね。

特に有名曲のカヴァーについては、オリジナルの雰囲気をうまく受け継ぎつつ、Jongo Trio流の個性を発揮している演奏や、オリジナルの雰囲気を一変させている演奏といったように、オリジナル(作者ヴァージョン)と聴き比べると更に楽しめると思います。

なかなか個性的なジャズ・サンバ・トリオ作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「O Menino Das Laranjas」
Theo De Barros作。アフロ・サンバなイントロに続き、変幻自在なジャズ・サンバが展開されます。この1曲を聴けば、彼らが只者ではないことがわかるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=tNgzQMpD9dc

「Feitinha Pro Poeta」
Baden Powell作。当ブログではBossacucanovaのカヴァーも紹介済みです。ここでは軽快かつエレガントなジャズ・サンバで楽しませてくれます。メリハリのつけ方が絶妙ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=_Cg6xlzibr4

「Ela Vai,Ela Vem」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作。ジャズ・サンバとジャズ・ワルツを織り交ぜたセンスに脱帽の1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=sa_VIys5dz8

「Eternidade」
Adylson Godoy/Luiz Chaves作。Cidoのピアノを楽しめるインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=amOZeEfOwms

「Terra De Ninguem」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。Marcos自身のヴァージョンは『Viola Enluarada』(1968年)に収録されています。当ブログではSabrina Malheirosのカヴァーも紹介済みです。Marcosヴァージョンを知っていると、そのプロトタイプ的な演奏に聴こえてきますね。
https://www.youtube.com/watch?v=-Ih2iuCZOEA

「Seu Chopin, Desculpe」
Johnny Alf作。タイトルの通り、ショパンの調べを織り交ぜた品格のあるジャズ・サンバです。
https://www.youtube.com/watch?v=rQ4ZUmuoUnQ

「Arrastao」
Edu Lobo/Vinicius de Moraes作。Loboのオリジナルは『A Musica De Edu Lobo Por Edu Lobo』(1965年)に収録されています。Loboのオリジナルにあったノルデスチ・モードのリズミック・パートとテンポを落としたエレガント・パートの緩急を受け継ぎ、Jongo Trio流の演奏に再構築しているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=6pRxnNLpRZY

「Garota Moderna」
Evaldo Gouveia/Jair Amorim作。小粋なセンスのインスト・ジャズ・サンバ。ヴォーカル入りの演奏とは違った彼らの魅力を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=eNn-4WHgRfU

「Vai Joao」
Vera Brasil作。3人のヴォーカル・ワークが冴える軽やかなジャズ・サンバ。
https://www.youtube.com/watch?v=Q0hnShAi-l8

「Reza」
Edu Lobo/Ruy Guerra作。Loboのオリジナルは『A Musica De Edu Lobo Por Edu Lobo』(1965年)に収録されています。Loboの名曲を少しテンポを落として聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=JkVAW1l-81w

本曲について、当ブログではSergio Mendes & Brasil '66Wanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio Lennie Dale & Sambalanco TrioTamba 4The CarnivalDorothy AshbyThe Girls From Bahiaのカヴァーも紹介済みです。

「Balanco No 1」
Hermeto Pascoal作。凛とした疾走感が格好良い僕好みのンスト・ジャズ・サンバ。
https://www.youtube.com/watch?v=kKg6SghZ5eo

「Deus Brasileiro」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。Marcosのオリジナルは『O Compositor E O Cantor』(1965年)で聴くことができます。当ブログではTitaDoris Monteiroヴァージョンも紹介済みです。Marcosのオリジナルのしっとりとした雰囲気を打ち破る変幻自在なジャズ・サンバを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=GS5GJ-FMhVk

再発CDにはボーナス・トラック「Medley Dorival Caymmi」が追加収録されています。

Jongo Trioの他作品もチェックを!

Claudette Soares, Taiguara e Trio『Primeiro Tempo: 5 X 0』(1966年)
PRIMEIRO TEMPO 5×0  プリメイロ・テンポ 5×0

Jongo Trio『Jongo Trio (1972)』(1972年)
ジョンゴ・トリオ
posted by ez at 01:44| Comment(2) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月26日

Bill LaBounty『Bill LaBounty』

AORの定番アルバム☆Bill LaBounty『Bill LaBounty』
ビル・ラバウンティ(期間生産限定盤)
発表年:1982年
ez的ジャンル:AOR系男性シンガー
気分は... :落ち武者ジャケ?

