発表年:2019年
ez的ジャンル:アルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレ
気分は... :水の音楽!
新作アルバムからアルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレ・シーンの巨匠Carlos Aguirreの最新作『La musica del agua』です。
1965年アルゼンチン、エントレリオス州セギーの生まれのシンガー・ソングライター/ピアニスト/ギタリストCarlos Aguirreの紹介は、『Orillania』(2012年)、Andre Mehmari、Juan Quinteroとの共演作『Serpentina』(2017年)に続き3回目となります。
ソロ・アルバムとしては、『Orillania』(2012年)以来7年ぶりとなる本作『La musica del agua』。
『水の音楽』というアルバム・タイトルが意味するように、彼が愛するラプラタ河流域の雄大な自然や、そこに暮らす人々について歌われた楽曲をセレクトし、ピアノの弾き語りでまとめあげた作品です。約5年の歳月をかけて、本作のテーマに合致する音楽家、楽曲を探求した模様です。
Carlos Aguirreのピアノとヴォーカルのみというシンプルな作りの作品ですが、実に深遠な音世界を創り上げているのが巨匠らしいですね。
都会の喧騒や夏の暑苦しさを忘れさせてくれるAguirreならではの澄み切った音世界は、まさに水の音楽です。
水羊羹でも食べながら聴きたくなる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Juancito en la siesta」
Chacho Muller作。Aguirreらしい穏やかさの中に深遠さを感じるオープニング。雄大な大自然の中のお昼寝時間が歌われています。自分だけの時間が流れていく感じがサイコーです。
「Pan del agua」
Ramon Ayala作。老いた漁師の生き様が河の流れに重ねて歌われます。人生は荒れた川のようなもの・・・
「Corrientes camba」
Alberico Mansilla/Edgar Romero Maciel作。アフリカ系住民の暮らしぶりを歌った美しい1曲。昔を懐かしむノスタルジックな雰囲気がたまりません。
「Santiago」
Silvia Salomone作。Aguirreらしい繊細な語り口の美しい1曲。目を閉じると雄大な自然の光景が浮かんできます。
「El loco Antonio」
Alfredo Zitarrosa作。本作らしい深遠さが伝わってくる1曲。古びた鉄橋をめぐる物語が語られます。
「Rio de los pajaros」
Anibal Sampayo作。ラプラタ河に生きる鳥たちについて歌った曲。自然や生物との共生を感じるフォルクローレらしい味わいを満喫できます。
「Cancion de verano y remos」
Anibal Sampayo作。美しいピアノと共に、ここではポエトリーリーディングのようなスタイルも取り入れています。
「Pasando como si nada」
Luis Barbiero作。神秘的な森のささやきを歌った曲。透明感に溢れたAguirreらしい歌世界を満喫できます。
「Sentir de otono」
Chacho Muller作。秋を歌った1曲。そのせいかセピア色の少し寂しげな雰囲気に仕上がっています。
「La Canera」
Anibal Sampayo作。邦題「焼酎の歌」。酔いどれモードの1曲です(笑)。少しブラジル的な雰囲気もあるのがいいですね。
「Leyenda」
Coqui Ortiz/Matias Arriazu作。これぞ静かなる音楽といった雰囲気の味わい深い弾き語りです。
「Pato siriri」
Jaime Davalos作。タイトルは鴨を意味しているようです。澄み切ったピアノとヴォーカル、これぞCarlos Aguirreワールドといった雰囲気でアルバムは幕を閉じます。
Carlos Aguirreの他作品もチェックを!
Carlos Aguirre Grupo『Crema』(2000年)
『Orillania』(2012年)
Andre Mehmari/Juan Quintero/Carlos Aguirre『Serpentina』(2017年)