2019年06月30日

Jordan Rakei『Origin』

さらなる進化を遂げた次世代ネオソウル☆Jordan Rakei『Origin』
Origin [輸入盤CD] (ZENCD256)_742
発表年:2019年
ez的ジャンル:次世代ネオソウル系男性シンガー・ソングライター
気分は... :シンギュラリティへの警告!

新作アルバムから注目の男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiの3rdアルバム『Origin』です。

オーストラリア、ブリスベン出身、現在はロンドンを拠点とする男性シンガー・ソングライターJordan Rakeiの紹介は、1stアルバム『Cloak』(2016年)、2ndアルバム『Wallflower』(2017年)に続き3回目となります。

本作も前作『Wallflower』(2017年)に続き、Ninja Tuneからのリリースです。

クロスオーヴァーな次世代ネオソウルとして注目を集めた1stアルバム『Cloak』(2016年)に続く、前作『Wallflower』(2017年)はパーソナルな内面にフォーカスしたシンガー・ソングライター的な色合いの強いアルバムでした。

最新作となる3rdアルバム『Origin』は、行き過ぎたテクノロジーへ警鐘を鳴らす社会メッセージ色の強い楽曲が多く収録されています。シンギュラリティあたりを懸念しているのでしょうね。

その一方でメロディアスでカラフルなサウンドを楽しめる作品に仕上がっています。Rakei本人はTom Misch『Geography』(2018年)あたりを意識していたみたいですね。

前作も悪くありませんでしたが、個人的には本作の方向性の方が断然好きです。

派手なゲストはありませんが、互いの作品に参加し合う敏腕ドラマーRichard Spaven(ds)、The Cinematic Orchestraのギタリスト
Stuart McCallum(strings arr)、何曲かで共同プロデューサーも務めるJim Macrae(ds、prog)、UK新世代フューチャー・ソウル・バンドNative DancerのメンバーであるFrida Touray(back vo)、Sam Crowe(p)、Josh Arcoleo(ts)の3名(リーダーのSam CroweMark Guilianaも参加していたSam Crowe Group名義の作品でも知られるミュージシャン)、『Cloak』にも参加していたImraan Paleker(g、b、per)、WaajuのメンバーでJordan Rakei作品にはお馴染みのErnesto Marichales(per)、男女ユニットBrotherlyとしても活動していたRob Mullarkeys(b)等のミュージシャンが参加しています。

また、UKの男性シンガー・ソングライターOli Rockbergerが共同プロデュース&ソングライティングで参加しています。

アルバムに先駆けて昨年シングル・リリースされた「Wildfire」、リード・シングルとなった「Mind's Eye」をはじめ、シングル向きのキャッチーなディスコ・ファンク「Rolling Into One」、フューチャリスティックな中にソウルフルな味わいがある「Mad World」、シンセ・ベースの効いたフューチャリスティック・ネオソウル「Signs」、Oli Rockbergerとの共同プロデュース・共作の深遠なビューティフル・バラード「Speak」、インド×ジャズな神秘的スピリチュアル・チューン「Mantra」あたりがおススメです。

さらに進化を遂げたJordan Rakeiワールドをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Mad World」
Christopher Taylor/Jordan Rakei/Kwabena Adjepong作。作者の一人Kwabena AdjepongはKwabs名義でNao『Saturn』にもフィーチャリングされていましたね。タイトルの通り、テクノロジーに支配されたマッド・ワールドへの警鐘を鳴らすオープニング。プログラミングを駆使したフューチャリスティックな雰囲気の楽曲ですが、RakeiのヴォーカルはMarvin Gaye調のソウルフルな味わいがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=yWj2fD8ggnc

「Say Something」
Jordan Rakei作。演奏もすべて一人でこなし、マルチ・インストゥルメンタリストぶりで楽しませてくる幻想的な次世代ネオソウル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=IwJU6fmGsc0

「Mind's Eye」
Jim Macraeとの共同プロデュース。Beau Diakowicz/Jordan Rakei作。アルバムからのリード・シングルとして今年1月にリリースされた楽曲。UKらしいダンサブルなフューチャー・ソウルに仕上がっています。Ernesto Marichales(per)も加わり、少しアフロ・フィーリングも入っている感じがいいですね。歌詞は未来の電脳世界を皮肉った内容になっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZwdBaYxVyCI

「Rolling Into One」
Jim Macraeとの共同プロデュース。Jordan Rakei作。シングル向きのキャッチーなディスコ・ファンクですが、Jordan Rakei流の佇まいがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=dmcTYjVDb-M

「Oasis」
Beau Diakowicz/Jordan Rakei作。Richard Spaven(ds)参加曲。多重録音による素晴らしいヴォーカル・ワークと共に始まる次世代ネオソウル・チューン。颯爽とした雰囲気がいいですね。Spavenが新世代ドラマーらしいドラミングで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=pb9pNw6qKkA

「Wildfire」
Imraan Paleker/Jordan Rakei作。アルバムに先駆けて、2018年にシングル・リリースされた楽曲。Rakei本人も前作『Wallflower』と本作を橋渡しする曲と位置づけています。Imraan Paleker(g、b、per)、Jim Macrae(ds)が参加したメロディアスかつリズミックな次世代ネオソウルに仕上がっています。本作らしいビューティフルで透明感のある音世界を楽しむことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=D81WtY2Xuqw

「Signs」
Frida Touray/Jordan Rakei作。シンセ・ベースによるグルーヴが印象的なフューチャリスティック・ネオソウル。Frida Tourayのバック・コーラスもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=zk0GZ4jFWro

「You & Me」
Jordan Rakei作。ポップ職人的な魅力に溢れた1曲。Sam Croweの素敵なピアノも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=BpHtof-ua4w

「Moda」
Jim Macraeとの共同プロデュース。Jordan Rakei作。前曲「You & Me」との組曲のような構成がいいですね。本作らしい社会メッセージが歌われるミディアム・グルーヴ。ポップ・センスに溢れたサウンドもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=EYcSQHVqIw0

「Speak」
Oli Rockbergerとの共同プロデュース・共作。Oli RockbergerはRichard Spaven作品やBecca Stevens『Regina』にも参加しているUKの男性シンガー・ソングライター。また、Stuart McCallumがストリングス・アレンジを手掛けています。ピアノと素晴らしいストリングス中心の深遠なビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=X_wp2RibPiQ

「Mantra」
Jim Macraeとの共同プロデュース。Jordan Rakei作。本編ラストはインド×ジャズなクロスオーヴァーが楽しめる神秘的スピリチュアル・チューンに仕上がっています。スピリチュアル・フィーリングですがポジティブなヴァイヴで満ちているのがいいですね。Native Dancerの3名が活躍しています。
https://www.youtube.com/watch?v=5XN1ojq52Hc

国内盤CDにはボーナス・トラック「Always Coming」が追加収録されています。幻想的なビューティフル・バラードです。

未聴の方は、1st『Cloak』(2016年)、2nd『Wallflower』(2017年)もぜひチェックを!

『Cloak』(2016年)
クローク

『Wallflower』(2017年)
Wallflower [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRZN245)
posted by ez at 00:26| Comment(2) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする