2019年06月13日

Clarence Carter『This Is Clarence Carter』

盲目の男性ソウル・シンガーの1stアルバム☆Clarence Carter『This Is Clarence Carter』
ジス・イズ・クラレンス・カーター
発表年:1968年
ez的ジャンル:Atlantic系男性ソウル
気分は... :とってもグルーヴィーだね!

盲目の男性ソウル・シンガー/ギタリストClarence Carterの1stアルバム『This Is Clarence Carter』(1968年)です。

Clarence Carterは1936年アラバマ生まれ。

1961年、友人のCalvin ScottとのデュオClarence & Calvinを結成し、レコード・デビュー。何枚かのシングルをリリースしますがヒットには至らず、1966年に交通事故でCalvinが重傷を負ったことを機にデュオ解消。同年に、ClarenceはFameからシングル「Tell Daddy」でソロ・デビューを果たします。

ちなみに「Tell Daddy」は、1967年にEtta James「Tell Mama」としてシングル・リリースしています。

1967年にAtlanticに移籍し、1stアルバムとなる本作『This Is Clarence Carter』(1968年)をリリースします。『This Is Clarence Carter』からはシングル「Slip Away」がUSチャート第6位、同R&Bチャート第2位の大ヒットとなり、一躍人気ソウル・シンガーの仲間入りを果たします。

その後もUSチャート第4位、同R&Bチャート第2位の大ヒットとなった「Patches」(1970年)等のヒットを放っています。また、1970年代前半には女性ソウル・シンガーCandi Statonと結婚していた時期もありました。

現時点での最新作『Dance to the Blues』(2015年)までコンスタントに作品をリリースしていますが、Atlantic移籍後、 Rick Hallプロデュースの下、Muscle ShoalsFAME Studiosでレコーディングを行っていた70年代前半までが全盛期だったのではないでしょうか。

さて、1stアルバムとなる本作『This Is Clarence Carter』(1968年)ですが、Rick Hallプロデュースの下、Roger Hawkins(ds)、David Hood(b)、Jimmy Johnson(g)、Barry Beckett(org)といったMuscle Shoals Rhythm Sectionの面々をはじめ、Linden Oldham(p)、Albert Lowe(g)、Gene Miller(tp)、Wayne Jackson(tp)、Aaron Varnell(ts)、Andrew Love(ts)、Charles Chalmers(ts)、Floyd Newman(bs)、James Mitchell(bs)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。

ジャケの雰囲気や、大ヒット・シングル「Slip Away」のイメージからは、シブくてブルージーなソウル・バラードが想起されますが、アルバム全体としては、グルーヴィーなアップ・チューンが印象的な内容となっています。

そういった意味では、「Looking For A Fox」「I'm Qualified」「Wind It Up」「Funky Fever」といったグルーヴィー・ソウルがおススメです。

それ以外であれば、Jimmy Webb作の「Do What You Gotta Do」、自作のバラード「I Can't See Myself」も僕好みです。

決して、「Slip Away」だけではないアトランティックらしいソウル・ワールドを満喫できる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Do What You Gotta Do」
Johnny RiversやAl Wilsonヴァージョンで知られるJimmy Webb作品をカヴァー。さすがJimmy Webbと思わせる楽曲の良さをClarenceのヴォーカルがうまく引き出しているミディアム・ソウル・グルーヴ。オルガンの音色がシブくていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Dhu5nVcd6as

「Looking For A Fox」
Clarence Carter/Marcus Daniel/Rick Hall/Wilbur Terrell作。シングル・カットされ、US R&Bチャート第20位となっています。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。Roger Hawkins、David Hoodのリズム隊が生み出す格好良いグルーヴに乗って、Clarenceが雰囲気のあるソウルフル・ヴォーカルで弾けます。
https://www.youtube.com/watch?v=BFJC68SC6p4

当ブログでも紹介したHard Knocks「Nigga for Hire」のサンプリング・ソースとなっています。
Hard Knocks「Nigga for Hire」
 https://www.youtube.com/watch?v=R9QOEZ2phV0

「Slippin' Around」
Art Freeman、1966年のシングル曲をカヴァー(Dan Penn/Linden Oldham作)。「I'm Qualified」と同じくJimmy Hughesのレパートリーでもあります。軽快なソウル・グルーヴに乗ったClarenceのヴォーカルも軽やかです。
https://www.youtube.com/watch?v=qrD65g_ItsY

「I'm Qualified」
Jimmy Hughes、1962年のシングル曲をカヴァー(Quin Ivy/Rick Hall作)。David HoodのベースとBarry Beckettのオルガンが印象的なグルーヴィー・ソウル。Clarenceの歌い回しの格好良さが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=i4qI4_05874

Ugly Duckling feat. Grand Puba「Something's Going Down Tonight」のサンプリング・ソースとなっています。
Ugly Duckling feat. Grand Puba「Something's Going Down Tonight」
 https://www.youtube.com/watch?v=SG0kjf5h_KY

「I Can't See Myself」
Clarence Carter作。自作のソウルフル・バラード。何処となく物悲しいソウル・フィーリングにグッときてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=7zAHmwk6mys

「Wind It Up」
Clarence Carter作。アトランティック・ソウルらしいアップ・チューン。豪快なホーン・サウンドに乗って、Clarenceのダイナミックなヴォーカルが躍動します。Roger HawkinsのブレイクやBarry Beckettのオルガン・ソロもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Su6Z1xPZpUE

「Part Time Love」
Clay Hammond作。ブルージーな仕上がり。この人の見た目だと、この手のブルージーな楽曲が似合いないはずがない(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=C4PQwHFcCZ4

「Thread The Needle」
Clarence Carter作。アルバムに先駆け、1967年にシングル・リリースされ、US R&Bチャート第38位となっています。リラック・ムードですが、実はClarence本人があまり歌っていません(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=DtFztwtNp6A

「Slip Away」
Marcus Daniel/Wilbur Terrell/William Armstrong作。「Patches」と並ぶ彼の代表曲。前述のようにUSチャート第6位、同R&Bチャート第2位となった大ヒット・シングルです。元々はシングル「Funky Fever」のB面曲でした。アトランティック・ソウルらしい味わいの哀愁ソウル・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=kJgbv5W0hWc

Hank Ballard、Eddie Floyd、Slim Smith、Tyrone Davis、Don Bryant、Barbara Lewis、Travis Wammack、Narvel Felts、Juice Newton & Silver Spur、Billy Price & The Keystone Rhythm Band、Dottsy、Gregg Allman等数多くのアーティストがカヴァーしている点からも名曲であることを確認できます。

「Funky Fever」
Clarence Carter/Joe Wilson/Marcus Daniel/Rick Hall作。アップ・テンポのグルーヴィー・ソウル。タイトルの通り、ファンキーにフィーバーてくれます。ホーン・セクション&女性コーラスが盛り上げてくれますし、ハンドクラップもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=I5hr4AnqYAA

「She Ain't Gonna Do Right」
Dan Penn/Linden Oldham作。Fame時代の楽曲の再レコーディング。オルガンの似合うミディアム・ソウル・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=TsrqxbVGUu0

「Set Me Free」
Curly Putman, Jr.作のカントリー・ソングをカヴァー。なかなか味わい深いソウル・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=mh6XsaDpPG8

Clarence Carterの初期作品もチェックを!

『The Dynamic Clarence Carter』(1969年)
ザ・ダイナミック・クラレンス・カーター

『Testifyin'』(1969年)
テスティファイン

『Patches』(1970年)
パッチズ
posted by ez at 00:54| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする