発表年:1974年
ez的ジャンル:インヴィクタス系男性ソウル・グループ
気分は... :曰く付きの作品ですが・・・
Holland-Dozier-Hollandのインヴィクタスを代表する男性ソウル・グループChairmen Of The Boardの4thアルバム『Skin I'm In』(1974年)です。
デトロイトで結成されたGeneral Johnsonを中心とした男性ソウル・グループChairmen Of The Boardの紹介は、1stアルバム『The Chairmen Of The Board』(1970年)に続き2回目となります。
ノーザン・ソウルな作品で人気を博したChairmen Of The Boardですが、本作『Skin I'm In』はファンク色を強めた仕上がりになっています。
これはGeneral Johnsonをはじめとするグループの意向というよりも、プロデューサーJeffrey Bowen主導の路線変更だった模様です。
レコーディング自体は1972年までに終えていたようですが、ファンク路線はグループの本意ではなく、一度はお蔵入りとなりました。しかしながら、1974年になってインヴィクタス側が音源に編集を加えて、グループの意志を無視するかたちでリリースされたのが本作『Skin I'm In』(1974年)です。
こうした曰く付きの作品ですが、ファンク好きの人であれば結構楽しめる1枚に仕上がっています。その要因の1つとして、Parliamentのメンバーがバッキングを務めている点があります。また、Sly Stone作品をカヴァーしている点にも惹かれます。
本作におけるメンバーはGeneral Johnson、Danny Woods、Harrison Kennedyの3名。
正直、本来のChairmen Of The Boardらしさは殆ど感じられませんが、Sly & The Family Stone、Funkadelic/Parliament的なファンク・グルーヴが格好良い1枚に仕上がっています。
その意味では、シングルにもなった「Finder's Keepers」、オープニングを飾るハードな「Everybody Party All Night」、ミディアム・ファンクのタイトル曲「Skin I'm In」、サイケなファンク・ロック組曲の「Morning Glory」、「Life & Death Pt. I」、「White Rose (Freedom Flower)」、「Life & Death Pt. II」がおススメです。
あとファンク路線とは異なりますが、ラテン・ソウルな「Let's Have Some Fun」も僕のお気に入りです。
国内盤CDのボーナス・トラックも聴く価値があると思います(グループと無関係の曲もありますが)。
グループとしての魂が抜け落ちている作品ですが、それでも十分に魅力的という面白さのある1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Everybody Party All Night」
General Johnson/Jeffrey Bowen作。いきなりSly & The Family Stone調のハードなファンク・グルーヴでアルバムは幕を開けます。いやぁ、この推進力はたまりません!
https://www.youtube.com/watch?v=etNFskuMr2E
「Skin I'm In」
General Johnson/Jeffrey Bowen作。ワウ・ギターの怪しげな響きにグッとくるミディアム・ファンク。ホーン・サウンドもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=YxFTssM_eG8
「Morning Glory」
「Life & Death Pt. I」
「White Rose (Freedom Flower)」
「Life & Death Pt. II」
この4曲は1つの組曲のような流れです。Sly StoneプロデュースによるJoe Hicksのシングル曲「Life & Death」のカヴァー(Sly Stone作)に、Billy Nelson/Donald Baldwin作の「Morning Glory」、「White Rose (Freedom Flower)」を織り交ぜています。サイケなファンク・ロックは全くChairmen Of The Boardらしさはありませんが、Funkadelic好きならばグッとくる格好良さがあります。カリンバによるアクセントもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=cVFUr66Xk1c
「Let's Have Some Fun」
General Johnson作。ラテン・パーカッションの効いたラテン・ソウル調の仕上がりは本作の中でも異色ですが、ラテン好きの僕にはどストライクな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=e8YScrJWSVQ
「Love At First Sight」
General Johnson作。壮大なスケールのドラマチック・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=bMQre_pjyiU
「Only Love Can Break A Heart」
Burt Bacharach/Hal David作品のカヴァー。オリジナルはGene Pitney、1962年のシングルです。ようやくソウル・グループらしいバラードです。
Wordsworth「Wildlife」のサンプリング・ソースとなっています。
Wordsworth「Wildlife」
https://www.youtube.com/watch?v=zKYezZDDyAw
「Live With Me, Love With Me」
Donald Baldwin/General Johnson/Jeffrey Bowen作。ストリングスを配したバラード
https://www.youtube.com/watch?v=sisTVXV3Za4
「Finder's Keepers」
General Johnson/Jeffrey Bowen作。アルバムに先行してシングル・リリースされ、US R&Bチャート第7位のヒットとなりました。クラヴィネットのリフが格好良いファンク・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=Hq0Jyie9MME
国内盤再発CDには以下の4曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
「Finders Keepers (Inst Version)」
「Finders Keepers」のインスト・ヴァージョン。
「You've Got Extra Added Power In Your Love」
1976年にChairmen Of The Board Featuring Prince Harold名義でリリースされたシングル曲。実質Prince Haroldのシングルであり、グループ自体は無関係のものです。それでも初期Chairmen Of The Board的な魅力があるのが面白いですね。純粋にいい曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=3XVeRJBIezY
「Someone Just Like You」
上記「You've Got Extra Added Power In Your Love」のB面曲。こちらもソウル好きの人であれば楽しめる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=UwRMNV3Q8NQ
「Come On In And Dance」
1978年リリースされたシングルらしいです。リード・ヴォーカルはDanny Woods。タイトル通り、ダンサブルな仕上がり。キャッチーでいい曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=uXz-aTkd0Vs
Chairmen Of The BoardのInvictus時代の他作品もチェックを!
『The Chairmen Of The Board』(1970年)
『In Session』(1970年)
『Bittersweet』(1972年)