発表年:1962年
ez的ジャンル:女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :忽然と・・・
今回は60年代女性ジャズ・ヴォーカル作品からSheila Jordan『Portrait Of Sheila』(1962年)です。
Sheila Jordan(本名:heila Jeanette Dawson)は1928年ミシガン州デトロイト生まれの女性ジャズ・シンガー。
1952年ジャズ・ピアニストDuke Jordanとの結婚を機にSheila Jordanを名乗るようになります。
1962年、George Russell『The Outer View』収録の「You Are My Sunshine」で初レコーディング。この時の歌声が評判となり、Blue Noteで初リーダー作のレコーディング機会を得ます。こうして制作されたのが本作『Portrait Of Sheila』です。
本作以降しばらく目立った活動はありませんでしたが、70年代以降は断続的に10枚以上のリーダー作をリリースしています。
初リーダー作『Portrait Of Sheila』(1962年)は、忽然と現れ、忽然と消えていったイメージからか"幻のジャズ・ヴォーカル作品"とも形容されるアルバムのようです。
レコーディング・メンバーはSheila Jordan(vo)、Barry Galbraith(g)、Steve Swallow(b)、Denzil Best(ds)という少人数編成。
シンプルなバッキングがSheilaの抑えたトーンの可憐なヴォーカルを際立たせます。ピアノ・トリオではなく、ギター・トリオによるバッキングがSheilaのヴォーカル・スタイルにジャスト・フィットしている気がします。メロウ&クールな美学が貫かれている感じも僕好み!
この独特の雰囲気は"幻のジャズ・ヴォーカル作品"と形容したくなるのも頷けます。
全曲紹介しときやす。
「Falling in Love with Love」
Richard Rodgers/Lorenz Hart作。ミュージカル『The Boys from Syracuse』(1938年)のために書かれた楽曲。白人シンガーらしい可憐な歌声がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=5VFT2zc1lbI
「If You Could See Me Now」
Tadd Dameron/Carl Sigman作のスタンダードをカヴァー。ギター・トリオらしいメロウなバッキングと切々としたSheilaのヴォーカルが実にフィットしています。
https://www.youtube.com/watch?v=-34UkHqd3B4
「Am I Blue」
Grant Clarke/Harry Akst作品のカヴァー。メロウ&ブルージーなバッキングが、Sheilaの抑えたトーンのキュート・ヴォーカルを際立たせます。
https://www.youtube.com/watch?v=NeU5tS7DFmw
「Dat Dere」
Bobby Timmons作品のカヴァー。オリジナルは『This Here Is Bobby Timmons』(1960年)に収録されています。ここではベースのみのバッキングで、キュートな中にも豊かな表現で歌います。
https://www.youtube.com/watch?v=PhRRg_IYPjc
「When the World Was Young」
M. Philippe-Gerard作のポピュラー・スタンダードをカヴァー。英語歌詞Johnny Mercer作。フランス語のオリジナル・タイトルは「Le Chevalier de Paris」。抑えたトーンながらも情感たっぷりのヴォーカルで哀愁バラードを歌います。
https://www.youtube.com/watch?v=Ad2veKJv77s
「Let's Face the Music and Dance」
Irving Berlin作。Fred Astaire、Ginger Rogers出演の映画『Follow the Fleet』(1936年)で使われた楽曲のカヴァー。当ブログではThe Kenny Clarke-Francy Boland Big Bandのカヴァーも紹介済みです。アップテンポのスウィンギーなバッキングを従え、Sheilaのヴォーカルが軽やかなに弾けます。
https://www.youtube.com/watch?v=lIQAVmZTIUk
「Laugh, Clown, Laugh」
Sam M. Lewis/Joe Young/Ted Fiorito作。序盤はBarry Galbraithのメロウ・ギターとSheilaの抑えたヴォーカルでしっとりと聴かせ、終盤にベース&ドラムが加わる二段構えの構成がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=2hQ5v5cfTpI
「Who Can I Turn To?」
Alec Wilder/William Engvick作。バッキングはBarry Galbraithのギターのみのメロウ・バラード。甘く切ないSheilaの歌声にグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=pWToLcw0VnE
「Baltimore Oriole」
Hoagy Carmichael/Paul Francis Webster作のスタンダードをカヴァー。当ブログではNicola Conteのカヴァーも紹介済みです。ここでは妖艶な歌声で男心をくすぐります。
https://www.youtube.com/watch?v=4cJb5LlIUHc
「I'm a Fool to Want You」
Joel Herron/Frank Sinatra/Jack Wolf作。Frank Sinatraでお馴染みのスタンダードをカヴァー。当ブログではRobin McKelle & The Flytonesのカヴァーも紹介済みです。哀愁バラードを抑えたトーンながらも雰囲気たっぷりに歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=PTBacWx6deM
「Hum Drum Blues」
Oscar Brown Jr.作。ベースとドラムのみのバッキングにSheilaの艶めかしいヴォーカルが加わり、至極のジャズ・ヴォーカル・ワールドを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=V_e9x-qSd9E
「Willow Weep for Me」
ラストは「柳よ泣いておくれ」の邦題で有名なスタンダード(Ann Ronnell作)をカヴァー。この名曲をブルージーな雰囲気で聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=fbo8qXCir4Q
本曲に関して、当ブログではDexter Gordon、Wynton Kelly、Red Garland、Clifford Brown、Wes Montgomery、John Lewis & Sacha Distel、Stanley Turrentine with The Three Sounds、Johnny Lewis Quartet、Gene Russellのヴァージョンを紹介済みです。ご興味がある方はそちらの記事もご参照を!
Sheila Jordanの他作品もチェックを!
『Confirmation』(1975年)
Sheila Jordan & Arild Andersen『Sheila』(1977年)
『Body and Soul』(1986年)
『The Crossing』(1986年)
『Lost and Found』(1989年)
『Heart Strings』(1993年)
『Jazz Child』(1998年)
Sheila Jordan & Cameron Brown 『I've Grown Accustomed to the Bass』(2000年)
『Little Song 』(2003年)
Sheila Jordan & E.S.P. Trio『Straight Ahead』(2005年)
Sheila Jordan & Cameron Brown 『Celebration: Live at Triad』(2005年)