今回はAORの定番アルバムBill LaBounty『Bill LaBounty』(1982年)です。

当ブログでもそれなりにAOR作品を紹介していますが、僕の少しひねくれた性分のせいで本作のような定番アルバムが未紹介だったりします。

Bill LaBountyは1948年ウィスコンシン州生まれの男性シンガー・ソングライター。

1972年にFat Chanceというバンドのメンバーとしてレコード・デビュー。その後、ソロ活動を開始し、1975年に1stソロ・アルバム『Promised Love』をリリースします。

Curb Recordsに移籍した2ndアルバム『This Night Won't Last Forever』(1978年)収録の「This Night Won't Last Forever」Michael Johnsonがカヴァー・ヒットさせたことでBillへの注目が高まります。

「This Night Won't Last Forever(邦題:涙は今夜だけ)」は、中山美穂主演のトレンディ・ドラマ『すてきな片思い』(1990年)の挿入歌としてリバイバル・ヒットしたので、そちらで記憶されている人もいるのでは?
「This Night Won't Last Forever」
 https://www.youtube.com/watch?v=Gu55xbVNPZw

「This Night Won't Last Forever」のカヴァー・ヒット以降、彼の楽曲を取り上げるアーティストが続出したことで売れっ子ソングライターの地位を確立します。そんな中、大物プロデューサーRuss Titelmanを迎えて制作されたのが本作『Bill LaBounty』です。

本国アメリカでは商業的に成功しませんでしたが、AOR大国の日本では当時から高い評価を受けた1枚です。と言いつつ、当時高校生だった僕にはリアルタイムでの本作の記憶は殆どありませんが(笑)

"落ち武者カヴァー"とも称されるオリジナル・ジャケ以外に下記のジャケでインプットされている方もいるのでは?コチラの方がAOR名盤らしい雰囲気ですよね。

『Bill LaBounty』 ※別ジャケット盤
ビル・ラバウンティ

レコーディングには Bill LaBounty(vo、el-p)以下、Dean Parks(g)、Steve Lukather(g)、Willie Weeks(b)、Chuck Rainey(b)、Jeff Porcaro(ds)、 Steve Gadd(ds)、 Andy Newmark(ds)、Clarence McDonald(p)、Greg Phillinganes(el-p)、Ian Underwood(syn)、Nyle Steiner(syn)、Lenny Castro(per)、David Sanborn(as)、Kim Hutchcroft(sax)、Jerry Hey(tp、horns arr)、Chuck Findley(tp)、Gwen Dickey(元Rose Royce)(back vo)、James Taylor(back vo)、Patti Austin(back vo)、Leslie SmithStephen Bishop(back vo)、Jennifer Warnes(back vo)、Nick DeCaro(strings arr)等のミュージシャンが参加しています。

このメンツだけでもAOR名盤ですが、サウンドのみならず楽曲の良さ、LaBountyのヴォーカルも含めてトータルな完成度の高さが魅力の1枚です。

楽曲はすべてオリジナル。LaBountyとコンビが長いRoy Freelandとの共作がメインですが、Barry Mann夫妻との共作も2曲含まれます。

AOR人気曲の「Livin' It Up」「Look Who's Lonely Now」がハイライトです。

さらには「Dream On」、シングルにもなった「Never Gonna Look Back」あたりも人気が高いのでは?個人的にはAORらしいサウンドを楽しめる「Comin' Back」、Barry Mann夫妻との共作曲「Nobody's Fool」あたりも好きです。

AORの魅力が見事に凝縮された"AOR名盤"の名に相応しい1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Livin' It Up」
Bill LaBounty/Barry Mann/Cynthia Weil作。本作のハイライト。Barry Mann夫妻との共作によるAORクラシック。甘く切ない雰囲気がたまりません。終盤にはDavid Sanbornがサックス・ソロで盛り上げてくれます。シングルにもなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=J_A5HSJnVVU

Three Dog Night、Ricky Peterson、The Whispers等がカヴァーしています。
Ricky Peterson
 https://www.youtube.com/watch?v=Z5iDgMq_UoI
The Whispers
 https://www.youtube.com/watch?v=1fxzJ4V5jcY

