発表年:1976年
ez的ジャンル:闘争系ルーツ・ロック・レゲエ
気分は... :解禁せよ!
レゲエ界の"歩くカミソリ "Peter Toshのソロ・デビュー・アルバム『Legalize It』(1976年)です。
ジャマイカ、キングストンのトレンチタウン生まれのThe Wailersの元メンバーPeter Tosh(1944-1987年)の紹介は、『Equal Rights』(1977年)に続き2回目となります。
Bob MarleyをフロントマンとしてプッシュしたいIslandの社長Chris Blackwellらとの確執からIsland第2弾アルバム『Burnin'』(1973年)を最後にBunny Wailerと共にThe Wailersを脱退したPeter Tosh。
そして、ソロ第一弾アルバムとなるのが本作『Legalize It』(1976年)です。
"歩くカミソリ "Peter Toshらしい過激なメッセージを打ち出したデビュー・アルバムに仕上がっています。
そもそも大麻の畑の中でマリファナを吸う姿の写真をジャケに使い、アルバム・タイトルで『解禁せよ』と訴えていること自体かなり挑発的ですよね。
プロデュースはPeter Tosh自身。
レコーディングには盟友Bunny Wailer(back vo)をはじめ、Al Anderson(g)、Donald Kinsey(g)、Aston Barrett(b)、Robbie Shakespeare(b)、Carlton Barrett(ds)、Carlton "Santa" Davis(ds)、Tyrone Downie(key)、Robbie "Ras" Lee(harmonica)、Rita Marley(back vo)、Judy Mowatt(back vo)といったミュージシャンが参加しています。The Wailersメンバーが中心ですね。
過激なメッセージを打ち出したアルバムですが、サウンドは聴きやすく、意外にメロウ・トラックが多かったりします。
ハイライトは何といってもタイトル曲「Legalize It」。それ以外にEric Claptonのカヴァーでも知られる「What'cha Gonna Do?」、The Wailers時代のレパートリーのセルフ・カヴァー「No Sympathy」、ラスタ色を前面に打ち出した「Igziabeher (Let Jah Be Praised)」あたりが目立ちますかね。
個人的にはToshらしさを感じる「Burial」、メロウな「Ketchy Shuby」、Bob Marley風の「Why Must I Cry」、キャッチーな「Brand New Second Hand」あたりも好きです。
レゲエ・クラシックに相応しい充実の1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Legalize It」
Peter Tosh作。ソロ・アルバムのど頭がスモーキン・アンセムというのがPeter Toshらしいですね。まぁ、歌詞の内容はさておき、純粋にサウンドのみに着目しても少し気だるいToshのヴォーカルとルーツ・ロック・サウンドが醸し出す雰囲気がいいですね。。
https://www.youtube.com/watch?v=j6QkVTx2d88
息子のAndrew Toshをはじめ、Johnny Clarke、UB40、Luciano、Bushmanがカヴァーしています。また、DJ Gruff「Bom Cilomo」でサンプリングされ、Sublime「Legal Dub」、Farruko and Bad Bunny「La Cartera」でリズムが引用されています。
Andrew Tosh「Legalize It」
https://www.youtube.com/watch?v=vI2KxBGt_OM
Johnny Clarke「Legalize It」
https://www.youtube.com/watch?v=8bzfzwbBjdo
UB40「Legalize It」
https://www.youtube.com/watch?v=bOlc71aiA00
Luciano「Legalize It」
https://www.youtube.com/watch?v=z9cCPjKpX4U
「Legalize It」
https://www.youtube.com/watch?v=5CPpPBXx1EA
Sublime「Legal Dub」
https://www.youtube.com/watch?v=jNlq4aCzvUQ
Farruko and Bad Bunny「La Cartera」
https://www.youtube.com/watch?v=7Upae1stIDg
「Burial」
Peter Tosh/Bunny Wailer作。Bob Marleyとは異なるToshの個性を実感できる1曲。今回久々に聴き直して、バッキングも含めてコレが一番格好良く感じました。
https://www.youtube.com/watch?v=usiaMhUkOkg
Cutty Ranks「Limb by Limb」でフレーズが引用されています。
Cutty Ranks「Limb by Limb」
https://www.youtube.com/watch?v=tPeCHvAJCEQ
「What'cha Gonna Do?」
Peter Tosh作。リラックスした雰囲気が印象的です。Eric Claptonのカヴァーでご存知の方も多いのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=wGpJbD9h-J0
Eric Clapton「What'cha Gonna Do?」
https://www.youtube.com/watch?v=YFF5PMBVchs
「No Sympathy」
Peter Tosh作。The Wailers時代のレパートリーのセルフ・カヴァー。さらっとしていたThe Wailersヴァージョンと比べてメリハリがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=LwXDm8mbBRs
The Wailers「No Sympathy」
https://www.youtube.com/watch?v=oDCI1HDbchA
「Why Must I Cry」
Peter Tosh/Bob Marley作。Bob Marleyとの共作曲のせいか、Bob Marley風のメロウな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=0rGo5PkJwpg
「Igziabeher (Let Jah Be Praised)」
Peter Tosh作。ラスタ色を前面に打ち出した1曲。Tyrone Downieの鍵盤が活躍する哀愁モードのレゲエ・サウンドがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1b-016hJo5s
Bushmanがカヴァーしています。M.sario feat. Monkey Jhayam and Junior Dread「Unica Opcao」でサンプリングされています。
Bushman「Igziabeher 」
https://www.youtube.com/watch?v=C2zbyP-LamM
M.sario feat. Monkey Jhayam and Junior Dread「Unica Opcao」
https://www.youtube.com/watch?v=Ypob0yDToBg
「Ketchy Shuby」
Peter Tosh作。メロウ・トラックがお好きな人であればコレがおススメです。真夏の昼寝のBGMにフィットしそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=4tQX7lUEvng
「Till Your Well Runs Dry」
Peter Tosh/Bunny Wailer作。Eric Claptonがカヴァーしていますが、いかにもClaptonがカヴァー・セレクトしそうな楽曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=_euoe57iz3k
Eric Claptonのカヴァー以外に、Evidence feat. Krondon「Well Runs Dry」でサンプリングされています。
Eric Clapton「Till Your Well Runs Dry」
https://www.youtube.com/watch?v=y-iNj5PylA8
Evidence feat. Krondon「Well Runs Dry」
https://www.youtube.com/watch?v=oZTxOEN8JYo
「Brand New Second Hand」
Peter Tosh作。ラストはThe Wailers時代にもレコーディングしていた楽曲のセルフ・カヴァーで締め括ってくれます。女性バック・コーラス陣も含めてキャッチーな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=HPGbAUDhAxg
The Wailersヴァージョンは初期音源集『In the Beginning』で聴くことができます。また、Bushmanがカヴァーしています。
The Wailers「Brand New Second Hand」
https://www.youtube.com/watch?v=bhlqLUGVzr0
Bushman「Brand New Second Hand」
https://www.youtube.com/watch?v=LeF7EpagNtU
Peter Toshの他作品もチェックを!
『Equal Rights』(1977年)
『Bush Doctor』(1978年)
『Mystic Man』(1979年)
『Wanted Dread & Alive』(1981年)
『Mama Africa』(1984年)
『No Nuclear War』(1987年)