
発表年:1982年
ez的ジャンル:AOR系男性シンガー
気分は... :落ち武者ジャケ?
今回はAORの定番アルバムBill LaBounty『Bill LaBounty』(1982年)です。
当ブログでもそれなりにAOR作品を紹介していますが、僕の少しひねくれた性分のせいで本作のような定番アルバムが未紹介だったりします。
Bill LaBountyは1948年ウィスコンシン州生まれの男性シンガー・ソングライター。
1972年にFat Chanceというバンドのメンバーとしてレコード・デビュー。その後、ソロ活動を開始し、1975年に1stソロ・アルバム『Promised Love』をリリースします。
Curb Recordsに移籍した2ndアルバム『This Night Won't Last Forever』(1978年)収録の「This Night Won't Last Forever」をMichael Johnsonがカヴァー・ヒットさせたことでBillへの注目が高まります。
「This Night Won't Last Forever(邦題:涙は今夜だけ)」は、中山美穂主演のトレンディ・ドラマ『すてきな片思い』(1990年)の挿入歌としてリバイバル・ヒットしたので、そちらで記憶されている人もいるのでは?
「This Night Won't Last Forever」
https://www.youtube.com/watch?v=Gu55xbVNPZw
「This Night Won't Last Forever」のカヴァー・ヒット以降、彼の楽曲を取り上げるアーティストが続出したことで売れっ子ソングライターの地位を確立します。そんな中、大物プロデューサーRuss Titelmanを迎えて制作されたのが本作『Bill LaBounty』です。
本国アメリカでは商業的に成功しませんでしたが、AOR大国の日本では当時から高い評価を受けた1枚です。と言いつつ、当時高校生だった僕にはリアルタイムでの本作の記憶は殆どありませんが(笑)
"落ち武者カヴァー"とも称されるオリジナル・ジャケ以外に下記のジャケでインプットされている方もいるのでは?コチラの方がAOR名盤らしい雰囲気ですよね。
『Bill LaBounty』 ※別ジャケット盤

レコーディングには Bill LaBounty(vo、el-p)以下、Dean Parks(g)、Steve Lukather(g)、Willie Weeks(b)、Chuck Rainey(b)、Jeff Porcaro(ds)、 Steve Gadd(ds)、 Andy Newmark(ds)、Clarence McDonald(p)、Greg Phillinganes(el-p)、Ian Underwood(syn)、Nyle Steiner(syn)、Lenny Castro(per)、David Sanborn(as)、Kim Hutchcroft(sax)、Jerry Hey(tp、horns arr)、Chuck Findley(tp)、Gwen Dickey(元Rose Royce)(back vo)、James Taylor(back vo)、Patti Austin(back vo)、Leslie Smith、Stephen Bishop(back vo)、Jennifer Warnes(back vo)、Nick DeCaro(strings arr)等のミュージシャンが参加しています。
このメンツだけでもAOR名盤ですが、サウンドのみならず楽曲の良さ、LaBountyのヴォーカルも含めてトータルな完成度の高さが魅力の1枚です。
楽曲はすべてオリジナル。LaBountyとコンビが長いRoy Freelandとの共作がメインですが、Barry Mann夫妻との共作も2曲含まれます。
AOR人気曲の「Livin' It Up」や「Look Who's Lonely Now」がハイライトです。
さらには「Dream On」、シングルにもなった「Never Gonna Look Back」あたりも人気が高いのでは?個人的にはAORらしいサウンドを楽しめる「Comin' Back」、Barry Mann夫妻との共作曲「Nobody's Fool」あたりも好きです。
AORの魅力が見事に凝縮された"AOR名盤"の名に相応しい1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Livin' It Up」
Bill LaBounty/Barry Mann/Cynthia Weil作。本作のハイライト。Barry Mann夫妻との共作によるAORクラシック。甘く切ない雰囲気がたまりません。終盤にはDavid Sanbornがサックス・ソロで盛り上げてくれます。シングルにもなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=J_A5HSJnVVU
Three Dog Night、Ricky Peterson、The Whispers等がカヴァーしています。
Ricky Peterson
https://www.youtube.com/watch?v=Z5iDgMq_UoI
The Whispers
https://www.youtube.com/watch?v=1fxzJ4V5jcY
「Didn't Want To Say Goodbye」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。James Taylorがバック・コーラスで参加した。哀愁メロウ・バラード。シンガー・ソングライターとしてのLaBountyの魅力を実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=sbQ--_BRX7w
「Dream On」
Bill LaBounty/Stephen Geyer作。この曲もAOR人気が高いのでは?アーバン・ナイトなAORサウンドがばっちりキマっています。Jerry Heyらによるホーン・サウンドもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=JV7oIrjUnxo
「Slow Fade」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。しみじみとした感動バラード。恋愛ドラマのエンディングに流れてきそうな1曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=yWpthXEJdAg
「Comin' Back」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。リラックスした雰囲気のミディアム・グルーヴ。Jerry Heyアレンジのホーン・サウンドが効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=YgefsJ_iqg0
「Look Who's Lonely Now」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。「Livin' It Up」に次ぐAOR人気曲。都会のロンリー・ナイト感がたまりません。100%AORサウンドな感じがたまりません。ギター・ソロはDean Parks。
https://www.youtube.com/watch?v=kbRUuA_8OTE
Randy Crawford、Ricky Petersonがカヴァーしています。
Randy Crawford
https://www.youtube.com/watch?v=VbuAxDqoA-k
Ricky Peterson
https://www.youtube.com/watch?v=nM_-vIaD8Mg
「Never Gonna Look Back」
Bill LaBounty/Cynthia Weil/Kathy Wakefield作。シングルにもなりました。楽曲の良さとJames TaylorとJennifer Warnesのバック・コーラスが魅力の1曲。特にLaBountyとJTの絡みがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=6ldkkBeqgug
「It Used To Be Me」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。Greg Phillinganesによるメロウ・エレピにグッとくるバラード。Nick DeCaroによる美しいストリングスも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=psfnA-PQjbs
「Nobody's Fool」
Bill LaBounty/Barry Mann/Cynthia Weil作。「Livin' It Up」に次ぐBarry Mann夫妻との共作。AORらしい哀愁ミディアムです。哀愁モードですがジメジメしすぎていないのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=51dEUKCMyIk
「Secrets」
Bill LaBounty/Roy Freeland作。ラストもしっとりとしたメロウ・バラードで締め括ってくれます。真夜中のシークレットといった感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=v06NwjSNxOE
Bill LaBountyの他作品もチェックを!
『Promised Love』(1975年)

『This Night Won't Last Forever』(1978年)

『Rain in My Life』(1979年)

『The Right Direction』(1991年)

『Back to Your Star』(2009年)

『Into Something Blue』(2014年)