「Didn't Want To Say Goodbye」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。James Taylorがバック・コーラスで参加した。哀愁メロウ・バラード。シンガー・ソングライターとしてのLaBountyの魅力を実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=sbQ--_BRX7w

「Dream On」
Bill LaBounty/Stephen Geyer作。この曲もAOR人気が高いのでは?アーバン・ナイトなAORサウンドがばっちりキマっています。Jerry Heyらによるホーン・サウンドもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=JV7oIrjUnxo

「Slow Fade」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。しみじみとした感動バラード。恋愛ドラマのエンディングに流れてきそうな1曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=yWpthXEJdAg

「Comin' Back」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。リラックスした雰囲気のミディアム・グルーヴ。Jerry Heyアレンジのホーン・サウンドが効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=YgefsJ_iqg0

「Look Who's Lonely Now」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。「Livin' It Up」に次ぐAOR人気曲。都会のロンリー・ナイト感がたまりません。100%AORサウンドな感じがたまりません。ギター・ソロはDean Parks。
https://www.youtube.com/watch?v=kbRUuA_8OTE

Randy Crawford、Ricky Petersonがカヴァーしています。
Randy Crawford
 https://www.youtube.com/watch?v=VbuAxDqoA-k
Ricky Peterson
 https://www.youtube.com/watch?v=nM_-vIaD8Mg

「Never Gonna Look Back」
Bill LaBounty/Cynthia Weil/Kathy Wakefield作。シングルにもなりました。楽曲の良さとJames TaylorとJennifer Warnesのバック・コーラスが魅力の1曲。特にLaBountyとJTの絡みがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=6ldkkBeqgug

「It Used To Be Me」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。Greg Phillinganesによるメロウ・エレピにグッとくるバラード。Nick DeCaroによる美しいストリングスも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=psfnA-PQjbs

「Nobody's Fool」
Bill LaBounty/Barry Mann/Cynthia Weil作。「Livin' It Up」に次ぐBarry Mann夫妻との共作。AORらしい哀愁ミディアムです。哀愁モードですがジメジメしすぎていないのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=51dEUKCMyIk

「Secrets」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。ラストもしっとりとしたメロウ・バラードで締め括ってくれます。真夜中のシークレットといった感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=v06NwjSNxOE

Bill LaBountyの他作品もチェックを!

『Promised Love』(1975年)
Promised Love -Reissue-

『This Night Won't Last Forever』(1978年)
涙は今夜だけ(期間生産限定盤)

『Rain in My Life』(1979年)
レイン・イン・マイ・ライフ(期間生産限定盤)

『The Right Direction』(1991年)
Right Direction

『Back to Your Star』(2009年)
バック・トゥ・ユア・スター

『Into Something Blue』(2014年)
イントゥ・サムシング・ブルー
posted by ez at 01:53| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月24日

Commodores『Caught In The Act』

R&Bチャート第1位「Slippery When Wet」収録☆Commodores『Caught In The Act』
コウト・イン・ジ・アクト
発表年:1975年
ez的ジャンル:人気ファンク/ソウル・バンド
気分は... :考えるな、感じろ!

人気ファンク・グループCommodoresの初期名作『Caught In The Act』(1975年)です。

Commodoresに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Hot on the Tracks』(1976年)
 『Commodores』(1977年)
 『Live!』(1977年)

『Machine Gun』(1974年)に続く2ndアルバムとなる本作は、USアルバム・チャート第26位、同R&Bアルバム・チャート第7位となり、後の商業的大成功への確かな第一歩となった初期名作です。

僕の好きなCommodores『Live!』(1977年)までなので、その頂点に向かう助走的な1枚という気がします。

本作におけるメンバーは、Lionel Richie(vo、sax、key)、Thomas McClary(vo、g)、Milan Williams(key)、Ronald LaPread(b)、William King(tp)、Walter Orange(ds、vo、per)という最強ラインナップの6名。

プロデュースはJames Anthony CarmichaelCommodores

初期Commodoresらしいファンクとバラードのバランスの取れた1枚です。

1st『Machine Gun』収録のディスコ定番「The Bump」の再録をはじめ、US R&Bチャート第1位となったヒット曲「Slippery When Wet」、Lionel Richieのクラヴィネットがファンキーに響く「I'm Ready」「Wide Open」、あたりがファンク・バンドの魅力に溢れた楽曲です。

