発表年:2019年
ez的ジャンル:ハイブリッド系ラテン・ファンク
気分は... :イノベーション=新結合!
USを代表するラテン・ファンク・バンドGrupo Fantasmaの最新作『American Music Vol. VII』です。
テキサス州オースティン出身を拠点に活動するラテン・ファンク・バンドGrupo Fantasmaに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『Sonidos Gold』(2008年)
『El Existential』(2010年)
『Problemas』(2014年)
前作『Problemas』(2014年)から約5年のインターバルをとってリリースされた最新作が『American Music Vol. VII』です。
タイトルから『American Music』というアルバムがシリーズ化されている印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、そうではなくグループにとって7枚目のアルバム(ライブ・アルバムも含む)という意味合いです。
ラテン、サルサ、クンビア、ファンク、ソウル、ジャズ、レゲエ、ロック等を取り入れたハイブリッドなラテン・ファンクが特徴のGrupo Fantasmaですが、本作でも彼らならではのハイブリッド・サウンドで楽しませてくれます。
前作ではLos LobosのSteve Berlinをプロデューサーに迎えていましたが、本作ではコロンビア人プロデューサー/エンジニアのCarlos "El Loco" Bedoyaがプロデュースを務めています。
本作におけるメンバーは、Gilbert Elorreaga(tp)、Kino Esparza(vo、per)、Jose Galeano(timbales、vo)、Mark "Speedy" Gonzales(tb)、Greg Gonzalez(b)、Matthew "Sweet Lou" Holmes(congas、bongos)、Josh Levy(bs)、Beto Martinez(g)、John Speice(ds、per)の9名。
さらにアルバムにはグラミー最優秀テハーノ・アルバム受賞歴もあるテックス・メックス・バンドLos TexmaniacsのメンバーJosh Baca(accordion)、、N.Y.ブルックリンを拠点とするバングラ・ファンク・バンドRed BaraatのメンバーSunny Jain(dhol)、L.A.を拠点とするラテン・ミクスチャー・バンドOzomatliの面々、
マイアミを拠点とするレゲエ/サルサ/クンビア/ファンクのミクスチャー・バンドLocos Por JuanaのItawi Correa(vo)、Grupo Fantasmaと同じテキサス州オースティンを拠点とするR&BバンドTomar And The FCSのリーダーTomar Williams(vo、org)、クンビア・アコーディオン奏者Mr. Vallenato(accordion)、コロンビア人ミュージシャンのJaime Ospina(vo、per)といった多彩なミュージシャンがゲスト参加しています。
ハイブリッド・サウンドを楽しみたいのであれば、テハーノ×トルコ×バングラな「LT」、Ozomatli、Locos Por Juanaと共演したラテン・ファンク×ロック×Hip-Hopな「The Wall」あたりがおススメです。
クンビア色の強い音を欲している人には「Nubes」、「Sombra Roja」がそのタイプです。
純粋にドライヴ感のあるラテン・ファンクの格好良さを欲しているのであれば、「Nosotros」、「Ausencia」、「Cuidado」、「El Fugitivo」がおススメです。個人的にもこのタイプが好きです。あとはR&B調の「Let Me Be」や(後半のみですが)ラテン・メロウ・ファンクな「Yo Quisiera」も僕好みの1曲。
多彩なハイブリッド・サウンドでラテン・ファンクの可能性を示してくれる渾身の1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「El Fugitivo」
Los TexmaniacsのJosh Bacaによるアコーディオンをフィーチャー。ドライヴ感のあるラテン・ファンクとテックス・メックスを融合させたテキサスのラテン・ファンク・バンドらしいオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=9R02JEzdUus
「Nubes」
クンビア色の強い仕上がり。コロンビア人プロデューサーCarlos "El Loco" Bedoyaの起用も、このタイプの曲に狙いがあるのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=9kGKNOEPJIU
「LT」
本作の中でも異色の格好良さを持った1曲。バングラ・ファンク・バンドRed BaraatのSunny Jainによるドール・ドラムの響きと、60〜70年代にトルコで人気を博したトルコの伝統音楽とサイケデリック・ロックを融合させたターキッシュ・サイケデリア/アナドル・ロックを意識したギター・サウンドが印象的です。テハーノ×トルコ×バングラという超ハイブリッド・サウンドが何とも痛快です。
https://www.youtube.com/watch?v=zJyf6fbsMSM
「Que Es Lo Que Quieres De Mi?」
哀愁のテハーノ・ワールドが展開されます。少しレゲエのエッセンスも入っているのがこのバンドらしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=g_bBJAdMjU0
「The Wall」
タイトルはトランプ大統領がメキシコ国境に作ろうとしている壁のことです。L.A.のラテン・ミクスチャー・バンドOzomatli、マイアミのラテン・ミクスチャー・バンドLocos Por Juanaをゲストに迎えた3組のラテン・ミクスチャー・バンドの共演です。ラテン・ファンク×ロック×Hip-Hopなミクスチャー・サウンドで魅せてくれます。トランプ大統領に対して、USラテン・コミュニティの結束を示しているかのような1曲です。
「La Cruda」
再びJosh Bacaのアコーディオンをフィーチャー。リラックスした開放的な演奏で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=vTatVFjgFYY
「Nosotros」
重量感のあるラテン・ファンク・ロック。ファンク・ロック色の強いサウンドでグループのハードな側面の魅力を満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=bC6Bu6nixQM
「Let Me Be」
同郷のR&BバンドTomar And The FCSのリーダーTomar Williams(vo、org)をフィーチャー。ソウルフルなR&Bグルーヴとラテン・ファンクの融合はモロに僕好みです。ソウル/R&Bファンも楽しめるはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=VVrRxXj9Dq0
「Ausencia」
Grupo Fantasmaの格好良さがストレートに伝わってくるラテン・ファンク。ラテンらしい疾走感、豪快なホーン・サウンドに、ドライブ感のあるファンク・グルーヴが加味された100%Grupo Fantasma印の1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=4YSjHt61SrM
「Hot Sauce」
タイトルからしてテハーノ風ですね。哀愁テックス・メックスな前半から、後半はサルサ調で疾走します。サルサ・ソースを使った辛い料理が食べたくなります(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=L5-lG1C-6kw
「Cuidado」
格好良いテハーノ・ラテン・ファンク。格好良すぎるドラム、ギターに鮮やかなホーン隊が絡む文句なしの1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=GMXjSqnNF6k
「Yo Quisiera」
哀愁モードの前半から、後半はラテン・メロウ・ファンクへ様変わり。できれば、後半のみで1曲にして欲しかったなぁ。
https://www.youtube.com/watch?v=_2WG8cQulZg
「Sombra Roja」
Jaime Ospina、Mr. Vallenatoをフューチャー。ラストはフォルクローレ調のクンビアで締め括ってくれます。Mr. Vallenatoのアコーディオンが実に印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=yEUYDnogBhQ
興味がある方はGrupo Fantasmaの他作品やサイド・プロジェクトBrownoutの作品もどうぞ!
『Movimiento Popular』(2002年)
『Movimiento Popular』(2004年)
『Comes Alive』(2006年)
『Sonidos Gold』(2008年)
『El Existential』(2010年)
『Problemas』(2014年)
Brownout『Homenaje』(2007年)
Brownout『Aguilas and Cobras』(2009年)
Brownout『Oozy』(2012年)
Brownout『Brownout Presents Brown Sabbath』(2014年)
Brownout『Fear of a Brown Planet』(2018年)