発表年:2001年
ez的ジャンル:UKブラジリアン・ジャズ
気分は... :新たな人生・・・
今回はUKブラジリアン・ジャズ作品からVida Nova『It's Our Dance』(2001年)です。
Vida Novaはロンドンで結成されたブラジリアン・ジャズ・ユニット。
『It's Our Dance』(1998年)、『Bossa Jazz』(2000年)という2枚のアルバムをリリースしています。
本作は上記2枚のアルバムの全曲を収録した日本独自編集盤です。
メンバーはLisa Brown(vo)、John Crawford(p)、Tristan Banks(ds)、
Oli Albergaria Saville(per、vo)、Rob Statham(b)、Nick Cohen(b)。
メンバーのうちNick Cohenについては、彼がメンバーであったVibraphonicのアルバムやソロ名義の作品『Nick Cohen Presents Cushty』(2007年)も紹介済みです。
楽曲はブラジル名曲を中心としたカヴァーとオリジナルが半々です。
紅一点Lisa Brownのヴォーカルが引き立つ曲が魅力だと思います。
カヴァー曲であれば、Patsy Gallantの人気曲カヴァー「Te Caliente」、「Waters Of March (Aguas De Marco)」と「Agua De Beber」という2曲のJobimカヴァー、Sergio Mendes & Brasil '66ヴァージョンで知られる「Ye-Me-Le」、Paulo Jobim/Ronaldo Bastos作品のカヴァー「Samba Do Soho」がおススメです。
オリジナルであれば、「Earthling」、「Capoeira De Bahia」あたりが好きです。
UKブラジリアン・ジャズ好きであれば、いろいろ楽しめる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Menina」
Joao Donatoのカヴァー(Joao Donato/Gutemberg Guarabyra作)。Donatoヴァージョンは『Lugar Comum』(1975年)で聴けます。Lisa Brownの透明感のあるヴォーカルが映えるクラブジャズ経由のブラジリアン・ジャズに仕上がっています。
「Te Caliente」
カナダのポップ・シンガーPatsy Gallantのカヴァー(Jimmy Tanaka作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『Patsy!』(1978年)に収録されており、ロンドン・クラブ・シーンでも注目された高速スキャット・ブラジリアン・グルーヴです。本カヴァーもオリジナルの格好良さを受け継いだ高速スキャット・ブラジリアン・グルーヴに仕上がっています。
「Meta」
John Crawford/Lisa Brown作。落ち着いたミディアム・メロウ・ボッサに仕上がっています。メロウ・エレピの音色が心地好いです。
「Waters Of March (Aguas De Marco)」
Antonio Carlos Jobim作の名曲「三月の水」をカヴァー。Lisa Brownの透明感のあるヴォーカルは映えるメロウ・ボッサ。奇を衒わない正攻法カヴァーがいいですね。
本曲について、当ブログではTania Maria、 Sergio Mendes & Brasil '77、
Stacey Kent、Ronald Mesquita、Elis Regina、Agustin Pereyra Lucena、Cassandra Wilson、Bossacucanovaのカヴァーも紹介済みです。
「Thinking Of You」
Sister Sledge永遠のダンス・クラシックをカヴァー(Bernard Edwards/Nile Rodgers作)。当ブログではLord Echoのカヴァーも紹介済みです。ブラジリアン・ジャズというよりもラテン・ジャズ風の仕上がりです。ダンス・クラシックをラテン・ジャズに変貌させてしまうところがUKクラブジャズらしいですね。
「Capoeira De Bahia」
Lisa Brown/Oli Albergaria Savill作。土着的リズムを用いつつ感動メロウに仕上がっているのがいいですね。
「Berimbau」
Baden Powell/Vinicius de Moraes作の名曲カヴァー。ここではコンテンポラリーなアレンジで瑞々しい「Berimbau」を聴かせてくれます。
本曲について、当ブログではLennie Dale、Diane Denoir/Eduardo Mateo、Agustin Pereyra Lucena、Sambalanco Trio、Nara Leao、Felicidade A Brasil、Gary McFarland、Kenny Rankin、Le Trio Camara、Trio 3D、Wanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio With Rosinha De Valenca 、Giulio Camarca & Trinidad、The Girls From Bahiaのカヴァーも紹介済みです。ご興味がある方はそちらの記事もご参照下さい。
「Ye-Me-Le」
Chico Feitosa/Luis Carlos Vinhas作。Sergio Mendes & Brasil '66ヴァージョン(アルバム『Ye-Me-Le』収録)で知られる楽曲ですね。ここではラテン・アレンジを効かせた魅惑のメロウ・チューンで聴かせてくれます。トロンボーンによるアシストもグッド!
「Samba Liberdade」
John Crawford作。クールな哀愁メロウ。Lisa Brownのセクシー・スキャットがいいですね。
「Crickets Sing For Ana Maria」
Marcos Valle作品をカヴァー。Marcosヴァージョンは『Samba '68』(1968年)に収録されています。正攻法カヴァーですが、この曲の魅力を再確認できる好カヴァーに仕上がっていると思います。
当ブログではMarcos Valle自身やWalter Wanderley、The Dee Felice Trio、Bossa Nostraのカヴァーも紹介済みです。
「Because Of You」
Lisa Brown作。Lisaが少しレイジーなヴォーカルが印象的な哀愁メロウ。John Crawfordの美しいピアノがいいですね。
「Samba Do Soho」
Paulo Jobim/Ronaldo Bastos作。当ブログではFabiana Passoniのカヴァーを紹介済みです。僕好みのコンテンポラリーなジャズ・サンバに仕上がっています。涼しげなフルートがよく似合います。
「Earthling」
John Crawford/Lisa Brown/Nick Cohen作。大地の香りのするブラジリアン・メロウ・ジャズ。オリジナルではコレが一番好きですね。
「Agua De Beber」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作の名曲カヴァー。Lisaの艶やかなスキャット/ヴォーカルが映えるメロウ・ボッサで聴かせてくれます。抑えたトーンで品良くまとめているのがいいですね。
本曲について、当ブログでは、Sergio Mendes & Brasil'66、Wanda Sa(Wanda De Sah)、Diane Denoir/Eduardo Mateo、Al Jarreau、Bossacucanova & Roberto Menescal、Sheila Landis/Rick Matle、Aquarius Y Luiz Antonio、Sebastiao Tapajos/Maria Nazareth/Arnaldo Henriquesのカヴァーを紹介済みです。
「It's Our Dance」
John Crawford/Lisa Brown作。ラストはスケール感のあるブラジリアン・ジャズのタイトル曲で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=VQt6-6ewl9I
明日(もう今日ですが)は健康診断なので早く寝ようっと!