バラード系であれば、Lionel Richieの手腕が発揮されたシングル曲「This Is Your Life」「You Don't Know That I Know」がおススメです。同じバラードでも『Natural High』(1978年)以降にはない良さがある気がします。

あとはファンキー・メロウな「Let's Do It Right」も僕のお気に入りです。

時期によって好き/嫌いがはっきり分かれてしまうCommodoresですが、初期Commodores作品には他のファンク・バンドにはない何かを持っていると思います。

全曲紹介しときやす。

「Wide Open」
Walter Orange作。初期Commodoresならではの骨太のファンクネスを感じるオープニング。Lionel Richieのクラヴィネットの響きがいい感じです。ホーン・サウンドも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=IW1gAsCEZO0

「Slippery When Wet」
Thomas McClary作。アルバムからの1stシングルとして、USチャート第19位、同R&Bチャート第1位となったヒット曲。格好良いギター・リフのファンキー・グルーヴですが、シングル向きのキャッチーさを兼ね備えているのがCommodoresらしいのでは?パーカッシヴな感じも僕好みです。
https://www.youtube.com/watch?v=bLr5cL0eG2w

7A3「Everybody Get Loose」、Limbomaniacs「Shake It」のサンプリング・ソースとなっています。
Limbomaniacs「Shake It」
 https://www.youtube.com/watch?v=IedAaxFEF8Y

「The Bump」
Milan Williams作。1st『Machine Gun』収録曲の再録。ただし、『Machine Gun』ヴァージョンよりも尺が短くなっています。当時ディスコ好きだった人にとっての定番曲ですね。夜遊びモードの開放的なディスコ・ファンクです。
https://www.youtube.com/watch?v=jfZxiOg3SaM

「I'm Ready」
Milan Williams作。Lionel Richieのファンキー・クラヴィネット&スペイシー・シンセが冴え渡るインスト・ファンク・チューン。Beastie Boys「Egg Man」のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=w5_VD2MLHcI

「This Is Your Life」
Lionel Richie作。アルバムからの2ndシングルとして、US R&Bチャート第13位となっています。Lionel Richieの手腕が発揮されたメロディアスなメロウ・バラードです。この時期のLionel Richieは良かったなぁ・・・
https://www.youtube.com/watch?v=NpS0NkGOMG0

Jerry Butlerがカヴァーしています。また、E.S.G.「9-Trey」、South Central Cartel「G's Game」、Da Weasel「Dedicado」、Sadat X「This Is Your Life」、Spax「Arche」のサンプリング・ソースとなっています。
Jerry Butler「This Is Your Life」
 https://www.youtube.com/watch?v=mRjJhabLYBg
South Central Cartel「G's Game」
 https://www.youtube.com/watch?v=NXXoW3rE-Vo
Sadat X「This Is Your Life」
 https://www.youtube.com/watch?v=P2nZp4X-wzQ

「Let's Do It Right」
Lionel Richie作。これもLionel Richieらしいメロウ・ミディアム・グルーヴ。メロウな中にも適度なファンキー・フィーリングがあるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=O4grYIN0wHY

「Better Never Than Forever」
Milan Williams作。初期Commodoresならではの渋さを感じるバラード。バラードでも適度に塩味が効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=XnyDoZCQ32o

「Look What You've Done to Me」
Ronald LaPread作。ファンク・バンドとしての底力を感じる1曲。Thomas McClaryのギターが冴えます。TYPE 4「Scatterbrains」のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=snVYl9AuyNQ

「You Don't Know That I Know」
Ronald LaPread/Lionel Richie/Walter Orange/Thomas McClary/Milan Williams/William King作。素敵なメロウ・バラード。Lionel Richieのバラード・センスはこの頃から秀でていたことを証明する1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=MWMLcXgXcUs

「Wide Open (Reprise)」
Walter Orange作。オープニングのリプライズでアルバムは幕を閉じます。

Commodoresの70年代の他作品もチェックを!

『Machine Gun』(1974年)
Machine Gun

『Movin' On』(1975年)
Movin' on

『Hot on the Tracks』(1976年)
commodores hot on the tracks.jpg

『Commodores』(1977年)
Commodores

『Live!』(1977年)
Live!

『Natural High』(1978年)
ナチュラル・ハイ

『Midnight Magic』(1979年)
ミッドナイト・マジック
posted by ez at 01:43| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする